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しおりを挟むシャロンと最後に顔を合わせてから四年の月日が経った。
これまでは年に一度は予定を擦り合わせ、ロートスに出向いていた。
しかしここ数年はエドナが近隣諸国の戦いに巻き込まれ、セシルも戦地へ赴くことを余儀なくされ、加えてロートス側からは予定が合わないと断られたり、どうすることもできない状態が続いたのだ。
シャロンはとっくに結婚適齢期を迎えていたが、セシルは彼女よりも四歳年下である。
なので婚約当時、婚姻はセシルが十八を迎えた年に行うということでロートス側と合意していた。
そして今年、十八の誕生日を控えたセシルはシャロンのために花嫁衣装を作らせた。
出来上がった純白の衣装を前に、シャロンの美しい花嫁姿を想像して胸が震えた。
きっと不安な気持ちを抱えて来るだろう。
だから彼女がエドナに着いたら一番先に、式が始まる前に、きちんとこの想いを伝えよう。
好きでたまらなくて、君を前にするとうまく喋ることができなかったのだと。
生涯君だけを愛するからと。
しかし花嫁衣装をロートスへ送ってからふた月後、ロートス国王から書簡が届けられた。
そこに記されていたのは婚礼衣装の礼ではなく、セシルとシャロンの婚約を解消するという一方的な内容だった。
しかもシャロンの次の嫁ぎ先は既に決まっており、相手はエウレカのマヌエル王子だという。
──そして、二人は恋人同士なのだと
憤る父王と臣下たちの怒号が響く。
紛糾する玉座の間で、セシルの頭の中は真っ白に染まった。
エドナ国王は、即刻重臣たちを集め、会議を開いた。
そこで下された決定は、ロートスを滅ぼす事だった。
王族だけでなく、国民までも根絶やしにすると。
(罪もない民の命まで奪うわけにはいかない)
混乱する頭でセシルは必死に止めたが、これまで散々軽視されてきた恨みが、父王たちを極端な決断へと導いてしまった。
本当に、シャロンはエウレカの王子と恋仲なのか?
彼女を信じたい。
けれど確信するには証拠が必要だった。
エドナが秘密裏に戦の準備を進める中、セシルは再び配下をロートスへと潜り込ませた。
そして調査の結果、書簡の内容が真実であるとの報告が。
セシルは絶望した。
そして同時に、今まで感じたことのない凄まじい怒りが、腹の底から込み上げてきた。
その日、セシルは全軍を指揮する許可を父王に願い出た。
自分を裏切った事を後悔させるため。
そしてシャロンをエドナに連れ帰るために。
「セシル、早まるなよ。真実は何なのか、自分の目で見て確かめろ」
出発前。珍しく神妙な顔をしたアレンがセシルに声を掛ける。
だがアレンの言葉も、この時のセシルには響かなかった。
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