[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

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第一章 拠点作り

第18話:深淵の王、職人の一矢

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――静寂の狩場、臨界の呼吸――
 夜明け前の蒼い光が、銀鱗の屋根を冷たく照らす。
 ケンタロウは完成したばかりの「双獣のコンポジット・レザーアーマー」の紐を静かに締め上げた。ボアの剛性とディアの柔軟性が、彼の呼吸に合わせて心地よい軋みを立てる。

「……行くぞ、アイリス」

(……ふふ、ようやくか。あるじの心音、昨夜あんなに乱れておったというのに、今は湖面のように静かじゃな。……妾の準備も、万端ぞえ)

 アイリスは実体化せず、弓の姿のままケンタロウの手に収まっている。だが、その弦からは昨夜の「手入れ」で刷り込まれた魔力の熱が、脈動となって伝わってきた。

■王の座、そして極限の充填
 二人は一度も足を止めることなく、森の深部へと足を踏み入れた。
 やがて、その「山」が動いた。巨木の根元で身を起こす漆黒の巨躯――フォレスト・ベア。森の王の威圧感が空気を震わせる中、ケンタロウは木陰に身を潜め、アイリスを水平に構えた。

「アイリス……『極針』だ。一点に、お前のすべてを凝縮しろ」

 ケンタロウの剛腕が、アイリスの弦に指をかけた。
 ゆっくりと、だが一切の容赦なく引き絞られる弦。第二形態へと進化したアイリスの反発力は、以前とは比較にならないほど重く、そして「生々しい」。

(あ……あぁっ! きた……っ! あるじの……力が、妾の中に……っ!)

 引き絞られるにつれ、アイリスの本体である黒鋼樺が、みしみしと快楽に耐えるような音を立てる。
 ケンタロウがさらに力を込め、弦を耳元まで引き抜くと、アイリスの脳内共有された嬌声が、暴風となってケンタロウの意識を揺さぶった。

(んんぅぅっ! 苦しい……っ、身体が……引き裂かれる……っ! はぁっ、はぁ……っ! もっと……もっと強く、妾を……限界まで、張り詰めておくれ……っ!!)

 弓の表面に刻まれた魔力回路が、昨夜刷り込まれた「蜜」を燃料にして発火するように輝き出す。
 放たれるはずの光の矢が、逃げ場を失い、鏃(やじり)の一点へと猛烈な速度で圧縮されていく。銀色の光は次第に高密度な「黒」へと変色し、空間そのものを歪ませ始めた。

(あぁぁぁっ! 溜まる……っ、主様の……熱い執念が、妾の中に……溢れるほど……っ!
もう……駄目……っ、これ以上は……妾、壊れてしまう……っ!
あるじ……あるじぃッ!! 早く……放して……妾の『すべて』を、その指で……解き放ってぇぇッ!!)

 絶頂の極致、アイリスの叫びが臨界点に達した瞬間。
 王が異変に気づき、咆哮を上げようと口を開いた。その「隙」を、ケンタロウの指先は見逃さない。

『――ッ!』

 放たれたのは、音を置き去りにした一筋の銀針。
 アイリスのすべてを凝縮した一撃は、王の左眼を貫き、一切の抵抗なく後頭部へと突き抜けた。
 フォレスト・ベアは、咆哮を上げることすら許されず、巨大な音を立ててその場に崩れ落ちた。

「……仕留めたか」

 ケンタロウは、熱を持ったアイリスの弦を優しく押さえ、静かに王へと歩み寄った。

【ケンタロウのスキル熟練度】
• レザークラフト:Lv.21 (10/100)
• 解体:Lv.12 (50/100)
• 木工:Lv.13 (20/100)
• 鍛冶:Lv.5 (60/100)
• 採取・伐採:Lv.8 (50/100)
• キャンプ:Lv.3 (50/100)
• 農業:Lv.3 (20/100)
• 弓術マスタリー:Lv.5 (50/100) [+140] Level Up!
• 短剣:Lv.2 (10/100)
• 建築:Lv.5 (10/100)
• 料理:Lv.4 (30/100)
• 追跡:Lv.4 (30/100) [+45] Level Up!
• 体力向上:Lv.5 (30/100) [+80] Level Up!
• 目利き:Lv.7 (20/100) [+40] Level Up!
• 接着・加工:Lv.5 (20/100)
• 道具鑑定:Lv.4 (80/100)
• 素材との対話:Lv.11 (20/100) [+140] Level Up!
• 魔力感知:Lv.7 (10/100) [+130] Level Up!
• 感覚研磨:Lv.7 (30/100) [+120] Level Up!
• 聖霊同調(極限充填・解放):Lv.9 (10/100) [+180] Level Up!
• 魂の付与:Lv.4 (50/100) [+30]
• 話術:Lv.1 (90/100)
• 誘惑耐性:Lv.5 (50/100) [+40]
• 光矢生成(極針):Lv.5 (10/100) [+190] Level Up!
• 隠密:Lv.2 (60/100) [+175] Level Up!
• 屋根葺き:Lv.1 (50/100)
• 集中:Lv.8 (10/100) [+160] Level Up!

