21 / 30
第21話
しおりを挟む
廊下に伸びていたアーノルドは無事に使用人たちに連れ帰されていった。
その後、父にこってりと絞られた。
ちなみに、兄の言い分としてはリュエル公爵家の令嬢に言い寄られてしまったことに相当な危機感を持ったようで、そこで結婚適齢期であり結婚も婚約もまだな令嬢が多い学園に令嬢に目を付けたようだ。そこで、学園に通う身であるミリアのもとへ来た…ということらしい。
「相当に焦っているようね…」
「飼育係がお似合いかと思います」
何の、とは言わない辺りルーミアも少しは学習したようだ。
とはいえ、ミリアとしてもあれが義姉になるのは勘弁してもらいたい。
よく考えれば、アーノルドの嫁ということはミリアの義姉になるということだ。
そうなれば、いずれ家を出る身とはいえ、仲の良い関係を築いていきたい。
その相手をあえて自分が選んでおけば、今後においてより良好な関係を築けるんではないだろうか。
そう思ったところで思考が止まる。
あのアーノルドに紹介する?妹とはいえ、無断で扉を開ける作法のさの字も無い男に?
「無理ね…」
ぽつりと漏れた一言。聞こえたルーミアがうんうんと頷いている。
そこで思い浮かんでしまうのは、ヴィオーネだ。
アーノルドに果敢に挑み、転ばせた豪の者。
彼女ならアーノルドを抑えつけられるのではないだろうか。
とはいえ、彼女はアーノルドを大層嫌っている。
だから先日案としては出したけども満場一致で却下した。
…しかし、物は試しという言葉もある。
今のアーノルドは相当切羽詰まっている。跡継ぎどころか、最悪の結婚になりそうなくらいに。となれば、見た目も家柄も中身も問題ないヴィオーネは最高の条件だ。
あとはヴィオーネ側だが、これはもう言ってみるしかない。
***
「冗談でしょう?」
顔はにこやか、背景は真っ黒、あまりに対照的なその様子にミリアは背筋を震え上がらせた。
ヴィオーネを捕まえ、適当な雑談で場を温め、アーノルドとの婚約について話を切り出したところこの返事だ。
「い、いえ、冗談ではありま…」
否定しようとしたところでヴィオーネの目が一層きつくなる。
まるで蛇に睨まれた蛙よろしく、言葉が紡げない。
縮こまるミリアを見て、ヴィオーネは目元を和らげ、はぁと一息吐いた。
「…アーノルド様の噂については私も存じ上げております。各家の未婚の令嬢に手当たり次第に求婚していると。あのようなことをされれば例え相手が資産家で侯爵家の令息といえど、悪評が立って仕方ありませんわ」
「そう、ですわね…」
相手のことも、女性の機微も察しないアーノルドにそんなことを理解しろといったところで無駄だろう。なにせ、彼にとって今回の結婚は跡継ぎのための条件でしかないのだから。
「で・す・が!」
再度目元を吊り上げ、ミリアをにらみつける。そのにらみつけの威力たるや、後ろにルーミアがいなければ逃げ出したくなるほどだ。
「だからといってあのような女性の敵と結婚するなど嫌がらせ以外の何物でもありませんわ!二度とそのような話をなさらないでいただけるかしら!」
「は、はい…」
こうまで強固に拒絶にされてはもうミリアとしては何も言えない。
あとはもうアーノルドの頑張りに懸けるしかないかもしれない。
「第一、何故あなたが彼の結婚相手を探しておりますの?以前には『ざまぁみろ』と仰ってらしたではありませんか?」
「その時とは状況が変わりまして…」
「ほほう?」
キランとヴィオーネの目が光る。
「それは一体どのような状況でして?」
