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第2話
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その後、ミリアの母親…リリアとも親子になる話がされた。
しかしながら、リリアはこの話に反対し、最初は受け入れなかった。
しかし、時の経過とともにミリアの死と、そして新たな娘の受け入れに理解を示していった。
そしてついに一か月後…
「…よろしくね、『ミリア』」
「はい、お母様」
ようやく、母と娘が互いを受け入れ合った。
さて、ここまでのひと月だが、ミリアはとにかく療養。
そして、この世界の文化を学んだ。
ミリアはまず父親に、この世界の事を何も知らないと話した。
世界、文化、基準、生活、様式…ありとあらゆることだ。
異世界転生モノともなれば、異世界の話がメインだ。そこには想像上ではあるけれども、異世界の文化に触れていることが多い。
けれど、それはあくまでも空想の話。
実際に目にしなければわからない、体験しなければわからないのは山ほどだ。
知ったかぶりは危険である。
なので、ミリアはまずこの世界の当たり前から学んでいった。
まず身近なところから行くと、この世界には身分制度がある。
そして、この家…父親であるシュバルツ・カースタは侯爵位を持つ貴族だ。
父親がかなりすごい人物であったのに驚いたのは言うまでもない。
父親は王宮で財務大臣を務め、同時に広大な領地も経営している。
そのため、カースタ家は国内でも指折りの資産家でもある。
母親は実は公爵家から嫁いだ、これまたすごい夫人であるのも知る。
社交界の華として、あまたの男性に求婚されたが父親が熱心に口説き落としたとか。
なので、二人の仲は貴族社会でも有名なほど仲睦まじい。
ではここで娘のミリアがどんな令嬢だったのかになったけど、ここで指導役の執事が言葉を詰まらせた。
本当に言っていいのか?そんな迷いをミリアは感じた。
しかし、なんとか吐き出させると、その内容にミリアの顔が引きつった。
ミリアには婚約者がいる。
伯爵家の令息で、ルッツ・ロード。
しかし、その婚約はミリアが強引に取り付けた。その理由はルッツの見た目が好みだから。それにも関わらず、ミリアはルッツを下僕扱い。逆らおうとすれば、家のことを人質にとる。
実は、ルッツとの婚約の際、カースタ家がロード家に資金援助をする話があったのだ。
事実、ロード家は伯爵位だが困窮していた。それが格上の侯爵家から婚約・しかも資金援助までしてくれるのだから断る理由がない。
そういった理由で、実際ミリアとルッツの関係は婚約者よりも主従関係で、しかも大分苛烈。学園内では荷物持ちは当たり前。何かあればすぐに下僕扱いで命令をする。
周りにも不憫に思われても、ミリアの立場が立場だけに誰も口出しできない。
しかしそれもミリアが学園に通えてたときまでで、病気で寝たきりになってからは学園では普通にふるまえているらしい。……見舞いには一度も来なかったという。
その後も、出てくるわ出てくるわ悪評の数々。使用人にもずいぶんな仕打ちをしていたらしい。
どうしてあの両親にしてこの娘になってしまったのか、少し考えて結論が出た。
「甘やかしすぎたのね…」
ミリアがぽつりとつぶやいた一言に執事は大きく頷く。
ちなみに、ミリアが『ミリア』であることを知っているのは両親と、今説明をしている執事とその上の執事長。そして専属の侍女であるルーミアの5人だけ。
なので、大半の使用人はミリアが前のままだと思っているので、屋敷内ですれ違っても恐る恐るといった感じだ。
そこに好意的な感情は無い。中にはそのまま死んだままでよかったのに…と思われてるとか。
どおりで…とミリアは納得した。
そしてそのひと月の間に、ミリアの体も変化した。
なにせ彼女は5年も病気で苦しんでいたのだ。しかも、直近の一年はほぼ寝たきりだったという。
しかも、前世の世界の点滴にあたる物がないため、口から入れる以外に体に栄養を取らせる手段はない。
