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第一部:役立たずと捨てられた建築士、隣国で「聖域」を造って無双する
第五話:一晩で建つ豪華客船? いえ、ただの関所です
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レオンハルト陛下を連れた騎士団と共に、私たちが隣国レアルタの国境検問所――いわゆる『関所』に到着したのは、翌朝のことだった。
「……陛下、これは少々、想像以上に『やりがい』がありそうですわね」
目の前に広がる光景に、私は思わず額に手を当てた。
レアルタ帝国の玄関口であるはずの関所は、長年の瘴気被害と手入れ不足により、石壁はボロボロに崩れ、屋根には大きな穴が開いている。おまけに周辺は泥濘んでおり、衛兵たちは皆、生気のない顔で震えていた。
「すまない、アニエス。我が国は魔物と瘴気との戦いに全力を注いできた。建物の美観や快適さに割く余力は、どこにもなかったのだ」
申し訳なさそうに肩をすくめる陛下。
だが、私の目は職人としての期待に輝いていた。
「いいえ、陛下。基礎構造は悪くありません。ただ、マナの通り道がゴミ詰まりを起こしているだけです。……皆様、少々下がっていていただけますか?」
私は愛用の杖を高く掲げた。
母国の王城から回収してきた膨大な魔力を、一気に解放する。
「建築魔法――【神域改装:万能の白亜閣】!」
轟音と共に、地面から巨大な幾何学模様の光が広がる。
崩れかけの石壁が生き物のように蠢き、不純物を排出しながら再結晶化していく。穴の開いた屋根には、光り輝く魔導瓦が整然と並び、泥濘んでいた地面は一瞬で水はけの良い大理石の舗装へと変わった。
わずか数分。
そこには、かつての廃屋同然の関所ではなく、まるで王宮の離宮かと思うほどの『豪華ホテル』が建っていた。
「な……なんだ、これは!?関所が……光っている……?」
「空気が美味い……。瘴気が、一欠片も感じられないぞ!」
衛兵たちが腰を抜かし、呆然と新しい建物を仰ぎ見る。
内装には自動温度調節機能を備え、廊下を歩くだけで身体の疲れを癒やす『魔力循環路』を組み込んでおいた。
「素晴らしい……。アニエス、君は本当に、奇跡を造るのだな」
陛下は新しくなった壁に触れ、愛おしそうに目を細めた。
その時。
「お、おい!あそこを見ろ!」
衛兵の一人が指差す先――母国側の国境から、一台の馬車が猛スピードでこちらへ向かってくるのが見えた。
泥だらけで、今にも車輪が外れそうなその馬車には、見覚えのある紋章が刻まれている。
「あら。あんなボロボロの馬車……母国の使節団でしょうか?」
私は冷ややかに笑った。
追放されてからまだ数日。あちらの城は、よほど「住み心地」が悪くなっているらしい。
自慢の聖女様と王太子様が、どんな顔でやってくるのか。
私は新築したばかりのバルコニーから、優雅にそれを見下ろすことにした。
最後まで読んでいただきありがとうございます! 「続きが気になる!」「面白そう!」と思っていただけたら、 【お気に入り登録】と【感想やいいね】をいただけると執筆の励みになります!
「……陛下、これは少々、想像以上に『やりがい』がありそうですわね」
目の前に広がる光景に、私は思わず額に手を当てた。
レアルタ帝国の玄関口であるはずの関所は、長年の瘴気被害と手入れ不足により、石壁はボロボロに崩れ、屋根には大きな穴が開いている。おまけに周辺は泥濘んでおり、衛兵たちは皆、生気のない顔で震えていた。
「すまない、アニエス。我が国は魔物と瘴気との戦いに全力を注いできた。建物の美観や快適さに割く余力は、どこにもなかったのだ」
申し訳なさそうに肩をすくめる陛下。
だが、私の目は職人としての期待に輝いていた。
「いいえ、陛下。基礎構造は悪くありません。ただ、マナの通り道がゴミ詰まりを起こしているだけです。……皆様、少々下がっていていただけますか?」
私は愛用の杖を高く掲げた。
母国の王城から回収してきた膨大な魔力を、一気に解放する。
「建築魔法――【神域改装:万能の白亜閣】!」
轟音と共に、地面から巨大な幾何学模様の光が広がる。
崩れかけの石壁が生き物のように蠢き、不純物を排出しながら再結晶化していく。穴の開いた屋根には、光り輝く魔導瓦が整然と並び、泥濘んでいた地面は一瞬で水はけの良い大理石の舗装へと変わった。
わずか数分。
そこには、かつての廃屋同然の関所ではなく、まるで王宮の離宮かと思うほどの『豪華ホテル』が建っていた。
「な……なんだ、これは!?関所が……光っている……?」
「空気が美味い……。瘴気が、一欠片も感じられないぞ!」
衛兵たちが腰を抜かし、呆然と新しい建物を仰ぎ見る。
内装には自動温度調節機能を備え、廊下を歩くだけで身体の疲れを癒やす『魔力循環路』を組み込んでおいた。
「素晴らしい……。アニエス、君は本当に、奇跡を造るのだな」
陛下は新しくなった壁に触れ、愛おしそうに目を細めた。
その時。
「お、おい!あそこを見ろ!」
衛兵の一人が指差す先――母国側の国境から、一台の馬車が猛スピードでこちらへ向かってくるのが見えた。
泥だらけで、今にも車輪が外れそうなその馬車には、見覚えのある紋章が刻まれている。
「あら。あんなボロボロの馬車……母国の使節団でしょうか?」
私は冷ややかに笑った。
追放されてからまだ数日。あちらの城は、よほど「住み心地」が悪くなっているらしい。
自慢の聖女様と王太子様が、どんな顔でやってくるのか。
私は新築したばかりのバルコニーから、優雅にそれを見下ろすことにした。
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