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本編
18話 今後のこと
しおりを挟むーもうやることやっちゃいるけれどまさかベタに『婚姻届ですか?』って言われるとは思わなかった…。
クリスティアで暮らすための戸籍をダンカム夫妻の養女として貴族街の役所でつくり城へ向かっている途中リリゼットは馬車の中でこのように思い返していた。
というのもリリゼットがクリスティアで暮らすための戸籍をつくるべく貴族街の役所の前に来て『オレは目立つから待っているよ』と馬車にレオナルドを残してリリゼットはギルヴェルトと2人で役所の中に入った時のことだった。
受付の女性に戸籍をつくることを伝える前に2人の関係は結婚を約束した仲であると思われたようで『婚姻届ですか?』と言われたのだ。
その場でギルヴェルトが否定し前もって渡されていたダンカム夫妻が作成していた養子縁組の書類を受付に渡して30分ほど確認時間を取り正式にリリゼットはダンカム夫妻の養女リリィ・ダンカムとなった。
リリィ・ダンカムとしての戸籍をつくり馬車に戻って来てからどうしてもリリゼットは今後ギルヴェルトとどのような関係で付き合っていくかについて考えてしまうのだ。
リリゼットとギルヴェルトの現在の関係はリリゼットの命だけでなく身内や友人達がクリスティアに身を寄せて来た場合その者達の生活と身柄の安全を保証するように上の者に進言するという『依頼』でつながっている関係である。
そしてギルヴェルトに依頼したその晩、リリゼットは依頼の報酬として確かに一夜だけ彼とは体との関係を持ち純潔を捧げた…。
リリゼットはあのような条件で初体験をギルヴェルトに捧げたとしても彼に対して悪印象は持たなかったが、ギルヴェルトの方はリリゼットのことをどのように思っているのか見当もつかない。
リリゼットの結婚に対しての思いは家柄でもなく親が勝手に決めた婚約だからでもなく互いを尊重し愛し合った仲でなければ結婚は成立しないものだと前世でも結婚経験はないが前世の時代背景の影響は強かった。
だから体の関係はあってもこの先ギルヴェルトと結婚するかどうかはまだまだ互いのこと、相手のことをどのように思っているかを互いに知る必要があるとリリゼットは思っていた。
「さっきから黙っているけど役所で何かあったのか?」
リリゼットは馬車に戻って来てから殆ど話さなくなったので役所で何かあったのかとレオナルドに問われた。
「あ、いいえ…、ただ私はもう『リリゼット・アルガリータ』ではなくなったという実感がまだなくて少し考えごとをしていただけです」
リリゼットが元公爵家の令嬢『リリゼット・アルガリータ』ではなくなりダンカム商会の養女『リリィ・ダンカム』になったという実感がないのも嘘ではない。
ただレオナルドに本当のことを話してしまえば知られたくない事実、特に『あの夜』のことを気付かれてしまうと思ったからだ。
『あの夜』のことが知られてしまえばギルヴェルトが未婚、出会って間もない女性であるだけでなく保護対象に不利な条件を突きつけ脅しで体の関係を迫ったとして処罰を受けてしまうと恐れてリリゼットは本当に考えていたことをレオナルドには話せなかった。
「実感というのはすぐにわくものじゃないと思うけどな。君は冤罪を受けてから心休まる日など殆どなかっただろうから本当はすぐにでもダンカム夫妻の元で休ませてやりたいがもう少しだけ待っていてほしい…」
いわれのない断罪で疲れているだろうと気遣ってくれたレオナルドの言葉に嘘をついたことでリリゼットの良心が痛むのを感じた。
リリゼットがダンカム夫妻の元で暮らす前には先にクリスティアの国王と同じ世界に転生したミカと会わなくてはならないのだ。
ギルヴェルトとの今後の関係よりも優先すべきことがリリゼットには山積みだった…。
ーやっぱり3国のうちの一国であるだけあって城は大きいなぁ。
3人が乗っている馬車がクリスティアの王都にある王城に辿り着いた。
クリスティアの王城はガルヴァンの王城と比べると装飾は少ないが大きさ自体は大差がないようにリリゼットは感じた。
「おぉ、レオ!やっと帰って来たか!そして君が件の令嬢かクリスティアにようこそ!」
城の中に通されると金髪のレオナルドと良く似た青年がリリゼットを笑顔で出迎えてくれた。
「オーガスタ・ダンカムの養女、リリィ・ダンカムと申します。以後お見知り置きを」
レオナルドと似ているが王城にいるということはとても身分が高い貴族の青年なのだろうと思い今リリゼットは町娘の服装だが貴族らしくスカートの両端をつまみながら挨拶をした。
「オレはディオナルド・フォン・クリスティア。この国の第一王子でレオナルドの双子の兄なんだ」
この青年、ディオナルドの自己紹介でリリゼットは思い出せないでいたレオナルドのことを思い出した。
この2人は『クリスティアの乙女』の攻略キャラでレオナルドはメイン攻略キャラのディオナルドの双子の弟、本名をレオナルド・フォン・クリスティア。
そしてクリスティアの第二王子であり前世の友、美香の推しキャラであったということを…。
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