なのでミリアの体は、まさしく骨と皮だけになっていた。
…ミリアが最初に鏡で自分の顔を見たとき、悲鳴を上げてしまったのは記憶に新しい。
このひと月、運動も食事も拒否していた身体をもとに戻していくのは困難を極めた。
シェフには可能な限り細かくしつつ栄養を取れる流動食を用意してもらい、運動は立ち上がる事から始めた。
その歩みは亀よりも遅く、それにひと月付き合ってくれたルーミアには頭が上がらない。
けれど、彼女はにっこりして答えた。
「お嬢様のリハビリに付き合うと給金が5倍になりますので」
現金な彼女だ。
しかしそれだけに彼女はミリアにしっかり付き合ってくれた。
お金にうるさいからこそ、お金にはしっかり働く。
逆に普通の侍女ではそのまだるっこしさに呆れてやめてしまっていただろう。
両親の人選もさすがと思った。
ひと月で、ミリアはベッドから立ち上がれるようになった。
目覚ましい進歩である。
「おめでとうございますお嬢様。ようやく生まれたてのひなに追いつきましたね」
「ありがとう……褒めてるのよね?」
「ええ、ひと月前のお嬢様はただの屍でしたので」
言葉に毒はあるが、それもルーミアの魅力と思えば自然と許せる。それが楽しいとも思えてきた。
しかし、立ち上がれても、その足はプルプルと震え、10秒と立っていられない。まだ歩くのすらままならないのだ。
なので、たまに日の光を浴びたいと言うとルーミアが横抱きで窓際の椅子まで運んでくれる。
侍女なのに力持ちだ。そう言うと残念な顔をされた。
「骨と皮のお嬢様を抱くのに力はいりません」
何も言い返せず、ミリアはあいまいにほほ笑むしかなかった。
実際、未だ自分の顔を見ると悲鳴を上げそうになる。
隣に頭蓋骨を並べたら、皮を張っただけの姿がどんな感じなのか、見本になってしまう。
「お嬢様は夜中は出歩かないでくださいませ。使用人が恐怖で失神されます。私の仕事が増えます」
恐怖で失神された主人の傷ついた心を癒してくれないの?と聞けば呆れた顔をされた。
***
それからもリハビリは続いた。
ミリアにはやりたい事がある。
そのためにはどうしても健康な体が必要だ。
つらいリハビリにも耐えた。ルーミアの遠慮のない辛辣な言葉にも耐えた。…そっちのほうが辛かったと当人に言えば、涼しい顔をされた。つくづく主人に優しくない。
そうして1年が経った。
朝起きると、ミリアは大きく伸びをした。
夜着からのぞく腕は、女性らしい細さとほどよい肉付きをしている。
布団をよけてベッドからすらりと降り立つ。
床にはしっかりと二本の足で立ち、そのままルーミアが用意してくれた水で顔を洗う。
夜着を脱いでワンピースへと着替える。
今日は淡い碧だ。
鏡の前に座ると、1年前の悲鳴を上げた顔はない。きりっとした眉尻に長いまつげ、日に焼けることのない白い肌はわずかに赤みがかっている。ぷっくりとした唇はピンク色でそれだけで男を誘う。そんな鏡の中のミリアを、ルーミアが慣れた手つきで手早くセットしていく。
薄い化粧を施し、長く伸びた黒髪をそのままに、先端をわずかにカールさせる。
銀の髪飾りが黒髪に良く映えると、お気に入りを忘れない。
朝の支度を終えると、朝食のために食堂へ向かう。
そこにはすでに両親が待っていた。
「おはようございます、お父様、お母様」
「おはよう、ミリア」
「おはよう」
挨拶を交わし、席に着く。
3人に用意された朝食は同じだ。
両親と同じ席に着いても同じ食事はできなかった。ついひと月前にようやく同じ食事が許可された。
しかし未だ食べられないものは多い。特に脂っこい食べ物は無理で、戻す方が多かった。
朝食と言えばベーコンだが、それはカリカリに焼き上げ、油は拭き取られている。これならミリアでも安心して食べられた。
朝食を終え、父が口を開く。
「…ミリア、本当に行くのかい?」
「はい、お父様」
最初は『お父さん』と呼んでいた。
しかし、この1年ではリハビリの他、淑女教育も行われていた。その中でのダンスはまだまだだが、座学では時間がありあまっていたため、さまざまな教育を受けた。
