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第五章 星の血統
51 最悪の三回目
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***
「それ、見せて」
手袋をはめ直してから、フェリータはロレンツィオの手からコッペリウスの人形を受け取った。
(指輪、ない……)
手袋と一緒に外されて、人形の腹に収められていたのかと思ったのに。
あてが外れたフェリータは、(まさか捨てられた?)と人形が力尽きたあたりの地面を恨みがましく睨んだ。
その様子を、どこか冷ややかに見下ろしていたロレンツィオが口を開く。
「帰るぞ」
「ええ……。あら、あなた怪我が」
先に歩き始めた男の体には、呪獣との格闘の名残が至るところに残っていた。
ほとんどかすり傷のようだったが、二の腕の、シャツが破れ血の流れ出る箇所が他よりひどいのに気がついて、フェリータは処置を申し出たつもりだった。
しかし、指さされた箇所を見遣ったロレンツィオは、そこを逆の手で抑えると、すぐに放して大股で歩き始めた。
フェリータには、それが止血目的の石化魔術だとすぐにわかった。戦場などの極限状態で、魔術師が最低限の魔力を使って応急処置として兵士に施すものだ。
「それではきれいに治らないでしょう。見せてごらんなさ」
「王宮への報告の後でちゃんとやるに決まってんだろ。時間がないんだ、急げよ」
駆け寄ると、予想以上に冷たい声とともに手の中の人形が取り上げられた。
一瞬、フェリータは言葉を失った。
別にロレンツィオから不親切な態度を取られるのは、何も珍しくない。
だが、このときのフェリータは驚き、戸惑ってしまった。
昨日は頭を撫でて、慰めてくれたのに。
(確かに、今までの積み重ねを考えればこの反応こそ当然ですけれど……)
「残念だったな」
裏切られたような気持ちで俯き、ロレンツィオの後を歩いていたフェリータは顔を上げた。
いつの間にか、廃墟のようになってしまった公爵家別邸の敷地から出て、白い石で覆われた島の岸壁に来ていた。
この先に本島サルヴァンテと繋がる長い石橋があるのだが、ロレンツィオは岸壁の影に繋がれた古いゴンドラを使うつもりらしかった。直線距離で帰れるので、歩くより早いと踏んだのだろう。
「……何がです?」
フェリータは先に乗ってゴンドラの様子を確かめているロレンツィオに、困惑しながら問いかけた。男の声は、同情するというより、苛立っているように聞こえた。
「うまく逃してもらえなくて」
返ってきた言葉の意味をしばし考え。
ハッとフェリータは気が付き、慌てふためいた。
「違っ、わたくしはリカルドと浮気してここに来たんじゃ」
「乗れ」
「そもそもここに来るのにも同意なんかなくて、」
「急げっつったろ」
腕を引かれたと思うと、腰に腕を回され有無を言わさず舟の上に乗せられる。
「ロレンツィオ、話をききなさっ……きゃ!」
着地にバランスを崩して舟底に膝をついたにも関わらず、ロレンツィオは一顧だにせず「飛ばすからどっか捕まっとけ」と吐き捨てた。
次の瞬間、漕手のいないゴンドラが水の馬に引っ張られてぐんと加速したので、フェリータは黙らざるを得なかった。
***
帰り着いた頃、カヴァリエリ邸は騒然としていた。
それもそのはずで、新婚の奥方が三度目の脱走を果たした上、王宮でその知らせを受け取って捜索に出た主人からは今の今まで連絡もなかったのだ。
「奥様、ご無事で何よりです!」
「一体どちらに?」
「ご用向きがありましたなら、どうぞ私共に仰っていただければ」
玄関ホールで迎えられたフェリータは心配した女中たちに取り囲まれた。女たちはたいていフェリータより背が高いので、彼女は全身がすっぽり埋まってしまっていた。
「お帰りなさいませご主人さま。……エルロマーニ公爵家のことで、少々お耳に入れたいことが」
声をひそめた執事の言葉に眉を上げると、ロレンツィオはフェリータを女中たちに任せて場所を動こうとした。
しかし。
「……知らないわ。自分がどこで何をしていたのか、そちらのご主人様にお聞きになって」
フェリータの、予想外に低い声に、ロレンツィオは足を止めた。
「ずいぶん詳しいみたい。本人よりずぅっとね」
呆気にとられる女中たちをその場に残し、フェリータはいつもの客間に向かおうとした。
「ついてこないで。石にするわよ」
いち早く動こうとした年配の女中にぴしゃりと言い放ち、ひとりすたすたと廊下を進む。
