【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音

文字の大きさ
185 / 211

第185話 王妃とリオと、仲間達 ★ギルバート国王 SIDE

しおりを挟む
 本日は待ちに待った、オリビアが王妃として復帰する大事な日だ。やっとダンスを1曲ではあるが踊れるぐらいの体力は戻り、日常生活を送る分には問題ないぐらい回復していると、皆に知ってもらうための夜会を行っているのである。

 まだ少しふらつくオリビアを支えてくれていたのは義娘むすめになる予定のリオ。2人は治療を始めてからあっという間に仲良くなり、今ではカミルや婆さんが嫉妬するぐらいに仲が良い。

 結局オリビアの病気は、聖女であるリオがスキルを使って完治させたという事にしてある。第二王子の母親である側妃が亡くなって間もないのだが、第二王子や側妃と呪いが関係していたという事実は、書類上からも削除される事となった。王妃の汚点にしかならない上に、それを40年も解決出来なかった王家にも問題があると思われる可能性があるからだ。

 主治医が変更になり、新しい主治医に大聖女様になら治せるかもしれないと発言させ、結果完治する事になったと言うシナリオだ。新しい主治医には口止め料として、王妃を治すきっかけを作ったと言う功績を上げた事になっている。出身も公爵家で、私やカミルも信用出来る者だからこそ、白羽の矢が立ったのだ。

 私は国王の為に準備された玉座に座り、のんびりと皆の動向を見学する事にした。リオ達の所へ行こうとしたら、宰相につかまってしまい、大人しく座っていろと言われたからなのだが。

 さて、気を取り直して周囲を見渡すと、愛しのオリビアとリオが見える。会話はハッキリと聞こえないが楽しそうだ。相変わらずスレンダーで儚げなリオは、美しい黒髪を風になびかせて窓の近くでオリビアと涼んでいた。パーティーの始まりに、王である私とオリビアがダンスを踊り、カミルとリオが続いて踊ったからね。2人とも、少し涼みたかったのだろう。

 そんな2人に侯爵家の者が数人近づいて来ているな。彼奴あやつらは、我々が婚姻を結んだ時に、オリビアが王妃になる事を最後まで反対していた者達だな。やはり内容が気になるな……風魔法を使って話しを盗み聞ぎしようか。宰相が居ないうちに「風よ、声を届けよ」ととなえた。

「お加減如何いかがですかな?王妃様、でしたかな?40年近くお姿を拝見はいけん出来ませんでしたので、貴女様が本物の王妃とどうやって証明なさるのだろうか?のぉ、そなた達は覚えているか?」

「オリバー侯爵の仰る通りですなぁ。40年も治らなかった病気が急に治るなんて信じられませんしな。本当にうつらない病気なのでしょうか?あまり近づきたくありませんが」

 ニヤニヤと気持ち悪い笑みを見せる侯爵達にうんざりした顔を見せるオリビア。40年前と何も変わってないなんてな。私もうんざりしていると、リオがスッとオリビアの一歩前に出た。

「失礼な方々ですわね。その事については陛下からお話しがあったと思いますが?そちらの方、うつらないかですって?それも陛下が説明してくださいましたよね?最初についた主治医が誤診ごしんしていたのですよ?最初からうつらない病気だったと言ってるでしょう!人の話しを聞いていらっしゃらないのですか?それとも耳が遠いのかしらね?」

 吹き出しそうになったオリビアは慌てつつも優雅に扇子せんすを口に当てて誤魔化ごまかしたな。リオに正論を突き付けられた侯爵達は驚いているようだ。これまでリオはカミルを立てる為に、発言をひかえて来たからな。ハッキリと物を言えるタイプだとは思っていなかったから、驚いたのだろう。

「確かに年寄りばかりですからなぁ。聞こえなかった上に、理解できなかったのでは?」

 リオの事が大好きなエイカー公爵と夫人を含めた公爵家の者達が近づいて来たな。ここにいる公爵家の者達は信頼出来る者ばかりだから任せて大丈夫だろう。

「え、エイカー公爵様……」

「ほら、反論してみてはどうだい?このままでは君達が不敬だと知らしめる事になるのでは?なぁ、ソフィア夫人」

 リベラ公爵家の爺さんが夫人に同意を求めたな。リベラ公爵はデュークの父親で、5つある公爵家を裏でまとめている存在だ。発言力もかなり強く、ソフィア夫人と2人で来たならば負け無し、最強で無敵だと言われている。そんな2人に睨まれてしまった侯爵達はどうするつもりでいるのだろうか?夫人は容赦ようしゃ無いぞ?