その中で、呼び方を指摘されてしまった。とはいえ、そう呼ぶのにこだわりがあったわけではなので、あっさり修正していた。
「でも、家庭教師に教わればそれでもいいのではないの?」
母の言葉にミリアは首を横に振る。
それは、ミリアがやりたいことでもあったからだ。
学園に通う。
ミリアが前世でやりたかったことだ。
前世では学校に通った記憶が無かった。
元もとあいまいな記憶ではあるが、通った記憶がない一方、強烈にあったのが学校に通いたいという欲求だった。
それを叶えたいと思った。そのためには何としても自分の足で歩けなくては話にならない。
だからリハビリを頑張った。ルーミアのどんな言葉にもめげずに頑張った。
今日それがようやく叶う。
喜びも一入だ。
しかし、両親は心配している。
なにせ1年前に一度死んだ娘だ。
しかも、中身はこちらの世界ではない人間。
いわばミリアはこの世界に生まれて1年しか経ってない赤子と変わらないのだから。
しかしミリアの決意は固い。
その決意に押され、両親はしぶしぶ学園に通うのを許可した。
ミリアが早期にこだわったのは年齢もあった。
ミリアが生まれ変わったとき、ミリアは16歳だった。
現在17歳。
学園に通えるのは18歳までと決められている。
あと1年しかない。しかしその1年だけでも通いたかった。
念願がかなう。ミリアの心には希望があふれていた。
「では参りましょう」
「はい」
学園に向かう馬車。
それに乗り込むミリア。……とルーミア。
実は同い年のルーミア。本来学園には貴族か特別な能力のある者しか通えないが、そこは父が権力で押し通した。
事実、ルーミアは優秀なので、学園に通っても問題ない。…どころか、通う必要が無いともいえる。
それでもいい。学園に通える。
毒舌侍女だけれど、この1年でその頼もしさは実感している。これ以上ないほどありがたい。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
両親に見守られ、ミリアは学園へと向かった。
しかしながら、リリアはこの話に反対し、最初は受け入れなかった。
しかし、時の経過とともにミリアの死と、そして新たな娘の受け入れに理解を示していった。
そしてついに一か月後…
「…よろしくね、『ミリア』」
「はい、お母様」
ようやく、母と娘が互いを受け入れ合った。
さて、ここまでのひと月だが、ミリアはとにかく療養。
そして、この世界の文化を学んだ。
ミリアはまず父親に、この世界の事を何も知らないと話した。
世界、文化、基準、生活、様式…ありとあらゆることだ。
異世界転生モノともなれば、異世界の話がメインだ。そこには想像上ではあるけれども、異世界の文化に触れていることが多い。
けれど、それはあくまでも空想の話。
実際に目にしなければわからない、体験しなければわからないのは山ほどだ。
知ったかぶりは危険である。
なので、ミリアはまずこの世界の当たり前から学んでいった。
まず身近なところから行くと、この世界には身分制度がある。
そして、この家…父親であるシュバルツ・カースタは侯爵位を持つ貴族だ。
父親がかなりすごい人物であったのに驚いたのは言うまでもない。
父親は王宮で財務大臣を務め、同時に広大な領地も経営している。
そのため、カースタ家は国内でも指折りの資産家でもある。
母親は実は公爵家から嫁いだ、これまたすごい夫人であるのも知る。
社交界の華として、あまたの男性に求婚されたが父親が熱心に口説き落としたとか。
なので、二人の仲は貴族社会でも有名なほど仲睦まじい。
ではここで娘のミリアがどんな令嬢だったのかになったけど、ここで指導役の執事が言葉を詰まらせた。
本当に言っていいのか?そんな迷いをミリアは感じた。
しかし、なんとか吐き出させると、その内容にミリアの顔が引きつった。
ミリアには婚約者がいる。
伯爵家の令息で、ルッツ・ロード。
