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circus man
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「初めて見たのは横浜のライブハウスで、なんだったけな現役高校生バンドの対バンとかしてたやつなんですけど…俺普段あんまりライブとか行かないしバンドとか興味なかったんですけど友達が出るんで見に行ったんです!そしたらもう!もう!冰澄さん達がいて!俺冰澄さんの歌声とギターに憧れちゃってあんな感覚ほんと始めてて…とにかく好き!!!ってなったんですそれで友達に聞いたら冰澄さんたちは西乃芽山学園の軽音部だって知って!!!おれ!冰澄さんに憧れて西乃芽山学園受けるんです!!!!受かったら俺もメンバーに入れてください!!!!」
早口で興奮気味に話す彼は楓さんが引っ張っていくまでずっと俺を輝いた瞳でみつづけていた。
正直に言うと、あんな風に言われて喜ばずにはいられない。でもまさか楓さんの義理の息子さんが彼の息子だとは思わなかったのだ。
「あの政宗さん、桜介くんって…、高梨さんの」
「お前は本当に勘がいいな。…あそこも複雑でな。桜介は高梨のガキだが、当時は…まぁ大変だったな。難しい話になるが、……家に帰ったら話す。今はやめよう」
切れ長真っ黒な瞳が高梨さんの、金色を捉えた。
桜介くんは高梨さんによく見ればそっくりだが、その中に含まれる"血筋"になんとなく気がついた。それは高梨さんにもあって、桜介くんにもあって、そして政宗さんにもある。
俺の知りえない"事情"と彼らが知りうる俺の"事情"は果たしてどちらが、重々しいだろうか。そんな最低なことを考えた。
「冰澄、」
「はい?」
何事もないように微笑んで返事をすれば彼は深刻そうな顔で俺を見透かすように見つめた
「お化け屋敷あるぞ」
「…いらないです!」
面白そうな声で笑う政宗さんの腕を1回叩いてから、自分の腕を絡めてみた。
もし、俺も知らない俺の事情を全て渡せる日が来たら、彼は渡してくれるだろうか。
俺は自然とお化け屋敷の向かおうとする政宗さんの足を軽く踏んでから、無理やりメリーゴーランドへ引っ張ってやった。
***
「もおー面白くないですよー!」
「なんだ、てめぇの言う通り乗ってやっただろ」
「白馬とか、普通に似合うから意味ないんだよ…、もっとカエルとか…」
「何ブツブツ言ってんだ」
「なんでもないですよなんでも」
そう言いながら、キャラクターもののカチューシャをつけてみたらカチューシャが霞んだ。
政宗さんの顔は本当に素晴らしいなと思いながら、カチューシャを外そうとする政宗さんの手を止める。
「お揃い、」
「おいおいいい歳こいた男が………わかった、わかったから見つめてくんな」
「やった~!」
他にも先輩たちにお土産を見ていると、最後になと言われ店を連れ出された。もちろんカチューシャは先に購入済みだ。
休日ということもあってそこそこ混み合ってはいるがどこから入手したのか、優先パス全種をもちあわせた俺達にはなんの痛手もない。
だから北谷さん達と鉢合わせることもあるし、桜介くんたちも同時に鉢合わせることもある。
「冰澄くーん!さっきぶりねーーー!!!」
「うるせー化け物野郎」
「なんだとぶっ飛ばすぞくそ犯罪者」
「だから辞めましょうって…」
「ひすみくん!!!」
「尚也ーー!走るな!おいハゲ!さっさとこい!」
「クソメガネが池に蹴落としてやろうか!」
「北谷さんも、片桐さんもやめましょう…」
「冰澄さん゛!!!!」
「ありゃー全員大集合ってとこじゃんね」
「冰澄さん゛!」
「おちつこう落ち着こうよ桜介くん、」
全員が騒がしく集合したアトラクションの待ち列は大賑わいで俺は乾いた笑みをこぼしながらも、まゆをあげた。
「冰澄」
騒がしい中でもよく聞き取れる声に振り返れば政宗さんは俺を見ることなく口を開いた。
「楽しいだろう?」
その疑問符は何の意味にもならないのに彼は律儀にそれを添えたのだった。
早口で興奮気味に話す彼は楓さんが引っ張っていくまでずっと俺を輝いた瞳でみつづけていた。
正直に言うと、あんな風に言われて喜ばずにはいられない。でもまさか楓さんの義理の息子さんが彼の息子だとは思わなかったのだ。
「あの政宗さん、桜介くんって…、高梨さんの」
「お前は本当に勘がいいな。…あそこも複雑でな。桜介は高梨のガキだが、当時は…まぁ大変だったな。難しい話になるが、……家に帰ったら話す。今はやめよう」
切れ長真っ黒な瞳が高梨さんの、金色を捉えた。
桜介くんは高梨さんによく見ればそっくりだが、その中に含まれる"血筋"になんとなく気がついた。それは高梨さんにもあって、桜介くんにもあって、そして政宗さんにもある。
俺の知りえない"事情"と彼らが知りうる俺の"事情"は果たしてどちらが、重々しいだろうか。そんな最低なことを考えた。
「冰澄、」
「はい?」
何事もないように微笑んで返事をすれば彼は深刻そうな顔で俺を見透かすように見つめた
「お化け屋敷あるぞ」
「…いらないです!」
面白そうな声で笑う政宗さんの腕を1回叩いてから、自分の腕を絡めてみた。
もし、俺も知らない俺の事情を全て渡せる日が来たら、彼は渡してくれるだろうか。
俺は自然とお化け屋敷の向かおうとする政宗さんの足を軽く踏んでから、無理やりメリーゴーランドへ引っ張ってやった。
***
「もおー面白くないですよー!」
「なんだ、てめぇの言う通り乗ってやっただろ」
「白馬とか、普通に似合うから意味ないんだよ…、もっとカエルとか…」
「何ブツブツ言ってんだ」
「なんでもないですよなんでも」
そう言いながら、キャラクターもののカチューシャをつけてみたらカチューシャが霞んだ。
政宗さんの顔は本当に素晴らしいなと思いながら、カチューシャを外そうとする政宗さんの手を止める。
「お揃い、」
「おいおいいい歳こいた男が………わかった、わかったから見つめてくんな」
「やった~!」
他にも先輩たちにお土産を見ていると、最後になと言われ店を連れ出された。もちろんカチューシャは先に購入済みだ。
休日ということもあってそこそこ混み合ってはいるがどこから入手したのか、優先パス全種をもちあわせた俺達にはなんの痛手もない。
だから北谷さん達と鉢合わせることもあるし、桜介くんたちも同時に鉢合わせることもある。
「冰澄くーん!さっきぶりねーーー!!!」
「うるせー化け物野郎」
「なんだとぶっ飛ばすぞくそ犯罪者」
「だから辞めましょうって…」
「ひすみくん!!!」
「尚也ーー!走るな!おいハゲ!さっさとこい!」
「クソメガネが池に蹴落としてやろうか!」
「北谷さんも、片桐さんもやめましょう…」
「冰澄さん゛!!!!」
「ありゃー全員大集合ってとこじゃんね」
「冰澄さん゛!」
「おちつこう落ち着こうよ桜介くん、」
全員が騒がしく集合したアトラクションの待ち列は大賑わいで俺は乾いた笑みをこぼしながらも、まゆをあげた。
「冰澄」
騒がしい中でもよく聞き取れる声に振り返れば政宗さんは俺を見ることなく口を開いた。
「楽しいだろう?」
その疑問符は何の意味にもならないのに彼は律儀にそれを添えたのだった。
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