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第15話
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休日の朝。
ミリアは落ち着かない心を落ち着かせようと大きく息を吐く。
「…本当によろしいのですか?」
ルーミアの問いにミリアは黙ってうなずく。
今日はルッツを呼び出している。
目的は…ミリアが『ミリア』ではないことを告げるためだ。
事前に両親に話すことについて承諾を得ている。
二人ともルッツについては毎日屋敷の前まで迎えに来ているのだから、ある程度は知っている。それについてはミリアよりもずっと危険視していた。
護衛も兼ねているルーミアがいるから事を荒立ててはこなかったが、ミリアが決着をつけるためと言えば、『ミリア』ではないことを告げるも了承してくれた。
あとは本人に告げるだけだ。
告げることで、ここにいるミリアは『ミリア』ではない、ルッツに求婚し下僕のように扱った少女はもういない、貴方が好きな女性はもうこの世にいないのだと、教えるのだ。
そうすれば、もうルッツはミリアに求婚を迫ることもないだろう。彼の恋はそこで終わる。
にも関わらず、ルッツを諦めさせるためだというのに、ミリアの心は落ち着かない。
ルッツの反応が怖い。
果たして彼は、自分の好きな女性が実は全くの別人であると知ったとき、どう反応するのか。
言ってしまえば、それは周囲を裏切る行為に他ならない。だましていたのだから。
そのことを言われるのではないか、そんな不安がミリアの頭の中を駆け巡っている。
そのままミリアとして生きることを提示したのは父だ。ミリアが提案したことではない。けれど、その選択を選んだのはミリア自身。指摘されれば逃げ道は無い。
それでも言わなければならないのだ。彼の為に。そして……ミリア自身のためにも。
そして、ついにルッツ来訪の知らせが届く。
以前にいきなり来た時と違い、今回はしっかり迎える準備は整えている。
服も、普段屋敷内で過ごす際のリラックスした服装ではなく、客人を出迎えるための正装だ。淡い青のドレスに、髪を結い上げ、銀の首飾り。令嬢としての武装を整え、ミリアは戦場へと向かった。
「ようこそ、いらしてくださいました、ルッツ様」
「あ、ああ。お招き感謝する」
カースタ家の令嬢として客人を出迎えたミリア。
一方のルッツは、明らかに挙動不審だ。ミリアがミリアとなってから、こうしてルッツを呼び出したことは初めてだ。それに、ミリアの服装が正装になっていることも、彼にこれから何が行われるかの不安を煽っているに違いない。
応接室へと招き、向かい合わせにソファーに座る。
ミリアの背後にはルーミア、そして数少ないミリアを知る一人として執事もいる。
この執事は普段はカースタ家当主を支える執事長の補佐をしている。なので、こうしてミリアにつくことはほぼない。その彼が何故この場にいるかと言えば…率直に言えば護衛である。万が一、真実を知ったルッツがミリアに乱暴しようとした際にルーミアだけでは抑えきれない場合の保険である。ルーミアはルッツを投げ飛ばしたこともある。しかしあれは不意を突いただけだ。ルーミアは確かに普通の女性よりは膂力は優れている。だが、明らかに体格が異なるルッツを力で打ち負かせるほどではない。その彼が我を忘れて本気で暴れればルーミアでも抑えられる保証はない。故の保険である。
二人の前に、ルーミアが紅茶を置く。
その紅茶を一口飲んで、ミリアが口を開いた。
どう切り出せばいいかとずっと考えていた。しかし、下手な遠回しはただの言い訳にすぎないと気づき、ミリアは率直に伝えることにした。
「…ルッツ様、私はあなたに伝えたいことがあります」
「……なんだろうか?」
彼の緊張した表情がさらに強張る。
それは明らかに怯えだ。彼の頭の中では、もうミリアに付きまとうなと、拒絶されるだろう言葉が来ると思っているのだろう。しかし、ミリアが話す内容はそれ以上に残酷だ。
「私は……『ミリア』ではありません」
「………」
ルッツの表情が固まる。
当然の反応だ。そんなことを言われれば誰だって固まる。
そして、そんなことを言いだした主人に対し、ルッツの目が後ろの二人に向けられる。
しかし真実を知っている二人は、主人の言葉に微動だにしない。
「これから話すことはすべて真実です。あなたは……それを受け入れなければなりません」
そうして、ミリアは語りだす。1年前のあの日、自分が病気で死に、そして同じく病気で死んだ『ミリア』の体に生まれ変わったことを。
