美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)

ヒロイン小説研究所

文字の大きさ
50 / 84

しおりを挟む
④美聖女仮面デビルワールは、美咲の歩いているのを確認すると、先回りして人間を襲い、美少女仮面エスポワールに変身してくるであろう美咲を待っていた。
 美聖女仮面デビルワールに襲われてそうになった男は酔っていた。
「お姉ちゃん、ウヘッ、コスプレしてんの、そんで、俺に何のようなのかな」
「あんた、酔っているの? まあいい、人質だから大人しくしなさい」
「おい、マントの姉ちゃん、遅くなったら母ちゃんに怒られるから付き合っていられねってんだ、バカヤロウ!」
 美聖女仮面デビルワールは、うるさい酔っ払いを魔法で縄で海苔巻きのように縛って近くの木につるした。
「助けてくれ~~~かあちゃ~~~ん」
「夢ある限り戦いましょう、美少女仮面エスポワール参上!」
「きたわね、希望!」
 ギクッ ばれている・・・・・
「わたくしは、希望さんではありません、人違いですわ」
 どうやって誤魔化そうかと焦っていると、「この前、GPSを付けて、希望の家に筒を持って言ったら付けた粉に反応する筒が美少女仮面エスポワールであることを教えてくたのさ、それに、いくら言葉遣いが違っても声紋はごまかされない、希望と美少女仮面エスポワールは一致した。だから、もう、誤魔化せないぞ、希望ちゃん」
 ギク~ギクギク~ どうしよう~
「それは、・・・・そう、そうなんです、私がコスプレをする希望さんにコスチュームを貸したのですわ、声紋は・・・・・、たまだま一致したのですね、私も、今聞いて驚きですわ」
「私に納得できる説明になってないね」
 美少女仮面エスポワールは、家にあるメインコンピュータに通信して助言を求めた。そして、メインコンピュータの言った通りに口から言った。
「声紋というのは、音声スペクトルを可視化した図形に対して使われた言葉ですわ、声のスペクトルは年齢や、発声方法で、大きく変わってしまうので、指紋のように声のスペクトルで人を判別できるという主張は現在ではおおむね否定されておりますの、発声の他の特徴をつかってある程度人物を特定することができますので、そのような識別を日本語で声紋認証と呼んだりいたしますが、その場合声紋が何を現すかという定まった定義はありませんですの、だから、個人を区別できる声紋というものは否定されていますし、同じ人でもスペクトルは毎回異なる、ということになりますわ」
「ええい、今度は難しすぎ! でも、声紋は確かではないということは、わかったような気がするから、捕まえてその赤い仮面を剥がしてやる」
 美少女仮面エスポワールの足下に魔方陣が出現し、グルグルと回り始めた。さらに、美咲情報の納豆ネバネバを何個も頭にかけられて、ステッキが思うように使えない。
「美少女仮面エスポワール、納豆をかけられた姿で、その魔方陣からは抜け出せない、円がだんだんと狭くなって最後に魔方陣が納豆ごとお前を包むのさ」
「イヤァ~ネバネバ~わたくしは、納豆キャンディではありません、ですから、包まれたくないですわ」
 美少女仮面エスポワールが足を動かそうとしても地面に貼り付いて動かせない。ネバネバの魔法のステッキで魔方陣を消そうとしても消えない、ピンチに陥った。
「美少女仮面エスポワール、大丈夫?」
 声をかけてきたのはいたずら三人組だった。
「わたくしは、何とかいたしますわ、それより、早くお逃げください」
「愉快な仲間達の一員ね、ふふふ~、一緒に捕まえて洗脳してやるわ」
「待て! 美少女仮面エスポワールに手を出させない」
「委員長、この子達を連れて逃げてくださいませ」
「逃げないわよ、いつものように助けるわ」
「美咲さん、この納豆ネバネバって、あなたの・・・、いえ、わたくしはネバネバでも頑張りますわ、お逃げください」
「納豆のネバネバは、この美咲に任せて、まずは、氷を」
 美咲は、美少女仮面エスポワールの全体に氷の粒をかけ、次にやけどしない程度の熱湯をかけた。
「美咲さん、わたくしをどうする気ですの」
 美聖女仮面デビルワールは、美咲の奇抜な行動を見ていた。氷にしても熱湯にしても、美少女仮面エスポワールを苦しめるからだ。最後に、海水をかけた。
「美少女仮面エスポワール、どう、ネバネバはなくなったでしょ」
「本当ですわ、ネバネバがなくなりましたわ」                                     
 美少女仮面エスポワールがステッキで魔方陣を消そうとしても消えず回り続けている。
「ははは~、無駄だ! 美少女仮面エスポワール、納豆のネバネバがとれても、最後に魔方陣によって包まれ、捕獲される運命なんだ!」
「いやですわ、でも、どうしたら・・・」
 魔方陣はどんどん狭くなってきていた。魔法では消せない魔方陣を消す方法を考えた。
 いたずら三人組が動いた。
「魔方陣は、魔法ではなくて手で消せばいいんだよ」
「魔法で消せないのに手では無理ですわ、早く、委員長健君、みんなを連れて逃げてください」
 三人組は、竹箒を使って地面に映っている魔方陣を消し始めた。魔方陣は魔法に対して効力を発揮したが、竹箒で粒子をかき回されて原型に戻る前に消えていく。
「おい、子ども、竹箒で掃くな、魔方陣が消えていく・・・」
 美少女仮面エスポワールは、魔方陣が半分消えた所で自由に動けるようになり、
「エスポワールエレガントフラッシュ!」
 美聖女仮面デビルワールは、美少女仮面エスポワールの声と同時に飛び上がり、逃げて行った。
「皆様、助けてくださり、ありがとうございました」
「ごめんなさい、美少女仮面エスポワール、氷で冷たく、熱湯で熱く、海水で濡らしてしまって」
「いえ、いつものように美咲さんには感謝ですわ」
「美少女仮面エスポワールって希望なの?」
「いえ、違いますわ、それでは、みなさん、ごきげんよう~」
「あっ、待って~話が終わってないのに・・・」
「ねえ、美少女仮面エスポワールは、美少女仮面エスポワールでいいよ、だれが正体とかやめよう」
 健の言葉にみんなが頷いた。
「おい、俺を助けてくれよ」
 酔っ払っていて人質になった男は、まだ吊されていた。