「ええ、そうなりますわね。わたくしの親友であるオーリィが偽物な訳がないでしょうに。わたくしも聖女様も、ここ最近はずっとオーリィと一緒にお茶してますけど体調に何も問題ありませんしね?公爵夫人のわたくしがうつらないと証明しているのです。これ以上の証明が必要ありますか?それとも他に何か問題でも?」

 頷く夫人にリオとオリビアが頷き返す。女性を……それも公爵家では最強の女性であるソフィア夫人を敵に回した時点で負け確定だと思うがな?

「し、失礼しました、夫人。我々は悪口を言っている訳ではないのですよ。王妃様は40年という長いブランクがありますから、王妃の仕事は荷が重いのでは?と言っているのです」

「あぁ、そこは心配していただかなくても大丈夫ですのよ。わたくしが直々に王妃教育をしておりますの。ですから義娘むすめのリオもわたくしの仕事を手伝ってくれておりますので、全く問題ありませんわ」

 侯爵達は黙ってしまったな。必死に考えている様だが、さて次は何が出て来るのだろうな?地頭の良さが違うのだから、喧嘩を売るだけ無駄だと思うんだけどなぁ?まぁ、それが分かっていない時点で、負けが決まってるんだがな。

「し、しかし!聖女様にも仕事はあるでしょう!王太子妃候補としても執務があると聞いておりますぞ。そちらをおざなりにしては困りますからな!」

「それこそ問題無いと思うよ?」

 侯爵達の後ろから現れたのはカミルだ。そのまま侯爵達の横を通り過ぎ、リオの隣を陣取って腰に手を回した。リオと視線を合わせるカミルは、とろけるような笑顔でリオをでている。但し、侯爵達に視線を向けるまで、だがな。

「リオの1日のスケジュールを知っているかい?午前中に執務を終え、午後は世の為になる魔道具を作る為に打ち合わせをし、それでも時間が余るから僕の執務を手伝ったり。リオは賢くて要領も良いから、仕事が直ぐに終わってしまうんだよ。王国の書庫の本も読み終えてしまって暇だと言うから、母上に相談して、早めに王妃教育も始める事になったのであって。おざなりなんて事はあり得ないんだよ」

 侯爵達を見るカミルの目つきはとても鋭くなっていて、侯爵達は恐怖を覚え、後退あとずさってしまう者もいた。

「そ、そんな馬鹿な!大聖女と言う肩書だけの女でしょう!」

 あぁ、こいつ本物の馬鹿だな。公爵家の人間達と、王族も敵に回したのだからな。この国のトップである王族と、それに連なる公爵家が皆リオの味方なのだから、勝ち目は無いといい加減気が付いてくれよ?この事態はさすがにマズイと思ったらしいリオが、事態を収拾しようと動き出した様だ。

「相変わらず、この国の一部の殿方とのがた男尊女卑だんそんじょひがお好きなのかしらね?時間の無駄だと思われるので、もう結構です。あなた方に理解していただこうとは思っておりませんわ。そんな事より、今日は王妃様の記念すべき復帰なさるお祝いの席なのですから、邪魔なさらないでくださいますか?」

 わざとらしく大きな溜め息を「はぁ――――っ」と吐いて、侯爵達を軽くにらむリオはカッコ良いな。オリビアに、もっと堂々としていなさいと教育されたのだろう。『王妃の心得』は早くから振舞ふるまえた方が便利だからな。リオにはその権限もあるのだし。

「そうだね、リオ。今日は母上の為に行われるお祝いパーティーなのだから、僕やリオが目立っちゃ駄目だよね。母上も、父上の隣で少し座って休憩なさってくださいね。あの席は母上のお顔が良く見えますから、皆も祝福の挨拶をしに来てくれるでしょう」

「ええ、そうね。カミル、母様かあさまを気遣ってくれてありがとう。それではまた後でね」

 オリビアの顔は、子を想う母の表情そのもので。優しく愛おしむ笑顔でカミルとリオに目を合わせ、公爵達に向かって頷いてから私の方に戻って来た。やはり私の妻はオリビアしかいないな。あちらでは、まだごたごたしていそうだが、私は愛しいオリビアと並んでこの席に……40年ぶりに私の隣に戻って来てくれた事を、心の底から喜ぶ事だけで精一杯だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波
ファンタジー
小さい時から、様々な召喚獣を扱う召喚士というものに、憧れてはいた。 そして、遂になれるかどうかという試験で召喚獣を手に入れたは良い物の‥‥‥なんじゃこりゃ!? 個人的にはドラゴンとか、そう言ったカッコイイ系を望んでいたのにどうしてこうなった!? これは、憧れの召喚士になれたのは良いのだが、呼び出した者たちが色々とやらかし、思わぬことへ巻き添えにされまくる、哀れな者の物語でもある…‥‥ 小説家になろうでも掲載しております。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」  主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。  しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。 「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」  さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。  そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)  かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!

処理中です...