【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音

文字の大きさ
202 / 211

第202話 赤い建物を目指せ! ★リオ SIDE

しおりを挟む
 ライトにカミルと爺やへの伝言を任せ、私は魔力を感知されない様に気をつけながら、赤い屋根の建物へと向かっていた。向かう道の途中では、小動物が傷だらけで倒れている事もあり、私は目立たない様にヒールを更に弱く調整しながら使い、時間を掛けて動物達を治しながら進んだ。

 もう、出発してから随分と時間が経った気がするけれど、傷ついた弱き者達を助けない事なんて出来ない。どんなに時間が掛かろうとも、私は助けられる命は助けながら向かうと決めていた。

「さぁ、お逃げなさい。ここは危険だから、お城から離れた方が良いんじゃないかしら?ふふっ、ありがとう。私は大丈夫よ。ほら、早く逃げて」

 ライと別れて、屋根の下へ降りた瞬間から始まった治療は、未だに終わりが見えない。何せ、道端や建物の間に傷ついた動物達が、無造作に投げ捨てられているのだ。精霊達も助けなければならないのに……ここは平民の生活区域では無いので、城から出ても同じ光景なのであれば、私はこの国を滅ぼしてしまいたいとすら思うわ。

 私の持論じろんなんだけど、誰かを傷つける者は、自分も傷つけられる覚悟を持って傷つけるべきだと思うのよね。やめてくれと言われても、私はやめないと思うわ。だって、傷つけられたこの子達も必死に抵抗したはずだもの。

 ふぅ、やっと出発地点から半分ぐらい進んだかしら?流石の私も、少し疲れて来たわね。隠密魔法と防御魔法は掛けてあるけれど、知らない土地で気を抜くわけにはいかないものね。魔力は隠密魔法と防御膜は元々大して魔力を使ってないし、回復も弱いヒールしか使って無いから、自然回復してるし問題ないのだけれど。どちらかと言うと、精神的な疲れが少し溜まって来たわね。

 あら?ここからは怪我をした動物達が急に居なくなったわ……赤い建物まであと500mぐらい?どうしても気になったからしばらく周りの様子を伺っていると、大きな箱を担いでいた男が、乱雑に物を置いた様子が見えた。ん?その左にいる男……その男だけは魔法を使えそうね。んー?あら?違うわね?あれは魔道具だわ。ここからは更に気を引き締めて進まなければならないみたいね。

 男は5人居たんだけど、箱を持たない2人は別方向へ向かうみたいね。ん?あの箱、何か魔法が?中に入っているのは、魔力を感じるから生き物みたいなのに、抵抗している様子が全く無い。まるで気を失っているかの様な……まさか、さらって来た精霊達が……?治療する必要のある子達も今の所はいないし、この箱は赤い屋根の建物に持って行くのでしょうから、私もついて行きましょう。きっと最短距離で向かうでしょうからね。

 爺やが言うように、焦っては駄目よ。チャンスは1度しか無いと思った方が良いわね。あの箱の中が精霊で、あの建物に繋がれたなら、きっと男達は出て行くでしょうから、その隙に精霊達を助けられたら良いのだけど……

 ゆっくり進む彼らの後ろをついて行くと、1番後ろの男が持っていた箱が、急に暴れ出した。魔道具を自力で壊したのかしら?かなり力の強い精霊だと思われるわ。それにしても、あの箱には防音魔法が施されているのかしら?あんなに暴れているのに、全く音が聞こえないわね。

『そこの純白の魔力の……ニンゲン?え?ニンゲン?』

 念話の主は、この中に入っている精霊でしょうね。少し驚いたけれど、きっと私の魔力が精霊と同じだと思ったから、声を掛けようと思ったのね。なのに気配が人間だから驚いた、と。

『ええ、私は人間ではあるけれど、貴方達精霊の味方だから安心してね』

『…………本当に?僕とスムーズに念話が出来てるから、精霊の契約者だと思うけど……僕はもう、この国にいるニンゲンは信じられない……』

 そうよね。酷い仕打ちを受けていれば、人間に対して疑心暗鬼ぎしんあんきにもなるわよね。でも、信じて貰えないと先に進めないわ……彼はソラを知ってるかしら?

『私の事は信じなくて良いわ。私の契約している精霊はソラ。精霊の王子だから知っているのでは無いかしら?』

『精霊の王子様の?本当に?そうであれば、何故王子様はこちらに来てくれないんだろう……』

『ソラにはデュルギス王国で留守番して貰っているわ。今はデュルギス王国の中で1番安全な場所で待っていて貰っているの。この国が危険な事は、私達も耳にしていたからね』

『…………都合が良い考えになってしまうけど、貴女は我々を助けに来てくれたの?』

 不安そうな声で問いかける彼は、助かりたい気持ちと、まだ信じられない気持ちで揺れてるみたいね。でも彼には、何を何処どこまで知っているのか、何が出来るのかを聞いておきたいわね。

『ええ、そうよ。この先には弱い精霊達が沢山繋がれているのでしょう?貴方はこの国に連れて来られたばかり?』

『いや、僕はさっきまで他の場所に居たんだ。多分、魔力を使い過ぎて、気を失ってしまったんだと思う。気がついたら運ばれていたんだ。そして貴女の魔力が純白だったから、状況を知りたくて念話したんだ』

 弱い精霊の所へ連れて行く最中という事は、気を失ったから弱い精霊と判断されてしまったのだろうか?タイミング良く現れて、そちらから話しかけてくれて、私としては正直助かったけどね。

