【完結】聖女レイチェルは国外追放されて植物たちと仲良く辺境地でサバイバル生活します〜あれ、いつのまにかみんな集まってきた。あの国は大丈夫かな

よどら文鳥

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3話 レイチェルはザッソウを命がけで救う

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 いつの間にか寝てしまったらしい。
 まだ馬車の中。
 王都とは気候も少し違い、穏やかな感じではある。
 だが、植物すらほとんどいない荒野に来てしまった。
 どうやって過ごしていけば良いのだろうか。

 ふと、私の寝ていた横を見ると、見慣れた友達が苦しそうにしながら倒れていた。

「ザッソウくん!!」
『レイチェル様……』
「なんでここにいるの!?」
『ついてきちゃいました……ゴホッゴホッ……』

 もう馬車に揺られて二日は経っている。
 ザッソウ君は水を適度にあげないと死んでしまう……。
 命がけでついてきてくれるなんて……。

「大丈夫、今すぐ助けるから!」
「おい、さっきから独りごとがうるさいぞ! もう着くんだからいい加減にしろよな!」

 御者がうるさいが、今はザッソウの命が最優先だ。
 私はザッソウにそっと手をあてた。

「えいっ!」
『ぴひゃぁぁああ!』

 聖なる力を使ってひとまず元気にさせることはできた。
 だが、肝心の水分が不足したままだ。
 このまま放っておいたら、再び苦しくなってしまうだろう。
 幸い、荒野ではあるものの、視界には川は流れていた。

「ここで良いので、降りていいですか?」
「そうか。まぁこの少し先が辺境伯様の領地だ。好きにしろ」
「ありがとうございます」

 ザッソウとともに大急ぎで飛び降りた。
 あまりにもあわてていたため、私の荷物をおろすことを忘れていた。

「じゃあな」
「あ……にもつ……」
「そんなもの知らん!」

 馬車はすごい勢いで王都方面へ戻っていった。
 荷物にこだわっている場合ではない。
 すぐに川へ向かい、ザッソウに水を与えた。

『ぷはぁー、生き返りました。ありがとうございますレイチェル様』
「それよりも、勝手に乗り込まないの。気がつかなかったら死んじゃってたかもしれないんだよ!」
『レイチェル様のいない王都で住むなんて死んだも同然です。それだけ聖女レイチェル様の力がボクたちには必要不可欠なんですよ……』

 ザッソウが必死に私の腕をスリスリとしながらそう言ってくる。
 無邪気な動きに、私も少し気持ちが楽になった。

「ありがとう……。誰もいないから心細かったんだよ。一緒に暮らしてくれるの?」
『もちろんです!』
「じゃあ、一緒に頑張って生きていこう」
『はいっ!!』

 私は一人ぼっちではなくなった。
 なにもない荒野だけど、なんとかなりそうな気がしてきた。
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