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第一部:役立たずと捨てられた建築士、隣国で「聖域」を造って無双する
第六話:王都の石畳は黄金に輝く
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国境の関所を後にした私たちは、レアルタ帝国の王都へと足を進めた。
道中、皇帝レオンハルト陛下が何度も「驚かないでくれ」と口にしていた理由が、門を潜った瞬間に理解できた。
「……なるほど。これは確かに、建築士の血が騒ぎますわね」
視界に飛び込んできたのは、どんよりとした曇天の下、灰色に沈んだ街並みだった。
建物はどれも歪み、壁には呪いの影響と思われる黒いシミが広がっている。排水は路きに溢れ、人々は肩を窄めて歩いていた。母国の豪華絢爛な光景とは正反対の、絶望に近い静寂。
「アニエス、これが我が国の現実だ。瘴気は建物の『骨』を腐らせる。いくら建て直しても、数年でこうなってしまうのだ」
苦渋に満ちた陛下の言葉。だが、私はすでにその原因を見抜いていた。
「陛下。建物が腐るのは、建材が悪いからではありません。呼吸が止まっているからですわ」
私は街の中央へと歩みを進める。人だかりができた。
ボロボロの服を着た民衆が、見慣れぬ異国の服を着た私を、不安と不審の混じった目で見つめている。
「皆様、少々騒がしくなりますが、ご容赦を」
私は杖の先端を石畳に突き立てた。
これまでの旅で蓄えた地脈のエネルギーと、私の中に眠る万能の建築マナを練り合わせる。
「建築魔法――【広域改修:王都蘇生】!」
瞬間、私の足元から黄金の波紋が広がった。
それは津波のように街の隅々へと駆け抜け、灰色だった石畳を次々と純白のタイルへと書き換えていく。
「な、なんだ!?地面が光っているぞ!」
「見て!壁の黒いシミが……消えていく!」
民衆から悲鳴に似た歓声が上がる。
私の放ったマナは建物の内部へと浸透し、腐った木材を硬質な魔導木へと変質させ、歪んだ柱を理想的な垂直へと押し戻した。さらに、路きを流れていた汚水は、新設された地下排水路へと吸い込まれ、代わりにあちこちの広場で清らかな水が噴き出した。
わずか一分。
死に体だった王都は、陽光を反射して輝く『宝石の街』へと生まれ変わった。
「信じられん……。一瞬で、王都全体の瘴気を払い、修復したというのか……?」
レオンハルト陛下が絶句し、膝を突く。
周囲の民衆は、あまりの光景に「女神様だ……!」「聖女様が降臨された!」と叫び、次々と跪いて祈り始めた。
「いいえ。私はただ、石の声を聴き、正しい場所に置いただけ。……さあ、陛下。これでようやく『スタートライン』ですわ。ここから、世界最高の聖域を造り上げましょう」
私が微笑んだその時。
遠く、王都の正門の方から、聞き覚えのある「下品な騒音」が響いてきた。
「おい、道を開けろ!私は王国の第一王子、シグムンドだぞ!アニエス!アニエスはどこだ!」
泥まみれの馬車から飛び出してきたのは、髪を振り乱し、必死の形相をした元婚約者だった。
どうやら、崩壊を始めた母国の城から逃げ出してきたらしい。
私は輝く石畳の上に立ち、冷ややかな視線を彼へと向けた。
最後まで読んでいただきありがとうございます! 「続きが気になる!」「面白そう!」と思っていただけたら、 【お気に入り登録】と【感想やいいね】をいただけると執筆の励みになります!
道中、皇帝レオンハルト陛下が何度も「驚かないでくれ」と口にしていた理由が、門を潜った瞬間に理解できた。
「……なるほど。これは確かに、建築士の血が騒ぎますわね」
視界に飛び込んできたのは、どんよりとした曇天の下、灰色に沈んだ街並みだった。
建物はどれも歪み、壁には呪いの影響と思われる黒いシミが広がっている。排水は路きに溢れ、人々は肩を窄めて歩いていた。母国の豪華絢爛な光景とは正反対の、絶望に近い静寂。
「アニエス、これが我が国の現実だ。瘴気は建物の『骨』を腐らせる。いくら建て直しても、数年でこうなってしまうのだ」
苦渋に満ちた陛下の言葉。だが、私はすでにその原因を見抜いていた。
「陛下。建物が腐るのは、建材が悪いからではありません。呼吸が止まっているからですわ」
私は街の中央へと歩みを進める。人だかりができた。
ボロボロの服を着た民衆が、見慣れぬ異国の服を着た私を、不安と不審の混じった目で見つめている。
「皆様、少々騒がしくなりますが、ご容赦を」
私は杖の先端を石畳に突き立てた。
これまでの旅で蓄えた地脈のエネルギーと、私の中に眠る万能の建築マナを練り合わせる。
「建築魔法――【広域改修:王都蘇生】!」
瞬間、私の足元から黄金の波紋が広がった。
それは津波のように街の隅々へと駆け抜け、灰色だった石畳を次々と純白のタイルへと書き換えていく。
「な、なんだ!?地面が光っているぞ!」
「見て!壁の黒いシミが……消えていく!」
民衆から悲鳴に似た歓声が上がる。
私の放ったマナは建物の内部へと浸透し、腐った木材を硬質な魔導木へと変質させ、歪んだ柱を理想的な垂直へと押し戻した。さらに、路きを流れていた汚水は、新設された地下排水路へと吸い込まれ、代わりにあちこちの広場で清らかな水が噴き出した。
わずか一分。
死に体だった王都は、陽光を反射して輝く『宝石の街』へと生まれ変わった。
「信じられん……。一瞬で、王都全体の瘴気を払い、修復したというのか……?」
レオンハルト陛下が絶句し、膝を突く。
周囲の民衆は、あまりの光景に「女神様だ……!」「聖女様が降臨された!」と叫び、次々と跪いて祈り始めた。
「いいえ。私はただ、石の声を聴き、正しい場所に置いただけ。……さあ、陛下。これでようやく『スタートライン』ですわ。ここから、世界最高の聖域を造り上げましょう」
私が微笑んだその時。
遠く、王都の正門の方から、聞き覚えのある「下品な騒音」が響いてきた。
「おい、道を開けろ!私は王国の第一王子、シグムンドだぞ!アニエス!アニエスはどこだ!」
泥まみれの馬車から飛び出してきたのは、髪を振り乱し、必死の形相をした元婚約者だった。
どうやら、崩壊を始めた母国の城から逃げ出してきたらしい。
私は輝く石畳の上に立ち、冷ややかな視線を彼へと向けた。
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