「あなたが好きだという『ミリア』はもうこの世にはおりません」
「………」
「…話は、以上です」
「………」
話を終え、残酷な真実を突き付けたことで、ルッツは言葉を失っていた。
その表情からは、彼が今何を考えているのかは読み取れない。
重い沈黙が場を支配する。
「……分かった」
ルッツはそれだけ言い、立ち上がった。
顔を俯かせたまま、もう表情は分からない。
「……一つだけ、聞かせてほしい」
「…どうぞ」
「俺と、婚約解消したのは何故だ?」
その問いの答えは以前にもしているはず。
しかし、彼が求めている答えはそういうことではないのだろう。
だから、ミリアはその本音を口にした。
「……あなたと婚約したのは『ミリア』であって、私ではありません。私が望んだ婚約ではありませんから」
「…そうか」
それだけ言い、ルッツは帰っていった。見送りは不要だという。
言葉に従い、馬車に乗るルッツの姿を窓越しに見送った。
それからしばらく…一週間ほどだろうか。
ルッツはミリアに近寄ることはしなくなった。
屋敷の前に迎えに来ることも、お昼に一緒に食堂にいることも。
二人について様々な憶測が流れ、一番有力なのはルッツがミリアに愛想をつかし、別の女性と親しくなったのだろうという内容。
遠からず当たっていると小耳に挟んだミリアは思った。
しかし、そんな状況にフィーネは大層ご不満のようだ。
「呆れますわ!その程度の方だったなんて!」
呆れてるというより明らかに怒ってるのだが、そんなことに突っ込むミリアではない。
「いいのよ、気になさらないで」
「ですが!」
「フィーネ、そんな膨れたりしてると顔だけまんまるになっちゃうよ?」
「デウス様も!同じ女性を取り合った男があんなんでよろしいんですの!?」
場所は放課後の食堂。人気が少なく、雑談を交わすにはもってこいだ。
最近はますますフィーネのデウスへの態度が変化…遠慮がなくなりつつあり、それに呼応するようにデウスもフィーネへの態度も本来のいじわるな性格を表に出しつつある。
「僕としてはそんなに彼を意識してたつもりはないんだけどね」
「その割には毎回言い争いなさっていたと思いますが?」
「だって彼面白いし」
つまり単なるおもちゃだったということか。
「で、どんなふうにとどめをさしたの?」
デウスにそう問われ、ミリアは思わず視線を外した。まさか自分が『ミリア』じゃないと言った、と言えば間違いなく混乱が起きる。
「…もう来ないで、そう言いました」
「へぇ?」
途端に、デウスの目が鋭く光る。
「彼、絶対にあきらめないって言ってたんだけどなぁ?」
「…そうじゃなかった、ということじゃないですか?」
「自分ではそう思ってても、案外当人に言われると効くものですわ、そういう言葉は」
ミリアとフィーネのフォロー(?)に、それでもデウスは納得がいかないようで、視線をミリアから外さない。明らかに疑っている。
「…まぁいいや。聞きたくなったら彼に聞くから」
「それ!…は……」
万が一、彼の口から漏れたりしたら…その焦りが出てしまった。
その焦りが、さっきの内容が嘘だったということを物語ってしまっている。
「それは?何かな?」
顔はにこやかなのに、全然笑っている雰囲気が伝わってこない。
そのプレッシャーに、ミリアも微笑みを浮かべるが頬が引きつっている。
今更ながらに、目の前の人物が王族であることを思い出す。
「デウス様、その辺にしてくださいませ」
デウスをなだめるようにフィーネが間に入った。
「聞きたくないかい?君も」
そのフィーネも仲間に加えようと、デウスが誘いの言葉を投げる。しかし、フィーネはそれに首を横に振って自らの意思を示した。
「仰られた言葉がたとえ偽りだとしても、ミリア様は無暗に嘘をつく方ではございません。ですから、私はミリア様を信じますわ」
「フィーネ……様……」
フィーネの寄せる信頼が、真実を言えない心苦しさと同時に信頼してくれる嬉しさを与えてくれる。知らず、ミリアはフィーネの手を取り、握りしめていた。
「ミリア様?」
「ありが…とう…」
ミリアの視界にぼやけが生じる。
今にも零れ落ちそうなそれは、まばたきと共に頬を伝う。
その雫は、地に落ちる前に信頼してくれる友の手によって拭われた。
「…妬けちゃうなぁ」
デウスのぽつりとしたつぶやきを、フィーネは聞き逃さなかった。
にっこりと微笑み、問う。
「どちらにですの?」
「両方」
「ふふふ」
フィーネの笑い声が響く。
本当にいい友人を持った…ミリアはそのことに心から感謝した。
***
その日も授業を終え、ミリアとルーミアは帰路についた。
