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4.三人の男
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「で、どうだったの。」
旭は食堂に来ていた。正面から声を潜めて聞いたのは、藤堂千夏。デザイン部に所属する、旭と颯の同期だ。
「どうって・・何もないよ。」
へー、橘、手は出さなかったんだ、と感心したように言う。颯のように簡単に手を出す人間ばかりだと思わないで欲しい。
橘の子犬のような無邪気さに旭は強く断りきれず、結局、マンションの前まで一緒に歩いて帰った。警戒する気持ちが全くなかった訳ではないが、橘はそれだけで、満足そうに手を振って帰っていった。
ただ、何度も聞かれて困ったことがある。
「別れた彼氏って、瀬戸口さんですよね?」
酒の回る頭で、違う違う、と笑いながら答えたものの、橘はほぼ確信を持っているようだった。
そうだとも言っていないのに、家の前に着いた時、真面目な顔をして彼は言った。
「俺が、余計なこと言いました。ほんとに、すみません。」
頭を下げる橘に、言葉が詰まってしまった。
「今日は、それを謝りたかったんです。」
そうじゃないと、次に進めない。そう小さく言った。
私からの言葉を待たず、橘は「じゃ、また明日。」と、会社では見せない大人びた顔をして、去っていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふーん。営業部内で、再び旭争奪戦が始まりそうだね。」
こちらの気も知らず、千夏はニヤニヤとしている。
千夏は、颯と付き合っていたことを知っている。その前の、私の秘めた気持ちも。
付き合う経緯を伝えた時には、「あんの腹黒男!やりやがった・・!」と上を向いて唸っていた。
旭が幸せなら、と応援してくれていたが、元々、涼しい顔をして仕事もプライベートも成果を出す颯を、千夏は好きではないようだ。今回の件も、話を聞くうちにみるみる顔が般若みたいになっていった。居酒屋で「あいつ連れてこい!土下座させろ!」と怒る千夏を抑えつけた事を思い出し苦笑する。
「で、旭は、どうしたいの。」
頬杖をついてこちらを見る千夏に、情けない顔をして答える。
「まだ、全然、まとまってない。やっぱりまだ、好きだし、別れたこと、後悔もしてる。」
「でも、もう一度寄りを戻してほしいって言ったところで、何も変わらないのも、分かってる。」
そうだよねー。と千夏は伸びをするように椅子に身体をもたせ掛ける。
黒髪のショートが似合う千夏こそ、私はクールビューティーだと思う。入社時に長かった髪は、邪魔だと言って早々に切ってしまった。
彼氏がいたり、いなかったり。あまり長続きはしていないが、男を切らさない。感情を会社でも家でも変わらず出すので社内では敬遠する男性陣が多いが、本当の姿は千夏も私も変わらないと思う。
争奪戦、か。
自分をいいと思ってくれている人がいるのは、知ってる。誘いを受けたことだってある。でも、その中で一体何人が、一緒に暮らして、それでも好きだと言ってくれるだろうか。
改めて千夏を見る。自分のことのように考え、怒ってくれる。本当に良い友達だと思う。
「私は、一回旭に他の人、見て欲しいな。あいつがみっともなく焦るとこ、見たいもん。」
前言撤回。
「面白がらないでよ!」
吹き出してそう言った時、上から声をかけられた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「榛名さん、ここ、あいてる?」
そう言って振り返ると、チームの主任である桐山隼人が立っていた。
「桐山さん!そっか、今日戻りだったんですね!」
お帰りなさい、と言うと、ただいま、と柔らかい笑顔が返ってきた。
ごめんね、ほか全然空いてなくて。そう言われて周りを見ると、今日はインターン学生の集団が食事をしているからか、いつもはポツポツと空きがある食堂の席はびっしりと人で埋まっている。
どうぞ、と隣を手のひらで指そうとした所で、千夏が声を出した。
「私もう行かないといけないんで、よかったらここ座ってください。」
いやでも、と言う桐山に、いいんです、と笑顔を見せる。
ちょっと!と目で訴えるが、千夏はさっさと自分のお盆を持って返却台へ行ってしまった。
「ごゆっくり」そう、口が動いたのが見えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ごめんね、お邪魔しちゃったかな。」
