[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

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第一章 拠点作り

第19話:辺境の闖入者

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――無知なる強欲、聖霊の嘲笑――
 王の解体を終え、ケンタロウが立ち上がった時、原生林の藪を掻き分けて五人のプレイヤーが現れた。
重装の戦士を筆頭に、いかにも効率重視の装備で固めたパーティーだ。彼らは血抜きされたフォレスト・ベアの巨躯と、その横に立つケンタロウを見て、露骨に下卑た笑みを浮かべた。

「おいおい、嘘だろ? 辺境の端にレアボスの隠れスポットがあるって噂は本当だったか」

 リーダー格の男が、ケンタロウの足元に転がる『極上毛皮』を舐めるように見つめる。

「……何の用だ。ここは俺の作業場だぞ」

 ケンタロウの静かな拒絶に、男たちは顔を見合わせた。

「おい、こいつ……システム解体(エフェクト)を使わずにナイフでチマチマやってたぞ。この古臭い格好といい、このエリア専用の生産系NPCか?」

「ああ、ボスの死体に紐付けられたイベントキャラじゃねえの? 殺せば皮も肉も丸ごとドロップする仕様だろ、これ」

■幼き聖霊の毒舌
 彼らがケンタロウをNPCと決めつけ、剣を抜き放とうとしたその時。
ケンタロウの隣で、ひときわ小さな影がくすくすと笑い声を上げた。
 アイリスだ。
彼女は魔力消費を抑えるため、第二形態からあえて幼い「第一形態(高学年程度の少女)」へと姿を戻していた。

「……くすっ、あはははは! お主ら、本当に救いようのない馬鹿の集まりじゃな。頭の中に詰まっておるのは、ボアの排泄物かえ?」

 子供のような外見に似合わぬ、冷酷で傲慢な言葉。プレイヤーたちが毒気に当てられたように動きを止める。

「な、なんだこのガキ……、隠しキャラか?」

「ガキではない、アイリスと呼べ。……忠告してやる。あるじを相手に剣を抜くなど、自らアカウントの消去依頼(デリート)を出すようなものぞ? 運営に泣きつく暇もなく、お主らのデータはここで塵となるのじゃ」

「……アイリス、言い過ぎだ」

 ケンタロウが宥めるように前に出る。
彼はプレイヤーたちを射貫くような視線で見据え、淡々と告げた。

「よくもまあ、こんな辺境までご苦労なことだ。だが、残念ながら期待外れだぞ。俺はNPCじゃない。……プレイヤーだ。一応言っておくが、先に手を出せば正当防衛が適用される。……襲えばどうなるか、大人なら理解できるな?」

■暴発する強欲
 「プレイヤー」という言葉に、一瞬だけ男たちの間に動揺が走る。しかし、目の前の獲物――フォレスト・ベアの極上素材――の価値が、彼らの理性を焼き切っていた。

「プレイヤーだぁ? 笑わせるな。初期装備に毛が生えたようなレザーアーマーで、一人でこのボスを狩れるわけねえだろうが! どうせバグか何かでトドメだけ刺したんだろうよ」

「……そうか。交渉決裂だな」

 ケンタロウが嘆息し、アイリス(弓)を手に取った。
 その瞬間、彼の纏う空気が「生産者」のそれから、獲物の急所を一点に定めた「狩人」のそれへと豹変する。

(あるじよ……。遠慮はいらぬぞえ。お主の静かな怒りを、この妾の弦で真っ赤に燃やしてやるのじゃ……っ!)

 アイリスの本体が、主の指先に触れられて熱く、鋭く、歓喜に震え始めた。

――断罪の一矢、広がる伝説?――
 「殺せぇッ!」
 リーダー格の戦士が吠え、4人の男たちが一斉に地面を蹴った。
剣を構え、スキル発動の淡い光を纏いながら突っ込んでくるその姿を、ケンタロウは冷徹な「職人」の目で見つめていた。

(……足運びが甘い。防具の継ぎ目が丸見えだ)

 対照的に、最後尾の1人だけは、抜剣することなく震える手で空中(録画インターフェース)を操作していた。
彼は本能的に察していた。目の前の「おっさん」と、その傍らで冷笑を浮かべる「幼女」が放つ、異様なプレッシャーの正体を。

「アイリス、やるぞ」

(……ふふ、心得た。さあ、愚か者どもに『終わり』を教えてやるのじゃ……っ!)