こうしているとフィーネか、まれにデウスと門までの道のりを共にすることもある。
しかし今日はどちらとも会うことなく、そのまま門へとたどり着いた。
…そこに、ここしばらく姿を見てなかった人物が門に寄りかかって立っていた。
「……ミリア、あなたと話がしたい」
開口一番、ルッツはそう切り出した。
言葉はいつになく真剣みを帯びていて、これまでミリアを見ていた時の子犬のような瞳はそこにはない。
ミリアとルッツの間にはもう今は何の関係もない。
あるのは過去婚約していたということだけ。
だから、ルッツの要求に応じる必要はない。
「ええ、いいわ」
けれどミリアは応じた。
それは、ルッツの瞳がどこまでも真剣で、まっすぐにミリアを見つめていて…あのダンスの時に見せた光と熱を感じてしまったから。
場所を移し、空き教室へと移動した。
机が隅に寄せられてしばらく使われていなさそうだが埃っぽさは無く、使われなくてもしっかり清掃されているようだった。
ルッツは窓際へと歩み寄り、西日を背にしてミリアへと振り向く。
ルッツに対しミリアは片された机に背を向けた。
向かい合わず、直角の位置関係。
ルーミアは西日の届かない影に入り、あえて二人の間に立ち入らぬようにしている。
「ずっと……考えていた」
口火を切ったのはルッツ。
天井を見上げ、その眼は空を見つめている。
「あなたは……『ミリア』じゃない…」
ルッツの独白を、ミリアは黙って聞き入れる。
「俺は……婚約を解消されたとき。婚約を解消されたくないと思った。でも、何でそう思ったのかが分からなかった。俺自身、婚約を解消したいと思っていたはずなのに。考えて、それでもただ婚約を解消したままにしたくなかった。それでやっと気づいたんだ。俺は、ミリアが好きだったんだって。でも、それはとっくに遅くて。ミリアは全然俺を眼中に入れてなかった。まるで興味が無いと。それでも俺は諦められなくて……なんとか君と婚約したいと思っていた。………でも、君はそもそも『ミリア』じゃなかった」
「………」
「言われたときは…本当に、何を言ってるんだろうと思った。でも、君もいつも君に仕える従者も真剣で、何一つ嘘をついているようには見えなかった。真実だと、でも信じられなくて…いや、信じたくなかった。信じてしまえば…俺が好きなミリアがそこにいないとわかってしまうから。けど、家に帰ってから、今まで復帰した君のことを思い出してみたら……ただ病み上がりという理由だけでは説明がつかない程…君は俺が知る『ミリア』じゃなかった。そんなことにも気づかないくらい、俺は自分のことしか考えてなかった。君と婚約することしか考えていなかった。だから……君の目に俺が映ることはなかった。それで、君がミリアじゃないと理解した時……俺の恋は終わったことを知った」
ルッツの独白は続く。
いつしか、天井を見上げていた眼は、ミリアをまっすぐに見つめていた。
「もう、『ミリア』はいない。いるのは、俺が知らないミリア。じゃあ、俺はどうしたらいいんだろうって。そんなとき、ふと思い浮かんだのは、あなただ」
ルッツとミリアの目が合う。その瞳にあるのは、あの光と熱の煌めき。
「あなたは『ミリア』じゃない。違う女性だ。…『ミリア』の代わりでもない。なのに、それが分かっているのに、貴女のことが消えない。どんなにその想いを消そうとしても、消えてくれないんだ」
「………」
「…俺は、恋が終わった瞬間にもう恋をしていた」
その眼の強さに、ミリアは息を呑む。
「あなたのことが好きだ。決して、『ミリア』の代わりとしてじゃない。ただ、純粋にあなただけが好きだ」
「……」
「金も、家のつながりも、俺には不要だ。ただ君だけが欲しい」
「……ルーミアも一緒じゃなきゃ嫌よ?」
あまりに直接的すぎる言葉に、つい軽口でごまかそうとしてしまう。
けれど、ルッツは揺るがない。
「ああ、いいとも。君のためならば、喜んで俺が雇い入れよう」
「…私は、別にあなたのことなんか…」
熱に充てられた心臓がうるさくて、思わず手を当ててしまう。。
本当になんとも思っていない相手ならば、こんなに胸が高鳴るはずがない。
ここに来ることすらしない。
それが分かっていても、ミリアは自分がルッツにどんな感情を抱いているのか、認めたくなかった。
「それでもいい。それでも、俺は君が好きだ。君の隣にいるのが俺でいてほしい」
「私の隣は……ルーミアが」
「私はお嬢様の後ろでも十分です。というかさっきから逃げ道に私を使わないでください」
敬愛する侍女に軽口をつぶされ、挙句その先も潰されてしまった。
