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第4話 そして妻に
しおりを挟む一段落ついて、私は部屋に戻りました。
私の部屋の中で、黒髪のクロガネ君が、なにやら一心不乱に、壁に向かって一人で芝居しています。
部屋まで私についてきてくれた特級メイドさんが、にこやかな顔で、退出しました。
「俺と一緒に……なんか、違うな」
「フラン侯爵令嬢、僕と結婚していただけませんか……ストレートすぎるか」
「王族とか、貴族とか関係なく、俺はフランが好きだ……恥ずかしいな」
「俺の名誉にかけて、生涯、フラン嬢を思い続けることを、ここに誓います……これは結婚式か」
彼は、片膝をつき、壁に向かって、手を差し出しています。
どうも、プロポーズの練習をしているようです。
「私、フランは、クロガネ様と婚約出来て、幸せです」
彼の後ろから、私のほうから、答えを返します。
「え?」
驚いたクロガネ君が振り向き、立ち上がります。
「まだ、俺は求婚の言葉を決めていないのだが……」
狼狽する彼も、カッコいいです。
「私は手のかかる義妹ちゃんですから」
私は、ニヤリと笑います。
「違うな、フランは、今日から俺の妻だ」
これが、彼のプロポーズの言葉になりました。
彼の艶やかで黒い瞳の奥に、嬉しい気持ちがあふれています。
「まだ婚約者ですから」
「でも、俺の妻の部屋に住んでいるだろ」
「え?」
彼は、驚いた私を、壁際に追い詰めます。
「もしかして、私たちの寝室は、つながっているのですか?」
クロガネ君が、壁に片手をつき、私の逃げ道をふさぎました。
「もちろんだ」
第二王子の義姉だった私は、今から、彼と結ばれ、妻になります。
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