――すでに三度脱走している女をそのままにするほど、ロレンツィオは楽観的ではなかった。かといって本気で青ざめる使用人たちに無理も言えない。
苛立ちを隠さない足取りで後を追うと、客間の扉が締まる前にその中へ身を滑り込ませた。
「フェリータ、さっきの態度は何だ」
「出ておいき」
手袋をはじめ、装飾品を外し始めたフェリータの背中から予想通りの言葉が返ってくる。
「俺に言いたいことがあるんだろう。あいつらに八つ当たりをするな」
「ありません、言いたいことなど」
フェリータは短く言い捨てると、クローゼットを開けて今着ているものより簡素なワンピースを引き出した。部屋着だ。
「聞かぬ男に聞かせる言葉などありません。………さっさと王宮に行って、逮捕された男と妻の不貞でもなんでも言いつけてくれば」
リカルドの逮捕は極秘で、パオロはさる筋から密かに聞いたことらしかった。ロレンツィオは苦笑いした。
「耳がいいな。……着替えるならなおさら誰か」
女中を、と言いかけて、ロレンツィオは言葉を失った。
フェリータがその場でぶちぶちと背中のボタンを外し始めてしまったからだ。
白い肌にぴったり寄り添うビスチェがあらわになったのは本当に一瞬で、あっという間にフェリータは部屋着を着込んだ。
そしてそのまま、整えられた寝台にするっと潜り込んでいってしまった。あんまりすみやかに隠れていくから、岩場に隠れる魚をロレンツィオは連想した。
何だ今の。
呆気にとられていると、丸々と膨らんだシーツの下から「早く行きなさいよ」とまた急かす声がした。
その声で、ロレンツィオは気がついた。目の前の女が、明らかに不機嫌なのに、一度も声を荒げていないことに。
屋敷に入ってから、一度も自分に顔を向けていないことに。
「……フェリータ」
寝台の端に腰掛け、丸まりに呼びかける。薄桃色の髪をわずかにはみ出させたかたまりがもぞっと動いた。シーツをより体の下に引き込んだようだった。
「……なんでリカルドの呼び出しに応じた」
聞くと、シュパッとシーツの端からぴかぴかのロケットペンダントが飛び出してきた。直されたばかりのレリカリオが。
「なるほど、そういえばそんなこと言ってたな」
ロレンツィオは乾いた笑いを浮かべて、ロケットの表面を撫でた。
「フェリータ」
そのまま、鎖を辿る。寝具に広がった髪を指先に絡めながら。
やがて無骨な指先は、掛け布の下でロケットの端を握りしめていた小さな手に当たった。
「お前がリカルドとそういうことをするだろうなってことは、俺からしたら当たり前の予想なんだよ」
触れた拳が震えていた。かたまりが、一層丸くなる。頂点がわずかに高くなったから、足をたたんで文字通り身を丸めているのだろうと窺えた。
ぼそっと、「じゅ」という言葉、というより音が聞こえた。男にはそれでも主旨が伝わった。
「呪詛の犯人だと気がついてるとは思わなかった。証拠もなかったし、お前はリカルドを盲信しているだろうから言っても無駄かと思ってた」
それに、と男は続けた。シーツの下に潜り込ませた手を、じわりじわりと上にあげながら。
「それとこれとは別だろう」
シーツの下のかたまりは何も言わなかった。ただ、男の手がゆっくりと布を引き剥がそうとしているのに気がつくと、強い力でそれを引っ張り返した。
「俺がお前のために親を捨てる覚悟があるように、お前もそうするかもしれない。見つけたとき、お前らくっついてただろう。引き剥がしたら指輪もしてなかった。さっき人形を確認して、あいつが消えた場所を辛そうに見てたとき、リカルドに騙されて傷ついてるように見えた」
ロレンツィオは隠れるに任せた。力づくで引きはがすのは簡単だったが、それをしてはいけないことくらいはわかっていた。
出てきてほしい、と伝わりさえすれば良かった。
「浮気現場抑えたつもりで、次には痴話喧嘩に首突っ込んだように思ってた。思い違いしてたよ」
言いながら、ロレンツィオは今の自分を情けないと思った。普段の舌は切り落とされたかのように力がないし、声は張りがない。背中まで丸まっていたのに気がついて、それは少し正した。
しかし他にどうしようもない。こういう場に居合わせるのは三回目だ。
言葉が出ている分、一回目よりはマシだと思っている。
挙式した夜の、寝室での一回目よりは。
あんなのはっきり言って彼女の自業自得なのに、自分は固まって何もできなかったし、言えなかった。
「話聞かなくて悪かった。出てこいよ」
二回目は昨夜だった。あれは状況が助けてくれた。彼女もこちらのすることを拒まないでいてくれたから。