恨みがましく見つめれば友人たる侍女はいつもの無表情。
しかし、目をルッツに戻せばいつの間にか目の前にいる。
見上げれば、見下ろしていた碧眼が下がり、今度はミリアが見下ろす形になる。
跪いたルッツは、ミリアの手をそっと取る。取られた手を振り払う気にもなれず、そこにルッツの唇が近づいていく。
「っ!」
一瞬だけ触れた感覚に総毛だつ。
前世ではありえなかった、手の甲へのキス。
それだけだというのに、そこから電流が流し込まれたかのよう。
「…いますぐ結論を出してくれなくていい。だが…」
言葉を切り、ミリアを見上げたルッツはその真剣なまなざしでミリアを見据える。
「俺は君以外の誰かを娶るつもりはない。たとえ…君に断られても、君に最も近しい男がいたとしても、俺は永劫君だけを想い続ける」
「…じゃあ一生独身でもいいというの?」
もし…ミリアがルッツを選ばなければ、そういうことになる。
それに、ルッツは力強く頷いた。
「うわ、重……」
ルーミアの呆れたようなセリフ。
確かに、好きでもない男にこんなことを言われれば、それは何があってもずっと付きまとうということだ。恐怖を感じてもおかしくないだろう。好きでもない男、ならば。
「ほんと、重いわね…」
そう言うミリアの顔に恐怖の色は無い。むしろ、わずかに口角が上がってすらいる。
「それが本当、ならね」
「俺が嘘を言っているとでも?」
「口だけなら何とでも言えるわ」
あざ笑うような笑みを浮かべるミリアに、挑戦的な笑みへと変わったルッツ。
(…案外、お似合いかもしれませんね)
そうルーミアは内心思う。
ルーミアの仕える主人は、超がつくほどの貧弱だが、その精神は驚くほど図太い。
突発的なことに弱い一面があるものの、王族相手でも言い難いことをきっぱり言い放つあたり、肝が据わっている。普通の淑女なら恐怖すら感じるルッツの言葉に、恐れるどころか挑発する始末。だからこそ面白い、とルーミアは思う。
「それで、明日からどうするのかしら?」
「変わらないさ。明日の朝も、迎えに行こう」
「乗らないわよ」
「乗ってくれるまで続けるさ」
お互いに良い笑顔で言い合う。
その状況に、ミリアは心を高鳴らせていた。
正面の相手は、やっと現れたミリアを見てくれる相手。『ミリア』ではない、ミリアを。
そして、嫌われようとも構わないとばかりに、おのれの信じる道を突き進み、自分を好いてくれる。
そんな相手を、好かないはずもない。
「デウス様がいるわよ?」
「誰がミリアに求婚しようとも変わらんさ。それに…」
言葉を切ったルッツは、口元に手を当て、こらえきれない笑いを抑えるようにつぶやく。
「そのデウス様に、別の令嬢を当て込もうとしているのは誰だよ?」
「あらばれた?」
「気が付かないでか。あれほどあからさまじゃデウス様も呆れてたぞ?」
「そのまま愛想尽かしてくれればいいわ」
「…王族相手にそんなこと言うやつは、お前以外いないだろうな」
心底呆れたといった様子のルッツに、ミリアはこれまたいい笑顔を向ける。
「面倒でしょ?」
「誰が?」
「…あなたが思った相手が」
「ああ、とんでもなく面倒な相手を好きになっちまったよ」
言外にミリアを面倒と言い放つが、言葉通りの雰囲気は全く感じられない。
むしろ、だからこそ楽しいと言いたいくらいだ。
「話は終わりかしら?」
「ああ。君となら話が無くても一緒に居たいんだけどな」
「まぁ。そうやって他の女の子のことも口説いていたのかしら?」
ミリアの軽口にもルッツは怯む様子はない。むしろ、楽しんですらいる。
「まさか。これでも誠実な人間で通ってるんだ」
「誠実な人間は婚約者でもない相手の屋敷に押しかける真似はしないわよ?」
「手厳しいな」
肩をすくめて参ったという感じだが、もちろんポーズでしかない。
楽しい。
ミリアは素直にそう感じた。
ルーミアやフィーネと近いようで、何かが違う。
デウスとも違う。
その違いは何なのか、わざわざ分析しようとも思わない。
その答えは、もう先に見えている気がするから。
「じゃあ行こうか」
そう言い、ルッツが手を差し出す。
あまりに自然に出された手に、ミリアは知らず自分の手を乗せていた。
男の手。
触れるのは初めてじゃないし、ダンスの時にも触れている。
なのに、その時とはまるで違うように感じてしまっている。
その大きさ、皮膚の固さ、温かさに心が安堵する。
手を握り込まれ、手をつないでしまった。
今更振りほどくわけにもいかず、ルッツに導かれるまま、ミリアは空き教室を出た。
後ろに続くルーミアは、それを温かく見守る。
