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22話 レイチェルはスローライフを満喫していく
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「元気になーれ、元気になーれ」
さらにザッソウを繁殖させるために、聖なる力をめいいっぱい注いだ。
『レイチェル様ぁ、そんなに無理しないでくださいよ。もう、十分繁殖できるくらいの力を分け与えてもらいましたから』
「大丈夫だよ。みんなが頑張ってくれているおかげで、私も調子が良いみたいなんだ」
『そう言われてみれば、最近のレイチェル様からいただく力って、前よりももっと凄いんですよね。おかげでボクたちもすっごく調子が良いんですよ』
ザッソウが私の腕をすりすりしながら喜んでくれていた。
私もザッソウに言われて気がついたことがある。
フォラント公国がさらに活性化してどんどん住み良い公国になっていく。
それに比例するかのように私も聖女としての力の調子が凄く良くなっている。
環境によって聖なる力が変化するのだろうか。
だとしたら王都で過ごしていた日々よりも、フォラント公国で最高の日々が送れているし本調子が出たのかもしれない。
『いつのまにか、王都よりも賑やかになっちゃいましたねぇ』
「しかも、こんなにのんびりした毎日を送りながら生活できるなんて夢のようだよね」
『ボクたち、人間のことを好きになってきました。ここではみんながボクたちのことも大事にしてくれますし』
アルジェント様が徹底的に植物のことを大事にするよう言ってくれているのだ。
おかげで、今では植物たちみんなが自由に動き回っても驚かれることもなくなった。
さらに、人々も植物のことを大事にしてくれている。
野菜の食べ残しもほとんどなくなったし、キャベツたちもスムーズに再生ができるようになった。
『レイチェル殿よ。アルジェント公国陛下がお呼びですが』
「わかった。伝達ありがとう。せっかくだからカシノキにも……元気になーれ、元気になーれ」
『ありがとうございます!』
通りすがりにすれちがった植物たちに聖なる力を与えながら、アルジェント様の元へ向かった。
「あらためて、レイチェルと植物たちのおかげで荒野だった領地が、今ではみなの楽園となった。感謝したい」
「ありがとうございます」
アルジェント様の笑みを見ているだけで元気をもらえる気分だ。
もちろん、心臓の鼓動も激しくなる。
しかも今日は、それどころではなかった。
「レイチェルにはもうひとつ頼みたいことがある」
「はい、なんでも言ってください。私にできることであれば」
「今回は俺個人の頼みなのだ。……キミは女神のような存在だと思っている」
「な、なにを急に……」
お世辞だと分かっていても、アルジェント様からそんなことを言われたら照れてしまう。
私の顔は真っ赤になっていたことだろう。
「最初から気にはなっていたのだ。ザッソウたち植物を大事にしている姿、公国のために一生懸命なところ、人と植物が共に協力しあいより良き国へと導こうとしてくれる姿勢、全てが俺にとって夢のようだ……」
「え……えぇと……むはっ!?」
私はアルジェント様に右手をギュッと握られた。
もももももしかしてこれは……!?