「いえ、それはさすがに家のことなので…」
「その家のことが原因であなたが私に結婚の話をしてきたのでは?なら、それを言わないのは卑怯ではなくて?」
「うっ……」
そう言われてしまえばその通りだ。そもそもが家の問題なのに、それの解決に外部の人間であるヴィオーネを使おうとした。その罪悪感がミリアにのしかかる。
「それに、その事情次第では協力してあげてもよろしくてよ?」
「………」
ヴィオーネの協力。それは非常に魅力的だ。
なにせ彼女は学園中の令嬢に慕われる姉御令嬢。今こうしてミリアから話を聞き出そうとしているのも、野次馬半分、もう半分は世話好きの血からだ。
「実は…」
「…それはまた…」
跡継ぎにミリアも候補に入っていること。先日にはリュエル公爵家の令嬢が押し入ってきたこと、このままでは自分が跡継ぎになるか、リュエル公爵家の令嬢が義姉になってしまうこと。その苦悩をミリアは語った。
「仰るとおり、お兄様の求婚に応えてくれる家はどこにもございません。かといって、あまりにその……受け入れるにはアレな方はちょっと。だからといって、私が跡継ぎになるのは…」
「そうですわね…」
考え込むヴィオーネ。
すると、ヴィオーネはゆっくりと瞳をミリアに向けた。
「…ちょっと我儘がすぎるんじゃなくて?」
「えっ?」
思わぬヴィオーネの言葉にミリアはぽかんとした。
「あなたが、よ。どれもあなたが嫌だから、それだけで私に結婚してくれだの、ちょっと我儘なんじゃありませんの?貴族の娘…いえ、子なら優先すべきは家の繁栄ですわ」
「それ、は…」
「なのにあなたときたら自分のことばかりで跡継ぎは嫌、義姉は嫌…それを我儘と言わず何と言いまして?」
「………」
ヴィオーネの言葉がミリアに突き刺さる。
ヴィオーネの正論が、ミリアの心をえぐっていく。
(確かに……そう、なんだけど…)
けれど、ミリアとしては好きで貴族家に生まれた…生まれ変わったわけじゃない。ただ病気の体ではできなかった、好きなことをしたい。好きな人と結ばれたい。ただそれだけを叶えたい。その思いしかなかった。
「家のことを考えるのなら、あなたは彼のこともあきらめる…その選択も必要ですわ」
ヴィオーネの言葉にミリアは愕然とする。
彼を諦める…ルッツのことを諦める。
(諦…める…?ルッツ……を……)
あの光と熱がこもった目が思い出される。あの目で見つめられるとミリアの心はわしづかみにされたかのようにルッツから離れない。
あの目で見られることが、今までのように軽口でのやりとりも、この先にあると思っていたことも…
その、すべてが失われる。
「…ちょっと、ミリア様!?」
「……えっ?」
慌てたヴィオーネがハンカチを取り出し、ミリアの目元に当てる。
その時になってようやく、ミリアは涙を流していたことに気づいた。
ルーミアもすぐさま涙を拭きにかかる。
けれど涙が止まらない。失われる恐怖が、つらさが、悲しみが、流れた涙の分だけ増幅されていくよう。
それが嗚咽に変わるまでにそう時間はかからなかった。
「ふっ……ふぐっ……うぅ……」
「えっ、ちょ、まっ…な、何でですの!?」
ヴィオーネが狼狽するも涙は止まらない。
「い……や……ひくっ…」
「仕方ありませんわ。女性であろうと、家を継ぐのは…」
「ルッ……ツ……」
「………えっ、そっち?」
「お見苦しいところをお見せしました……」
「いえ……」
ようやく嗚咽が収まったミリア。
場には気まずい空気が流れる。
「そこまで彼のことを愛してらっしゃるのね…」
「………」