主人に毒舌を吐く侍女の表情は、ミリアが見たことが無いほどに柔らかな笑みを浮かべていた。それを、ミリアは見ることがなかった。
ミリアは落ち着かない心を落ち着かせようと大きく息を吐く。
「…本当によろしいのですか?」
ルーミアの問いにミリアは黙ってうなずく。
今日はルッツを呼び出している。
目的は…ミリアが『ミリア』ではないことを告げるためだ。
事前に両親に話すことについて承諾を得ている。
二人ともルッツについては毎日屋敷の前まで迎えに来ているのだから、ある程度は知っている。それについてはミリアよりもずっと危険視していた。
護衛も兼ねているルーミアがいるから事を荒立ててはこなかったが、ミリアが決着をつけるためと言えば、『ミリア』ではないことを告げるも了承してくれた。
あとは本人に告げるだけだ。
告げることで、ここにいるミリアは『ミリア』ではない、ルッツに求婚し下僕のように扱った少女はもういない、貴方が好きな女性はもうこの世にいないのだと、教えるのだ。
そうすれば、もうルッツはミリアに求婚を迫ることもないだろう。彼の恋はそこで終わる。
にも関わらず、ルッツを諦めさせるためだというのに、ミリアの心は落ち着かない。
ルッツの反応が怖い。
果たして彼は、自分の好きな女性が実は全くの別人であると知ったとき、どう反応するのか。
言ってしまえば、それは周囲を裏切る行為に他ならない。だましていたのだから。
そのことを言われるのではないか、そんな不安がミリアの頭の中を駆け巡っている。
そのままミリアとして生きることを提示したのは父だ。ミリアが提案したことではない。けれど、その選択を選んだのはミリア自身。指摘されれば逃げ道は無い。
それでも言わなければならないのだ。彼の為に。そして……ミリア自身のためにも。
そして、ついにルッツ来訪の知らせが届く。
以前にいきなり来た時と違い、今回はしっかり迎える準備は整えている。
服も、普段屋敷内で過ごす際のリラックスした服装ではなく、客人を出迎えるための正装だ。淡い青のドレスに、髪を結い上げ、銀の首飾り。令嬢としての武装を整え、ミリアは戦場へと向かった。
「ようこそ、いらしてくださいました、ルッツ様」
「あ、ああ。お招き感謝する」
カースタ家の令嬢として客人を出迎えたミリア。
一方のルッツは、明らかに挙動不審だ。ミリアがミリアとなってから、こうしてルッツを呼び出したことは初めてだ。それに、ミリアの服装が正装になっていることも、彼にこれから何が行われるかの不安を煽っているに違いない。
応接室へと招き、向かい合わせにソファーに座る。
ミリアの背後にはルーミア、そして数少ないミリアを知る一人として執事もいる。
この執事は普段はカースタ家当主を支える執事長の補佐をしている。なので、こうしてミリアにつくことはほぼない。その彼が何故この場にいるかと言えば…率直に言えば護衛である。万が一、真実を知ったルッツがミリアに乱暴しようとした際にルーミアだけでは抑えきれない場合の保険である。ルーミアはルッツを投げ飛ばしたこともある。しかしあれは不意を突いただけだ。ルーミアは確かに普通の女性よりは膂力は優れている。だが、明らかに体格が異なるルッツを力で打ち負かせるほどではない。その彼が我を忘れて本気で暴れればルーミアでも抑えられる保証はない。故の保険である。
二人の前に、ルーミアが紅茶を置く。
その紅茶を一口飲んで、ミリアが口を開いた。
どう切り出せばいいかとずっと考えていた。しかし、下手な遠回しはただの言い訳にすぎないと気づき、ミリアは率直に伝えることにした。
「…ルッツ様、私はあなたに伝えたいことがあります」
「……なんだろうか?」
彼の緊張した表情がさらに強張る。
それは明らかに怯えだ。彼の頭の中では、もうミリアに付きまとうなと、拒絶されるだろう言葉が来ると思っているのだろう。しかし、ミリアが話す内容はそれ以上に残酷だ。
「私は……『ミリア』ではありません」
「………」
ルッツの表情が固まる。
当然の反応だ。そんなことを言われれば誰だって固まる。
そして、そんなことを言いだした主人に対し、ルッツの目が後ろの二人に向けられる。
しかし真実を知っている二人は、主人の言葉に微動だにしない。
「これから話すことはすべて真実です。あなたは……それを受け入れなければなりません」
そうして、ミリアは語りだす。1年前のあの日、自分が病気で死に、そして同じく病気で死んだ『ミリア』の体に生まれ変わったことを。
「あなたが好きだという『ミリア』はもうこの世にはおりません」
「………」
「…話は、以上です」
「………」
話を終え、残酷な真実を突き付けたことで、ルッツは言葉を失っていた。