通り過ぎる女性社員が振り返るほど整った見た目に反して、緩くふんわりとした雰囲気を持つこの人は、そう言いながら旭の正面の椅子を引いた。
こう見えてかなりのやり手だ。32歳で主任というのは、この会社全体でも数人程しかいない。
単純にクライアントの数や規模でいけば颯の担当する数字は大きいかもしれないが、海外ブランドとの提携やクライアントへの提案力でいけば、まだまだ桐山には及ばない。
「お疲れ様です。今日、到着されたんですか?」
「今朝ね。なかなか飛行機で寝れなくて。眠いよ。」
この会社では輸入家具も取り扱っているため、役職者は定期的に海外出張がある。桐山も、約12時間のフライトを終えてデンマークから戻ってきた所だ。
とろん、としながらご飯を口に運ぶ姿に、優しい笑顔になる。
「お休みされてもよかったんじゃないですか。」
ありがとう、と言ってから桐山は答えた。
「橘から相談メールが何件か入っててね。さすがに、もう爆発しそうかなと思って。」
それを聞いて二人でくすりと笑みを零した。
さっきの話を聞かれていたのでは、と思ったが、その話題には触れてくる様子が無く、どこかほっとして箸を動かした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
午後の時間があっという間に過ぎていく。桐山が戻ってきたことで、営業2人分は業務が追加されたように感じる。
頭から溢れかえりそうで、旭は少しクールダウンしようと、隙を見て給湯室にやってきた。
自販機の前に立つが、まさかのブラックコーヒーが売り切れだ。どうしようかな、と悩んでいると、外出先から戻ったのか、そこに颯が入ってきた。
先にいたのが旭と認識し、ぴた、と一瞬動きが止まったように見えた。
「お疲れ」
「お疲れ様」
声を掛け合い、少し間が開く。
別れて以来、二人きりの空間は初めてだ。意図的にそうならないようにしていたのもあるが、少し、緊張する。
別れてから、業務でのやり取り以外で、颯からプライベートな連絡は来ていない。旭も、メッセージの画面を開くことはあったが、結局、連絡出来なかった。
本当は、少しだけ期待していた。寂しいとか、大事さが分かった、みたいな。でも、残念ながら一言もそんな連絡は無い。そんなものか、と諦めに似た気持ちがあった。
「コーヒー、お前も飲む?」
何気ない提案に、反射的に「ありがと、お願い」と返した。
コポコポ、とコーヒーメーカーの音がしんとした部屋に響く。桐山さん戻られてるよ、あぁ、さっき会った、と何気ないやり取りをして、また無言になった。一緒に暮らしていて、もう長く無言が気まずいなんて忘れていた。
「お前、元気なの?」
ぼそっと聞かれた言葉にドキリとする。
「毎日会ってるじゃない。」
まぁ、そうだけど。
そう言って鋭くこちらを見る目に射抜かれそうだ。
その目に熱を感じてしまうのは、私の願望だろうか。
「颯は」
「元気じゃないの?」
引き出されるようにそう言うと、その目が更に鋭くなった気がした。
「どう思う?」
一歩、颯がこちらに近付く。
反射的に、一歩下がる。
更にもう一歩近付く。
狭い給湯室ではそれ以上後ろに下がれず、颯を見上げる形になる。
「どうって・・」
「元気でいられると、思うか?」
切なそうにも見える表情に鼓動が速まる。
それは、どういうこと?期待しそうになる心を冷静なもう一人の自分が留める。続かない言葉に無言で見つめ合い、旭が口を開こうとした時。
コン、コン
開きっぱなしのドアをノックして、桐山が立っていた。
「俺も、コーヒー、貰おうかな。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
先に榛名さんに、と桐山に促され旭にコーヒーを渡す。こちらを窺いながらも、旭はお先です、とデスクに戻っていった。
桐山の分を淹れながら、棚にもたれて並んで立つ。
颯は、安易に動けず、慎重になっていた。安っぽい言葉で、一度崩れた信頼が取り戻せるとも思わない。だからといって、どうするのがいいか。完全に、攻めあぐねていた。
コーヒーが落ちていくのをじっと見ながらそんな事を考えていると、横で、ふ、と息を漏らしたような笑いが聞こえた。
「・・何ですか」
ジロリと横目で見る。
この人が来なかったら、もう少し話が出来たのに。
「顔に出てるよ。」
楽しそうにも見える笑顔でそう言う。颯は、桐山を尊敬している。人間的にも、仕事の上でも。ただ、
「別れたんだってね」
その言葉に、自然と目が開く。
「勿体ない」
そう言って考えの読めない穏やかな笑みを浮かべる男に、颯は思った。