                              
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ノースキャンプの見張り台

こいちろう
児童書・童話
 時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。 進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。  赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

たったひとつの願いごと

りおん雑貨店
絵本
銀河のはてで、世界を見守っている少年がおりました。 その少年が幸せにならないと、世界は冬のままでした。 少年たちのことが大好きないきものたちの、たったひとつの願いごと。 それは…

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

アホの子と変な召使いと、その怖い親父たち

板倉恭司
児童書・童話
 森の中で両親と暮らす天然少女ロミナと、極悪な魔術師に仕える召使いの少年ジュリアン。城塞都市バーレンで、ふたりは偶然に出会い惹かれ合う。しかし、ふたりには重大な秘密があった──

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

勇者と聖女の息子 アレン ランダムスキルを手に入れて愉快に冒険します!

月神世一
児童書・童話
伝説のS級冒険者である父と、聖女と謳われた母。 英雄の血を引く少年アレンは、誰もがその輝かしい未来を期待するサラブレッドだった。 しかし、13歳の彼が神から授かったユニークスキルは――【ランダムボックス】。 期待に胸を膨らませ、初めてスキルを発動した彼の手の中に現れたのは…プラスチック製のアヒルの玩具? くしゃくしゃの新聞紙? そして、切れたボタン電池…!? 「なんだこのスキルは…!?」 周りからは落胆と失笑、自身は絶望の淵に。 一見、ただのガラクタしか出さないハズレスキル。だが、そのガラクタに刻まれた「MADE IN CHINA」の文字に、英雄である父だけが気づき、一人冷や汗を流していた…。 最弱スキルと最強の血筋を持つ少年の、運命が揺らぐ波乱の冒険が、今、始まる!

処理中です...