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第126話 国王と宰相の絆 ★ノルト侯爵 SIDE
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帝国からのお客様が来ている事は極秘事項なのだが、ソラ殿の忠告通り、本当にネズミが居るらしく……皇太子の事を一部の貴族から質問を受けた事で発覚した。
「陛下、精霊様の仰る通り、ネズミは北の塔に……」
「はぁ――――。アレは己の命がカミルの手中にある事を理解しているのか?」
勿論アレとは、第二王子アラン殿下の事ですな。
「理解しておられましたら、リオ様は刺される事も無かったと思われますが」
「だよなぁ、ジョージ。おっと、睨むなよ宰相殿」
「私が宰相を辞めても宜しければ、好きにお呼びください、陛下」
「いつも思うのだが、何故名前呼びを嫌がるんだ?」
「若かりし頃の……苦い失恋とでも言っておきましょうか」
「何があったか、滅茶苦茶気になるんだが?」
ワザとそう思う様に振ってるのに、いつも気が付かない陛下は素直なお人なのだ。
「そんな事より、金髪のネズミは首謀者で間違い無いでしょう。担ぎ上げられただけだとは思いますが。そしてその周りをカラフルなネズミ達が10匹程いる様です」
「そんなに居るのか?何が不満でアレを使おうとするんだろうなぁ?カミルが王になれば、王国は100%安泰だと子供でも分かるのではないか?」
「懐が寂しくて、暖めたいのでしょう」
半数は金欲しさに動いてる様だと報告を受けている。
「捕まれば首が飛ぶのにか?」
「その様な事は一切気にして居ない様です。何と言いますか……『使命』だと思っているかの様な行動をしております」
残りの半分は面倒なタイプか、薬か何かで狂っているのか……
「『騎士の誓い』レベルって事か?」
「それ以上かと……私の持ち合わせる言葉に置き換えるならば、深い信仰者を彷彿とさせるレベルかと」
「はぁ?アレが神レベルで崇め奉られているとでも言うのか?」
まぁ、普通の人間なら第二王子からは遠ざかろうとするはずですからな。犯罪者と関係があるとは思われたく無いでしょう。
「はい、私の目にはその様に見えました」
「おかしいなぁ。カミルが王太子になってくれた事で、全ては上手く行く予定だったのになぁ?宰相閣下」
本当にその通りだ。その為に私も走り回ったし、裏から手を回したりと手を尽くして来たのだ。最終的にはリオ様が全て解決してくださったと思っていたが。
「本当に……面倒なお子様を……ゴホンゴホン」
「相変わらず一国の王に対して辛辣だな。お前が望むから王になったと言うのにな?」
「その節はどうも。」
あの時はギルバートが王にならなければ助けられない命があったから仕方ない。その恩があるからこそ、私は忠実な僕として……宰相としてここに在るのですから。
「お前なぁ……まぁ、今更ではあるが。妹の方は元気なのか?」
「えぇ、お陰様で。カミル殿下になら嫁いでも許そうかと思っておりましたが、御自身で唯一を見つけられた様ですから安心しておりました」
デュークも物件として悪く無いのだが、あの『賢者』の弟子だけあって、魔法以外には興味を示さない堅物が相手では幸せになれないと思ったのは確かだ。
「はぁ……お前と親戚関係にならずに済んで一安心だな」
「それは同感ですな。あぁ、そろそろリオ様の執事と補佐官を決めて欲しいのですが」
「側近は、エイカー公爵の所のリズ嬢ぐらいか。それ以外ではカミルがうんとは言わないだろうから難しいな」
「それなのですが、デュークの所のニーナは女官だったと思うのですが補佐官に如何でしょう」
「あー、いたなぁ。あの子か……全て顔に出るタイプだよな?いくら人が居ないとは言っても、王妃となる者につけるのであれば……なぁ?」
「言いたい事は分かりますが、仕事は出来ます。恐らく頭の回転だけならリオ様の良い話し相手になるレベルかと思われます」
「ほぉ……カミルに調査書を回しておいてくれ。外出時などは護衛のリュー達が侍るだろうから問題無いか?まぁ、最終的にはカミルが全て決めるだろうからな」
「はい。カミル殿下のご慧眼に叶いますれば、こちらも安心して配置出来ます」
「宰相はカミルが大好きだよな、昔から。お前は私の側近だったと言うのになぁ?」
