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12 【ザグレーム視点】犯罪がエスカレートしていく
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人混みをなるべく避け、廃墟された建物の中へ入る。
「ここには仕掛けがありましてね、ここをこうやって開けると……」
シャーラが瓦礫をヒョイっと持ち上げることに驚いた。だが、この瓦礫は非常に軽いダミーのようなものだった。
瓦礫の中から出てきたのは地下へ続くハシゴだ。
「この奥に行けば知り合いのアジトですが、行きますか?」
「あぁ……。もう後戻りはできないし」
シャーラと共に地下へと降りていく。
降りた先は一本の狭い通路で更に進んでいった。
「確か……この扉の中です」
シャーラがガサゴソと扉の横にある妙な仕掛けを弄ったあとに扉を開けた。暗証番号のようなものか。
「あら! 誰かと思ったらシャーラじゃないの!」
「元気だったー!?」
「そっちの男性は彼氏っすか?」
なんということだ……。
アジトというから怖そうな男がいっぱいかと思っていた。
だが、三人とも俺と同い年くらいの二十代くらいの女性だった。
しかも全員可愛いぞ。
「私の結婚する相手ですよぉ。ですが、私達指名手配されて困ってたのでこちらに逃げてきましたの。私の知る限りここが王都でも最強の裏組織だと存じているので」
「最強の? ま、ウチら元冒険者だし、パクった物だけで生活くらいはできて当然だけど」
「で、二人とも入会希望っすか?」
「そっちの男も捨て駒くらいには使えるねー」
裏組織三女が俺の方をジロリと睨んできた。
さっきまでは女だと浮かれていたが、そんな余裕はない。
今にも殺されてしまうのではないかという恐ろしい殺気と眼力を受けて、全身が震えてしまっているのだ。
「もうっ! 私の愛するザグレームに酷いこと言わないで欲しいですわ! 今ピッタリ四十二万円しか持っていないんですけど、これで私達を国外まで連れて行ってくれません?」
「ほう、ピッタリ三分割できる金額っすか!」
「文句ないわねー」
「なるほど、アタイらに依頼で来たってわけか」
最後にリーダーらしき女がにこりと笑う。
「ちょうど良かった。アタイらもね、王都に一泡吹かせてこの国とオサラバしようと思ってたのよ。その金は役立つわね」
「交渉成立でいいのでしょうか?」
三女は揃ってコクリと頷く。
一時はどうなるかとビビってしまったが、さすがシャーラだ。今持つべきものは悪の仲間である。
「でも一体どうやって俺たちを国外へ連れて行ってくれるのだ? 既に馬車は使えず、王都の出入口も使えないんだぞ……」
「ふ……アタイらがどうして地下で密かに生きてきたか知らないからそんなことが言えるのさ。確かに王都の出入口は現状一か所しかない。それ以外は非常に高い壁で囲まれているから外へは出れない状態だ」
外からの危険生物が王都に侵入しないように、先祖の人間が建てた壁だと聞いたことがある。
この壁は強力で、最強生物である魔獣でも壊せないらしい。
「だが! アタイらが出入口を作ってそこから脱出するのさ」
「どうやって!? 壁は地下深くまで埋め込まれてて掘っても出られないらしいんだぞ。まさかあの高い壁を飛び越えるとでも!?」
「いくら元冒険者でも、流石にそんな跳躍力はないさ。けど、今作っている兵器を使えば壊せる。ついでに王都の半分以上は木っ端微塵になるのさ」
スケールがあまりに大きいことを言うものだから、再び震え始めてしまった。
シャーラは驚くどころかニコニコしている。
「一体……何を?」
「時限爆弾よ」
俺って、シャーラを愛人にして、それがバレて離婚騒動になったんだよな……。
慰謝料を払うのが嫌だから、メアリーナの金を奪って国外へ逃げようとしただけなんだぞ。
最初は不倫だけしか悪いことはしていなかったんだ……。
だが、逃げるためとはいえ俺は今、王都を滅ぼす組織と一緒に手を組んでしまったんだ!?
