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9 バズドド視点
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「リリノア、今日はお茶会があるんだけど、一緒に来てくれるのか?」
「もちろん。早くバズドドの彼女って広めなきゃいけないし」
今まではジュリアーナと一緒だった。でも今は、幼馴染のリリノアが彼女なんだ。
はっきり言って今まで幼馴染のことは意識したことなんかなかった。
だが、俺が必死にジュリアーナとやり直したいって説得しているときに、突然彼女は俺の唇を奪ってきたのだ。
一瞬何が起こったのかわからなかったんだけど、これが本当の愛なんだとすぐに分かった。
だからクラスの奴らになんと言われようとも、ジュリアーナのことを諦めてリリノアに寝返ることができたんだと思う。
結果、超ーー幸せです。
新しい恋人と初めて行くお茶会だし、メッチャクチャ楽しみなんだよね。
♢
「バズドドさん、あなた婚約破棄された直後ですよね……? その女性は?」
「紹介しましょう。俺の恋人のリリノアですよ」
「はじめましてー。よろしくお願いしますねー」
よし、しっかり挨拶したし、紹介もできた。
ジュリアーナには煩いくらいにマナーや態度を言われてきたけど、俺だってやればできんじゃん。
安心した。
「まぁ! なんですかその態度に口調は! やはりあなたはジュリアーナ様が一緒じゃなければ全くもってダメですね」
「本当ですね。リリノアさんでしたね? あなたの口調もどうかと。貴族として教育を受けてこなかったのですか?」
カチンときた。
俺のことを理不尽にバカにするのはまだいい。
どいつもこいつもみんなしてそういう扱いを毎日してくるから慣れっこだし。
だが、リリノアのことを悪くいうのはたとえ立場が上の相手でも許せなかった。
「リリノアは難病でずっと遠くの地で治療を受けてたんですよ! 最近やっと帰ってきて今もなお後遺症で病弱なんです! それなのに口が悪いだとか教育どうこういうのは酷いっす!」
「アタシ、文句言われすぎて気持ち悪くなってきちゃった……」
よし、ちゃんと文句も言えた。
これだけはっきりと自分の気持ちを素直に言える貴族なんて滅多にいるもんじゃないぞ。
さすがに目の前の奴らも黙り込んだし。
ひょっとして、俺って将来大物になれるんじゃね!?
「嘘をつくでないリリノア!」
「「は!?」」
出てきたのはこれはさすがに文句を言いづらい人だ……。
「公爵様!?」
「話を聞いていたが、間違っておるぞ。リリノアよ、君の父親からは『難病も完治し、健康になったので王都へ連れて帰ります』と申していたぞ」
「げ……」
なんだ……? 今のリリノアの『げ』っていう言葉は。
「バズドドよ、君もジュリアーナ嬢が一緒でなければここまでダメな人間になるのかい? 君の口調に態度、それに何よりもあれだけの大騒動を起こした後、すぐに彼女ですと自慢してお茶会に出席するなど信じられんが」
公爵様からの冷徹な睨みが怖い。けれど、俺はしっかり自分の意思を貫いてやるんだからな。
「お言葉ですが、彼女できたら紹介したいじゃないですか。それに俺は婚約破棄された後だって何度もジュリアーナとやり直そうと説得しました。ですがダメでした……そこに救いの手があって、それがリリノアだったんですよ! 何が悪いっていうんですか!?」
「ほう、そこまで自信を持っていうのなら、今回の婚約破棄は君に全く非がないと言い切れるのだな?」
うーむ、それはちょっとくらいは非があるかもしれない。
そういえばジュリアーナが婚約破棄してきた理由を俺は知らないままだったな。
「あの、公爵様。ジュリアーナが婚約破棄してきた理由ってなんすか?」
「バカなのか君は」
公爵様といえどその言い方はおかしい。
もううんざりだ。
俺はリリノアの手を握ってこのクソなお茶会から立ち去った。
別に逃げたわけじゃないからな。
みんなして俺たちのことを悪く言ってくるから仕方ないだろ。
全く……どうして俺たちの恋仲を分かってくれないんだ。
リリノアが病弱じゃないのだって、きっと貴族の人間があーだこーだ煩いから仕方なく病弱ってことにしてたんだろう。
貴族なんてめんどくせー。