「カミル殿下が王太子になられた事で、次代まで王国が安泰だと言えるのです。アレが邪魔しなければ、もっと楽に決まりましたものを」
「確かにそうだな……『聖女』であるリオが嫁いで来てくれる事で、カミルの地位は更に盤石なものとなるからな」
「はい、ありがたい話です。天才同士の婚約ですから、王国の次代ではもっと栄えるでしょう」
「そうだろうな……既にリオは『車椅子』と『練習装置』の売り上げだけで、平民なら老後も安心出来るレベルの金額を稼いでるからな……」
「えぇ、『車椅子』は特に、平民達にも喜ばれました。私の祖母も歩けなかったのですが、『車椅子』に乗せて孫達が押してくれると旅行にも喜んで行く様になったのですよ。顔つきも明るくなり、毎日楽しいと。リオ様にとても感謝しておりました」
「身近な者達が、そんなに困ってるなんて知らなかったもんなぁ。家庭の事は話さないとは言え、謁見の度にリオへお礼をと、未だに言われるからな」
「恐らく、民から1番遠くに居るはずの『聖女』であるリオ様が、誰よりも民の気持ちを分かっているのではないでしょうか」
「そうだな。次に製作予定の『電話』は、王妃との最善のコミュニケーション手段となるだろう。あの病は移ると言われているし、すぐに治らない事はこの際仕方ないから諦めているが、声はいつでも聞ける様になる」
「王妃様は寂しがり屋ですからね。身近に感じて貰えると良いですね」
陛下は側室を含め、3人の女性を娶られたのだが、王妃には最愛のカミル殿下の御母堂を選ばれた。王になりたく無い陛下を王にする為に、私が彼女を王妃に据える事を条件に、王になって貰ったのだ。そんな陛下は、未だに病に伏せっておられる王妃だけを愛しておられるのだ。
「あぁ。私は爺さんやデューク達が開発した物、全てを見て来たからな。必ず作ると言っておるのだから、任せてみようと思っているよ」
「それが宜しいかと。多少期待から外れてしまっても、彼らなら納得出来る物になるまで時間をかけてでも改良してくれるでしょう」
「そうだな。それで、ネズミ共は影が監視しているのか?」
「先日、リオ殿が発案なさった『監視カメラ』が大活躍しておりまして」
「あぁ、王城の全ての出入口を1つの部屋で監視出来ると言う?」
「えぇ、アレは素晴らしいですね。要望通りに作れる彼らも凄いのですが、普通ならあんな発想は出来ませんよ」
「私も聞いた時には驚いたが、本当に作ってしまったからなぁ。リオが仕組みをある程度分かっているから、形にするのも難しくは無いと言っていたぞ」
「リオ様の周りも天才が集まっておりますからな。彼女が仲良くしている者達は、何かしらの物事に特化してる者ばかりですし」
「カミルが願って現れた聖女様だからなぁ?恐らくカミルが呼び寄せる波に乗って来たのだろうよ」
「えぇ、そうでしょう。カミル殿下は幼い頃から素晴らしかった。誰に言われるでも無く、古文書を全て解読してしまわれたと聞いた時には拝みたくなりましたよ」
「リオもアッサリ読み終わったらしいな……」
「えぇ、ですから天才カップルなのです。後の国王と王妃が聡明であれば、仕える側は何とも幸せでしょうなぁ……」
「何気に私が賢く無いと言っておるだろう……」
口を尖らせて拗ねているギルバートは、幼い頃の面影が残っていて懐かしい気持ちになる。
「貴方様には私が居るでしょう。全く賢いとは言えない王だったとしても、サポートする人間が賢ければ問題無く国は回り、潤うのですから」
「おっしゃる通りで……」
首を竦めて、参ったのポーズをして見せる陛下は、私が支えなければと思える弟の様な存在だ。何だかんだ言ってもお互いが居なければ、ここまで無事には来れなかっただろうと思うぐらいには信頼している。
「それで『監視カメラ』がどう役に立ったのだ?」
「ネズミが出入りする時間、使う入り口、手伝っている人間、誰が何日来ているかなどの情報を、全て記録出来ているのです。ですので、犯人が分かっていて証拠もある状態ですから、その決まった人物達だけを監視するだけで済みます」
「それは……滑稽だなぁ?笑えん話しだが、またリオのお陰で簡単に解決してしまいそうだと考えて良いのか?」
「その通りでございます」
塔の部屋周辺にも『監視カメラ』をバレない様にこっそりと影につけさせてからは、影が四六時中見張っていなくても良くなって効率が良い。
「お前がドヤ顔するのか……」
「私は聖女様を信仰しておりますので」
「それは私もだ。カミルも信仰の対象になりそうだったが、リオには敵わないからなぁ?はっはっは」
