[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

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第六章 新しい同居人はJK⁉︎

第109話: 【朝凪の食卓】職人の休息と、愛の残り香

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 VRダイブギアを外し、意識がゆっくりと現実の肉体へと戻ってくる。
 東京郊外にある、少し古い木造家屋の一室。窓の外からは、夜明けを告げる都会の微かな喧騒が聞こえていた。

「……ふぅ。お疲れ様、健太郎さん」

 隣のベッドで同じようにダイブギアを外した結衣が、少し上気した顔で微笑みかけてくる。ゲーム内での「聖水の湯」の温もりが、まだ肌に残っているような錯覚を覚える。

「ああ、お疲れ様、結衣。……少し、のぼせたな」

 48歳の健太郎は、現実の少し重くなった身体を伸ばした。ゲーム内では超人的な動きを見せる彼も、現実では年相応の疲れを感じる。だが、その表情はどこか晴れやかだった。

「健太郎さん、私、朝ごはん作っちゃうね。今日は健太郎さんのお仕事、午後からでしょ?」

「助かるよ。……あ、そうだ。レザーワークスへの注文、昨日言ってた分も追加しておいてくれ」

 結衣は「はいっ」と元気に返事をし、キッチンへと向かう。

 二人が同棲を始めてから一か月。
元々は結衣が勤める素材屋の「気難しい職人客」だった健太郎。
ゲームでの再会を経て、現実でも寄り添うようになった二人の生活は、驚くほど穏やかだった。
 トントントン、と軽快な包丁の音が響く。
健太郎はソファに座り、結衣の後ろ姿を見つめていた。
ゲーム内での「リサ」や「結衣」としての彼女も美しいが、エプロン姿で朝食を作る現実の彼女は、より一層「守るべき家族」としての実感を抱かせる。

「ねぇ、健太郎さん。……さっき、モモちゃんに言っちゃったんだ」

「何をだ?」

「私たち、現実でも一緒に暮らしてるって。……それから、私が健太郎さんと、本当の家族になりたいって思ってることも」

 結衣の手が少しだけ止まる。
健太郎は少し驚いたが、すぐに納得したように小さく笑った。

「そうか。……あいつ、なんて言ってた?」

「『諦めない』って。おじさんの二番目でもいいから、隣にいたいって。……ふふ、健太郎さんは本当に罪作りな職人さんだね」

「……勘弁してくれ」

 健太郎は立ち上がり、キッチンの結衣の背中にそっと手を置いた。
 ゲーム内で何十回と繰り返してきた『愛撫』。
その技術は、現実の健太郎の指先にも無意識に宿っている。
結衣の肩の凝りを優しく解きほぐすその手に、結衣は愛おしそうに目を細めた。

「健太郎さん……。この世界でも、あの世界でも、私はあなたの隣が一番落ち着くよ」

「俺もだ。……一歩ずつだな、結衣。まずはこの日常を、大切に積み重ねていこう」

 朝陽が差し込むダイニングテーブルに、二人の朝食が並ぶ。
 ゲームでの過酷なサバイバルも、理想の大浴場建設も、すべてはこの「現実」の幸せを守るための糧。
 健太郎はコーヒーを啜りながら、午後から始まる現実の「職人」としての仕事に思いを馳せた。

 現実の朝の光が差し込む部屋で、結衣の言葉は静かに、けれど健太郎の胸の奥深くに沈んでいきました。それは嫉妬を超えた、同じ絶望を味わった者同士が抱く、痛切な「共感」でした。
【分かち合う孤独】正妻の慈愛と、現実の決意

 結衣は健太郎の胸に顔を埋めたまま、その広い背中に細い腕を回し、縋るように力を込めました。

「健太郎さん……モモちゃん、私と同じなんだよ。いつも、ずっと一人で……。家に帰っても誰もいなくて、広い部屋で『ダイブギア』を被るだけの毎日」

 結衣の声が、微かに震えます。

「あの強制ログアウトで世界が変わった時……あの子、男の人たちに襲われそうになったって。想像しただけで、胸が締め付けられる。もし、私が健太郎さんに会えていなかったら……私もそうなっていたかもしれないから」

 健太郎は何も言わず、結衣の震える肩を大きな手で包み込みました。48歳の彼は、若すぎる桃子が背負ってきた孤独の重さを、改めて突きつけられた思いでした。

「だからね……もし、あの娘が本気なら。本気で健太郎さんを支えたいって思っているなら、いいのかなって、ちょっとは思ってるんだ。……アイリスだって、抱いていたでしょ?」

 結衣が顔を上げ、潤んだ瞳で健太郎を見つめます。その瞳には、独占欲を上回るほどの、深い母性のような慈愛が宿っていました。

「私が一番なら……健太郎さんの隣に、家族としていられるのが私なら。あの子が寂しさに負けそうな時、健太郎さんがその手を貸してあげるくらいなら、いいかなって……」

「結衣……」

 健太郎は、自分を信じ、さらには自分以外の孤独まで救おうとする結衣の器の大きさに、胸が熱くなりました。

「お前は本当に……強いな。職人として、その想いに応えないわけにはいかん」

 健太郎は、結衣の額にそっと唇を寄せました。

「わかった。……あいつも、俺たちの大切な家族だ。ゲームの中だけじゃない、あいつが現実でも笑顔でいられるように、俺たちで居場所を作ってやろう」

「うん……。ありがとう、健太郎さん」

 二人は深く頷き合い、再び「灰色の世界」への扉を開きました。
 そこには、自分たちの帰りを待ち侘びている、寂しがり屋の少女が、大切なハーブを持って待っているはずだから。
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