無関係だった私があなたの子どもを生んだ訳

キムラましゅろう

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ミニ番外編

憧れの人

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自分の性…心と体が一致しない人物の描写があります。
地雷の方はご自衛をお願いいたします。




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「アナタが(アタシと親衛隊の中で)噂のカメリアちゃんね、ヨロチクビ~♡」

医務室の控え室に招き入れられたルシアンとカメリア。
メロディがカメリアに向かってそう挨拶をしたのを受け、カメリアはビシッと背筋を伸ばしてから挨拶を返した。

「は、は、はい!よろちくびです!」

「アハハハッ!ヤダなにこの子、超カワイイんだけどカメリア・ランバートってこんな子だったノ?」

カメリアの挨拶を気に入ったメロディがそう言うとルシアンが頷いた。

「うん。学園内ではクールビューティな生徒会長として知られているけど、実は結構面白い人なんだよ。そしてメロディちゃんに憧れているんだって」

「まぁっ!アタシにっ?アンタ見る目アルじゃな~い♡」

「はい!メロディおネエサマは私の憧れであります!」

「アラ嬉しい♡でもどーして?ハイラムの辺境伯のお嬢サマがなんでアタシを知ってんの?」

「じつは私、子供の頃にはすでにおネエサマを知っていたのです」

「え?アタシを?」

カメリアは頬を上気させて大きく頷いた。
そして当時の事を話し出した。

それは今から十年前。
ランバート家の令息として、ハイラム騎士団とアデリオール騎士団の交流試合を見学するために兄と共に父親に連れられてハイレンの西方騎士団へと訪れた時の事だった……。

「ちょいお待ち、十年前?十年前といえば丁度古巣の西方騎士団の医務室長に頼まれて臨時で手伝いに行ったコトがあったワ。そうそう、他国との交流試合で負傷者が出るかもしれないからって要請されて……もしかしてそン時にアタシと会ったというの?」

十年前と聞き、自身の記憶と合致したメロディがカメリアに訊いた。

「いえ、その時にお会いした訳ではなくて」
「違うんかいっ」

すぐさま否定するカメリアにメロディがツッコミを入れるが、話が進まないからとルシアンが言う。

「メロディちゃん、とりあえず最後まで話を聞こうよ」

「ヤダそうね♡ごめんねルッシー♡アタシのタマシイのムスコ♡いやん、シイのだなんて、エッチィ響きになっちゃった♡」

ルシアンが可愛くて仕方ないメロディは余計な事を言いながらも素直に従う。
メロディのシモトークには慣れっこのルシアンは笑みを浮かべてそれをサラリと躱し、カメリアに「それでどうしたんですか?」と続きを促した。

ルシアンに促され、話を再開したカメリアの言う事には、
その交流試合に出て怪我をした従兄が医務室に行って、そこで未知メロディとの遭遇を果たしたらしい。

その従兄が医務室から戻って、応援に来ていたカメリアと兄にメロディの話を語って聞かせてくれたそうなのだ。

その時すでに、近しい身内にはカメリアの心と体の問題の事は当主である父から皆に伝えられていた。

その従兄が興奮冷めやらぬ様子で当時八歳のカメリア……その時はまだ“カメリオ”という男子の名前だったカメリアに言った。

「すごいぞカメリオ!医務室にオトコだけどオンナでオンナだけどオトコの部分もあるだけどオンナの魔法薬剤師が居たんだ!すっごく面白い人で、朗らかで堂々とした、とにかくなんか凄い人だった!」

語彙力が崩壊するほどのメロディインパクトを受けた従兄の話を聞き、“カメリオ”だったカメリアはめをぱちくりとさせた。

「どうどうとした……?」

カメリアは物心ついた頃から自分の心と体に感じる違和感を“ちぐはぐ”と呼び、それを抱えて生きてきた。
だが両親はそんなカメリアの状態に気付き、いち早くカメリアが自分らしく生きられる道を模索してくれたのだった。

社会にはどうしても偏見や自分が相容れないからと心無い言葉をぶつける者たちが居る。
それもまた個人の自由な価値観あって否定も非難もしないが、“カメリオ”が自分らしく生きる為にはその価値観を持つ人間と向き合わねばならない事も多々出てくるはずだ。

だけどそれはまだ幼い“カメリオ”に無理だ。
もっと大きくなって、自分で自分の目指す生き方を守れるようになるまでは“カメリオ”の中の本当の心は世間には秘匿とする。
それが両親が決めた事であった。
そしてランバート家の当主である父は、ごく近しい信頼の置ける身内にだけその事を打ち明け、皆で“カメリオ”を守って来たのであった。

そう。カメリアは男性として生まれながらも女性の心を持って生まれてきた、メロディと同じ心を持つ人間であった。

従兄の話を聞き、“カメリオ”だったカメリアはこっそり医務室を覗きに行った。

医務室は本戦さながらの激しい試合により軽傷だが負傷する騎士たちでごった返していた。
その中で時折シモネタを挟みながら騎士たちの手当てをして忙しくも活き活きと働くメロディの姿を見たのだ。

その人はそれはもう堂々と溌剌としていた。
おネエと呼ばれるオンナの自分に誇りを持って生きているのが、覗き見た短い時間の間でもわかる。

明るくて豪快で楽しそうで幸せそうで。

自分もあんな風になりたい。あんな風に自由に生きたい。
小さな“カメリオ”だったカメリアはそう思った。

その時からメロディ・ブレゲはカメリアにとって生きる指針、目指す目標、憧れの存在となったのであった。

これまでに何度か、メロディが当時勤めていた薬剤店を聖地と崇め、客として通ってその御尊顔を拝し奉った事もある。

そして“カメリオ”が十三歳となった時、父は貴族院に“カメリオ”を“カメリア”として戸籍の変更と貴族名鑑の書き換えを申請した。

そしてアデリオール魔術学園へ、カメリアという少女として入学させてくれたのだ。
いわゆる学園デビューである。
ハイラムの子供が多く通うハイラント魔法学校ではなくアデリオール魔術学園にしたのは、カメリアとしての新しい生き方に慣れるまで、以前の“カメリオ”を知らない人間ばかりいる学園の方が良いと判断したからだ。

そして何より、アデリオールにはカメリアが憧れるメロディ・ブレゲがいる。

それらの事を鑑みて、カメリアをアデリオール魔術学園に入学させたのであった。





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カメリオだったカメリア……ややこしい。







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