その表情からは、彼が今何を考えているのかは読み取れない。
重い沈黙が場を支配する。
「……分かった」
ルッツはそれだけ言い、立ち上がった。
顔を俯かせたまま、もう表情は分からない。
「……一つだけ、聞かせてほしい」
「…どうぞ」
「俺と、婚約解消したのは何故だ?」
その問いの答えは以前にもしているはず。
しかし、彼が求めている答えはそういうことではないのだろう。
だから、ミリアはその本音を口にした。
「……あなたと婚約したのは『ミリア』であって、私ではありません。私が望んだ婚約ではありませんから」
「…そうか」
それだけ言い、ルッツは帰っていった。見送りは不要だという。
言葉に従い、馬車に乗るルッツの姿を窓越しに見送った。
それからしばらく…一週間ほどだろうか。
ルッツはミリアに近寄ることはしなくなった。
屋敷の前に迎えに来ることも、お昼に一緒に食堂にいることも。
二人について様々な憶測が流れ、一番有力なのはルッツがミリアに愛想をつかし、別の女性と親しくなったのだろうという内容。
遠からず当たっていると小耳に挟んだミリアは思った。
しかし、そんな状況にフィーネは大層ご不満のようだ。
「呆れますわ!その程度の方だったなんて!」
呆れてるというより明らかに怒ってるのだが、そんなことに突っ込むミリアではない。
「いいのよ、気になさらないで」
「ですが!」
「フィーネ、そんな膨れたりしてると顔だけまんまるになっちゃうよ?」
「デウス様も!同じ女性を取り合った男があんなんでよろしいんですの!?」
場所は放課後の食堂。人気が少なく、雑談を交わすにはもってこいだ。
最近はますますフィーネのデウスへの態度が変化…遠慮がなくなりつつあり、それに呼応するようにデウスもフィーネへの態度も本来のいじわるな性格を表に出しつつある。
「僕としてはそんなに彼を意識してたつもりはないんだけどね」
「その割には毎回言い争いなさっていたと思いますが?」
「だって彼面白いし」
つまり単なるおもちゃだったということか。
「で、どんなふうにとどめをさしたの?」
デウスにそう問われ、ミリアは思わず視線を外した。まさか自分が『ミリア』じゃないと言った、と言えば間違いなく混乱が起きる。
「…もう来ないで、そう言いました」
「へぇ?」
途端に、デウスの目が鋭く光る。
「彼、絶対にあきらめないって言ってたんだけどなぁ?」
「…そうじゃなかった、ということじゃないですか?」
「自分ではそう思ってても、案外当人に言われると効くものですわ、そういう言葉は」
ミリアとフィーネのフォロー(?)に、それでもデウスは納得がいかないようで、視線をミリアから外さない。明らかに疑っている。
「…まぁいいや。聞きたくなったら彼に聞くから」
「それ!…は……」
万が一、彼の口から漏れたりしたら…その焦りが出てしまった。
その焦りが、さっきの内容が嘘だったということを物語ってしまっている。
「それは?何かな?」
顔はにこやかなのに、全然笑っている雰囲気が伝わってこない。
そのプレッシャーに、ミリアも微笑みを浮かべるが頬が引きつっている。
今更ながらに、目の前の人物が王族であることを思い出す。
「デウス様、その辺にしてくださいませ」
デウスをなだめるようにフィーネが間に入った。
「聞きたくないかい?君も」
そのフィーネも仲間に加えようと、デウスが誘いの言葉を投げる。しかし、フィーネはそれに首を横に振って自らの意思を示した。
「仰られた言葉がたとえ偽りだとしても、ミリア様は無暗に嘘をつく方ではございません。ですから、私はミリア様を信じますわ」
「フィーネ……様……」
フィーネの寄せる信頼が、真実を言えない心苦しさと同時に信頼してくれる嬉しさを与えてくれる。知らず、ミリアはフィーネの手を取り、握りしめていた。
「ミリア様?」
「ありが…とう…」
ミリアの視界にぼやけが生じる。
今にも零れ落ちそうなそれは、まばたきと共に頬を伝う。
その雫は、地に落ちる前に信頼してくれる友の手によって拭われた。
「…妬けちゃうなぁ」
デウスのぽつりとしたつぶやきを、フィーネは聞き逃さなかった。
にっこりと微笑み、問う。
「どちらにですの?」
「両方」
「ふふふ」
フィーネの笑い声が響く。
本当にいい友人を持った…ミリアはそのことに心から感謝した。
***
その日も授業を終え、ミリアとルーミアは帰路についた。
こうしているとフィーネか、まれにデウスと門までの道のりを共にすることもある。
しかし今日はどちらとも会うことなく、そのまま門へとたどり着いた。
