12 / 33
12
しおりを挟む
私は光属性魔法が使えることがわかったので、とても愉快な気持ちで本を熟読しています。
光属性の魔法は想像していた以上に便利魔法です。
その中でも、対象者に見えない結界を展開し魔法の影響を無効化させる『シールド』
異世界はモンスターがいますし、前世の国と比べても街中の治安が非常に悪いため、この魔法さえあれば私も一緒にいる人たちも安全になりそうです。
「ヴィレーナ様は魔力が規格外のようですからね。どんな魔法も使える気がしてしまいますね」
「私自身、どれくらい魔力があるのかもわからないからなぁ」
「王宮直属一番の魔導士でも、上級魔法を一発放てば全魔力量の半分は失うと聞いたことがあります」
「そうなんだぁ。そういえばその魔導士さんにはまだ挨拶してないや」
「いえ、しないほうが良いです」
「へ?」
「あの魔導士はロレレと言いまして、私たちよりも六つ年上の女性なのですが、陛下も手を焼くほどの身勝手ぶりでして……。私の恋人も奪おうとしているようで、しつこく彼に迫っているみたいです」
「うわぁ……。はちあわせないようにしたほうが良いんだね」
「はい。関わらないのが一番です」
どこの国の王宮も大変なのだなぁと思いつつ、引き続き魔法関連の本をかたっぱしから読んでいき、魔法の種類に関しては全て読み終えました。
残りは魔法の仕組みや属性の詳細など、魔力量に関してはまた明日読もうかなと思います。
「間違いなくヴィレーナ様は王宮直属魔導士よりも魔力量は上ですね。でも、王宮直属の魔導士になるためには最低でも三属性の適性が必要なのです……」
「いやいや、私は魔法に憧れていただけだし、魔導士にはならないからね?」
「もったいないっ!」
元気になったチュリップはハキハキとしていて私に対しても積極的に話しかけてくれるようになりました。
チュリップは私と同じ十六歳で、なんだか近しい友達ができたような気分になれていて嬉しいです。
少しづつですが、私も前世の高校時代くらいまでの感覚に戻りつつあるような気がします。
「そうだ! せっかくですから、明日も外へ出かけてみませんか?」
「良いの?」
「王都の外まで行きましょうか。ヴィレーナ様のおかげで騎士団のころの力も戻りましたので、護衛も兼ねて出かけられます。出れば平原ですから、ヴィレーナ様の魔法適性も判別できますよ」
「行きたい!!」
私はどうしていきなり光属性が使えるようになったのかは不明ですが、こうなってしまったら全属性試したい気持ちがいっぱいでした。
この提案はものすごく嬉しかったのです。
♢
『炎よ放て、ファイアボール』
――ドガァァァァァァン!!
「ひぇぇぇ……」
王都の外、平原にて。
試しに自分の身体の二倍くらいの大きさはある岩に向かって炎属性魔法を試してみました。
炎が岩に命中して大きな音が響いてから、溶けて消えてしまったのです。
よし、炎属性も使える!
チュリップが驚いています。
『水よ放て、ウォーターボール』
――ドガァァァァァァン!!
「ふぇぇぇ……」
同じくらいの岩に向かって水属性魔法を試します。
水の塊が岩に命中して、またも大きな音を立てながら岩が水圧で砕けました。
よし、水魔法も使えた!
『土よ放て、アースボール』
――ドガァァァァァァン!!
「…………」
『空気よ我に従え、サイクロンナイフ』
――スパァァァァァァン!!
「……全属性!?」
炎、水に続いて土属性魔法、空属性(くうぞくせい)魔法も使えるようです。
すでにチュリップは口を大きく開けたまま放心状態でした。
カイン騎士団長から聞いた話では、騎士団時代のチュリップは魔法面では国の中でも五本の指に入るほどの実力だったそうです。
だからこそどうしてそんなに驚いているのかよくわかりませんでした。
「基礎魔法でそこまでの威力、全属性持ち、魔力量も規格外、そして聖女様……。間違いなく国、いえ、世界で一番の魔導士になれますよ」
「いやいや、ならないからね?」
「そうですか……」
「どうしてそんなに私を魔導士になってほしいって思うの?」
「いえ、申しわけございません。ヴィレーナ様の力であれば今の国の情勢も……おっと、これは機密情報ですのでお答えはできません。それにしてもヴィレーナ様にはひれ伏すしかありませんね」
「跪かなくて良いのに。私は偉い人じゃないからね」
「はぁ……。それだけのお力をお持ちでも謙虚で威張らない。あのお方も見習って欲しいものです……」
チュリップはボソッと小声で呟いていたので、よく聞こえませんでした。
「まだ日暮れまで時間があります。残りの時間は昨日できなかった買い物にでも行きましょうか?」
「うん! 行きたいっ!」
馬車に乗り、再び王都内へ戻りまして、色々な店に向かいます。
光属性の魔法は想像していた以上に便利魔法です。
その中でも、対象者に見えない結界を展開し魔法の影響を無効化させる『シールド』
異世界はモンスターがいますし、前世の国と比べても街中の治安が非常に悪いため、この魔法さえあれば私も一緒にいる人たちも安全になりそうです。