あぁ……、もし神様がいるのなら、俺たちを平民にしてください。
そしたらリリノアと堂々とラブラブしていられるはずですから。
「もちろん。早くバズドドの彼女って広めなきゃいけないし」
今まではジュリアーナと一緒だった。でも今は、幼馴染のリリノアが彼女なんだ。
はっきり言って今まで幼馴染のことは意識したことなんかなかった。
だが、俺が必死にジュリアーナとやり直したいって説得しているときに、突然彼女は俺の唇を奪ってきたのだ。
一瞬何が起こったのかわからなかったんだけど、これが本当の愛なんだとすぐに分かった。
だからクラスの奴らになんと言われようとも、ジュリアーナのことを諦めてリリノアに寝返ることができたんだと思う。
結果、超ーー幸せです。
新しい恋人と初めて行くお茶会だし、メッチャクチャ楽しみなんだよね。
♢
「バズドドさん、あなた婚約破棄された直後ですよね……? その女性は?」
「紹介しましょう。俺の恋人のリリノアですよ」
「はじめましてー。よろしくお願いしますねー」
よし、しっかり挨拶したし、紹介もできた。
ジュリアーナには煩いくらいにマナーや態度を言われてきたけど、俺だってやればできんじゃん。
安心した。
「まぁ! なんですかその態度に口調は! やはりあなたはジュリアーナ様が一緒じゃなければ全くもってダメですね」
「本当ですね。リリノアさんでしたね? あなたの口調もどうかと。貴族として教育を受けてこなかったのですか?」
カチンときた。
俺のことを理不尽にバカにするのはまだいい。
どいつもこいつもみんなしてそういう扱いを毎日してくるから慣れっこだし。
だが、リリノアのことを悪くいうのはたとえ立場が上の相手でも許せなかった。
「リリノアは難病でずっと遠くの地で治療を受けてたんですよ! 最近やっと帰ってきて今もなお後遺症で病弱なんです! それなのに口が悪いだとか教育どうこういうのは酷いっす!」
「アタシ、文句言われすぎて気持ち悪くなってきちゃった……」
よし、ちゃんと文句も言えた。
これだけはっきりと自分の気持ちを素直に言える貴族なんて滅多にいるもんじゃないぞ。
さすがに目の前の奴らも黙り込んだし。
ひょっとして、俺って将来大物になれるんじゃね!?
「嘘をつくでないリリノア!」
「「は!?」」
出てきたのはこれはさすがに文句を言いづらい人だ……。
「公爵様!?」
「話を聞いていたが、間違っておるぞ。リリノアよ、君の父親からは『難病も完治し、健康になったので王都へ連れて帰ります』と申していたぞ」
「げ……」
なんだ……? 今のリリノアの『げ』っていう言葉は。
「バズドドよ、君もジュリアーナ嬢が一緒でなければここまでダメな人間になるのかい? 君の口調に態度、それに何よりもあれだけの大騒動を起こした後、すぐに彼女ですと自慢してお茶会に出席するなど信じられんが」
公爵様からの冷徹な睨みが怖い。けれど、俺はしっかり自分の意思を貫いてやるんだからな。
「お言葉ですが、彼女できたら紹介したいじゃないですか。それに俺は婚約破棄された後だって何度もジュリアーナとやり直そうと説得しました。ですがダメでした……そこに救いの手があって、それがリリノアだったんですよ! 何が悪いっていうんですか!?」
「ほう、そこまで自信を持っていうのなら、今回の婚約破棄は君に全く非がないと言い切れるのだな?」
うーむ、それはちょっとくらいは非があるかもしれない。
そういえばジュリアーナが婚約破棄してきた理由を俺は知らないままだったな。
「あの、公爵様。ジュリアーナが婚約破棄してきた理由ってなんすか?」
「バカなのか君は」
公爵様といえどその言い方はおかしい。
もううんざりだ。
俺はリリノアの手を握ってこのクソなお茶会から立ち去った。
別に逃げたわけじゃないからな。
みんなして俺たちのことを悪く言ってくるから仕方ないだろ。
全く……どうして俺たちの恋仲を分かってくれないんだ。
リリノアが病弱じゃないのだって、きっと貴族の人間があーだこーだ煩いから仕方なく病弱ってことにしてたんだろう。
貴族なんてめんどくせー。
あぁ……、もし神様がいるのなら、俺たちを平民にしてください。
そしたらリリノアと堂々とラブラブしていられるはずですから。
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