男としては、いけ好かない。
旭は食堂に来ていた。正面から声を潜めて聞いたのは、藤堂千夏。デザイン部に所属する、旭と颯の同期だ。
「どうって・・何もないよ。」
へー、橘、手は出さなかったんだ、と感心したように言う。颯のように簡単に手を出す人間ばかりだと思わないで欲しい。
橘の子犬のような無邪気さに旭は強く断りきれず、結局、マンションの前まで一緒に歩いて帰った。警戒する気持ちが全くなかった訳ではないが、橘はそれだけで、満足そうに手を振って帰っていった。
ただ、何度も聞かれて困ったことがある。
「別れた彼氏って、瀬戸口さんですよね?」
酒の回る頭で、違う違う、と笑いながら答えたものの、橘はほぼ確信を持っているようだった。
そうだとも言っていないのに、家の前に着いた時、真面目な顔をして彼は言った。
「俺が、余計なこと言いました。ほんとに、すみません。」
頭を下げる橘に、言葉が詰まってしまった。
「今日は、それを謝りたかったんです。」
そうじゃないと、次に進めない。そう小さく言った。
私からの言葉を待たず、橘は「じゃ、また明日。」と、会社では見せない大人びた顔をして、去っていった。
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「ふーん。営業部内で、再び旭争奪戦が始まりそうだね。」
こちらの気も知らず、千夏はニヤニヤとしている。
千夏は、颯と付き合っていたことを知っている。その前の、私の秘めた気持ちも。
付き合う経緯を伝えた時には、「あんの腹黒男!やりやがった・・!」と上を向いて唸っていた。
旭が幸せなら、と応援してくれていたが、元々、涼しい顔をして仕事もプライベートも成果を出す颯を、千夏は好きではないようだ。今回の件も、話を聞くうちにみるみる顔が般若みたいになっていった。居酒屋で「あいつ連れてこい!土下座させろ!」と怒る千夏を抑えつけた事を思い出し苦笑する。
「で、旭は、どうしたいの。」
頬杖をついてこちらを見る千夏に、情けない顔をして答える。
「まだ、全然、まとまってない。やっぱりまだ、好きだし、別れたこと、後悔もしてる。」
「でも、もう一度寄りを戻してほしいって言ったところで、何も変わらないのも、分かってる。」
そうだよねー。と千夏は伸びをするように椅子に身体をもたせ掛ける。
黒髪のショートが似合う千夏こそ、私はクールビューティーだと思う。入社時に長かった髪は、邪魔だと言って早々に切ってしまった。
彼氏がいたり、いなかったり。あまり長続きはしていないが、男を切らさない。感情を会社でも家でも変わらず出すので社内では敬遠する男性陣が多いが、本当の姿は千夏も私も変わらないと思う。
争奪戦、か。
自分をいいと思ってくれている人がいるのは、知ってる。誘いを受けたことだってある。でも、その中で一体何人が、一緒に暮らして、それでも好きだと言ってくれるだろうか。
改めて千夏を見る。自分のことのように考え、怒ってくれる。本当に良い友達だと思う。
「私は、一回旭に他の人、見て欲しいな。あいつがみっともなく焦るとこ、見たいもん。」
前言撤回。
「面白がらないでよ!」
吹き出してそう言った時、上から声をかけられた。
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「榛名さん、ここ、あいてる?」
そう言って振り返ると、チームの主任である桐山隼人が立っていた。
「桐山さん!そっか、今日戻りだったんですね!」
お帰りなさい、と言うと、ただいま、と柔らかい笑顔が返ってきた。
ごめんね、ほか全然空いてなくて。そう言われて周りを見ると、今日はインターン学生の集団が食事をしているからか、いつもはポツポツと空きがある食堂の席はびっしりと人で埋まっている。
どうぞ、と隣を手のひらで指そうとした所で、千夏が声を出した。
「私もう行かないといけないんで、よかったらここ座ってください。」
いやでも、と言う桐山に、いいんです、と笑顔を見せる。
ちょっと!と目で訴えるが、千夏はさっさと自分のお盆を持って返却台へ行ってしまった。
「ごゆっくり」そう、口が動いたのが見えた。
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「ごめんね、お邪魔しちゃったかな。」
通り過ぎる女性社員が振り返るほど整った見た目に反して、緩くふんわりとした雰囲気を持つこの人は、そう言いながら旭の正面の椅子を引いた。