「聖女様はお人柄も素晴らしいですからね」
「変わった行動もするが、それも実に興味深くて面白い。今回、デュークに『魔封じ』を大量に作っておく様に頼んだらしいからな」
「陛下の影は、リオ様のストーカーですか?ちょっと気持ち悪い……」
「そ、そうか?監視してる訳では無くてな?」
「当然です。彼女を疑うなんてあり得ない」
「だな。彼女の行動を報告させると分からない事が多くてな?王妃との文通のネタにも出来るから……」
「ただ単に、リオ様の行動に興味があるし面白いから暇潰しに頼んでるだけでしょう。あまり影に無茶振りしないであげてください」
「影達もリオの所には喜んで行くぞ?リューも居るから情報交換したりもしているらしい。リオは影が居る事に気付くんだと。何度も見て知っている影には直ぐに気付いて手を振ってくれるらしい」
「それは、影なのにバレていると?」
「リオが1番『影』の素質があると、彼奴が言ってたらしいからな」
「影のボスが、ですか?」
「あぁ。面白いよな。彼奴は初めて他人に気付かれた筈なのに、手を振って貰ったと喜んでいた。バレた悔しさなんてあの素質を見れば張り合う気にもならんのだと」
「表向きには王妃、他国へ行けば諜報も出来るとか……スーパー王妃ですな」
「やらせんけどな?王国が窮地に陥ってもリオが居れば何とかなりそうだよな」
「何事も無ければ1番良いのですけどね……何百年も生きていれば、窮地にも何度か陥りますからなぁ」
「カミルは既に何度も陥っているけどな?アルフォンスもカミルも、良くぞ生き延びたと褒めたいぐらいだ」
「えぇ、それはもう本当に。ですから、今後は少しでも落ち着いた生活が送れる様に、精一杯サポートして差し上げましょう。結婚式の予定日まで半年を切りましたしね」
「予定通りに行けば良いのだがな。まぁ、ネズミの正体は分かったから慌てる必要は無くなったけどな。後は帝国の問題を片付けて、貸しを作れば良いだけだ」
「そうですね。リオ様とカミル殿下がメインで動かれるのですから問題無いとは思われます」
「そうだな、2人を信じよう。さて、私は王妃に今日の文通を書かなければ。リオの『オニギリ』を食べてみたいと言っていたからな」
「仲がよろしい事で、何よりです。私は仕事に戻りますが、新しい情報が入り次第、参上致します」
「うむ、ご苦労だったな」
ご機嫌な陛下を残し、私は自分の執務室に戻るのだった。
「陛下、精霊様の仰る通り、ネズミは北の塔に……」
「はぁ――――。アレは己の命がカミルの手中にある事を理解しているのか?」
勿論アレとは、第二王子アラン殿下の事ですな。
「理解しておられましたら、リオ様は刺される事も無かったと思われますが」
「だよなぁ、ジョージ。おっと、睨むなよ宰相殿」
「私が宰相を辞めても宜しければ、好きにお呼びください、陛下」
「いつも思うのだが、何故名前呼びを嫌がるんだ?」
「若かりし頃の……苦い失恋とでも言っておきましょうか」
「何があったか、滅茶苦茶気になるんだが?」
ワザとそう思う様に振ってるのに、いつも気が付かない陛下は素直なお人なのだ。
「そんな事より、金髪のネズミは首謀者で間違い無いでしょう。担ぎ上げられただけだとは思いますが。そしてその周りをカラフルなネズミ達が10匹程いる様です」
「そんなに居るのか?何が不満でアレを使おうとするんだろうなぁ?カミルが王になれば、王国は100%安泰だと子供でも分かるのではないか?」
「懐が寂しくて、暖めたいのでしょう」
半数は金欲しさに動いてる様だと報告を受けている。
「捕まれば首が飛ぶのにか?」
「その様な事は一切気にして居ない様です。何と言いますか……『使命』だと思っているかの様な行動をしております」
残りの半分は面倒なタイプか、薬か何かで狂っているのか……
「『騎士の誓い』レベルって事か?」
「それ以上かと……私の持ち合わせる言葉に置き換えるならば、深い信仰者を彷彿とさせるレベルかと」
「はぁ?アレが神レベルで崇め奉られているとでも言うのか?」
まぁ、普通の人間なら第二王子からは遠ざかろうとするはずですからな。犯罪者と関係があるとは思われたく無いでしょう。
「はい、私の目にはその様に見えました」
「おかしいなぁ。カミルが王太子になってくれた事で、全ては上手く行く予定だったのになぁ?宰相閣下」
