どうしてこんな拍手喝采

ソラ

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呑まれた五線譜

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俺の学校の学園祭は学校全体が力を注ぐ行事だ。学園祭の二日前になると授業はすべて免除され、学園祭の出し物に力を注ぐ時間となる。

「冰澄はうさぎ、うさぎしか許さない」

「ま、まぁ沢長さんが言うなら…」

何してるんだろうこの人と素直に思ったのは俺が正常だからだ。

「おーれも、冰澄はうさぎ!ぜーったいうさぎ!俺はなんにし…」

「誓は、猫、絶対猫、それ以外許さない。」

「…あ、はい」

明人先輩に猫耳カチューシャを押し付けられた誓先輩は、カチューシャと明人先輩を交互に見た。

そしてそれをすちゃっと装着した。

「どう?」

「……ん」

二人の姿を見ていて不意に気づいた。

……あれ?

ほんのり明人先輩の頬が赤い。誓先輩もそれに気づいたのか、「じゃっ」と言って俺の方を振り返って、口元を片手で押さえた。

耳まで真っ赤だ。

「これは……」

「ひーすみ、うさみみつけた?」

「先輩ちょっとこっち」

「うぇっ…!」

先輩の腕を掴んで教室の外に出た。
猫耳の誓先輩は、ふざけて「どうかしたかにゃー」と首をかしげた。

「誓先輩、明人先輩のこと好きなんですか??」

「なっ!!!…んで、んなこと」

「見てたらわかります。」

「……えーっと」

先輩の顔は真っ赤になった。なかなか見ることのない表情だ。

「実は、さ。冰澄にはちゃんとした場所で言おうと思ったんだけど…つき、あうことに、なった…です…」

最後の方はだんだんと小さくなっていった声だがそこには照れが垣間見える。
俺はまさかの事実に一瞬固まったあと、「おめでとう」とほぼ無意識につぶやいた。

「……、あのさ俺、ずっと冰澄のこと好きなのかなって思ってたんだぜ?」

「俺のことが?」

素直に驚いて目を丸くした。

「でも冰澄が、政宗とかいうやつと恋人って聞いた時、なんていうか…そんなショックもなくて…心配はしたんだけど、悔しいとか苦しいとかはなかったんだよ。うめちゃんに言われた、それって単に冰澄を大事にしてるんだって、大切な友達だって」

「梅さんに?」

「ん。……なんかさ、明人に好きなやついるっていらっとしたんだよ。だって俺たちずっといんのにって」

「その好きな人が誓先輩だったってことですか?」


誓先輩は少し躊躇した後に小さく頷いた。

確かに、猫に懐かれた気分になる。

まさか先輩2人が付き合う出すなんて考えてなかったけど、考えてなかっただけど、それはそれは幸せなことなのだ。

誰が嬉しくないと言える。

「言ったじゃないですか、誓先輩はいつか人を好きになりますよって」

「冰澄のおかげだぜ、マジで。」

誓先輩は照れ臭そうに笑った。

「誓、冰澄、服合わせするって」

そう言って明人先輩が俺たちに声をかけた。

「あ、服合わせ?りょーかい」

「行くぞ…冰澄も」

「あ…」

幸せそうな雰囲気を感じ取るのがうまくなったと思う。
俺は少し迷って首を横に振った。

「飲み物ついでに買ってきます」

「俺が行くのに」

「誓先輩は服合わせしてください、それに誓先輩が選んでくるの明らか人が飲めるものじゃないやつでしょ」

「それは否定しない」

「はぁ!?明人まで!」

「気をつけろよ冰澄」

「無視か!?」

笑みがこぼれた。俺は言い合いをしながら教室に入っていく二人を眺めてから、背を向けた。


堂々と誰か好きになったって言えるなんて

羨ましいなぁ。
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