身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん

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第二章 幸せな領地生活

第七話 枯れた大地に、希望の芽を

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「レティシア、今日は少し外の風に当たらないか?」

 朝食を終えた後、アレクシス様に誘われて、私たちは城の中庭へと向かった。かつては「死の庭」と呼ばれ、どす黒い霧が立ち込めていた場所だ。

「……ひどい有様だな。俺の呪いが、この土地からすべての生命を奪ってしまった」

 アレクシス様が、苦しげに顔を歪める。彼の足元には、真っ黒に立ち枯れた木々と、ひび割れた大地が広がっていた。呪いの根源だったアレクシス様自身が浄化されても、長年蓄積された土地のけがれは簡単には消えないらしい。

 だが、私の「お掃除魂」が黙っていなかった。

(……こんなにボロボロじゃ、アレクシス様が悲しむわ)

「アレクシス様、少しだけ私にお時間をいただけますか?」 「レティシア?」

 私はそっと、ひび割れた大地に手を触れた。城の中を掃除した時と同じように、心の底から願う。

(ここも、綺麗になって。お日様の光が、土の奥まで届くように!)

 ――一斉清掃オール・クリーン

 その瞬間、私の身体から弾けるような、眩い黄金の光・・が解き放たれた。光は波紋となって地面を駆け抜け、漆黒の土を柔らかな茶色へと塗り替えていく。パリパリ、という小気味よい音。立ち枯れていた木々の表面から黒い殻が剥がれ落ち、中から瑞々しい若葉が勢いよく芽吹いた。

「な……っ!? なんだ、これは……」

 アレクシス様の驚愕の声が響く。それだけではない。庭の隅にあった、数百年前に枯れたと言われていた「豊穣の樹・・」がみるみるうちに巨大化し、たわわに実を実らせたのだ。

「レティシア様! 見てください、花が……花が咲きました!」

 遠くで見守っていた使用人たちが、涙を流しながら駆け寄ってくる。足元には、色とりどりの花が絨毯のように広がり、心地よい香りが辺り一面を包み込んでいた。

「……信じられん。伝説にある『聖女の祝福』そのものじゃないか」

 アレクシス様は、呆然としたまま私の肩を抱き寄せた。その瞳には、私への畏敬の念と、それ以上に深い――独占欲・・が混じっている。

「これほどの力、王家が放っておかないだろうな。……だが、誰にも渡さん。君を見出したのは俺だ。君のこの温かな光は、俺だけのものだ」

 彼は耳元で熱く囁き、私の指を絡めてぎゅっと握りしめた。その頃。レティシアを捨てたバーンズ伯爵家では、さらなる絶望・・が襲っていた。 「お父様! 庭の木が全部腐って、隣の家に倒れたわ! 賠償金なんて払えないわよ!」 「どうしてだ……! あいつがいた頃は、勝手に庭が整っていたというのに!」

 彼らはまだ知らない。自分たちが「ゴミ」のように捨てた娘こそが、土地を繁栄させる唯一の守護神・・だったということを。


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