【完結】婚約者にウンザリしていたら、幼馴染が婚約者を奪ってくれた

よどら文鳥

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29 ダイル侯爵に相談した

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 サバス様の部屋から退室した後、私は大急ぎでダイル侯爵がいる部屋へと駆けた。
 サバス様のお父様だけは唯一サバス様を見ても動じない男なのだ。
 さすがに実の親だから当然かもしれないが。

「おおーーーライアン殿よ、私に会いにきてくれるとは珍しい。サバスと喧嘩でもしたのかね?」
「ご無沙汰してしまい申し訳ございません。サバス様とは仲良くさせていただいております」

「ふむ、応接室とテラスどちらで話をしようか?」
「テラスでもよろしいですか?」
「もちろん。最近仕入れた紅茶を用意させよう」

 私はすでに侯爵家へ顔パスで入れるようになっている。
 使用人たちの顔も大体覚えてきたし、仲良くさせていただいているのだ。
 ダイル侯爵と会うのは舞踏会以来なので少しご無沙汰してしまったかな。

 まだ太陽が沈んでいないので外は明るい。
 ティータイムには優雅で贅沢な時間を過ごせるくらいの、お洒落で居心地のいいテラスだ。
 私の焦りも少しは和む。

「で、私に何か話があるのだろう? 随分と焦っているように見えるが」
「実は……、サバス様が変装をせずに外へ出かけようとしていまして……」
「なんだと!?」

 ダイル侯爵も驚いていた。
 手を額にあてて「やってしまったか……」というような表情までしている。

「公に婚約発表したから、私と出かけるときにはもう顔を隠す必要もないだろうと言ってまして……」
「サバスは自分の顔のことを何もわかっとらん……。鈍感にも程がある。舞踏会のことを忘れてのか? 死人が出るかもしれんぞ」

「私がサバス様のお顔をメイクして、少し……いや、かなりくたびれたような顔に化粧をさせようかと思ったんですが」
「なるほど。魔道具を使うのではなく化粧で外見を悪くしようというのだな。それならば別人の顔にならないし良い案ではないか」

 二人でサバス様の顔を悪くさせようと会話しているのだから、酷い話だ。
 顔を悪くさせたところで世界を飛び回っても外見がカッコいいランキングでトップ五に入ることは間違いない。
 要は、被害が出るほどの美しすぎる顔から、美しすぎる顔にランクダウンさせるだけだ。
 王都を守るためでもある。

「ダイル様はサバス様のことを見ても平気ですよね?」
「息子だからな。たまに見惚れることもあるが」

 あったんかい!!
 親まで魅了させる顔っていうのも恐ろしい。

「私がサバス様のメイクをやったら失神してしまうかもしれません。助けてください」
「ほう、つまり、私がサバスの顔をいじれと?」

 私は申し訳ない顔をして首を縦に振った。

「まだサバス様のお顔を間近で直視することができませんので……」
「なるほど……」

 頬を掻きながらニヤけていた。
 嫌な予感がする。
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