【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます

よどら文鳥

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第二章

60 魔導車

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 王宮の庭に一台の魔導車を設置しています。
 試作車とはいえ、いつでも動かせる状態になったのでお披露目です。

「これが魔導車か……」
「まさかこんなに早く完成させてしまうとはな」

「いえ、ライカル様も陛下も私を褒めないで協力してくれた人たちを讃えてください。私は設計を教えただけですので」

 陛下とライカル様は完成した魔導車を見て驚いています。
 見た目は馬車とそんなに変わりはありませんが、車輪ではなくタイヤという大きい物に変わり、空気を詰め込んだことで車輪のようになるシステムを導入しました。
 問題は空気が抜けていくので、道中で補給できるように空気入れも作ったのです。

 他にも色々と新たな仕組みを駆使して制作したわけですが、全て説明するとキリがないのでここまでにしておきましょうか。

「これだけの規模のものを設計するリリーも素晴らしいと思うが」
「私一人では作成できませんでしたけどね」

「ところでこの魔導車には乗っても良いのかね?」
 陛下が好奇心旺盛に聞いてきますが、ここは首を横に降ります。
「いえ、まだ危険が伴う可能性があるので、試運転が完了するまではご遠慮ください」

「まさか、その試運転はリリーがやるわけじゃないだろうな?」
 ライカル様がとても心配そうな表情で尋ねてきました。
 あぁ、私ってば少しミスをしましたね。
 この流れで試運転をするのは私だと感づくのは無理もありません。
 しかもライカル様は私のことをとても心配してくださっていますからね……。

「試運転は危険ではありません。ゆっくりと動かして動作不良がないか確認するだけですから」
「そうなのか……。ならば深くは追求しないが、ともかく命に関わることも、怪我を負うかもしれないようなこともできれば避けてほしい」
「ご心配ありがとうございます」

 私自身に魔力はありませんし、動力が魔道具である以上はそんなに心配はしていません。
 アクセルさえ強く踏み込まなければの話ですけどね。

 今回最初に製造した魔導車は最大で時速百キロは超える仕組みになっています。
 もちろん危険なので、最初のうちは最大速度を抑えたものを流通させる予定です。
 魔導車の運転が慣れれば、いずれは今回のような試作品も世に出そうかと考えています。

 ライカル様は今もなお心配した表情をしています。

「ライカル様、試運転の際一緒に乗ってみますか?」
「良いのか? もしも何かあれば私が命に変えてでもリリーを守る!!」

 まるですぐに大事故を起こしそうな言い方には少し気になりましたが、ライカル様の可愛らしいところでもあります。
 それに、それだけ私のことを心配してくれているのでむしろ喜ばしいと捉えておきましょうか。

「では試運転してみましょうか」
 動力になる魔道具もモーター部分に設置しているので、後は私が運転席のハンドルを握りアクセルを踏み込めば動き出すはずです。

 ライカル様は運転席の横にある助手席という場所に座りました。

「それでは発進します」
「う、うむ!」

 私はゆっくりとアクセルを踏み込んだ。
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