「ヴィレーナ様は魔力が規格外のようですからね。どんな魔法も使える気がしてしまいますね」
「私自身、どれくらい魔力があるのかもわからないからなぁ」
「王宮直属一番の魔導士でも、上級魔法を一発放てば全魔力量の半分は失うと聞いたことがあります」
「そうなんだぁ。そういえばその魔導士さんにはまだ挨拶してないや」
「いえ、しないほうが良いです」
「へ?」
「あの魔導士はロレレと言いまして、私たちよりも六つ年上の女性なのですが、陛下も手を焼くほどの身勝手ぶりでして……。私の恋人も奪おうとしているようで、しつこく彼に迫っているみたいです」
「うわぁ……。はちあわせないようにしたほうが良いんだね」
「はい。関わらないのが一番です」
どこの国の王宮も大変なのだなぁと思いつつ、引き続き魔法関連の本をかたっぱしから読んでいき、魔法の種類に関しては全て読み終えました。
残りは魔法の仕組みや属性の詳細など、魔力量に関してはまた明日読もうかなと思います。
「間違いなくヴィレーナ様は王宮直属魔導士よりも魔力量は上ですね。でも、王宮直属の魔導士になるためには最低でも三属性の適性が必要なのです……」
「いやいや、私は魔法に憧れていただけだし、魔導士にはならないからね?」
「もったいないっ!」
元気になったチュリップはハキハキとしていて私に対しても積極的に話しかけてくれるようになりました。
チュリップは私と同じ十六歳で、なんだか近しい友達ができたような気分になれていて嬉しいです。
少しづつですが、私も前世の高校時代くらいまでの感覚に戻りつつあるような気がします。
「そうだ! せっかくですから、明日も外へ出かけてみませんか?」
「良いの?」
「王都の外まで行きましょうか。ヴィレーナ様のおかげで騎士団のころの力も戻りましたので、護衛も兼ねて出かけられます。出れば平原ですから、ヴィレーナ様の魔法適性も判別できますよ」
「行きたい!!」
私はどうしていきなり光属性が使えるようになったのかは不明ですが、こうなってしまったら全属性試したい気持ちがいっぱいでした。
この提案はものすごく嬉しかったのです。
♢
『炎よ放て、ファイアボール』
――ドガァァァァァァン!!
「ひぇぇぇ……」
王都の外、平原にて。
試しに自分の身体の二倍くらいの大きさはある岩に向かって炎属性魔法を試してみました。
炎が岩に命中して大きな音が響いてから、溶けて消えてしまったのです。
よし、炎属性も使える!
チュリップが驚いています。
『水よ放て、ウォーターボール』
――ドガァァァァァァン!!
「ふぇぇぇ……」
同じくらいの岩に向かって水属性魔法を試します。
水の塊が岩に命中して、またも大きな音を立てながら岩が水圧で砕けました。
よし、水魔法も使えた!
『土よ放て、アースボール』
――ドガァァァァァァン!!
「…………」
『空気よ我に従え、サイクロンナイフ』
――スパァァァァァァン!!
「……全属性!?」
炎、水に続いて土属性魔法、空属性(くうぞくせい)魔法も使えるようです。
すでにチュリップは口を大きく開けたまま放心状態でした。
カイン騎士団長から聞いた話では、騎士団時代のチュリップは魔法面では国の中でも五本の指に入るほどの実力だったそうです。
だからこそどうしてそんなに驚いているのかよくわかりませんでした。
「基礎魔法でそこまでの威力、全属性持ち、魔力量も規格外、そして聖女様……。間違いなく国、いえ、世界で一番の魔導士になれますよ」
「いやいや、ならないからね?」
「そうですか……」
「どうしてそんなに私を魔導士になってほしいって思うの?」
「いえ、申しわけございません。ヴィレーナ様の力であれば今の国の情勢も……おっと、これは機密情報ですのでお答えはできません。それにしてもヴィレーナ様にはひれ伏すしかありませんね」
「跪かなくて良いのに。私は偉い人じゃないからね」
「はぁ……。それだけのお力をお持ちでも謙虚で威張らない。あのお方も見習って欲しいものです……」
チュリップはボソッと小声で呟いていたので、よく聞こえませんでした。
「まだ日暮れまで時間があります。残りの時間は昨日できなかった買い物にでも行きましょうか?」
「うん! 行きたいっ!」
馬車に乗り、再び王都内へ戻りまして、色々な店に向かいます。
67
あなたにおすすめの小説
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
聖女じゃないと追い出されたので、敵対国で錬金術師として生きていきます!
ぽっちゃりおっさん
恋愛
『お前は聖女ではない』と家族共々追い出された私達一家。
ほうほうの体で追い出され、逃げるようにして敵対していた国家に辿り着いた。
そこで私は重要な事に気が付いた。
私は聖女ではなく、錬金術師であった。
悔しさにまみれた、私は敵対国で力をつけ、私を追い出した国家に復讐を誓う!