そう言われ、けれどまだミリアは素直にうなずけない。ルッツを失うのが嫌であれだけ大泣きしながらまだ認めない強情な主人にルーミアはうんざりし始めていた。
「ですが、それでも貴族なら……」
そこまで言ってヴィオーネは言葉を切った。また泣かれてはかなわないからだろう。
そこで、ルーミアが口をはさんだ。
「何をおっしゃいます?」
「えっ?」
「えっ?」
意図が分からず、ミリアとヴィオーネはルーミアを見つめる。
「傲慢、我儘、我が道を行くがモットーのお嬢様が他人の言うことに従って生きるなど、このルーミア、天地がひっくり返ろうともあり得ないと信じております」
「それは…もう…」
それはもう『ミリア』のころの話だ。今はもう違う。ルーミアもそのことは分かっているはず。なのにあえてそれを出してきた意図はなんなのか。
「ルーミアさん。だからといってですね…」
「違いますか?お嬢様」
ヴィオーネの言葉を遮り、ルーミアはミリアに念押ししてくる。
そこでようやくミリアはルーミアの意図を察した。
そう、ミリアはかつての『ミリア』とは違う。
だが、思い起こせば、ミリアとなったこれまでのことすべて、ミリアの我儘なのだ。
『ミリア』ではない自分を『ミリア』の両親に受け入れさせたこと、1年もの間ルーミアにリハビリを突き合わせたこと、1年しかないのに学園に通えるようにしてもらったこと、ルッツとの婚約を解消させたこと、デウスとの婚約を拒否したこと…そのどれもがミリアの我儘なのだ。
方向性は違えど、はた目から見れば今のミリアも十分我儘、傲慢だ。
「…そうね…そうだったわね。そうしてきたものね。これまでも、これからも」
ニヤリとルーミアを見上げれば、ルーミアもニヤリと笑みを返してくれる。
イヤな笑顔を浮かべ合う主従にヴィオーネは口元を引きつらせた。
悪い予感しかしない、と。
「…それでは私、そろそろ失礼させて…」
席を立って逃げようとしたヴィオーネ。が、いつの間にか背後に回ったルーミアが肩を抑え、立ち上がらせてくれない。
「いつの間に!?何なんですの!?」
「まだお嬢様の話は終わっておりませんので」
「私は終わったわ!」
「ええ、その通りよルーミア。私の話は終わってないわ」
ニヤリと笑みを浮かべるミリアにヴィオーネは背筋を震わせた。
(そうよ……諦めることなんてできないし、諦めたくもない。だったら、私の我儘を突き通させてもらうわ)
本気で決意を固めたミリア。その目に宿る光は力強く、表情はずっと晴れやか。
そのミリアとは対照的に、ヴィオーネはどこか諦めたような表情だった。
その後、父にこってりと絞られた。
ちなみに、兄の言い分としてはリュエル公爵家の令嬢に言い寄られてしまったことに相当な危機感を持ったようで、そこで結婚適齢期であり結婚も婚約もまだな令嬢が多い学園に令嬢に目を付けたようだ。そこで、学園に通う身であるミリアのもとへ来た…ということらしい。
「相当に焦っているようね…」
「飼育係がお似合いかと思います」
何の、とは言わない辺りルーミアも少しは学習したようだ。
とはいえ、ミリアとしてもあれが義姉になるのは勘弁してもらいたい。
よく考えれば、アーノルドの嫁ということはミリアの義姉になるということだ。
そうなれば、いずれ家を出る身とはいえ、仲の良い関係を築いていきたい。
その相手をあえて自分が選んでおけば、今後においてより良好な関係を築けるんではないだろうか。
そう思ったところで思考が止まる。
あのアーノルドに紹介する?妹とはいえ、無断で扉を開ける作法のさの字も無い男に?
