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ルリナはバカにされる
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「さっさと起きろ!」
「ふぅぁああい?」
翌朝、ゴミ捨て場でお父様に叩き起こされた。
いつものようによだれを服で拭いてから背を伸ばす。
「これに着替えろ。シャインのお古のドレスだが公の場に出る以上最低限のことはせねばなるまい……」
昨日友達が殺されそうになった件で、私はお父様に強い恨みを持っている。
だが、今はグッと堪えて普段通りに接することにした。
「うわぁ~、綺麗ですね」
「感想は良いからとっとと着替えろ。すぐに王宮へ出発する」
王宮とはなんだろうか。
白を基調とした綺麗なドレスに着替えてみる。
着替えの最中に気が付いたが、昨日の蹴られた痕が残っていて、身体中紫色になっていた。
服で隠れてはいるものの、いつになったら治るのやら。
ドレスは少々サイズがキツイため、足も膝あたりまで丸出し状態だ。
「ふむ、似合っている。交流会では足をなるべく出せていたほうが注目を浴びれるからな」
あれ、お父様が私のことを褒めてくれた?
いったいどういう風の吹き回しなのだろうか。
わけもわからず、私は馬車という乗り物に人生で初めて乗ることになった。
♢
王宮という場所へ到着したようで、私は強引に馬車から降ろされる。
公爵邸よりもさらに大きな建物に驚かされた。
その近くには今まで見たこともないくらいの人だかりが。
人ってこんなにいっぱいいたんだ……。
「ここからはお前が好きなように振る舞えばよい。テーブルに用意されたご馳走を好きなだけ食べるもよし。自由だ」
「どうして追い出すと言っていたのにこのようなことを?」
「気にするでない。あとでわかる」
お父様がニヤリと微笑んだ。
もしかしたら、これが昨日私がおいしいご飯が食べたいと祈ったことによる結果なのだろうか。
私はウキウキしながら人だかりのほうへ向かっていく。
お父様の言うとおり、全員が私に視線が向いたような気がする。
なにやらクスクスと笑っていたり、ヒソヒソと私を見ながら話をしていた。
まずは食事を楽しみたい。
テーブルに乗っかっているご馳走を手掴みでワシャワシャと口へ頬張った。
「おいしい~~!!」
どうしてみんなこんなに美味しいご馳走を前にしても口にしないのか不思議だ。
それどころか、さらに私への視線が集まる。
構わず美味しいごちそうをどんどん口の中へ入れていく。
「はぁ~満腹満腹」
おなかいっぱいという経験は初めてかもしれない。
もう口の中に入らない。
ふうっとドレスで口元を拭いた瞬間、周りにいた人たちはついにゲラゲラと笑いはじめた。
ドレスを着た私と同い年くらいの女の子が声をかけてきた。
「お初にお目にかかります。もしかしてあなたはルリナ元公爵令嬢では?」
「あ、はい。こんにちは。ルリナです」
「あぁ……、噂どおり。いや、それ以上ですわね……」
そう言うと、クスクスと笑いながら私の足元を見てきた。
「食事も見ていましたが、着こなしまではしたないこと。完璧な公爵様が手を妬いていると言っていた理由も納得ですわ」
よく見てみると、あの人だけでなくて他の女性が着ているドレスは足首まで丈があった。
膝まで足を出しているのは私だけ。
お父様がニヤリと微笑んだ理由を考えたら、少しだけ嫌な予感がしてきた。
「ま、貴族界から消えたほうが良いというのも納得ですね。どうみても庶民、いえ……庶民未満の行動しかしていませんもの」
彼女がそう言うと、周りにいた人たちもゲラゲラと笑いはじめた。
どうやら、私の食べ方に問題があったらしい。
食べ方に決まりがあるのならば、一度でも教えてくれればそのとおりにするのに……。
ドレスだって言われたものを着ただけなのに……。
だんだんと悔しくなってきて、人だかりの少なさそうな森があるほうへ逃げた。
「ふぅぁああい?」
翌朝、ゴミ捨て場でお父様に叩き起こされた。
いつものようによだれを服で拭いてから背を伸ばす。
「これに着替えろ。シャインのお古のドレスだが公の場に出る以上最低限のことはせねばなるまい……」
昨日友達が殺されそうになった件で、私はお父様に強い恨みを持っている。
だが、今はグッと堪えて普段通りに接することにした。
「うわぁ~、綺麗ですね」
「感想は良いからとっとと着替えろ。すぐに王宮へ出発する」
王宮とはなんだろうか。
白を基調とした綺麗なドレスに着替えてみる。
着替えの最中に気が付いたが、昨日の蹴られた痕が残っていて、身体中紫色になっていた。
服で隠れてはいるものの、いつになったら治るのやら。
ドレスは少々サイズがキツイため、足も膝あたりまで丸出し状態だ。
「ふむ、似合っている。交流会では足をなるべく出せていたほうが注目を浴びれるからな」
あれ、お父様が私のことを褒めてくれた?