幸せじゃないのは聖女が祈りを怠けたせい? でしたら、本当に怠けてみますね
柚木ゆず
恋愛
『最近俺達に不幸が多いのは、お前が祈りを怠けているからだ』
王太子レオンとその家族によって理不尽に疑われ、沢山の暴言を吐かれた上で監視をつけられてしまった聖女エリーナ。そんなエリーナとレオン達の人生は、この出来事を切っ掛けに一変することになるのでした――
悪女と呼ばれた聖女が、聖女と呼ばれた悪女になるまで
渡里あずま
恋愛
アデライトは婚約者である王太子に無実の罪を着せられ、婚約破棄の後に断頭台へと送られた。
……だが、気づけば彼女は七歳に巻き戻っていた。そしてアデライトの傍らには、彼女以外には見えない神がいた。
「見たくなったんだ。悪を知った君が、どう生きるかを。もっとも、今後はほとんど干渉出来ないけどね」
「……十分です。神よ、感謝します。彼らを滅ぼす機会を与えてくれて」
※※※
冤罪で父と共に殺された少女が、巻き戻った先で復讐を果たす物語(大団円に非ず)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
捨てられた元聖女ですが、なぜか蘇生聖術【リザレクション】が使えます ~婚約破棄のち追放のち力を奪われ『愚醜王』に嫁がされましたが幸せです~
鏑木カヅキ
恋愛
十年ものあいだ人々を癒し続けていた聖女シリカは、ある日、婚約者のユリアン第一王子から婚約破棄を告げられる。さらには信頼していた枢機卿バルトルトに裏切られ、伯爵令嬢ドーリスに聖女の力と王子との婚約さえ奪われてしまう。
元聖女となったシリカは、バルトルトたちの謀略により、貧困国ロンダリアの『愚醜王ヴィルヘルム』のもとへと強制的に嫁ぐことになってしまう。無知蒙昧で不遜、それだけでなく容姿も醜いと噂の王である。
そんな不幸な境遇でありながらも彼女は前向きだった。
「陛下と国家に尽くします!」
シリカの行動により国民も国も、そして王ヴィルヘルムでさえも変わっていく。
そしてある事件を機に、シリカは奪われたはずの聖女の力に再び目覚める。失われたはずの蘇生聖術『リザレクション』を使ったことで、国情は一変。ロンダリアでは新たな聖女体制が敷かれ、国家再興の兆しを見せていた。
一方、聖女ドーリスの力がシリカに遠く及ばないことが判明する中、シリカの噂を聞きつけた枢機卿バルトルトは、シリカに帰還を要請してくる。しかし、すでに何もかもが手遅れだった。
【完結】聖女レイチェルは国外追放されて植物たちと仲良く辺境地でサバイバル生活します〜あれ、いつのまにかみんな集まってきた。あの国は大丈夫かな
よどら文鳥
恋愛
「元聖女レイチェルは国外追放と処す」
国王陛下は私のことを天気を操る聖女だと誤解していた。
私レイチェルは植物と対話したり、植物を元気にさせたりする力を持っている。
誤解を解こうとしたが、陛下は話すら聞こうとしてくれない。
聖女としての報酬も微々たる額だし、王都にいてもつまらない。
この際、国外追放されたほうが楽しそうだ。
私はなにもない辺境地に来て、のんびりと暮らしはじめた。
生きていくのに精一杯かと思っていたが、どういうわけか王都で仲良しだった植物たちが来てくれて、徐々に辺境地が賑やかになって豊かになっていく。
楽しい毎日を送れていて、私は幸せになっていく。
ところで、王都から植物たちがみんなこっちに来ちゃったけど、あの国は大丈夫かな……。
【注意】
※この世界では植物が動きまわります
※植物のキャラが多すぎるので、会話の前『』に名前が書かれる場合があります
※文章がご都合主義の作品です
※今回は1話ごと、普段投稿しているよりも短めにしてあります。
二周目聖女は恋愛小説家! ~探されてますが、前世で断罪されたのでもう名乗り出ません~
今川幸乃
恋愛
下級貴族令嬢のイリスは聖女として国のために祈りを捧げていたが、陰謀により婚約者でもあった王子アレクセイに偽聖女であると断罪されて死んだ。
こんなことなら聖女に名乗り出なければ良かった、と思ったイリスは突如、聖女に名乗り出る直前に巻き戻ってしまう。
「絶対に名乗り出ない」と思うイリスは部屋に籠り、怪しまれないよう恋愛小説を書いているという嘘をついてしまう。
が、嘘をごまかすために仕方なく書き始めた恋愛小説はなぜかどんどん人気になっていく。
「恥ずかしいからむしろ誰にも読まれないで欲しいんだけど……」
一方そのころ、本物の聖女が現れないため王子アレクセイらは必死で聖女を探していた。
※序盤の断罪以外はギャグ寄り。だいぶ前に書いたもののリメイク版です
私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!
近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。
「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」
声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。
※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です!
※「カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる