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28 サバス様が外に出かけると言い出した
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サバス様と縁談の話が始まってから一ヶ月が経過した。
その間、一週間に三回から五回くらいの頻度でサバス様とお会いしている。
おかげで、流石に顔を直視しても鼻血を出したり気絶することはなくなった。
ただし、遠距離からの一瞬だけの場合に限る。
近距離で直視してしまえば、今でも気絶してしまう危険がある。
顔を見ないで会話するのも失礼なので、なるべくサバス様の首あたりを見ながら話すようにしている。
首とはいえ、長い間見ていたら顔が火照ってしまう。
私が変態気質というわけではない。
サバス様が無意識に放っているカッコいいですオーラが半端ないのだ。
今日も、王宮にあるサバス様専用個室にお邪魔させていただいて、お菓子をつくっていた。
「今日は何を作ってくれるんだ? ジュージュー音がするが火傷しないか?」
「大丈夫です。たまには趣旨を変えて、ジャガイモを薄く切って油で揚げたお菓子を作っています」
「ジャガイモを薄く……? 全く理解ができん。だが、ライアンが作るのだから間違いはないだろう」
「楽しみにしててください。もうすぐ揚がりますので」
いつも甘いものばかり作っていた。
今回は、お父様が最近編み出したレシピからパクらせていただいたものである。
もちろん許可を得ているが、王都にはまだ知られていない。
すこしばかり挑戦してみたのだ。
「熱いので気をつけてください」
「いただこう。どれどれ……」
物珍しそうな目で薄切りポテトを見ていた。
あ……サバス様のお顔をしかと見届けてしまった。
心臓が握り締められそうなくらいドキドキしてしまう。
「これは美味い! 普段はホクホクのジャガイモを食べていたが、こんなサクサクした食感のジャガイモは初めてだ!」
「良かったです。これ、お父様の新メニューなんですよ」
「さすがはソルト殿だ。しかも、ソルト殿のレシピをこんなにも簡単に再現できるライアンも素晴らしい!」
「あ、ありがとうございます……」
サバス様は私に対して毎回褒めてくださるのだ。
あまりにも恐縮で、今でも褒められるたびに恥ずかしかったりして心がモンモンしてしまう。
この生活だと幸せすぎて、私の心臓の寿命が縮まりそうだ。
「このメニューはいつ正式に出す予定なのだ?」
「来月には出すそうです」
「そうか。ならばそれに合わせて私も直々に店に食べいいくとするか。ライアンも一緒に行くだろう?」
「──!? サバス様が外に出られるのですか!?」
私はおもいっきり驚いた。
すでにサバス様と私は婚約発表をしている。
そのため、次に一緒に外に出るときは以前のような変装はしないとか言っていた。
「あの……以前に仰っていたかとは思いますが、サバス様の変装はしないんですよね?」
「その必要もなくなったからな」
いやいや、必要あるんだって!
私とサバス様の関係を隠すとかではなく、サバス様の外見を隠すために!!
「前々から気になっていたことだが、ライアンは私がこの姿で外に出るのを嫌がっているように見える」
「いえ、そんなことは……」
「変装したダサスの方が好みなのか?」
「それはないです」
「そうか。すまない、だがみな私が外に出ようとすると驚いてくるものだから」
いい加減に気がついて欲しいんだが……。
サバス様がそのお顔のままで外に出たら、倒れる人が続出するんだって……。
どうしたらいいものだろうか。
「あ!!」
私はあることを閃いた。
「今度一緒に外へ出かける際、私がサバス様のお顔をメイクしてみてもいいでしょうか?」
「構わん。ライアンがそうしたいなら従おう」
よし!
サバス様には申し訳ないけれど、少しだけくたびれたお顔にメイクしてしまえば初見で倒れない程度の容姿にはなるだろう。
ものすごく酷いことを考えたことは自覚している。
だが、そうでもしなければ歩く凶器になりかねないのだ。
サバス様のお顔をかなりくたびれさせれば、世界で五本の指に入るくらいのイケメンといったレベルに格下がるはずだ。
完璧な作戦である!
「ライアンがそばで何かしてくれると考えるとドキドキしてしまうかもしれん」
「はっ……!!」
しまった……。
サバス様の嬉しい発言を聞いて、とんでもない提案をしていたことに気がついてしまったのだ。
私ってばサバス様のことばかりを考えていて、メイクのことを考えていなかった。
──サバス様のお顔を間近で見なければメイクができない!!