…そこに、ここしばらく姿を見てなかった人物が門に寄りかかって立っていた。
「……ミリア、あなたと話がしたい」
開口一番、ルッツはそう切り出した。
言葉はいつになく真剣みを帯びていて、これまでミリアを見ていた時の子犬のような瞳はそこにはない。
ミリアとルッツの間にはもう今は何の関係もない。
あるのは過去婚約していたということだけ。
だから、ルッツの要求に応じる必要はない。
「ええ、いいわ」
けれどミリアは応じた。
それは、ルッツの瞳がどこまでも真剣で、まっすぐにミリアを見つめていて…あのダンスの時に見せた光と熱を感じてしまったから。
場所を移し、空き教室へと移動した。
机が隅に寄せられてしばらく使われていなさそうだが埃っぽさは無く、使われなくてもしっかり清掃されているようだった。
ルッツは窓際へと歩み寄り、西日を背にしてミリアへと振り向く。
ルッツに対しミリアは片された机に背を向けた。
向かい合わず、直角の位置関係。
ルーミアは西日の届かない影に入り、あえて二人の間に立ち入らぬようにしている。
「ずっと……考えていた」
口火を切ったのはルッツ。
天井を見上げ、その眼は空を見つめている。
「あなたは……『ミリア』じゃない…」
ルッツの独白を、ミリアは黙って聞き入れる。
「俺は……婚約を解消されたとき。婚約を解消されたくないと思った。でも、何でそう思ったのかが分からなかった。俺自身、婚約を解消したいと思っていたはずなのに。考えて、それでもただ婚約を解消したままにしたくなかった。それでやっと気づいたんだ。俺は、ミリアが好きだったんだって。でも、それはとっくに遅くて。ミリアは全然俺を眼中に入れてなかった。まるで興味が無いと。それでも俺は諦められなくて……なんとか君と婚約したいと思っていた。………でも、君はそもそも『ミリア』じゃなかった」
「………」
「言われたときは…本当に、何を言ってるんだろうと思った。でも、君もいつも君に仕える従者も真剣で、何一つ嘘をついているようには見えなかった。真実だと、でも信じられなくて…いや、信じたくなかった。信じてしまえば…俺が好きなミリアがそこにいないとわかってしまうから。けど、家に帰ってから、今まで復帰した君のことを思い出してみたら……ただ病み上がりという理由だけでは説明がつかない程…君は俺が知る『ミリア』じゃなかった。そんなことにも気づかないくらい、俺は自分のことしか考えてなかった。君と婚約することしか考えていなかった。だから……君の目に俺が映ることはなかった。それで、君がミリアじゃないと理解した時……俺の恋は終わったことを知った」
ルッツの独白は続く。
いつしか、天井を見上げていた眼は、ミリアをまっすぐに見つめていた。
「もう、『ミリア』はいない。いるのは、俺が知らないミリア。じゃあ、俺はどうしたらいいんだろうって。そんなとき、ふと思い浮かんだのは、あなただ」
ルッツとミリアの目が合う。その瞳にあるのは、あの光と熱の煌めき。
「あなたは『ミリア』じゃない。違う女性だ。…『ミリア』の代わりでもない。なのに、それが分かっているのに、貴女のことが消えない。どんなにその想いを消そうとしても、消えてくれないんだ」
「………」
「…俺は、恋が終わった瞬間にもう恋をしていた」
その眼の強さに、ミリアは息を呑む。
「あなたのことが好きだ。決して、『ミリア』の代わりとしてじゃない。ただ、純粋にあなただけが好きだ」
「……」
「金も、家のつながりも、俺には不要だ。ただ君だけが欲しい」
「……ルーミアも一緒じゃなきゃ嫌よ?」
あまりに直接的すぎる言葉に、つい軽口でごまかそうとしてしまう。
けれど、ルッツは揺るがない。
「ああ、いいとも。君のためならば、喜んで俺が雇い入れよう」
「…私は、別にあなたのことなんか…」
熱に充てられた心臓がうるさくて、思わず手を当ててしまう。。
本当になんとも思っていない相手ならば、こんなに胸が高鳴るはずがない。
ここに来ることすらしない。
それが分かっていても、ミリアは自分がルッツにどんな感情を抱いているのか、認めたくなかった。
「それでもいい。それでも、俺は君が好きだ。君の隣にいるのが俺でいてほしい」
「私の隣は……ルーミアが」
「私はお嬢様の後ろでも十分です。というかさっきから逃げ道に私を使わないでください」
敬愛する侍女に軽口をつぶされ、挙句その先も潰されてしまった。
恨みがましく見つめれば友人たる侍女はいつもの無表情。
しかし、目をルッツに戻せばいつの間にか目の前にいる。
見上げれば、見下ろしていた碧眼が下がり、今度はミリアが見下ろす形になる。