いったいどういう風の吹き回しなのだろうか。
わけもわからず、私は馬車という乗り物に人生で初めて乗ることになった。
♢
王宮という場所へ到着したようで、私は強引に馬車から降ろされる。
公爵邸よりもさらに大きな建物に驚かされた。
その近くには今まで見たこともないくらいの人だかりが。
人ってこんなにいっぱいいたんだ……。
「ここからはお前が好きなように振る舞えばよい。テーブルに用意されたご馳走を好きなだけ食べるもよし。自由だ」
「どうして追い出すと言っていたのにこのようなことを?」
「気にするでない。あとでわかる」
お父様がニヤリと微笑んだ。
もしかしたら、これが昨日私がおいしいご飯が食べたいと祈ったことによる結果なのだろうか。
私はウキウキしながら人だかりのほうへ向かっていく。
お父様の言うとおり、全員が私に視線が向いたような気がする。
なにやらクスクスと笑っていたり、ヒソヒソと私を見ながら話をしていた。
まずは食事を楽しみたい。
テーブルに乗っかっているご馳走を手掴みでワシャワシャと口へ頬張った。
「おいしい~~!!」
どうしてみんなこんなに美味しいご馳走を前にしても口にしないのか不思議だ。
それどころか、さらに私への視線が集まる。
構わず美味しいごちそうをどんどん口の中へ入れていく。
「はぁ~満腹満腹」
おなかいっぱいという経験は初めてかもしれない。
もう口の中に入らない。
ふうっとドレスで口元を拭いた瞬間、周りにいた人たちはついにゲラゲラと笑いはじめた。
ドレスを着た私と同い年くらいの女の子が声をかけてきた。
「お初にお目にかかります。もしかしてあなたはルリナ元公爵令嬢では?」
「あ、はい。こんにちは。ルリナです」
「あぁ……、噂どおり。いや、それ以上ですわね……」
そう言うと、クスクスと笑いながら私の足元を見てきた。
「食事も見ていましたが、着こなしまではしたないこと。完璧な公爵様が手を妬いていると言っていた理由も納得ですわ」
よく見てみると、あの人だけでなくて他の女性が着ているドレスは足首まで丈があった。
膝まで足を出しているのは私だけ。
お父様がニヤリと微笑んだ理由を考えたら、少しだけ嫌な予感がしてきた。
「ま、貴族界から消えたほうが良いというのも納得ですね。どうみても庶民、いえ……庶民未満の行動しかしていませんもの」
彼女がそう言うと、周りにいた人たちもゲラゲラと笑いはじめた。
どうやら、私の食べ方に問題があったらしい。
食べ方に決まりがあるのならば、一度でも教えてくれればそのとおりにするのに……。
ドレスだって言われたものを着ただけなのに……。
だんだんと悔しくなってきて、人だかりの少なさそうな森があるほうへ逃げた。
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