「無理ね…」
ぽつりと漏れた一言。聞こえたルーミアがうんうんと頷いている。
そこで思い浮かんでしまうのは、ヴィオーネだ。
アーノルドに果敢に挑み、転ばせた豪の者。
彼女ならアーノルドを抑えつけられるのではないだろうか。
とはいえ、彼女はアーノルドを大層嫌っている。
だから先日案としては出したけども満場一致で却下した。
…しかし、物は試しという言葉もある。
今のアーノルドは相当切羽詰まっている。跡継ぎどころか、最悪の結婚になりそうなくらいに。となれば、見た目も家柄も中身も問題ないヴィオーネは最高の条件だ。
あとはヴィオーネ側だが、これはもう言ってみるしかない。
***
「冗談でしょう?」
顔はにこやか、背景は真っ黒、あまりに対照的なその様子にミリアは背筋を震え上がらせた。
ヴィオーネを捕まえ、適当な雑談で場を温め、アーノルドとの婚約について話を切り出したところこの返事だ。
「い、いえ、冗談ではありま…」
否定しようとしたところでヴィオーネの目が一層きつくなる。
まるで蛇に睨まれた蛙よろしく、言葉が紡げない。
縮こまるミリアを見て、ヴィオーネは目元を和らげ、はぁと一息吐いた。
「…アーノルド様の噂については私も存じ上げております。各家の未婚の令嬢に手当たり次第に求婚していると。あのようなことをされれば例え相手が資産家で侯爵家の令息といえど、悪評が立って仕方ありませんわ」
「そう、ですわね…」
相手のことも、女性の機微も察しないアーノルドにそんなことを理解しろといったところで無駄だろう。なにせ、彼にとって今回の結婚は跡継ぎのための条件でしかないのだから。
「で・す・が!」
再度目元を吊り上げ、ミリアをにらみつける。そのにらみつけの威力たるや、後ろにルーミアがいなければ逃げ出したくなるほどだ。
「だからといってあのような女性の敵と結婚するなど嫌がらせ以外の何物でもありませんわ!二度とそのような話をなさらないでいただけるかしら!」
「は、はい…」
こうまで強固に拒絶にされてはもうミリアとしては何も言えない。
あとはもうアーノルドの頑張りに懸けるしかないかもしれない。
「第一、何故あなたが彼の結婚相手を探しておりますの?以前には『ざまぁみろ』と仰ってらしたではありませんか?」
「その時とは状況が変わりまして…」
「ほほう?」
キランとヴィオーネの目が光る。
「それは一体どのような状況でして?」
「いえ、それはさすがに家のことなので…」
「その家のことが原因であなたが私に結婚の話をしてきたのでは?なら、それを言わないのは卑怯ではなくて?」
「うっ……」
そう言われてしまえばその通りだ。そもそもが家の問題なのに、それの解決に外部の人間であるヴィオーネを使おうとした。その罪悪感がミリアにのしかかる。
「それに、その事情次第では協力してあげてもよろしくてよ?」
「………」
ヴィオーネの協力。それは非常に魅力的だ。
なにせ彼女は学園中の令嬢に慕われる姉御令嬢。今こうしてミリアから話を聞き出そうとしているのも、野次馬半分、もう半分は世話好きの血からだ。
「実は…」
「…それはまた…」
跡継ぎにミリアも候補に入っていること。先日にはリュエル公爵家の令嬢が押し入ってきたこと、このままでは自分が跡継ぎになるか、リュエル公爵家の令嬢が義姉になってしまうこと。その苦悩をミリアは語った。
「仰るとおり、お兄様の求婚に応えてくれる家はどこにもございません。かといって、あまりにその……受け入れるにはアレな方はちょっと。だからといって、私が跡継ぎになるのは…」
「そうですわね…」
考え込むヴィオーネ。
すると、ヴィオーネはゆっくりと瞳をミリアに向けた。
「…ちょっと我儘がすぎるんじゃなくて?」
「えっ?」
思わぬヴィオーネの言葉にミリアはぽかんとした。
「あなたが、よ。どれもあなたが嫌だから、それだけで私に結婚してくれだの、ちょっと我儘なんじゃありませんの?貴族の娘…いえ、子なら優先すべきは家の繁栄ですわ」
「それ、は…」
「なのにあなたときたら自分のことばかりで跡継ぎは嫌、義姉は嫌…それを我儘と言わず何と言いまして?」
「………」
ヴィオーネの言葉がミリアに突き刺さる。
ヴィオーネの正論が、ミリアの心をえぐっていく。
(確かに……そう、なんだけど…)
けれど、ミリアとしては好きで貴族家に生まれた…生まれ変わったわけじゃない。ただ病気の体ではできなかった、好きなことをしたい。好きな人と結ばれたい。ただそれだけを叶えたい。その思いしかなかった。
「家のことを考えるのなら、あなたは彼のこともあきらめる…その選択も必要ですわ」
ヴィオーネの言葉にミリアは愕然とする。
彼を諦める…ルッツのことを諦める。
(諦…める…?ルッツ……を……)
あの光と熱がこもった目が思い出される。あの目で見つめられるとミリアの心はわしづかみにされたかのようにルッツから離れない。
あの目で見られることが、今までのように軽口でのやりとりも、この先にあると思っていたことも…
その、すべてが失われる。
「…ちょっと、ミリア様!?」
「……えっ?」
慌てたヴィオーネがハンカチを取り出し、ミリアの目元に当てる。
その時になってようやく、ミリアは涙を流していたことに気づいた。
ルーミアもすぐさま涙を拭きにかかる。
けれど涙が止まらない。失われる恐怖が、つらさが、悲しみが、流れた涙の分だけ増幅されていくよう。
それが嗚咽に変わるまでにそう時間はかからなかった。
「ふっ……ふぐっ……うぅ……」
「えっ、ちょ、まっ…な、何でですの!?」
ヴィオーネが狼狽するも涙は止まらない。
「い……や……ひくっ…」
「仕方ありませんわ。女性であろうと、家を継ぐのは…」
「ルッ……ツ……」
「………えっ、そっち?」
「お見苦しいところをお見せしました……」
「いえ……」
ようやく嗚咽が収まったミリア。
場には気まずい空気が流れる。
「そこまで彼のことを愛してらっしゃるのね…」
「………」
そう言われ、けれどまだミリアは素直にうなずけない。ルッツを失うのが嫌であれだけ大泣きしながらまだ認めない強情な主人にルーミアはうんざりし始めていた。
「ですが、それでも貴族なら……」
そこまで言ってヴィオーネは言葉を切った。また泣かれてはかなわないからだろう。
そこで、ルーミアが口をはさんだ。
「何をおっしゃいます?」
「えっ?」
「えっ?」
意図が分からず、ミリアとヴィオーネはルーミアを見つめる。
「傲慢、我儘、我が道を行くがモットーのお嬢様が他人の言うことに従って生きるなど、このルーミア、天地がひっくり返ろうともあり得ないと信じております」
「それは…もう…」
それはもう『ミリア』のころの話だ。今はもう違う。ルーミアもそのことは分かっているはず。なのにあえてそれを出してきた意図はなんなのか。
「ルーミアさん。だからといってですね…」
「違いますか?お嬢様」
ヴィオーネの言葉を遮り、ルーミアはミリアに念押ししてくる。
そこでようやくミリアはルーミアの意図を察した。
そう、ミリアはかつての『ミリア』とは違う。
だが、思い起こせば、ミリアとなったこれまでのことすべて、ミリアの我儘なのだ。
『ミリア』ではない自分を『ミリア』の両親に受け入れさせたこと、1年もの間ルーミアにリハビリを突き合わせたこと、1年しかないのに学園に通えるようにしてもらったこと、ルッツとの婚約を解消させたこと、デウスとの婚約を拒否したこと…そのどれもがミリアの我儘なのだ。
方向性は違えど、はた目から見れば今のミリアも十分我儘、傲慢だ。
「…そうね…そうだったわね。そうしてきたものね。これまでも、これからも」
ニヤリとルーミアを見上げれば、ルーミアもニヤリと笑みを返してくれる。
イヤな笑顔を浮かべ合う主従にヴィオーネは口元を引きつらせた。
悪い予感しかしない、と。
「…それでは私、そろそろ失礼させて…」
席を立って逃げようとしたヴィオーネ。が、いつの間にか背後に回ったルーミアが肩を抑え、立ち上がらせてくれない。
「いつの間に!?何なんですの!?」
「まだお嬢様の話は終わっておりませんので」
「私は終わったわ!」
「ええ、その通りよルーミア。私の話は終わってないわ」
ニヤリと笑みを浮かべるミリアにヴィオーネは背筋を震わせた。
(そうよ……諦めることなんてできないし、諦めたくもない。だったら、私の我儘を突き通させてもらうわ)
本気で決意を固めたミリア。その目に宿る光は力強く、表情はずっと晴れやか。
そのミリアとは対照的に、ヴィオーネはどこか諦めたような表情だった。
477
あなたにおすすめの小説
大事なことなので、もう一度言います。メインヒロインはあちらにいるのでこっちに来ないでください!!
