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ミニ番外編
接触してくる
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魔術学園に特別講師として勤めている次期ワイズ侯爵夫人イヴェット・ワイズはその日、夫であるキースとの会話の中でとある生徒の話をした。
「それでね、その女子生徒なんだけど、あの有名なハイラム国境騎士団の長ランバート家の子供なのに剣の腕は全然駄目なの。まぁ武門の家だから必ずしも剣の才能があるとは限らないものだしその必要は無いものね。それに、ハイラム王国からわざわざアデリオールの魔術学園を選ぶのも変わっているわよね。国の位置的にハイラント魔法学校へ入学する生徒がほとんどじゃない?」
妻の話を聞き、キースは頷きながら言った。
「そうか。確かにそれは言えているな。……ん?でも待てよ?今のランバート家の当主には男子しか子供はいないと聞き及んだ事があったと思うんだけど……」
「え?何かの記憶違いじゃない?カメリア・ランバートは見目麗しい少女よ?まぁ話し方は少し中性的だなとは思っていたけど」
「記憶違い……はて……?」
そう言ってキースは首を傾げた。
「ふふ」
記憶力に定評のある夫でもそんな事があるのだなとイヴェットは微笑ましく思いながら紅茶を口に含んだ。
───────────────────────
「やぁ、カメリア嬢」
「げ」
生徒会執行部の集まりの予定がない日の放課後の事だった。
ルシアン・ワイズとの待ち合わせ場所で待つカメリア・ランバートに、モルトダーン王国筆頭侯爵家の嫡男アーバン・マフレインが声を掛けてきた。
友人たちと別れてカメリアが一人になった隙を突いて接触を図ってきたようだ。
やはり教室まで迎えに行くと言っていたルシアンに従っていれば良かったと、カメリアは内心舌打ちをした。
───やっぱりコイツ、人の行動を監視してる?
そう思うとゾッとするが周りに他の生徒も多数いるので変な事はしないだろう。
カメリアはふいと視線を逸らし端的に言う。
「……何かご用ですか?」
それに対し、アーバンは鼻につくような甘ったるい声で返した。
「つれないなぁ。やっと二人きりで会えたというのに」
「一方的に話しかけられているだけだと思いますが」
「キミは相変わらず美しいね」
「私の話は無視ですか」
「やはり僕にはキミのような女性が相応しいと思うんだ。出自、容姿、能力的に条件を完璧にクリアしているよキミは。まぁもう少し肉付きが良くてもいいとは思うけどね」
そう言ってアーバンの視線が胸元に落ちそうになるのを、カメリアはくるりと背を向けて拒んだ。
「人と待ち合わせをしているので」
「待ち人が来るまで話し相手になってあげるよ」
「結構です。時間に正確な人なのでもう来るはずですから」
「待ち人って誰?友達?」
「ルシアン・ワイズ伯爵令息です」
「……あいつか。確かに彼の伯父は侯爵だけどね、彼は所詮伯爵位止まりなんだよ?それに比べて僕なら…「お待たせしました、カメリア先輩」
その時、アーバンの言葉を遮ってカメリアを呼ぶ声が聞こえた。
カメリアとアーバンが視線を巡らせとそこにはカメリアに向かって歩いてくるルシアンの姿があった。
「チ、」
カメリアの耳にアーバンの舌打ちが届く。
侯爵家の令息が舌打ちなんてするなよ、とカメリアは思った。
だけどそんな事はおくびにも出さずにルシアンと向き合う。
「ルシアン。そんなに待ってないよ」
「それは良かった」
そう言ってルシアンはカメリアとアーバンの側に来た。
この一年でまたぐっと身長が伸びたルシアン。
二学年も上のアーバンと並んでも引けをとるどころか既に彼の身長を超えているようだ。
上背があり、体を鍛えているために痩身ながらもしっかりとした体格のルシアンに、如何にも文官タイプのアーバンは苦手意識があるようだ。