【設定データ・状況確認】
• 王の死: フォレスト・ベアを討伐。皮や肉は「極上」の状態で確保可能。
• アイリスの状態: 臨界を超えた一射により、弦が熱を持ち、心地よい脱力感と達成感に包まれている。

――スキルの外側、職人の矜持――
 静寂が戻った森の深淵で、ケンタロウは崩れ落ちたフォレスト・ベアの巨躯を前に、自作の短剣を抜いた。

 このゲーム『インフィニット・レルム』には、【解体】という便利なスキルがある。メニューを開き、対象を選択すれば、光の演出と共に肉や皮が「アイテム」としてドロップされる。

 だが、ケンタロウはメニューを開かない。
 彼は膝をつき、王のまだ温かい漆黒の毛並みに触れた。

「……あるじ、スキルを使わぬのかえ? この巨体を己の手だけで捌くなど、正気の沙汰ではないぞ」  

 弓から実体化したアイリスが、肩を震わせながら尋ねる。
彼女は先ほどの一射の余韻でまだ頬を上気させていたが、ケンタロウの纏う「静かな殺気」に近い集中力に、思わず背筋を伸ばした。

「システムが分ける肉に、俺の意志は入らない。……最高級の防具を作るなら、俺がこの手で、こいつの『命』の筋道を辿らなきゃならん」

■刃の対話
 ケンタロウは短剣の刃を、王の喉元へと差し入れた。
 【解体】スキルを一切発動させず、純粋な「職人の手」だけで進める作業。
 
 皮と肉の間のわずかな層。
筋膜がどこで繋がり、どこで剥がれるべきか。
 現実世界で何千枚もの革を扱ってきた経験が、デジタルの獣の構造を透視するように理解していく。

『……スゥッ、スゥッ……』

 無駄な力は一切入っていない。
刃が通るたび、美しい漆黒の毛皮が、内側の鮮やかな肉から滑るように離れていく。
 アイリスはその様子を、息を呑んで見つめていた。

(……なんという、無慈悲で……美しい手つきじゃ。スキルという『魔法』を借りず、ただの鉄の刃が、あるじの指の延長として命を解体していく。……あぁ、妾を磨いた時も、そうであったな……)

 一時間。
 通常の解体なら数秒で終わる作業に、ケンタロウはそれだけの時間をかけた。
 結果、そこにはシステムが生成する「汎用品」とは一線を画す、完璧な状態の素材が並んだ。

■討伐報酬と職人の収穫
【システムログ:特殊行動を確認】
 • 【完全手動解体】により、素材の品質がランクアップしました。
 • 獲得:『フォレスト・ベアの極上毛皮(王者の風格)』
 • 獲得:『森の王の魔核(純度:極)』
 • 獲得:『深淵の熊肉(部位別・最高鮮度)』
 • 獲得:『フォレスト・ベアの剛爪』
【討伐ボーナス】
 • 『森の支配者の証』(称号):森林地帯での隠密・威圧効果上昇。

「ふぅ……。いい素材だ。これで、次の冬を越すための装備が作れる」
 ケンタロウが汗を拭ったその時。
 【魔力感知】と、アイリスの弦が同時に鋭く反応した。

(……あるじ。客じゃ。……あまり、行儀の良い連中ではないようじゃな)

 森の奥、王がいなくなったことで開いた「穴」を埋めるように、複数の足音が近づいてくる。
 それは獣の足音ではなく、金属が擦れる音――プレイヤーの気配だった。

【ケンタロウのスキル熟練度】
• レザークラフト:Lv.21 (10/100)
• 解体:Lv.13 (10/100) [+60] Level Up! ※完全手動解体のボーナス
• 木工:Lv.13 (20/100)
• 鍛冶:Lv.5 (60/100)
• 採取・伐採:Lv.8 (50/100)
• キャンプ:Lv.3 (50/100)
• 農業:Lv.3 (20/100)
• 弓術マスタリー:Lv.5 (30/100)
• 短剣:Lv.2 (80/100) [+70] ※精密解体による刃物操作
• 建築:Lv.5 (10/100)
• 料理:Lv.4 (30/100)
• 追跡:Lv.4 (30/100)
• 体力向上:Lv.5 (40/100) [+10]
• 目利き:Lv.8 (10/100) [+90] Level Up! ※極上素材の鑑定
• 接着・加工:Lv.5 (20/100)
• 道具鑑定:Lv.5 (10/100) [+30] Level Up!
• 素材との対話:Lv.12 (10/100) [+130] Level Up! ※死した王の身体との対話
• 魔力感知:Lv.7 (40/100) [+30]
• 感覚研磨:Lv.8 (10/100) [+80] Level Up!
• 聖霊同調:Lv.9 (20/100) [+10]
• 魂の付与:Lv.4 (50/100)
• 話術:Lv.1 (90/100)
• 誘惑耐性:Lv.5 (50/100)
• 光矢生成:Lv.5 (10/100)
• 隠密:Lv.2 (80/100) [+20]
• 屋根葺き:Lv.1 (50/100)
• 集中:Lv.9 (10/100) [+160] Level Up!
• 精密剥離(新規取得):Lv.1 (80/100) [+80]

【新規取得スキル】
• 精密剥離: システムに頼らず、素材のポテンシャルを最大限に引き出しながら採取・解体する技術。

【設定データ・状況確認】
• 素材入手: 伝説級の毛皮と魔核を入手。
• 不穏な影: ケンタロウの「王殺し」を目撃、あるいは戦利品を狙って近づくプレイヤー集団の存在。
【次回予告】
第20話。現れたのは、辺境を縄張りとする略奪プレイヤー集団。
「おい、おっさん。その皮、置いていきな」
アイリスが冷たく微笑む。職人の静かな怒りが、森を再び凍らせる。
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