『そうなのね。ねぇ、貴方は他の精霊達に一気に何かを伝える事は出来るかしら?念話は1人としか出来ないものなの?』

『貴女が言いたい事は分かったけど、流石にそれは難しい。僕の力でも最大で10人が限度だろうね』

 それが凄いのか分からないけれど、この精霊は強い部類の精霊でしょうから、ソラでもなければ無理って事よね。それは諦めるしか無いかしら。

『うーん、精霊達を逃すより、近くで守る方が賢いかしらね。逃げてもまた捕まっては意味が無いし、声を聞く限り……弱っている精霊の数が多過ぎるわよね。私の力で精霊を回復出来るのかしら……』

『ん?精霊達を回復する?貴女は……もしかして聖女?その魔力、コテツと同じであったかいな。あぁ、とても懐かしい』

『あら、コテツさんを知っているの?彼は私の御先祖様なのよ。もう1000年前に……って事は、貴方はそれ以上生きているのね?』

『ニンゲンの貴女がそれを知ってる理由は、王子様と夢の中でコテツに会ったから?』

『ええ、ソラがいざなってくれて、コテツさんとお話しさせて貰ったわ』

『そうか……じゃあ、コテツの好きな食べ物を言ってみてよ』

 あら?私を信じようとしてくれている?コテツさんの知り合いだと納得したら協力してくれるかしら?

『えっと、彼の好きな食べ物ね?そうね……おにぎりと味噌汁かしら?まとめて和食?あとは梅干しも好きでしょうね。梅の木まで探して来たって言ってたもんね』

『…………そうか。貴女を信じよう。我らが王とも話しをしなければ、梅の木まで探して来たなんて情報は知らないだろう。精霊界に王が貴女を招き入れたのであれば、それは信じるに値するからな』

『え?ええ、そうね?精霊王には先月会ったけど、また味噌を作り始めるみたいよ?いつもお手伝いしてくれていた精霊が中々帰って来ないから、途中までしか出来ないってボヤいていたけど……もしかして、貴方がその精霊なの?』

『王が……王が僕を待っていたと?』

『ええ。貴方は大豆の煮え具合を見極めるのが1番上手いからって……ん?それって、まだ大豆を水に浸して一晩置いた所で終わってるって事じゃない?』

『ブフッ!た、確かにそうだな。途中というよりも始めたばかりで作業が止まっている様だ。ふむ。確かに貴女は王と認識がある様だ。それでは、急ぎ片付けて帰りましょう。暴れて良いのであれば、こんな所から皆を連れて脱出するのは難しくありませんから』

『待って!駄目よ、貴方が傷つくでしょう。精霊は人間や仲間を傷つけるとペナルティーがあるのでしょう?』

『なんと……そこまで知っているのですか。ですが、それしか方法は無いでしょう?精霊でも難しい事をニンゲンには……』

 とっても優しい精霊ね。自分を犠牲にして皆を助けるなんて……そう言えば、リアの所の精霊ルゥーもそうだったわね。やっぱり、優しい精霊達を虐める人間を、私は許せないわ。

『私の仲間が来ているの。貴方達を全員助ける為に、全力を尽くしてくれる者達よ。半精霊のライも来ているから、私達がこの国に負ける事は無いわ。だから、手間をかけてでも、慎重に進めた方が皆んなを安全に助ける事が出来ると思うの。あ、私はリオよ。リオと呼んでね』

『…………分かった。リオを信じよう。僕はこのまま大人しく箱の中にいて、運ばれたら良いのかな?』

『ええ、そうね。私は貴方達の後ろからついて行くわ。建物に着いた後に、少し様子を見てから、その後の事は考えるわ』

『そんな余裕は無いかも知れないよ。魔道具の所にいた、それなりに力を持つ精霊達がこちらに向かっている様だからね』

『え?もう?』

『その様子じゃ、リオの仲間が解放したのかな?』

『ええ、恐らくそうだと思うわ。人間が数人、精霊達を追いかけて来ているでしょう?』

『あぁ。ただ、追い掛けて来ているのは数人では無いけどね?繋がれていた建物を派手に壊したんじゃ無いかな?逃げた事に気づいたと思われる、この国の者も含めて30人ぐらいが追い掛けて来ているかな』

『えぇ?!そんなに?爺やが暴れたのかしら……』

『どちらにしろ、後はこちらの精霊を解放すれば良いだけにはなったよね。こちらに向かっている精霊達は強いとは言え魔道具で捕まる可能性が多少あるけど、リオ達も居るから、解放するくらいは余裕だよね?』

『ええ、勿論よ。治療はその後でやった方が良さそうよね。最悪、この国には滅んで貰った方が動物達も安心して暮らせるんじゃ無いかと思うし……私が多少暴れても問題無いかしらね?』

『…………何故なぜか心配なのだが?お願いだから程々にしてよ?リオの魔力は、僕より強いのだから。僕だって、どちらかと言えば強い部類の精霊なのにだよ?加減しなければ、この国なんて跡形無く吹っ飛ぶと思うよ?……多分だけど』

 ええ?私、そんなに強くなっていたの?ついこの前までは、精霊ほどでは無いけど人間の中では最強って言われてたんだけどね?まぁ、程々に暴れましょう。暴れずに済むのが1番良いんだけどね。赤い建物はもう目前もくぜんだし、早く他の精霊達の様子を確かめたいと思うわ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波
ファンタジー
小さい時から、様々な召喚獣を扱う召喚士というものに、憧れてはいた。 そして、遂になれるかどうかという試験で召喚獣を手に入れたは良い物の‥‥‥なんじゃこりゃ!? 個人的にはドラゴンとか、そう言ったカッコイイ系を望んでいたのにどうしてこうなった!? これは、憧れの召喚士になれたのは良いのだが、呼び出した者たちが色々とやらかし、思わぬことへ巻き添えにされまくる、哀れな者の物語でもある…‥‥ 小説家になろうでも掲載しております。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」  主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。  しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。 「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」  さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。  そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)  かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!

処理中です...