こう見えてかなりのやり手だ。32歳で主任というのは、この会社全体でも数人程しかいない。
単純にクライアントの数や規模でいけば颯の担当する数字は大きいかもしれないが、海外ブランドとの提携やクライアントへの提案力でいけば、まだまだ桐山には及ばない。
「お疲れ様です。今日、到着されたんですか?」
「今朝ね。なかなか飛行機で寝れなくて。眠いよ。」
この会社では輸入家具も取り扱っているため、役職者は定期的に海外出張がある。桐山も、約12時間のフライトを終えてデンマークから戻ってきた所だ。
とろん、としながらご飯を口に運ぶ姿に、優しい笑顔になる。
「お休みされてもよかったんじゃないですか。」
ありがとう、と言ってから桐山は答えた。
「橘から相談メールが何件か入っててね。さすがに、もう爆発しそうかなと思って。」
それを聞いて二人でくすりと笑みを零した。
さっきの話を聞かれていたのでは、と思ったが、その話題には触れてくる様子が無く、どこかほっとして箸を動かした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
午後の時間があっという間に過ぎていく。桐山が戻ってきたことで、営業2人分は業務が追加されたように感じる。
頭から溢れかえりそうで、旭は少しクールダウンしようと、隙を見て給湯室にやってきた。
自販機の前に立つが、まさかのブラックコーヒーが売り切れだ。どうしようかな、と悩んでいると、外出先から戻ったのか、そこに颯が入ってきた。
先にいたのが旭と認識し、ぴた、と一瞬動きが止まったように見えた。
「お疲れ」
「お疲れ様」
声を掛け合い、少し間が開く。
別れて以来、二人きりの空間は初めてだ。意図的にそうならないようにしていたのもあるが、少し、緊張する。
別れてから、業務でのやり取り以外で、颯からプライベートな連絡は来ていない。旭も、メッセージの画面を開くことはあったが、結局、連絡出来なかった。
本当は、少しだけ期待していた。寂しいとか、大事さが分かった、みたいな。でも、残念ながら一言もそんな連絡は無い。そんなものか、と諦めに似た気持ちがあった。
「コーヒー、お前も飲む?」
何気ない提案に、反射的に「ありがと、お願い」と返した。
コポコポ、とコーヒーメーカーの音がしんとした部屋に響く。桐山さん戻られてるよ、あぁ、さっき会った、と何気ないやり取りをして、また無言になった。一緒に暮らしていて、もう長く無言が気まずいなんて忘れていた。
「お前、元気なの?」
ぼそっと聞かれた言葉にドキリとする。
「毎日会ってるじゃない。」
まぁ、そうだけど。
そう言って鋭くこちらを見る目に射抜かれそうだ。
その目に熱を感じてしまうのは、私の願望だろうか。
「颯は」
「元気じゃないの?」
引き出されるようにそう言うと、その目が更に鋭くなった気がした。
「どう思う?」
一歩、颯がこちらに近付く。
反射的に、一歩下がる。
更にもう一歩近付く。
狭い給湯室ではそれ以上後ろに下がれず、颯を見上げる形になる。
「どうって・・」
「元気でいられると、思うか?」
切なそうにも見える表情に鼓動が速まる。
それは、どういうこと?期待しそうになる心を冷静なもう一人の自分が留める。続かない言葉に無言で見つめ合い、旭が口を開こうとした時。
コン、コン
開きっぱなしのドアをノックして、桐山が立っていた。
「俺も、コーヒー、貰おうかな。」
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先に榛名さんに、と桐山に促され旭にコーヒーを渡す。こちらを窺いながらも、旭はお先です、とデスクに戻っていった。
桐山の分を淹れながら、棚にもたれて並んで立つ。
颯は、安易に動けず、慎重になっていた。安っぽい言葉で、一度崩れた信頼が取り戻せるとも思わない。だからといって、どうするのがいいか。完全に、攻めあぐねていた。
コーヒーが落ちていくのをじっと見ながらそんな事を考えていると、横で、ふ、と息を漏らしたような笑いが聞こえた。
「・・何ですか」
ジロリと横目で見る。
この人が来なかったら、もう少し話が出来たのに。
「顔に出てるよ。」
楽しそうにも見える笑顔でそう言う。颯は、桐山を尊敬している。人間的にも、仕事の上でも。ただ、
「別れたんだってね」
その言葉に、自然と目が開く。
「勿体ない」
そう言って考えの読めない穏やかな笑みを浮かべる男に、颯は思った。
男としては、いけ好かない。
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