本当にその通りだ。その為に私も走り回ったし、裏から手を回したりと手を尽くして来たのだ。最終的にはリオ様が全て解決してくださったと思っていたが。
「本当に……面倒なお子様を……ゴホンゴホン」
「相変わらず一国の王に対して辛辣だな。お前が望むから王になったと言うのにな?」
「その節はどうも。」
あの時はギルバートが王にならなければ助けられない命があったから仕方ない。その恩があるからこそ、私は忠実な僕として……宰相としてここに在るのですから。
「お前なぁ……まぁ、今更ではあるが。妹の方は元気なのか?」
「えぇ、お陰様で。カミル殿下になら嫁いでも許そうかと思っておりましたが、御自身で唯一を見つけられた様ですから安心しておりました」
デュークも物件として悪く無いのだが、あの『賢者』の弟子だけあって、魔法以外には興味を示さない堅物が相手では幸せになれないと思ったのは確かだ。
「はぁ……お前と親戚関係にならずに済んで一安心だな」
「それは同感ですな。あぁ、そろそろリオ様の執事と補佐官を決めて欲しいのですが」
「側近は、エイカー公爵の所のリズ嬢ぐらいか。それ以外ではカミルがうんとは言わないだろうから難しいな」
「それなのですが、デュークの所のニーナは女官だったと思うのですが補佐官に如何でしょう」
「あー、いたなぁ。あの子か……全て顔に出るタイプだよな?いくら人が居ないとは言っても、王妃となる者につけるのであれば……なぁ?」
「言いたい事は分かりますが、仕事は出来ます。恐らく頭の回転だけならリオ様の良い話し相手になるレベルかと思われます」
「ほぉ……カミルに調査書を回しておいてくれ。外出時などは護衛のリュー達が侍るだろうから問題無いか?まぁ、最終的にはカミルが全て決めるだろうからな」
「はい。カミル殿下のご慧眼に叶いますれば、こちらも安心して配置出来ます」
「宰相はカミルが大好きだよな、昔から。お前は私の側近だったと言うのになぁ?」
「カミル殿下が王太子になられた事で、次代まで王国が安泰だと言えるのです。アレが邪魔しなければ、もっと楽に決まりましたものを」
「確かにそうだな……『聖女』であるリオが嫁いで来てくれる事で、カミルの地位は更に盤石なものとなるからな」
「はい、ありがたい話です。天才同士の婚約ですから、王国の次代ではもっと栄えるでしょう」
「そうだろうな……既にリオは『車椅子』と『練習装置』の売り上げだけで、平民なら老後も安心出来るレベルの金額を稼いでるからな……」
「えぇ、『車椅子』は特に、平民達にも喜ばれました。私の祖母も歩けなかったのですが、『車椅子』に乗せて孫達が押してくれると旅行にも喜んで行く様になったのですよ。顔つきも明るくなり、毎日楽しいと。リオ様にとても感謝しておりました」
「身近な者達が、そんなに困ってるなんて知らなかったもんなぁ。家庭の事は話さないとは言え、謁見の度にリオへお礼をと、未だに言われるからな」
「恐らく、民から1番遠くに居るはずの『聖女』であるリオ様が、誰よりも民の気持ちを分かっているのではないでしょうか」
「そうだな。次に製作予定の『電話』は、王妃との最善のコミュニケーション手段となるだろう。あの病は移ると言われているし、すぐに治らない事はこの際仕方ないから諦めているが、声はいつでも聞ける様になる」
「王妃様は寂しがり屋ですからね。身近に感じて貰えると良いですね」
陛下は側室を含め、3人の女性を娶られたのだが、王妃には最愛のカミル殿下の御母堂を選ばれた。王になりたく無い陛下を王にする為に、私が彼女を王妃に据える事を条件に、王になって貰ったのだ。そんな陛下は、未だに病に伏せっておられる王妃だけを愛しておられるのだ。
「あぁ。私は爺さんやデューク達が開発した物、全てを見て来たからな。必ず作ると言っておるのだから、任せてみようと思っているよ」
「それが宜しいかと。多少期待から外れてしまっても、彼らなら納得出来る物になるまで時間をかけてでも改良してくれるでしょう」
「そうだな。それで、ネズミ共は影が監視しているのか?」
「先日、リオ殿が発案なさった『監視カメラ』が大活躍しておりまして」
「あぁ、王城の全ての出入口を1つの部屋で監視出来ると言う?」
「えぇ、アレは素晴らしいですね。要望通りに作れる彼らも凄いのですが、普通ならあんな発想は出来ませんよ」
「私も聞いた時には驚いたが、本当に作ってしまったからなぁ。リオが仕組みをある程度分かっているから、形にするのも難しくは無いと言っていたぞ」
