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しおりを挟むロートスを落とすのは赤子の手をひねるようなものだった。
長い年月、いかに彼らがエドナの武力に頼り切りだったのか実感する。
そして馬鹿にされながらも彼らを守り続けた自分たちの人の良さに嫌気が差した。
事前に打ち合わせした通り、アレンと共に玉座の間へ向かい、王と王を守る兵士たちを捕縛する。
「セシル殿!なぜこのような真似を……!!」
ロートス国王は、あたかも自分が被害者のような口振りでセシルを非難した。
しかしセシルは相手にせず、アレンにその場を任せて早々に立ち去った。
セシルは混乱する城内を制圧しながら、シャロンの姿を探した。
そして辿り着いたシャロンの部屋で、セシルは恋い焦がれた人と四年ぶりの再会を果たす。
成熟した女性に成長したシャロンは信じられないほど美しかった。
初めて出会った時とは比べ物にならないほどの衝撃がセシルを襲う。
曇りない澄んだ瞳。
こんなにも清らかな彼女が、本当に自分を裏切ったのか。
やはり、なにか勘違いがあったのではないだろうか。
とにかく落ちついて話をする必要がある。
何よりシャロンは気の毒なほど怯えていた。
──怪我はないか
そう口にしようとした時だった。
セシルの視界にあるものが飛び込んできた。
トルソーに飾られた花嫁衣装だ。
上質な絹で作られた純白の衣装は、セシルが贈ったものよりもデザインが洗練されていて、見るからに豪奢だった。
そして、それがエウレカの王子からの贈り物だと気付くまでに、時間はかからなかった。
一瞬で身体中の血が煮え滾り、逆流したような錯覚を覚える。
激しい怒りに身を任せ、ドレスを剣で引き裂くと、シャロンと侍女が悲鳴を上げた。
化け物でも見るかのような視線を向けられ、セシルは自分を制御する術を失った。
そこからはもう、自分でも思い出したくないことばかりだ。
エドナへ帰国し、シャロンから話を聞くつもりだった。
けれど、できなかった。
彼女の部屋に飾ってあった花嫁衣装が、これまでセシルが抱いてきた疑問への答えそのものだと感じたからだ。
そして彼女の身の安全を確保する目的で用意した塔で、セシルは許されない事をした。
彼女の身を守るどころか、傷つけ、汚した。
シャロンは最初からずっとセシルを裏切っていないと訴え続け、事実彼女は清い身体だった。
それならエドナへ、そして自分の元に届いた調査結果はいったいなんだったのだ。
しかしそれでも彼女を前にしてしまうと素直になれない。
毎日のように彼女の元を訪れているのに、何ひとつ肝心な事を伝えられないまま日々が過ぎていく。
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