しかし、その婚約はミリアが強引に取り付けた。その理由はルッツの見た目が好みだから。それにも関わらず、ミリアはルッツを下僕扱い。逆らおうとすれば、家のことを人質にとる。
実は、ルッツとの婚約の際、カースタ家がロード家に資金援助をする話があったのだ。
事実、ロード家は伯爵位だが困窮していた。それが格上の侯爵家から婚約・しかも資金援助までしてくれるのだから断る理由がない。
そういった理由で、実際ミリアとルッツの関係は婚約者よりも主従関係で、しかも大分苛烈。学園内では荷物持ちは当たり前。何かあればすぐに下僕扱いで命令をする。
周りにも不憫に思われても、ミリアの立場が立場だけに誰も口出しできない。
しかしそれもミリアが学園に通えてたときまでで、病気で寝たきりになってからは学園では普通にふるまえているらしい。……見舞いには一度も来なかったという。
その後も、出てくるわ出てくるわ悪評の数々。使用人にもずいぶんな仕打ちをしていたらしい。
どうしてあの両親にしてこの娘になってしまったのか、少し考えて結論が出た。
「甘やかしすぎたのね…」
ミリアがぽつりとつぶやいた一言に執事は大きく頷く。
ちなみに、ミリアが『ミリア』であることを知っているのは両親と、今説明をしている執事とその上の執事長。そして専属の侍女であるルーミアの5人だけ。
なので、大半の使用人はミリアが前のままだと思っているので、屋敷内ですれ違っても恐る恐るといった感じだ。
そこに好意的な感情は無い。中にはそのまま死んだままでよかったのに…と思われてるとか。
どおりで…とミリアは納得した。
そしてそのひと月の間に、ミリアの体も変化した。
なにせ彼女は5年も病気で苦しんでいたのだ。しかも、直近の一年はほぼ寝たきりだったという。
しかも、前世の世界の点滴にあたる物がないため、口から入れる以外に体に栄養を取らせる手段はない。
なのでミリアの体は、まさしく骨と皮だけになっていた。
…ミリアが最初に鏡で自分の顔を見たとき、悲鳴を上げてしまったのは記憶に新しい。
このひと月、運動も食事も拒否していた身体をもとに戻していくのは困難を極めた。
シェフには可能な限り細かくしつつ栄養を取れる流動食を用意してもらい、運動は立ち上がる事から始めた。
その歩みは亀よりも遅く、それにひと月付き合ってくれたルーミアには頭が上がらない。
けれど、彼女はにっこりして答えた。
「お嬢様のリハビリに付き合うと給金が5倍になりますので」
現金な彼女だ。
しかしそれだけに彼女はミリアにしっかり付き合ってくれた。
お金にうるさいからこそ、お金にはしっかり働く。
逆に普通の侍女ではそのまだるっこしさに呆れてやめてしまっていただろう。
両親の人選もさすがと思った。
ひと月で、ミリアはベッドから立ち上がれるようになった。
目覚ましい進歩である。
「おめでとうございますお嬢様。ようやく生まれたてのひなに追いつきましたね」
「ありがとう……褒めてるのよね?」
「ええ、ひと月前のお嬢様はただの屍でしたので」
言葉に毒はあるが、それもルーミアの魅力と思えば自然と許せる。それが楽しいとも思えてきた。
しかし、立ち上がれても、その足はプルプルと震え、10秒と立っていられない。まだ歩くのすらままならないのだ。
なので、たまに日の光を浴びたいと言うとルーミアが横抱きで窓際の椅子まで運んでくれる。
侍女なのに力持ちだ。そう言うと残念な顔をされた。
「骨と皮のお嬢様を抱くのに力はいりません」
何も言い返せず、ミリアはあいまいにほほ笑むしかなかった。
実際、未だ自分の顔を見ると悲鳴を上げそうになる。
隣に頭蓋骨を並べたら、皮を張っただけの姿がどんな感じなのか、見本になってしまう。
「お嬢様は夜中は出歩かないでくださいませ。使用人が恐怖で失神されます。私の仕事が増えます」
恐怖で失神された主人の傷ついた心を癒してくれないの?と聞けば呆れた顔をされた。
***
それからもリハビリは続いた。
ミリアにはやりたい事がある。
そのためにはどうしても健康な体が必要だ。