「リオ様の周りも天才が集まっておりますからな。彼女が仲良くしている者達は、何かしらの物事に特化してる者ばかりですし」
「カミルが願って現れた聖女様だからなぁ?恐らくカミルが呼び寄せる波に乗って来たのだろうよ」
「えぇ、そうでしょう。カミル殿下は幼い頃から素晴らしかった。誰に言われるでも無く、古文書を全て解読してしまわれたと聞いた時には拝みたくなりましたよ」
「リオもアッサリ読み終わったらしいな……」
「えぇ、ですから天才カップルなのです。後の国王と王妃が聡明であれば、仕える側は何とも幸せでしょうなぁ……」
「何気に私が賢く無いと言っておるだろう……」
口を尖らせて拗ねているギルバートは、幼い頃の面影が残っていて懐かしい気持ちになる。
「貴方様には私が居るでしょう。全く賢いとは言えない王だったとしても、サポートする人間が賢ければ問題無く国は回り、潤うのですから」
「おっしゃる通りで……」
首を竦めて、参ったのポーズをして見せる陛下は、私が支えなければと思える弟の様な存在だ。何だかんだ言ってもお互いが居なければ、ここまで無事には来れなかっただろうと思うぐらいには信頼している。
「それで『監視カメラ』がどう役に立ったのだ?」
「ネズミが出入りする時間、使う入り口、手伝っている人間、誰が何日来ているかなどの情報を、全て記録出来ているのです。ですので、犯人が分かっていて証拠もある状態ですから、その決まった人物達だけを監視するだけで済みます」
「それは……滑稽だなぁ?笑えん話しだが、またリオのお陰で簡単に解決してしまいそうだと考えて良いのか?」
「その通りでございます」
塔の部屋周辺にも『監視カメラ』をバレない様にこっそりと影につけさせてからは、影が四六時中見張っていなくても良くなって効率が良い。
「お前がドヤ顔するのか……」
「私は聖女様を信仰しておりますので」
「それは私もだ。カミルも信仰の対象になりそうだったが、リオには敵わないからなぁ?はっはっは」
「聖女様はお人柄も素晴らしいですからね」
「変わった行動もするが、それも実に興味深くて面白い。今回、デュークに『魔封じ』を大量に作っておく様に頼んだらしいからな」
「陛下の影は、リオ様のストーカーですか?ちょっと気持ち悪い……」
「そ、そうか?監視してる訳では無くてな?」
「当然です。彼女を疑うなんてあり得ない」
「だな。彼女の行動を報告させると分からない事が多くてな?王妃との文通のネタにも出来るから……」
「ただ単に、リオ様の行動に興味があるし面白いから暇潰しに頼んでるだけでしょう。あまり影に無茶振りしないであげてください」
「影達もリオの所には喜んで行くぞ?リューも居るから情報交換したりもしているらしい。リオは影が居る事に気付くんだと。何度も見て知っている影には直ぐに気付いて手を振ってくれるらしい」
「それは、影なのにバレていると?」
「リオが1番『影』の素質があると、彼奴が言ってたらしいからな」
「影のボスが、ですか?」
「あぁ。面白いよな。彼奴は初めて他人に気付かれた筈なのに、手を振って貰ったと喜んでいた。バレた悔しさなんてあの素質を見れば張り合う気にもならんのだと」
「表向きには王妃、他国へ行けば諜報も出来るとか……スーパー王妃ですな」
「やらせんけどな?王国が窮地に陥ってもリオが居れば何とかなりそうだよな」
「何事も無ければ1番良いのですけどね……何百年も生きていれば、窮地にも何度か陥りますからなぁ」
「カミルは既に何度も陥っているけどな?アルフォンスもカミルも、良くぞ生き延びたと褒めたいぐらいだ」
「えぇ、それはもう本当に。ですから、今後は少しでも落ち着いた生活が送れる様に、精一杯サポートして差し上げましょう。結婚式の予定日まで半年を切りましたしね」
「予定通りに行けば良いのだがな。まぁ、ネズミの正体は分かったから慌てる必要は無くなったけどな。後は帝国の問題を片付けて、貸しを作れば良いだけだ」
「そうですね。リオ様とカミル殿下がメインで動かれるのですから問題無いとは思われます」
「そうだな、2人を信じよう。さて、私は王妃に今日の文通を書かなければ。リオの『オニギリ』を食べてみたいと言っていたからな」
「仲がよろしい事で、何よりです。私は仕事に戻りますが、新しい情報が入り次第、参上致します」
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