【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音

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第137話 スパルタ訓練 ★ジャン SIDE

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 聖女様とカミル殿下だけでは無く、デューク殿や賢者様まで練習場へ移動していらっしゃった。どうやら『練習装置』最新作の調整をするらしい。時間があれば、聖女様がお試しになるのだろう。

「ジャン、防御膜は良い感じね!それじゃあ、膜を維持したまま、初級をクリアしましょうね。先ずは得意な剣からで」

 聖女様はテキパキと……有無を言わさず進行なさって、俺はどう考えても剣で初級を『防御膜』を張ったままクリアしなければならないらしい。強くなりたいのだからやるけどな。

「やり方は分かる?右の壁の赤枠に魔法を撃ち込んだらスタートよ。頑張ってね!」

「はい、いきます!」

 聖女様に応援されたらやるしか無い!赤枠に魔法を撃ち込むと、前から丸太や枯れ草のかたまりが飛んで来た。かなりゆっくりに見えるな。前に聖女様が上級の『最』をクリアなさってる所を見た事があるからか、初級がとても簡単に見える。これなら魔法でもクリア出来そうだ。

「防御膜も剣も問題なさそうね。次は魔法で初級をクリアしましょう」

「はい、初級魔法で良いですか?」

「えぇ、得意な魔法で大丈夫」

 俺は久々に緊張しながら魔法を使っている。幼少期に魔力が暴走しない様に訓練した時ぐらい緊張しているんじゃないか?集中して、飛んで来る物体を把握しつつ撃ち落とす。これぐらいゆっくりなら余裕だな。

「さすがは皇族ね、ジャン。防御膜の薄さも変化して無いし、初級を1度でクリアなんて凄いわね!」

「ですが、聖女様も1度でクリアなさったのでしょう?」

「えぇ。ただ、私は普通じゃ無いらしいから、比較対象にしちゃ駄目だと思うわよ?魔導師団の団員も、初級に手こずっていたから、素直に凄いと思うけど?」

 そうなのか?お世辞せじではなく?確かに聖女様は普通じゃ無いとは思うが……

「あぁ、そうでしたね。魔導師特有と言いますか、後衛のくせで正確性を重視するので、後半には攻撃が間に合わずミスが目立っておりましたな」

 デューク殿が聖女様に笑顔で話しかけている。どうやら最新作の調整が終わったみたいだ。それにしても聖女様は褒めるのが上手いよな。初級だけではあるが、王国の魔導師より上手く出来たと言われたようで、ちょっと嬉しいな。

「聖女様、調整が終わったのでしたら、新作を試していらしてください。俺も見学させて貰いたいです」

「そう?分かったわ。デューク、剣と魔法ならどちらが良いかしら?」

 聖女様は気配りの人だよな。身分の低い者にも丁寧に話したり気を遣っておられるのを見ると、本当に女神様に見える事がある。カミル殿下は聖人君子せいじんくんしだし、無敵のカップルと知り合いの俺って凄くないか?

「1セット目が魔法で、2セット目を双剣でお願いします」

「もう始めて良いの?」

「はい、録画水晶もセットしてあるので大丈夫です!」

 聖女様は躊躇ためらいなく赤枠に魔法を当て、飛んで来る障害物を撃ち落とし始めた。この装置は、以前の『練習装置』と違って、練習している人間の少し後ろまで壁がある。200度の範囲から物が飛んで来るのだからそうなるよな。

 そして、ぐるりと囲んでいる壁は、なんと透明とうめいで、練習している人間が見える。前の壁は白だったから、後ろからしか練習している人間は見えなかった。色々と面白い事を思い付くよな、王国の人達は。

 10分ぐらい経っただろうか。斜め後ろから飛んで来る障害物も全てを撃ち落とした聖女様は、双剣を取り出した。動きやすい物だとは言え、ドレスの様なワンピースを着て双剣を構える姿はとても凛々しいな。

 聖女様は、女性が着れる服では騎士服か乗馬服しかズボンが無いこの世界を変えたいと言っているらしい。女の子だからな、オシャレも大事なのだろう。どんな服なのか気になるが、聖女様の発案された服ならばと、結局はどれも売れそうだもんな。

 双剣での練習が始まったが…………何だ?このプレッシャーは!カミル殿下も驚いてるよな?デューク殿は慌てて賢者様の所へ走って行った。これは想定外だな?