■無慈悲な精密射撃
 ケンタロウが弦を弾いた。
 極限まで圧縮された光の矢が、不可視の速度で空間を貫く。

『――ッ!』

 先頭を走っていた戦士の膝が、爆散した。

「ぎゃあああッ!?」

 悲鳴を上げる間もなく、続く二の矢が別の男の腕を、三の矢が胴体の隙間を正確に射抜く。属性による爆発ではない。
純粋な魔力質量が、物理的な破壊力を持って彼らの身体を「穿って」いく。

「な、なんだ……この威力……。盾が……紙みたいに……ッ」

 地面に転がり、もがき苦しむ4人。彼らを見下ろすケンタロウの瞳には、怒りすら浮かんでいない。ただ、作業を邪魔された不快感と、アイリスの調律を確認するような静かな集中があるだけだ。

「アイリス、トドメだ。苦しませる必要はない」

(……わかったのじゃ。あるじの慈悲ありがたく受け取るが良い……っ!)

 ケンタロウは至近距離から、倒れ伏す男たちの心臓を一点に定めた。
 引き絞られる弦、アイリスの歓喜の喘ぎ。
放たれた四筋の光は、寸分の狂いもなく標的の核を貫き、彼らを青い粒子へと霧散させた。

■広がる影、そして噂
 光の粒子が消える中、ただ一人生き残った録画役の男は、腰を抜かしながら後ずさっていた。

「……ひ、ひぃぃっ! 化け物だ……NPCじゃねえ、あんなの……ッ!」

 男はなりふり構わず森の奥へと逃げ去っていった。ケンタロウはあえて追わなかった。逃げた男が何を言いふらそうと、この辺境の静寂をこれ以上乱されなければそれで良かった。

「……ふん、情けない男じゃ。あるじ、あれも射抜いておけば良かったものを」

「いいさ。警告にはなっただろう。……さて、解体した素材を運ぶぞ。家までが遠い」

 ケンタロウは再び荷を背負い、静かに歩き出す。
 だが、彼が放置した「生き証人」と「動画」は、数日後の王都(セントラル)に激震を走らせることになる。

 『辺境の森に、白い幼女を連れた凄腕の職人(死神)がいる』

 その噂は、無限の可能性を持つこの世界で、一つの「伝説」として形を成し始めていた。

【ケンタロウのスキル熟練度】
• レザークラフト:Lv.21 (10/100)
• 解体:Lv.13 (10/100)
• 木工:Lv.13 (20/100)
• 鍛冶:Lv.5 (60/100)
• 弓術マスタリー:Lv.6 (10/100) [+150] Level Up! ※対人精密射撃
• 体力向上:Lv.5 (50/100) [+10]
• 目利き:Lv.8 (20/100)
• 素材との対話:Lv.12 (20/100) [+10]
• 魔力感知:Lv.7 (90/100) [+30]
• 感覚研磨:Lv.8 (40/100) [+30]
• 聖霊同調:Lv.9 (50/100) [+30]
• 魂の付与:Lv.4 (50/100)
• 話術:Lv.2 (30/100)
• 誘惑耐性:Lv.5 (50/100)
• 光矢生成(連射):Lv.5 (60/100) [+50]
• 隠密:Lv.3 (10/100) [+30] Level Up!
• 対人警戒:Lv.1 (90/100) [+40]
• 無慈悲な一撃(新規取得):Lv.1 (40/100) [+40]

【新規取得スキル】
• 無慈悲な一撃: 敵対者の戦意を喪失させるような、圧倒的な精密攻撃を加えた際に発動。威圧効果を伴う。

【設定データ・状況確認】
• 状況: 略奪者4名を殲滅。1名逃走。
• 世情: 王都のプレイヤー掲示板にて「辺境の白い幼女と無敵のおっさん」のスレッドが立ち始める。
• 拠点: フォレスト・ベアの素材を持ち帰り、再び静かな製作生活へ。
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