私はメイク中に倒れるかもしれない……。
いきなり大ピンチを迎えてしまった。
その間、一週間に三回から五回くらいの頻度でサバス様とお会いしている。
おかげで、流石に顔を直視しても鼻血を出したり気絶することはなくなった。
ただし、遠距離からの一瞬だけの場合に限る。
近距離で直視してしまえば、今でも気絶してしまう危険がある。
顔を見ないで会話するのも失礼なので、なるべくサバス様の首あたりを見ながら話すようにしている。
首とはいえ、長い間見ていたら顔が火照ってしまう。
私が変態気質というわけではない。
サバス様が無意識に放っているカッコいいですオーラが半端ないのだ。
今日も、王宮にあるサバス様専用個室にお邪魔させていただいて、お菓子をつくっていた。
「今日は何を作ってくれるんだ? ジュージュー音がするが火傷しないか?」
「大丈夫です。たまには趣旨を変えて、ジャガイモを薄く切って油で揚げたお菓子を作っています」
「ジャガイモを薄く……? 全く理解ができん。だが、ライアンが作るのだから間違いはないだろう」
「楽しみにしててください。もうすぐ揚がりますので」
いつも甘いものばかり作っていた。
今回は、お父様が最近編み出したレシピからパクらせていただいたものである。
もちろん許可を得ているが、王都にはまだ知られていない。
すこしばかり挑戦してみたのだ。
「熱いので気をつけてください」
「いただこう。どれどれ……」
物珍しそうな目で薄切りポテトを見ていた。
あ……サバス様のお顔をしかと見届けてしまった。
心臓が握り締められそうなくらいドキドキしてしまう。
「これは美味い! 普段はホクホクのジャガイモを食べていたが、こんなサクサクした食感のジャガイモは初めてだ!」
「良かったです。これ、お父様の新メニューなんですよ」
「さすがはソルト殿だ。しかも、ソルト殿のレシピをこんなにも簡単に再現できるライアンも素晴らしい!」
「あ、ありがとうございます……」
サバス様は私に対して毎回褒めてくださるのだ。
あまりにも恐縮で、今でも褒められるたびに恥ずかしかったりして心がモンモンしてしまう。
この生活だと幸せすぎて、私の心臓の寿命が縮まりそうだ。
「このメニューはいつ正式に出す予定なのだ?」
「来月には出すそうです」
「そうか。ならばそれに合わせて私も直々に店に食べいいくとするか。ライアンも一緒に行くだろう?」
「──!? サバス様が外に出られるのですか!?」
私はおもいっきり驚いた。
すでにサバス様と私は婚約発表をしている。
そのため、次に一緒に外に出るときは以前のような変装はしないとか言っていた。
「あの……以前に仰っていたかとは思いますが、サバス様の変装はしないんですよね?」
「その必要もなくなったからな」
いやいや、必要あるんだって!
私とサバス様の関係を隠すとかではなく、サバス様の外見を隠すために!!
「前々から気になっていたことだが、ライアンは私がこの姿で外に出るのを嫌がっているように見える」
「いえ、そんなことは……」
「変装したダサスの方が好みなのか?」
「それはないです」
「そうか。すまない、だがみな私が外に出ようとすると驚いてくるものだから」
いい加減に気がついて欲しいんだが……。
サバス様がそのお顔のままで外に出たら、倒れる人が続出するんだって……。
どうしたらいいものだろうか。
「あ!!」
私はあることを閃いた。
「今度一緒に外へ出かける際、私がサバス様のお顔をメイクしてみてもいいでしょうか?」
「構わん。ライアンがそうしたいなら従おう」
よし!
サバス様には申し訳ないけれど、少しだけくたびれたお顔にメイクしてしまえば初見で倒れない程度の容姿にはなるだろう。
ものすごく酷いことを考えたことは自覚している。
だが、そうでもしなければ歩く凶器になりかねないのだ。
サバス様のお顔をかなりくたびれさせれば、世界で五本の指に入るくらいのイケメンといったレベルに格下がるはずだ。
完璧な作戦である!
「ライアンがそばで何かしてくれると考えるとドキドキしてしまうかもしれん」
「はっ……!!」
しまった……。
サバス様の嬉しい発言を聞いて、とんでもない提案をしていたことに気がついてしまったのだ。
私ってばサバス様のことばかりを考えていて、メイクのことを考えていなかった。
──サバス様のお顔を間近で見なければメイクができない!!
私はメイク中に倒れるかもしれない……。
いきなり大ピンチを迎えてしまった。
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