「俺の妃になってほしい」
「はははははははいっ!!」
私は左手でアルジェント様の手をそっと包み込む。
ずっとアルジェント様のことは意識していた。
だが、一緒にいる機会は多いとはいえ、さすがに公王だし、付き合って欲しいだのと言えるようなことはできなかった。
こんな嬉しいことを言われる日が来るなんて……。
「私はすでにこんなにのんびりとした生活をしていて幸せなのです。アルジェント様がずっとそばにいてくださると思うと、もう心臓がはち切れそうで……。バチがあたらないかなぁなんて」
「なにを言っている。すでにずっとレイチェルのそばにいたさ。これからはもっとそばに添い遂げたい」
「むはっ!」
手を握られている状況からさらに激変。
ギュッと抱きしめられた。
隣にいるザッソウたちが踊りながら祝福をしてくれているようだった。
「それに、レイチェルは今までキミが考えている以上に頑張ってくれたのだ。バチなどあるわけがない。これからはもっと幸せな日々を送れるよう、俺も努力しようと思う」
「ありがとうございます……」
これからも私は、アルジェントとザッソウたちとともに、のびのびとした楽園生活を送れるだろう。
そんな気がしていた。
さらにザッソウを繁殖させるために、聖なる力をめいいっぱい注いだ。
『レイチェル様ぁ、そんなに無理しないでくださいよ。もう、十分繁殖できるくらいの力を分け与えてもらいましたから』
「大丈夫だよ。みんなが頑張ってくれているおかげで、私も調子が良いみたいなんだ」
『そう言われてみれば、最近のレイチェル様からいただく力って、前よりももっと凄いんですよね。おかげでボクたちもすっごく調子が良いんですよ』
ザッソウが私の腕をすりすりしながら喜んでくれていた。
私もザッソウに言われて気がついたことがある。
フォラント公国がさらに活性化してどんどん住み良い公国になっていく。
それに比例するかのように私も聖女としての力の調子が凄く良くなっている。
環境によって聖なる力が変化するのだろうか。
だとしたら王都で過ごしていた日々よりも、フォラント公国で最高の日々が送れているし本調子が出たのかもしれない。
『いつのまにか、王都よりも賑やかになっちゃいましたねぇ』
「しかも、こんなにのんびりした毎日を送りながら生活できるなんて夢のようだよね」
『ボクたち、人間のことを好きになってきました。ここではみんながボクたちのことも大事にしてくれますし』
アルジェント様が徹底的に植物のことを大事にするよう言ってくれているのだ。
おかげで、今では植物たちみんなが自由に動き回っても驚かれることもなくなった。
さらに、人々も植物のことを大事にしてくれている。
野菜の食べ残しもほとんどなくなったし、キャベツたちもスムーズに再生ができるようになった。
『レイチェル殿よ。アルジェント公国陛下がお呼びですが』
「わかった。伝達ありがとう。せっかくだからカシノキにも……元気になーれ、元気になーれ」
『ありがとうございます!』
通りすがりにすれちがった植物たちに聖なる力を与えながら、アルジェント様の元へ向かった。
「あらためて、レイチェルと植物たちのおかげで荒野だった領地が、今ではみなの楽園となった。感謝したい」
「ありがとうございます」
アルジェント様の笑みを見ているだけで元気をもらえる気分だ。
もちろん、心臓の鼓動も激しくなる。
しかも今日は、それどころではなかった。
「レイチェルにはもうひとつ頼みたいことがある」
「はい、なんでも言ってください。私にできることであれば」
「今回は俺個人の頼みなのだ。……キミは女神のような存在だと思っている」
「な、なにを急に……」
お世辞だと分かっていても、アルジェント様からそんなことを言われたら照れてしまう。
私の顔は真っ赤になっていたことだろう。
「最初から気にはなっていたのだ。ザッソウたち植物を大事にしている姿、公国のために一生懸命なところ、人と植物が共に協力しあいより良き国へと導こうとしてくれる姿勢、全てが俺にとって夢のようだ……」
「え……えぇと……むはっ!?」
私はアルジェント様に右手をギュッと握られた。
もももももしかしてこれは……!?
「俺の妃になってほしい」
「はははははははいっ!!」
私は左手でアルジェント様の手をそっと包み込む。
ずっとアルジェント様のことは意識していた。
だが、一緒にいる機会は多いとはいえ、さすがに公王だし、付き合って欲しいだのと言えるようなことはできなかった。
こんな嬉しいことを言われる日が来るなんて……。
「私はすでにこんなにのんびりとした生活をしていて幸せなのです。アルジェント様がずっとそばにいてくださると思うと、もう心臓がはち切れそうで……。バチがあたらないかなぁなんて」
「なにを言っている。すでにずっとレイチェルのそばにいたさ。これからはもっとそばに添い遂げたい」
「むはっ!」
手を握られている状況からさらに激変。
ギュッと抱きしめられた。
隣にいるザッソウたちが踊りながら祝福をしてくれているようだった。
「それに、レイチェルは今までキミが考えている以上に頑張ってくれたのだ。バチなどあるわけがない。これからはもっと幸せな日々を送れるよう、俺も努力しようと思う」
「ありがとうございます……」
これからも私は、アルジェントとザッソウたちとともに、のびのびとした楽園生活を送れるだろう。
そんな気がしていた。
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