「ジャン、この事は内密にな?皇帝には、僕がやった事にしておいてくれるかい?」

「あ、あぁ、分かった。このプレッシャーは王族のスキルである『威圧系』だよな……?はぁー、賢者になると何でも出来るんですかねぇ……」

 遠い目をした俺を、カミル殿下が苦笑いで誤魔化そうとしていたが、俺を見ながら少し困った顔をした。

「実はね、僕は王族のスキルを使うのが下手へたなんだよ。使えない訳じゃ無くて、相手が意識を保てなくなると言うか……耐えられない強さなんだ。使うとしたら、今はまだ処刑される人間ぐらいにしか使えないんだよね…………」

「あぁ、スキルが強過ぎるんだな。練習するにも、誰かの意識を飛ばしてしまうのは困るよな。耐えられるとすれば、同じスキルを持つ者ぐらいか」

 さすがはデュルギス王国の王太子だな。金の魔力は大陸一強いからだろう。スキルも桁違いなんだろうな。

「ん?ジャン、同じスキルを持つ者なら平気なの?」

「そうだろう?賢者様のスキルを、聖女様が打ち消してたりしないか?」

「あっ!そうだね。リオには隠密魔法をかけた師匠がいつも見えているね……」

「同じスキル持ちが少ないと気が付かないんだろうな。俺は姉上と同じスキルだから、この前一緒に練習した時に姉上に習ったんだ。安心して使って大丈夫だと」

「ありがとう、ジャン。その情報は助かるよ。リオが使えるのであれば、リオと練習出来るからね」

 俺から渡せる情報もあるんだな。もっと役に立てる情報を集める事にも注力すべきか。王国はかなりの距離があるのに、帝国に近い小さな町の異変にまで気付けるんだもんな。

「それより、聖女様に威圧スキルを使えるのか?精神的に大丈夫なのかなと思ってな」

「あぁ、リオを攻撃する事に抵抗があるかって事だね?僕はリオを誰よりも信用してるからね。それにリオぐらい強ければ、自身に危険があると感知した時点で、スキルですら無意識に跳ね返すと思うよ」

 お互いを信頼してる上に、聖女様の全てを受け入れているのだろう。2人の関係がとてもうらやましい。俺にも現れないかな……いや、この騒動が終わったら、探しに行くか。

「あぁ、確かにそうかもな。まぁ、パートナーを信用出来るのは良い事だしな。2人には精霊もついてるし、何かあったら打ち消してくれるだろう」

「精霊って、そんな事も出来るだね。僕は未だに精霊達が何を出来るか良く知らないなぁ。リオも気にして無いしね」

「どちらかと言えば、そう言う人間と契約するらしいからな。欲より精霊を愛する事が出来る人間な。まぁ、だからこそ、王族や皇族の様に民の為に生きれる人間には金銭的な欲が少ないから精霊がつきやすいらしい」

「え?帝国の皇族以外は精霊と契約出来ないって聞いたよ?」

「それは、基本的にはそうなのだが……精霊王が変わる度に、少しずつ変化してるらしい。精霊の数が減ってるのは知ってるか?元いたぐらいの数まで増やす為にも人間の力を借りたいのでは?」

「ふぅん……前回会った時には何も言って無かったけどねぇ。僕に内緒にしときたいのかなぁ?」

 ん?何だかねてる様に見えるな?昔のパートナーを魂は覚えているのだろうか。そんな関係も良いな。

「いやいや、カミル殿下は前の契約者と同じ魂を持っているのだろう?そちらに感激したからとかじゃないか?」

「あ、そう言えばそうだね。次に会った時にでも、教えてくれると良いな。僕も精霊達が大好きだから、力になれたらと思うしね」

「聖女様も同じ事を仰りそうだ。この問題は解決しそうだな……」

「何千年も解決出来てない事であれば、僕達だけでは力不足だと思うけど?」

「聖女様が、ちまたで何と呼ばれてるかご存知ない?『奇跡の人』って呼ばれているらしいぞ。体の不自由な人達を救ったり、小さな町を救ったり……今回も、そんなミラクルが起きてもおかしくは無いだろう?」

「へぇ……そうなんだね。確かにリオが絡むと何かしら起こるらしいけど、全てをリオに任せるのはどうかと思うからね。僕達も精一杯頑張ろうね?」

 聖女様を使おうとしてると思われたのかな。カミル殿下の笑みが怖い……ちゃんとカミル殿下が納得する答えを出さなければ、恐らく帝国の未来は無いな。

「あ、あぁ、もちろん俺も頑張る予定だが……目に見えて変化があると、ついそれにすがってしまうのは人間の悪い癖だな。俺も精一杯頑張るよ。帝国の為にも、カミル殿下や王国の為にも。そして、愛する精霊達の為にも、だ」

「ふふっ、嬉しいよジャン。同じ志を持つ者が増える事は喜ばしい事だからね。これからもよろしくね」

 ふぅ、何とか問題無く応えられたらしい。カミル殿下だけは絶対に敵に回しては駄目だと本能が言っている。

「ジャン、続きは中級からで良いかしら?」

 2セット目を終わらせた聖女様からは、もうプレッシャーは感じなかった。何故発動したのか、どの様にコントロールするのかなどの解析作業を手伝いたいな。

 『賢者』自体が稀有過ぎて、本当に『賢者』だから使えるのか不明だしな。それに『大聖女』も何千年振りに現れたのであれば、より稀有なのは『大聖女』だったりするしな?

「あ、はい、聖女様。よろしくお願いします」

 この後は予想通り、厳しい訓練を受ける事となった。とは言え、俺自身が少し強くなったと感じられるぐらいにはしっかり鍛えられていると分かるから嬉しくもある。今後はもうスタンピードが起こらないとも限らないからな。俺も、俺に出来る事から徐々じょじょにやって行こうと思う。
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