今回は、一番悪い。
「……んなとこで泣くなって」
「それ、見せて」
手袋をはめ直してから、フェリータはロレンツィオの手からコッペリウスの人形を受け取った。
(指輪、ない……)
手袋と一緒に外されて、人形の腹に収められていたのかと思ったのに。
あてが外れたフェリータは、(まさか捨てられた?)と人形が力尽きたあたりの地面を恨みがましく睨んだ。
その様子を、どこか冷ややかに見下ろしていたロレンツィオが口を開く。
「帰るぞ」
「ええ……。あら、あなた怪我が」
先に歩き始めた男の体には、呪獣との格闘の名残が至るところに残っていた。
ほとんどかすり傷のようだったが、二の腕の、シャツが破れ血の流れ出る箇所が他よりひどいのに気がついて、フェリータは処置を申し出たつもりだった。
しかし、指さされた箇所を見遣ったロレンツィオは、そこを逆の手で抑えると、すぐに放して大股で歩き始めた。
フェリータには、それが止血目的の石化魔術だとすぐにわかった。戦場などの極限状態で、魔術師が最低限の魔力を使って応急処置として兵士に施すものだ。
「それではきれいに治らないでしょう。見せてごらんなさ」
「王宮への報告の後でちゃんとやるに決まってんだろ。時間がないんだ、急げよ」
駆け寄ると、予想以上に冷たい声とともに手の中の人形が取り上げられた。
一瞬、フェリータは言葉を失った。
別にロレンツィオから不親切な態度を取られるのは、何も珍しくない。
だが、このときのフェリータは驚き、戸惑ってしまった。
昨日は頭を撫でて、慰めてくれたのに。
(確かに、今までの積み重ねを考えればこの反応こそ当然ですけれど……)
「残念だったな」
裏切られたような気持ちで俯き、ロレンツィオの後を歩いていたフェリータは顔を上げた。
いつの間にか、廃墟のようになってしまった公爵家別邸の敷地から出て、白い石で覆われた島の岸壁に来ていた。
この先に本島サルヴァンテと繋がる長い石橋があるのだが、ロレンツィオは岸壁の影に繋がれた古いゴンドラを使うつもりらしかった。直線距離で帰れるので、歩くより早いと踏んだのだろう。
「……何がです?」
フェリータは先に乗ってゴンドラの様子を確かめているロレンツィオに、困惑しながら問いかけた。男の声は、同情するというより、苛立っているように聞こえた。
「うまく逃してもらえなくて」
返ってきた言葉の意味をしばし考え。
ハッとフェリータは気が付き、慌てふためいた。
「違っ、わたくしはリカルドと浮気してここに来たんじゃ」
「乗れ」
「そもそもここに来るのにも同意なんかなくて、」
「急げっつったろ」
腕を引かれたと思うと、腰に腕を回され有無を言わさず舟の上に乗せられる。
「ロレンツィオ、話をききなさっ……きゃ!」
着地にバランスを崩して舟底に膝をついたにも関わらず、ロレンツィオは一顧だにせず「飛ばすからどっか捕まっとけ」と吐き捨てた。
次の瞬間、漕手のいないゴンドラが水の馬に引っ張られてぐんと加速したので、フェリータは黙らざるを得なかった。
***
帰り着いた頃、カヴァリエリ邸は騒然としていた。
それもそのはずで、新婚の奥方が三度目の脱走を果たした上、王宮でその知らせを受け取って捜索に出た主人からは今の今まで連絡もなかったのだ。
「奥様、ご無事で何よりです!」
「一体どちらに?」
「ご用向きがありましたなら、どうぞ私共に仰っていただければ」
玄関ホールで迎えられたフェリータは心配した女中たちに取り囲まれた。女たちはたいていフェリータより背が高いので、彼女は全身がすっぽり埋まってしまっていた。
「お帰りなさいませご主人さま。……エルロマーニ公爵家のことで、少々お耳に入れたいことが」
声をひそめた執事の言葉に眉を上げると、ロレンツィオはフェリータを女中たちに任せて場所を動こうとした。
しかし。
「……知らないわ。自分がどこで何をしていたのか、そちらのご主人様にお聞きになって」
フェリータの、予想外に低い声に、ロレンツィオは足を止めた。
「ずいぶん詳しいみたい。本人よりずぅっとね」
呆気にとられる女中たちをその場に残し、フェリータはいつもの客間に向かおうとした。
「ついてこないで。石にするわよ」
いち早く動こうとした年配の女中にぴしゃりと言い放ち、ひとりすたすたと廊下を進む。
――すでに三度脱走している女をそのままにするほど、ロレンツィオは楽観的ではなかった。かといって本気で青ざめる使用人たちに無理も言えない。