「ここには仕掛けがありましてね、ここをこうやって開けると……」
シャーラが瓦礫をヒョイっと持ち上げることに驚いた。だが、この瓦礫は非常に軽いダミーのようなものだった。
瓦礫の中から出てきたのは地下へ続くハシゴだ。
「この奥に行けば知り合いのアジトですが、行きますか?」
「あぁ……。もう後戻りはできないし」
シャーラと共に地下へと降りていく。
降りた先は一本の狭い通路で更に進んでいった。
「確か……この扉の中です」
シャーラがガサゴソと扉の横にある妙な仕掛けを弄ったあとに扉を開けた。暗証番号のようなものか。
「あら! 誰かと思ったらシャーラじゃないの!」
「元気だったー!?」
「そっちの男性は彼氏っすか?」
なんということだ……。
アジトというから怖そうな男がいっぱいかと思っていた。
だが、三人とも俺と同い年くらいの二十代くらいの女性だった。
しかも全員可愛いぞ。
「私の結婚する相手ですよぉ。ですが、私達指名手配されて困ってたのでこちらに逃げてきましたの。私の知る限りここが王都でも最強の裏組織だと存じているので」
「最強の? ま、ウチら元冒険者だし、パクった物だけで生活くらいはできて当然だけど」
「で、二人とも入会希望っすか?」
「そっちの男も捨て駒くらいには使えるねー」
裏組織三女が俺の方をジロリと睨んできた。
さっきまでは女だと浮かれていたが、そんな余裕はない。
今にも殺されてしまうのではないかという恐ろしい殺気と眼力を受けて、全身が震えてしまっているのだ。
「もうっ! 私の愛するザグレームに酷いこと言わないで欲しいですわ! 今ピッタリ四十二万円しか持っていないんですけど、これで私達を国外まで連れて行ってくれません?」
「ほう、ピッタリ三分割できる金額っすか!」
「文句ないわねー」
「なるほど、アタイらに依頼で来たってわけか」
最後にリーダーらしき女がにこりと笑う。
「ちょうど良かった。アタイらもね、王都に一泡吹かせてこの国とオサラバしようと思ってたのよ。その金は役立つわね」
「交渉成立でいいのでしょうか?」
三女は揃ってコクリと頷く。
一時はどうなるかとビビってしまったが、さすがシャーラだ。今持つべきものは悪の仲間である。
「でも一体どうやって俺たちを国外へ連れて行ってくれるのだ? 既に馬車は使えず、王都の出入口も使えないんだぞ……」
「ふ……アタイらがどうして地下で密かに生きてきたか知らないからそんなことが言えるのさ。確かに王都の出入口は現状一か所しかない。それ以外は非常に高い壁で囲まれているから外へは出れない状態だ」
外からの危険生物が王都に侵入しないように、先祖の人間が建てた壁だと聞いたことがある。
この壁は強力で、最強生物である魔獣でも壊せないらしい。
「だが! アタイらが出入口を作ってそこから脱出するのさ」
「どうやって!? 壁は地下深くまで埋め込まれてて掘っても出られないらしいんだぞ。まさかあの高い壁を飛び越えるとでも!?」
「いくら元冒険者でも、流石にそんな跳躍力はないさ。けど、今作っている兵器を使えば壊せる。ついでに王都の半分以上は木っ端微塵になるのさ」
スケールがあまりに大きいことを言うものだから、再び震え始めてしまった。
シャーラは驚くどころかニコニコしている。
「一体……何を?」
「時限爆弾よ」
俺って、シャーラを愛人にして、それがバレて離婚騒動になったんだよな……。
慰謝料を払うのが嫌だから、メアリーナの金を奪って国外へ逃げようとしただけなんだぞ。
最初は不倫だけしか悪いことはしていなかったんだ……。
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