彼は意図して並ばないように一歩下がった。
それを視界の端に捉え、ルシアンがカメリアに言う。
「それじゃあ先輩、行きましょうか」
「うん。よろしく頼むよルシアン」
「ではマフレイン先輩、失礼します」
「……ああ」
ルシアンがアーバンにそう言うと、彼は悠然としてそう答えるも内心歯噛みしているのが感じ取れる。
そんなアーバンを一人残し、ルシアンとカメリアは校舎内を二人で歩いて行った。
アーバンから離れたところでルシアンがカメリアに言う。
「何か嫌な事をされませんでしたか?やはり教室まで迎えに行けばよかったですね」
「大丈夫、大したことは言われてない。ただ不気味に思っただけだ」
「マフレイン家の間者が確実に学園内にいますよね。でないと先輩が一人になるタイミングを的確に突く事など出来ない」
「そうだね。まったく…学び舎になんてものを招き入れるんだ。腹がたつ」
「同感です」
「それよりルシアン、今日は本当にあの人に会いに行っても大丈夫なのかな?」
カメリアが心配そうにルシアンに言う。
「ええ大丈夫ですよ。放課後に話があると事前に言って了承を得てますから」
「それならいいけど……」
「もしかして緊張してます?」
「そりゃするよ!なんてったって憧れの人だからね」
「まぁ本人に会えば、そのパワフルさに緊張なんて吹き飛ぶと思いますよ」
「こ、心得た……!」
「あはは」
緊張から変に力むカメリアをルシアンは柔らかく笑った。
そしてカメリアに引き合せる人物がいる部屋へと到着する。
ルシアンはドアを軽くノックして訪いを告げた。
「ルシアンです」
すると中からカッカッカッと、硬いヒールが床を突く硬質な足音が聞こえた。
「ハァ~~イ!」
そう応じる声がして、中にいた人物がドアを開けてくれた。
そしてルシアンとカメリアを見てこう言う。
「医務室いらっしゃあ~~い♡あなたがカメリアちゃん?よろちくび~♡」
今日も加減を知らない熱量を放つメロディがそこにいた。
───────────────────────
皆さま、あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろちくび~(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)ペコリ♡...*゜
「それでね、その女子生徒なんだけど、あの有名なハイラム国境騎士団の長ランバート家の子供なのに剣の腕は全然駄目なの。まぁ武門の家だから必ずしも剣の才能があるとは限らないものだしその必要は無いものね。それに、ハイラム王国からわざわざアデリオールの魔術学園を選ぶのも変わっているわよね。国の位置的にハイラント魔法学校へ入学する生徒がほとんどじゃない?」
妻の話を聞き、キースは頷きながら言った。
「そうか。確かにそれは言えているな。……ん?でも待てよ?今のランバート家の当主には男子しか子供はいないと聞き及んだ事があったと思うんだけど……」
「え?何かの記憶違いじゃない?カメリア・ランバートは見目麗しい少女よ?まぁ話し方は少し中性的だなとは思っていたけど」
「記憶違い……はて……?」
そう言ってキースは首を傾げた。
「ふふ」
記憶力に定評のある夫でもそんな事があるのだなとイヴェットは微笑ましく思いながら紅茶を口に含んだ。
───────────────────────
「やぁ、カメリア嬢」
「げ」
生徒会執行部の集まりの予定がない日の放課後の事だった。
ルシアン・ワイズとの待ち合わせ場所で待つカメリア・ランバートに、モルトダーン王国筆頭侯爵家の嫡男アーバン・マフレインが声を掛けてきた。
友人たちと別れてカメリアが一人になった隙を突いて接触を図ってきたようだ。
やはり教室まで迎えに行くと言っていたルシアンに従っていれば良かったと、カメリアは内心舌打ちをした。
───やっぱりコイツ、人の行動を監視してる?
そう思うとゾッとするが周りに他の生徒も多数いるので変な事はしないだろう。
カメリアはふいと視線を逸らし端的に言う。
「……何かご用ですか?」
それに対し、アーバンは鼻につくような甘ったるい声で返した。
「つれないなぁ。やっと二人きりで会えたというのに」
「一方的に話しかけられているだけだと思いますが」
「キミは相変わらず美しいね」
「私の話は無視ですか」
「やはり僕にはキミのような女性が相応しいと思うんだ。出自、容姿、能力的に条件を完璧にクリアしているよキミは。まぁもう少し肉付きが良くてもいいとは思うけどね」
そう言ってアーバンの視線が胸元に落ちそうになるのを、カメリアはくるりと背を向けて拒んだ。
「人と待ち合わせをしているので」
「待ち人が来るまで話し相手になってあげるよ」
「結構です。時間に正確な人なのでもう来るはずですから」
「待ち人って誰?友達?」
「ルシアン・ワイズ伯爵令息です」
「……あいつか。確かに彼の伯父は侯爵だけどね、彼は所詮伯爵位止まりなんだよ?それに比べて僕なら…「お待たせしました、カメリア先輩」
その時、アーバンの言葉を遮ってカメリアを呼ぶ声が聞こえた。
カメリアとアーバンが視線を巡らせとそこにはカメリアに向かって歩いてくるルシアンの姿があった。
「チ、」
カメリアの耳にアーバンの舌打ちが届く。
侯爵家の令息が舌打ちなんてするなよ、とカメリアは思った。
だけどそんな事はおくびにも出さずにルシアンと向き合う。
「ルシアン。そんなに待ってないよ」
「それは良かった」
そう言ってルシアンはカメリアとアーバンの側に来た。
この一年でまたぐっと身長が伸びたルシアン。
二学年も上のアーバンと並んでも引けをとるどころか既に彼の身長を超えているようだ。
上背があり、体を鍛えているために痩身ながらもしっかりとした体格のルシアンに、如何にも文官タイプのアーバンは苦手意識があるようだ。
彼は意図して並ばないように一歩下がった。
それを視界の端に捉え、ルシアンがカメリアに言う。
「それじゃあ先輩、行きましょうか」
「うん。よろしく頼むよルシアン」
「ではマフレイン先輩、失礼します」
「……ああ」
ルシアンがアーバンにそう言うと、彼は悠然としてそう答えるも内心歯噛みしているのが感じ取れる。
そんなアーバンを一人残し、ルシアンとカメリアは校舎内を二人で歩いて行った。
アーバンから離れたところでルシアンがカメリアに言う。
「何か嫌な事をされませんでしたか?やはり教室まで迎えに行けばよかったですね」
「大丈夫、大したことは言われてない。ただ不気味に思っただけだ」
「マフレイン家の間者が確実に学園内にいますよね。でないと先輩が一人になるタイミングを的確に突く事など出来ない」
「そうだね。まったく…学び舎になんてものを招き入れるんだ。腹がたつ」
「同感です」
「それよりルシアン、今日は本当にあの人に会いに行っても大丈夫なのかな?」
カメリアが心配そうにルシアンに言う。
「ええ大丈夫ですよ。放課後に話があると事前に言って了承を得てますから」
「それならいいけど……」
「もしかして緊張してます?」
「そりゃするよ!なんてったって憧れの人だからね」
「まぁ本人に会えば、そのパワフルさに緊張なんて吹き飛ぶと思いますよ」
「こ、心得た……!」
「あはは」
緊張から変に力むカメリアをルシアンは柔らかく笑った。
そしてカメリアに引き合せる人物がいる部屋へと到着する。
ルシアンはドアを軽くノックして訪いを告げた。
「ルシアンです」
すると中からカッカッカッと、硬いヒールが床を突く硬質な足音が聞こえた。
「ハァ~~イ!」
そう応じる声がして、中にいた人物がドアを開けてくれた。
そしてルシアンとカメリアを見てこう言う。
「医務室いらっしゃあ~~い♡あなたがカメリアちゃん?よろちくび~♡」
今日も加減を知らない熱量を放つメロディがそこにいた。
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皆さま、あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろちくび~(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)ペコリ♡...*゜
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