跪いたルッツは、ミリアの手をそっと取る。取られた手を振り払う気にもなれず、そこにルッツの唇が近づいていく。
「っ!」
一瞬だけ触れた感覚に総毛だつ。
前世ではありえなかった、手の甲へのキス。
それだけだというのに、そこから電流が流し込まれたかのよう。
「…いますぐ結論を出してくれなくていい。だが…」
言葉を切り、ミリアを見上げたルッツはその真剣なまなざしでミリアを見据える。
「俺は君以外の誰かを娶るつもりはない。たとえ…君に断られても、君に最も近しい男がいたとしても、俺は永劫君だけを想い続ける」
「…じゃあ一生独身でもいいというの?」
もし…ミリアがルッツを選ばなければ、そういうことになる。
それに、ルッツは力強く頷いた。
「うわ、重……」
ルーミアの呆れたようなセリフ。
確かに、好きでもない男にこんなことを言われれば、それは何があってもずっと付きまとうということだ。恐怖を感じてもおかしくないだろう。好きでもない男、ならば。
「ほんと、重いわね…」
そう言うミリアの顔に恐怖の色は無い。むしろ、わずかに口角が上がってすらいる。
「それが本当、ならね」
「俺が嘘を言っているとでも?」
「口だけなら何とでも言えるわ」
あざ笑うような笑みを浮かべるミリアに、挑戦的な笑みへと変わったルッツ。
(…案外、お似合いかもしれませんね)
そうルーミアは内心思う。
ルーミアの仕える主人は、超がつくほどの貧弱だが、その精神は驚くほど図太い。
突発的なことに弱い一面があるものの、王族相手でも言い難いことをきっぱり言い放つあたり、肝が据わっている。普通の淑女なら恐怖すら感じるルッツの言葉に、恐れるどころか挑発する始末。だからこそ面白い、とルーミアは思う。
「それで、明日からどうするのかしら?」
「変わらないさ。明日の朝も、迎えに行こう」
「乗らないわよ」
「乗ってくれるまで続けるさ」
お互いに良い笑顔で言い合う。
その状況に、ミリアは心を高鳴らせていた。
正面の相手は、やっと現れたミリアを見てくれる相手。『ミリア』ではない、ミリアを。
そして、嫌われようとも構わないとばかりに、おのれの信じる道を突き進み、自分を好いてくれる。
そんな相手を、好かないはずもない。
「デウス様がいるわよ?」
「誰がミリアに求婚しようとも変わらんさ。それに…」
言葉を切ったルッツは、口元に手を当て、こらえきれない笑いを抑えるようにつぶやく。
「そのデウス様に、別の令嬢を当て込もうとしているのは誰だよ?」
「あらばれた?」
「気が付かないでか。あれほどあからさまじゃデウス様も呆れてたぞ?」
「そのまま愛想尽かしてくれればいいわ」
「…王族相手にそんなこと言うやつは、お前以外いないだろうな」
心底呆れたといった様子のルッツに、ミリアはこれまたいい笑顔を向ける。
「面倒でしょ?」
「誰が?」
「…あなたが思った相手が」
「ああ、とんでもなく面倒な相手を好きになっちまったよ」
言外にミリアを面倒と言い放つが、言葉通りの雰囲気は全く感じられない。
むしろ、だからこそ楽しいと言いたいくらいだ。
「話は終わりかしら?」
「ああ。君となら話が無くても一緒に居たいんだけどな」
「まぁ。そうやって他の女の子のことも口説いていたのかしら?」
ミリアの軽口にもルッツは怯む様子はない。むしろ、楽しんですらいる。
「まさか。これでも誠実な人間で通ってるんだ」
「誠実な人間は婚約者でもない相手の屋敷に押しかける真似はしないわよ?」
「手厳しいな」
肩をすくめて参ったという感じだが、もちろんポーズでしかない。
楽しい。
ミリアは素直にそう感じた。
ルーミアやフィーネと近いようで、何かが違う。
デウスとも違う。
その違いは何なのか、わざわざ分析しようとも思わない。
その答えは、もう先に見えている気がするから。
「じゃあ行こうか」
そう言い、ルッツが手を差し出す。
あまりに自然に出された手に、ミリアは知らず自分の手を乗せていた。
男の手。
触れるのは初めてじゃないし、ダンスの時にも触れている。
なのに、その時とはまるで違うように感じてしまっている。
その大きさ、皮膚の固さ、温かさに心が安堵する。
手を握り込まれ、手をつないでしまった。
今更振りほどくわけにもいかず、ルッツに導かれるまま、ミリアは空き教室を出た。
後ろに続くルーミアは、それを温かく見守る。
主人に毒舌を吐く侍女の表情は、ミリアが見たことが無いほどに柔らかな笑みを浮かべていた。それを、ミリアは見ることがなかった。
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