もち
恋愛
「ニコ、一緒にマギア学園に入ろうね!約束」
「うん、約束!破ったらダメだよリリィ!」
「ニコもだよ!」
あ〜今日もリリィは可愛いな〜優しいしリリィと友達になれて良かった!!
ん?リリィ、?どこかで聞いたことあるような名前だな?
この可愛い笑顔もどこかでみたことが
う〜ん、、、あっ、、わかった
「恋の魔法を君に」っていうゲームだ
画面越しにずっと見て名前を呼んでいたこのゲームのメインヒロイン
リリィ・スカーレットだ
そこで、一気に昔の記憶が蘇ってきた。
確かリリィは、学園に入るといろんな攻略対象たちから恋愛感情を向けられるはず、、、
ってことは私は幼少期から一緒にいるメインヒロインの友達モブ
ゲームストーリーにはいなかったよね?
王妃ですが都からの追放を言い渡されたので、田舎暮らしを楽しみます!
藤野ひま
ファンタジー
わたくし王妃の身でありながら、夫から婚姻破棄と王都から出て行く事を言い渡されました。
初めての田舎暮らしは……楽しいのですが?!
夫や、かの女性は王城でお元気かしら?
わたくしは元気にしておりますので、ご心配御無用です!
〔『仮面の王と風吹く国の姫君』の続編となります。できるだけこちらだけでわかるようにしています。が、気になったら前作にも立ち寄っていただけると嬉しいです〕〔ただ、ネタバレ的要素がありますのでご了承ください〕
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
うわさの行方
下沢翠花(しもざわすいか)
恋愛
まだ十歳で結婚したセシリア。
すぐに戦場へ行ってしまった夫のニールスは優しい人だった。
戦場から帰るまでは。
三年ぶりにあったニールスは、なぜかセシリアを遠ざける。
ニールスの素っ気ない態度に傷つき疲弊していくセシリアは謂れのない酷い噂に追い詰められて行く。
愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。
人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。
それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。
嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。
二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。
するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー
「出来損ないの妖精姫」と侮辱され続けた私。〜「一生お護りします」と誓った専属護衛騎士は、後悔する〜
高瀬船
恋愛
「出来損ないの妖精姫と、どうして俺は……」そんな悲痛な声が、部屋の中から聞こえた。
「愚かな過去の自分を呪いたい」そう呟くのは、自分の専属護衛騎士で、最も信頼し、最も愛していた人。
かつては愛おしげに細められていた目は、今は私を蔑むように細められ、かつては甘やかな声で私の名前を呼んでいてくれた声は、今は侮辱を込めて私の事を「妖精姫」と呼ぶ。
でも、かつては信頼し合い、契約を結んだ人だから。
私は、自分の専属護衛騎士を最後まで信じたい。
だけど、四年に一度開催される祭典の日。
その日、私は専属護衛騎士のフォスターに完全に見限られてしまう。
18歳にもなって、成長しない子供のような見た目、衰えていく魔力と魔法の腕。
もう、うんざりだ、と言われてフォスターは私の義妹、エルローディアの専属護衛騎士になりたい、と口にした。
絶望の淵に立たされた私に、幼馴染の彼が救いの手を伸ばしてくれた。
「ウェンディ・ホプリエル嬢。俺と専属護衛騎士の契約を結んで欲しい」
かつては、私を信頼し、私を愛してくれていた前専属護衛騎士。
その彼、フォスターは幼馴染と契約を結び直した私が起こす数々の奇跡に、深く後悔をしたのだった。
【誤字報告ありがとうございます!大変助かります(´;ω;`)】
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
私は彼に選ばれなかった令嬢。なら、自分の思う通りに生きますわ
みゅー
恋愛
私の名前はアレクサンドラ・デュカス。
婚約者の座は得たのに、愛されたのは別の令嬢。社交界の噂に翻弄され、命の危険にさらされ絶望の淵で私は前世の記憶を思い出した。
これは、誰かに決められた物語。ならば私は、自分の手で運命を変える。
愛も権力も裏切りも、すべて巻き込み、私は私の道を生きてみせる。
毎日20時30分に投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる