【完結】捨てられた聖女は王子の愛鳥を無自覚な聖なる力で助けました〜ごはんを貰ったら聖なる力が覚醒。私を捨てた方は聖女の仕組みを知らないようで

よどら文鳥

文字の大きさ
4 / 28

ルリナは文鳥を助けたい

しおりを挟む
 なんとなく、私は森があるところにいたほうが落ち着く。
 これからどうしようかなと思いながらウロウロと歩いていたとき、白い文鳥が地面で横たわって倒れているのを発見した。

「あ……。これってヤバいんじゃ……」

 すぐに白文鳥のところへかけていき、そっと手の平にのせた。
 ヒクヒクと動いているため、生きてはいるようだが危険な状態だということはすぐに理解できた。

「よしよし……。きっと大丈夫だよ」

 小鳥のことも気になる……。
 あの子はちゃんと元気になってくれただろうか。
 今度会えたら助けられなかったことを謝りたい。

 そういえば、『せいなるちから』というもので願ったことが今日叶ったっけ。
 試しにもう一度やってみようかな。
 手を合わせて目を瞑り白文鳥に対して祈ってみた。

『どうか白文鳥さんが元気になってくれますように』

 目を開けてみたが、やはり白文鳥は倒れたまま動かない。
 私は再び手のひらにのせてからガッカリしていた。
 昨日のご飯いっぱい食べたいという願いは偶然だったのだろう。
 そのときだった。

「そこでなにをしている?」
「ひゃ!」
「脅かしてすまない。だがこんな場所でなにを……?」

 わぁ……。
 声をかけてきた主の顔を見た瞬間、私の心拍数が急上昇してしまった。

 綺麗に整えられた金色の髪に、星の光のような金色の瞳。
 ピシッとした格好をしていて、顔立ちも整いすぎている。
 無知な私ですら一目惚れをしてしまうほどだ。

 だが、今はそれどころではない。
 私は手のひらに乗っている白文鳥をこの男に見せた。

「そこで倒れていたので……。なんとか元気にならないかなと……」
「ナツメちゃん! こんなところにいたのか……」

 男は私の超至近距離まで来て、白文鳥を慣れた手つきで受け取った。

「いきなりすまない。実はこの白文鳥は私の飼っている愛鳥でな。先日逃げ出してしまったのだが、どこにいるのかわからず今も探していたところだったのだよ。感謝する」
「この子、元気がなくなっていますよ……」
「心配してくれるのか。だがこの状態では永くは保たないかもしれぬ……。だが私は最期までナツメちゃんを見届ける……」

 私も白文鳥=ナツメちゃんが心配で仕方がない。
 ずっと白文鳥を眺めていると……。

「きみはそんなに心配してくれるのか?」
「このまま死んじゃうかもしれないでしょう……。かわいそうで」
「ありがとう。それにしてもきみは私を見ても動じないのだな」
「えぇと……、ごめんなさい」
「…………? もしや、きみがルリナか?」
「はい……」

 この流れはまずいな。
 またしても幻滅させて笑われてしまう気がする。
 早く退散したほうが良い気もするが、白文鳥が気になってしまう。

 そう思っていたのだが……。

「挨拶が遅れた。私はニルワーム=サムマリンと申す」
「えぇと、こんにちは」

 こういったとき、どう挨拶すれば良いのかがわからない。
 私は必死に覚えている言葉を使いながら頭を何度もぺこぺこ下げる。

 すると、ニルワームさんはフッと笑みを浮かべてくれた。
 なんとなく、今までのような嘲笑ってくるような感じがなかったため、私は少しホッとした。

「挨拶をしながらもナツメちゃんの容態が気になってくれているのか?」
「はい、とても……」
「今日は連れ帰り最大限の看病をするつもりだ。すぐに許可を出すことは難しいからな……。明日で良ければ、また王宮へ来るがいい」
「許可? 王宮の管理人さんでしたか?」
「いや、私は第三王子だ。王宮の出入りくらい私が許可を正式に出しておけば問題ない」

 また明日ここへ来ても良いと言ってくれたことがとても嬉しかった。
 今まで住んでいた場所を追い出されたらどこへ行けばいいのか悩んでいたから。
 それよりも、白文鳥の容態を確認できることのほうが嬉しかったのかもしれない。

 私はもう一度、手を合わせて目を瞑って白文鳥に対して祈ってみた。

「噂ではきみは聖女ではないと聞いていたが」
「私もよくわかりません。でも、ナツメちゃんは元気になってほしいし、なんとなくやってみただけです」
「そうか。そういう気持ちはとても嬉しい。心遣い、そして発見してくれたことにも感謝する。そろそろ行かねばならない。きみはまだここにいるのか?」
「はい。森にいると落ち着くので」

 ニルワームさんはフッと笑みをこぼしてから王宮のほうへ戻っていった。
 私もしばらくしてから交流会へ戻ることにした。



「どこへ行っていたのだ!?」
「あ、お父様。ちょっと森のほうへ探検に……。あ、あと会話――」
「交流会をほったらかしにして森へ行っていいほどの自由を与えた覚えはない」

 周りには他の参加者たちも嘲笑うような態度をしていた。
 お父様は深くため息をはきながら私の手をぐいっとひっぱり、馬車のほうへ向かっていく。

「あらあら、ついに噂のお嬢様も追放されるのですねぇ」
「無理もないでしょう。さすがにあのような無能で自由気ままでは公爵令嬢としてはふさわしくありませんもの」
「公爵様も、今までさぞ大変だったことでしょう……お疲れさまでした」

 馬車の中へ勢いよく放り込まれ、そのまま動き出してしまった。
 帰り際にニルワームさんと挨拶したかったんだけど、それすらできなかったのだ。

 しばらく馬車が進むと……。

「降りろ」
「へ?」
「ここで降りろと言っている。もうお前は私の子ではなくなっているのだからな。そういう手続きを先ほど済ませて受理もされている」
「どういうことですか?」
「つまり、役立たずのゴミを捨てようとしているのだよ。おまえは自由だ。好きに生きるが良い」
「は、はい。わかりました」

 お父様は馬鹿にしたかのような笑いをして、そのまま馬車で去ってしまった。

 幸い王宮からどうやってこの場所まで進んだかは覚えている。
 私は近くの木陰に座ってそのまま翌朝になるのを待った。

 果たして白文鳥は無事だろうか。
 私はそのことで頭がいっぱいだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。

【本編完結・番外編追記】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。

As-me.com
恋愛
ある日、偶然に「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言する婚約者を見つけてしまいました。 例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃりますが……そんな婚約者様はとんでもない問題児でした。 愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。 ねぇ、婚約者様。私は他の女性を愛するあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄します! あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。 番外編追記しました。 スピンオフ作品「幼なじみの年下王太子は取り扱い注意!」は、番外編のその後の話です。大人になったルゥナの話です。こちらもよろしくお願いします! ※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』のリメイク版です。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定などを書き直してあります。 *元作品は都合により削除致しました。

自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?

長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。 王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、 「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」 あることないこと言われて、我慢の限界! 絶対にあなたなんかに王子様は渡さない! これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー! *旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。 *小説家になろうでも掲載しています。

【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。

氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。 聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。 でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。 「婚約してほしい」 「いえ、責任を取らせるわけには」 守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。 元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。 小説家になろう様にも、投稿しています。

虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。

ラディ
恋愛
 一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。  家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。  劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。  一人の男が現れる。  彼女の人生は彼の登場により一変する。  この機を逃さぬよう、彼女は。  幸せになることに、決めた。 ■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です! ■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました! ■感想や御要望などお気軽にどうぞ! ■エールやいいねも励みになります! ■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。 ※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。

【短編】追放された聖女は王都でちゃっかり暮らしてる「新聖女が王子の子を身ごもった?」結界を守るために元聖女たちが立ち上がる

みねバイヤーン
恋愛
「ジョセフィーヌ、聖なる力を失い、新聖女コレットの力を奪おうとした罪で、そなたを辺境の修道院に追放いたす」謁見の間にルーカス第三王子の声が朗々と響き渡る。 「異議あり!」ジョセフィーヌは間髪を入れず意義を唱え、証言を述べる。 「証言一、とある元聖女マデリーン。殿下は十代の聖女しか興味がない。証言二、とある元聖女ノエミ。殿下は背が高く、ほっそりしてるのに出るとこ出てるのが好き。証言三、とある元聖女オードリー。殿下は、手は出さない、見てるだけ」 「ええーい、やめーい。不敬罪で追放」 追放された元聖女ジョセフィーヌはさっさと王都に戻って、魚屋で働いてる。そんな中、聖女コレットがルーカス殿下の子を身ごもったという噂が。王国の結界を守るため、元聖女たちは立ち上がった。

傷物の大聖女は盲目の皇子に見染められ祖国を捨てる~失ったことで滅びに瀕する祖国。今更求められても遅すぎです~

たらふくごん
恋愛
聖女の力に目覚めたフィアリーナ。 彼女には人に言えない過去があった。 淑女としてのデビューを祝うデビュタントの日、そこはまさに断罪の場へと様相を変えてしまう。 実父がいきなり暴露するフィアリーナの過去。 彼女いきなり不幸のどん底へと落とされる。 やがて絶望し命を自ら断つ彼女。 しかし運命の出会いにより彼女は命を取り留めた。 そして出会う盲目の皇子アレリッド。 心を通わせ二人は恋に落ちていく。

大好きな第一王子様、私の正体を知りたいですか? 本当に知りたいんですか?

サイコちゃん
恋愛
第一王子クライドは聖女アレクサンドラに婚約破棄を言い渡す。すると彼女はお腹にあなたの子がいると訴えた。しかしクライドは彼女と寝た覚えはない。狂言だと断じて、妹のカサンドラとの婚約を告げた。ショックを受けたアレクサンドラは消えてしまい、そのまま行方知れずとなる。その頃、クライドは我が儘なカサンドラを重たく感じていた。やがて新しい聖女レイラと恋に落ちた彼はカサンドラと別れることにする。その時、カサンドラが言った。「私……あなたに隠していたことがあるの……! 実は私の正体は……――」

処理中です...