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呑まれた五線譜
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自動販売機の前で、10本ほど飲み物を買って教室に帰る途中で、ポケットの中のスマホが震えた。
ディスプレイに映った名前に少しどきっとした。
「はい、冰澄です、どうかされましたか、政宗さん」
『 …いや空き時間ができたからな。今は、学園祭の準備中か? 』
「え!」
政宗さんが学園祭があることを知っているのに驚いて、つい飲み物を数本落としてしまった。
『どうした?』
「い、え……学園祭って知ってたん、ですね」
『 ああ、北谷が招待券をチラつかしてきたからな 』
北谷さん……。嬉しいような嬉しくないような知らせ方だ。
『……俺としてはお前からもらいたかったんだがな、お前の性格上、仕事がとかで引いたんだろう』
なんでもお見通しだ。
電話の向こうで政宗さんがふっと笑った。
でも電話をくれたことが少し嬉しくて、俺はにやける顔を隠すのに必死だった。
落ちたジュースが転がって、俺はそれを追いかけた。
「軽音部らしくライブするんです」
『 それは見にいかねぇとな 』
「来てくれるんですか!?」
『 ああ 』
わぁーっと俺は嬉しさにその場に立ち止まってしまった。
ジュースはコロコロと転がっていくと思えば、誰かに拾われた。
顔を上げてその人物を見る。
『冰澄、そろそろ北谷がうるせぇから切るぞ?……冰澄?』
「…あ!はい、わかりました」
『……どうした?』
政宗さんの怪訝そうな声が耳元で聞こえた。ジュースを拾ってくれた男の人は俺に近づいてくる。俺はどうすればいいかわからなかった。だってどう見たって、日本人じゃない。
「えっと…」
『冰澄?』
間近にきてついスマホを耳から離した。
「ヒスミ?ハツヒスミくん?」
俺にこんな知り合いいただろうか。
目は細長くてまつげは長い。綺麗な肌に綺麗な顔のパーツ、背もそれなりに高くて、目は青色だ。髪は金色だ。どう考えても日本人じゃない。俺の知り合いじゃない。
『おい…冰澄』
「ああ、ヒスミくん、合ってるね?それ、マサムネでしょ?」
「えっと…どちら様で」
イケメンの外国人は俺のスマホを指差した。
俺の問いに、男の人はにっこり笑った。
「……少し貸してね」
「え?…わっ!ちょっと!やめてください!!」
するっとスマホを取られてしまった。
「Hello!やぁ、マサムネ。そう怒らないで。
なんで?そりゃぁ気になる子がいたからさ。」
政宗さんの知り合いなのか、政宗さんと会話を始める。
俺はどうしていいかわからなくなりとりあえずジュースを拾った。
「そう、ヒスミ!僕も結構気になった!で日本に来てみた!
そしたら綺麗な子だったから。
I abduct him.」
流暢な英語だと思って顔を上げたがその意味をよくよく考えてみた。
I abduct him……私は彼を拉致する?
俺は、男の人を見ると、男の人はにっこりと笑った。男の人の後ろと、俺の後ろに数人、ブラックスーツを纏った外国人がいつの間にか立っていた。
彼の言う、"彼"が誰かなんとなくわかったような気がした。
「I do not hear your opinion from a beginning.」
"君の意見は最初から聞いてない"
俺はそれなりに英語は得意だ。喋るのも聞き取るのも。今この状態だと、なにがなんでも聞き取る必要がありそうだ。
「……だって、マサムネの大切な子なんでしょう?」
天使みたいな風貌の彼が悪魔みたいな笑みを浮かべた。
ディスプレイに映った名前に少しどきっとした。
「はい、冰澄です、どうかされましたか、政宗さん」
『 …いや空き時間ができたからな。今は、学園祭の準備中か? 』
「え!」
政宗さんが学園祭があることを知っているのに驚いて、つい飲み物を数本落としてしまった。
『どうした?』
「い、え……学園祭って知ってたん、ですね」
『 ああ、北谷が招待券をチラつかしてきたからな 』
北谷さん……。嬉しいような嬉しくないような知らせ方だ。
『……俺としてはお前からもらいたかったんだがな、お前の性格上、仕事がとかで引いたんだろう』
なんでもお見通しだ。
電話の向こうで政宗さんがふっと笑った。
でも電話をくれたことが少し嬉しくて、俺はにやける顔を隠すのに必死だった。
落ちたジュースが転がって、俺はそれを追いかけた。
「軽音部らしくライブするんです」
『 それは見にいかねぇとな 』
「来てくれるんですか!?」
『 ああ 』
わぁーっと俺は嬉しさにその場に立ち止まってしまった。
ジュースはコロコロと転がっていくと思えば、誰かに拾われた。
顔を上げてその人物を見る。
『冰澄、そろそろ北谷がうるせぇから切るぞ?……冰澄?』
「…あ!はい、わかりました」
『……どうした?』
政宗さんの怪訝そうな声が耳元で聞こえた。ジュースを拾ってくれた男の人は俺に近づいてくる。俺はどうすればいいかわからなかった。だってどう見たって、日本人じゃない。
「えっと…」
『冰澄?』
間近にきてついスマホを耳から離した。
「ヒスミ?ハツヒスミくん?」
俺にこんな知り合いいただろうか。
目は細長くてまつげは長い。綺麗な肌に綺麗な顔のパーツ、背もそれなりに高くて、目は青色だ。髪は金色だ。どう考えても日本人じゃない。俺の知り合いじゃない。
『おい…冰澄』
「ああ、ヒスミくん、合ってるね?それ、マサムネでしょ?」
「えっと…どちら様で」
イケメンの外国人は俺のスマホを指差した。
俺の問いに、男の人はにっこり笑った。
「……少し貸してね」
「え?…わっ!ちょっと!やめてください!!」
するっとスマホを取られてしまった。
「Hello!やぁ、マサムネ。そう怒らないで。
なんで?そりゃぁ気になる子がいたからさ。」
政宗さんの知り合いなのか、政宗さんと会話を始める。
俺はどうしていいかわからなくなりとりあえずジュースを拾った。
「そう、ヒスミ!僕も結構気になった!で日本に来てみた!
そしたら綺麗な子だったから。
I abduct him.」
流暢な英語だと思って顔を上げたがその意味をよくよく考えてみた。
I abduct him……私は彼を拉致する?
俺は、男の人を見ると、男の人はにっこりと笑った。男の人の後ろと、俺の後ろに数人、ブラックスーツを纏った外国人がいつの間にか立っていた。
彼の言う、"彼"が誰かなんとなくわかったような気がした。
「I do not hear your opinion from a beginning.」
"君の意見は最初から聞いてない"
俺はそれなりに英語は得意だ。喋るのも聞き取るのも。今この状態だと、なにがなんでも聞き取る必要がありそうだ。
「……だって、マサムネの大切な子なんでしょう?」
天使みたいな風貌の彼が悪魔みたいな笑みを浮かべた。
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