つらいリハビリにも耐えた。ルーミアの遠慮のない辛辣な言葉にも耐えた。…そっちのほうが辛かったと当人に言えば、涼しい顔をされた。つくづく主人に優しくない。
そうして1年が経った。
朝起きると、ミリアは大きく伸びをした。
夜着からのぞく腕は、女性らしい細さとほどよい肉付きをしている。
布団をよけてベッドからすらりと降り立つ。
床にはしっかりと二本の足で立ち、そのままルーミアが用意してくれた水で顔を洗う。
夜着を脱いでワンピースへと着替える。
今日は淡い碧だ。
鏡の前に座ると、1年前の悲鳴を上げた顔はない。きりっとした眉尻に長いまつげ、日に焼けることのない白い肌はわずかに赤みがかっている。ぷっくりとした唇はピンク色でそれだけで男を誘う。そんな鏡の中のミリアを、ルーミアが慣れた手つきで手早くセットしていく。
薄い化粧を施し、長く伸びた黒髪をそのままに、先端をわずかにカールさせる。
銀の髪飾りが黒髪に良く映えると、お気に入りを忘れない。
朝の支度を終えると、朝食のために食堂へ向かう。
そこにはすでに両親が待っていた。
「おはようございます、お父様、お母様」
「おはよう、ミリア」
「おはよう」
挨拶を交わし、席に着く。
3人に用意された朝食は同じだ。
両親と同じ席に着いても同じ食事はできなかった。ついひと月前にようやく同じ食事が許可された。
しかし未だ食べられないものは多い。特に脂っこい食べ物は無理で、戻す方が多かった。
朝食と言えばベーコンだが、それはカリカリに焼き上げ、油は拭き取られている。これならミリアでも安心して食べられた。
朝食を終え、父が口を開く。
「…ミリア、本当に行くのかい?」
「はい、お父様」
最初は『お父さん』と呼んでいた。
しかし、この1年ではリハビリの他、淑女教育も行われていた。その中でのダンスはまだまだだが、座学では時間がありあまっていたため、さまざまな教育を受けた。
その中で、呼び方を指摘されてしまった。とはいえ、そう呼ぶのにこだわりがあったわけではなので、あっさり修正していた。
「でも、家庭教師に教わればそれでもいいのではないの?」
母の言葉にミリアは首を横に振る。
それは、ミリアがやりたいことでもあったからだ。
学園に通う。
ミリアが前世でやりたかったことだ。
前世では学校に通った記憶が無かった。
元もとあいまいな記憶ではあるが、通った記憶がない一方、強烈にあったのが学校に通いたいという欲求だった。
それを叶えたいと思った。そのためには何としても自分の足で歩けなくては話にならない。
だからリハビリを頑張った。ルーミアのどんな言葉にもめげずに頑張った。
今日それがようやく叶う。
喜びも一入だ。
しかし、両親は心配している。
なにせ1年前に一度死んだ娘だ。
しかも、中身はこちらの世界ではない人間。
いわばミリアはこの世界に生まれて1年しか経ってない赤子と変わらないのだから。
しかしミリアの決意は固い。
その決意に押され、両親はしぶしぶ学園に通うのを許可した。
ミリアが早期にこだわったのは年齢もあった。
ミリアが生まれ変わったとき、ミリアは16歳だった。
現在17歳。
学園に通えるのは18歳までと決められている。
あと1年しかない。しかしその1年だけでも通いたかった。
念願がかなう。ミリアの心には希望があふれていた。
「では参りましょう」
「はい」
学園に向かう馬車。
それに乗り込むミリア。……とルーミア。
実は同い年のルーミア。本来学園には貴族か特別な能力のある者しか通えないが、そこは父が権力で押し通した。
事実、ルーミアは優秀なので、学園に通っても問題ない。…どころか、通う必要が無いともいえる。
それでもいい。学園に通える。
毒舌侍女だけれど、この1年でその頼もしさは実感している。これ以上ないほどありがたい。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
両親に見守られ、ミリアは学園へと向かった。
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