苛立ちを隠さない足取りで後を追うと、客間の扉が締まる前にその中へ身を滑り込ませた。
「フェリータ、さっきの態度は何だ」
「出ておいき」
手袋をはじめ、装飾品を外し始めたフェリータの背中から予想通りの言葉が返ってくる。
「俺に言いたいことがあるんだろう。あいつらに八つ当たりをするな」
「ありません、言いたいことなど」
フェリータは短く言い捨てると、クローゼットを開けて今着ているものより簡素なワンピースを引き出した。部屋着だ。
「聞かぬ男に聞かせる言葉などありません。………さっさと王宮に行って、逮捕された男と妻の不貞でもなんでも言いつけてくれば」
リカルドの逮捕は極秘で、パオロはさる筋から密かに聞いたことらしかった。ロレンツィオは苦笑いした。
「耳がいいな。……着替えるならなおさら誰か」
女中を、と言いかけて、ロレンツィオは言葉を失った。
フェリータがその場でぶちぶちと背中のボタンを外し始めてしまったからだ。
白い肌にぴったり寄り添うビスチェがあらわになったのは本当に一瞬で、あっという間にフェリータは部屋着を着込んだ。
そしてそのまま、整えられた寝台にするっと潜り込んでいってしまった。あんまりすみやかに隠れていくから、岩場に隠れる魚をロレンツィオは連想した。
何だ今の。
呆気にとられていると、丸々と膨らんだシーツの下から「早く行きなさいよ」とまた急かす声がした。
その声で、ロレンツィオは気がついた。目の前の女が、明らかに不機嫌なのに、一度も声を荒げていないことに。
屋敷に入ってから、一度も自分に顔を向けていないことに。
「……フェリータ」
寝台の端に腰掛け、丸まりに呼びかける。薄桃色の髪をわずかにはみ出させたかたまりがもぞっと動いた。シーツをより体の下に引き込んだようだった。
「……なんでリカルドの呼び出しに応じた」
聞くと、シュパッとシーツの端からぴかぴかのロケットペンダントが飛び出してきた。直されたばかりのレリカリオが。
「なるほど、そういえばそんなこと言ってたな」
ロレンツィオは乾いた笑いを浮かべて、ロケットの表面を撫でた。
「フェリータ」
そのまま、鎖を辿る。寝具に広がった髪を指先に絡めながら。
やがて無骨な指先は、掛け布の下でロケットの端を握りしめていた小さな手に当たった。
「お前がリカルドとそういうことをするだろうなってことは、俺からしたら当たり前の予想なんだよ」
触れた拳が震えていた。かたまりが、一層丸くなる。頂点がわずかに高くなったから、足をたたんで文字通り身を丸めているのだろうと窺えた。
ぼそっと、「じゅ」という言葉、というより音が聞こえた。男にはそれでも主旨が伝わった。
「呪詛の犯人だと気がついてるとは思わなかった。証拠もなかったし、お前はリカルドを盲信しているだろうから言っても無駄かと思ってた」
それに、と男は続けた。シーツの下に潜り込ませた手を、じわりじわりと上にあげながら。
「それとこれとは別だろう」
シーツの下のかたまりは何も言わなかった。ただ、男の手がゆっくりと布を引き剥がそうとしているのに気がつくと、強い力でそれを引っ張り返した。
「俺がお前のために親を捨てる覚悟があるように、お前もそうするかもしれない。見つけたとき、お前らくっついてただろう。引き剥がしたら指輪もしてなかった。さっき人形を確認して、あいつが消えた場所を辛そうに見てたとき、リカルドに騙されて傷ついてるように見えた」
ロレンツィオは隠れるに任せた。力づくで引きはがすのは簡単だったが、それをしてはいけないことくらいはわかっていた。
出てきてほしい、と伝わりさえすれば良かった。
「浮気現場抑えたつもりで、次には痴話喧嘩に首突っ込んだように思ってた。思い違いしてたよ」
言いながら、ロレンツィオは今の自分を情けないと思った。普段の舌は切り落とされたかのように力がないし、声は張りがない。背中まで丸まっていたのに気がついて、それは少し正した。
しかし他にどうしようもない。こういう場に居合わせるのは三回目だ。
言葉が出ている分、一回目よりはマシだと思っている。
挙式した夜の、寝室での一回目よりは。
あんなのはっきり言って彼女の自業自得なのに、自分は固まって何もできなかったし、言えなかった。
「話聞かなくて悪かった。出てこいよ」
二回目は昨夜だった。あれは状況が助けてくれた。彼女もこちらのすることを拒まないでいてくれたから。
今回は、一番悪い。
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