【完結】聖女レイチェルは国外追放されて植物たちと仲良く辺境地でサバイバル生活します〜あれ、いつのまにかみんな集まってきた。あの国は大丈夫かな

11話【辺境地Side】植物たちは頑張る

　レイチェルは限界まで聖なる力を発動した影響で、疲労による深い睡眠に入った。
　野原で気持ちよく寝ているレイチェルを見て、アルジェントはそっとそのままにしておいた。

「皆のもの、私の声は聞こえるのだろう。家がひどい有様で中に連れて行くよりもここで寝かせたほうが良いだろう。せめて、皆の力でレイチェルが風邪をひかぬようにしていただきたい……」

　アルジェントは植物にすがる想いで誠心誠意気持ちを伝えた。
　すると、植物たちは一斉にレイチェルが風邪をひかないように囲み、さらにアルジェントの周りにもたくさんの植物が集まってきた。

キャベツ『この男はレイチェルさんを護ろうとしているぞ！　良い奴かもしれねー！』
ヒマワリ『聖女さまのことを気に入っているのかもしれませんわ。聖女さま以外の人間を信用していいのでしょうか？』
ザッソウ『大丈夫ですよぉ。ボクのことを大事にしてくれたので！　みんなでこの人も元気にさせようよ』

植物たち『『『『『『『『『『おおおおおおおおおおうっ！！』』』』』』』』』』

　アルジェントには植物たちがなにを言っているのかは理解できていない。
　だが、自分の周りに集まってきたことによって、なんとなくだが受け入れてくれたのだろうと捉えていた。

キャベツ『ひとまず俺を食え。気にすんなって、すぐに別のキャベツで俺は自我が芽生えっから！』
　キャベツはそう言いながら、自ら分裂して食べやすい状態に変形した。

「俺に食べろと言っているのか……？」
　アルジェントは少し戸惑っていた。
　しかし、ザッソウたちが地面に『くえ』と文字を並べたため、ようやくアルジェントは口にする。

「なんと美味い……。こんなに美味いキャベツは初めてだ」

　アルジェントは夢中になり三日ぶりの食事をした。
　すべてペロリと食べ、アルジェントはすこぶる元気になる。

「ありがとう。きみたちのおかげで生き返った気分だよ」

ザッソウ『ね、この人はお礼を言ってくれるでしょ？　こんなこと今までなかったよね』
ヒマワリ『しかも綺麗にペロリと……。さすが聖女さまのことを気に入っているだけのことはありますわ。よりいっそう、このあたりを住みやすい街に変えてしまいましょう』

植物たち『『『『『『『『『『おおおおおおおおうっ！！』』』』』』』』』』

　植物たちは、それぞれ自発的に作業に取り掛かった。

　ジュモクやカシノキは新たな木々を繁殖。
　蘇ったキャベツは土に色々な野菜を繁殖。
　ヒマワリとバラは自身の鱗粉を利用したり、召喚したハチに蜜を与えて新たな命を芽生えさせた。
　アサガオはまだ子供のため、植物たちの応援係をしている。

　二日間、植物たちは頑張って辺境地を開拓していった。
　そして、レイチェルはようやく目覚めたのである。