俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

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88話 おや?どちらの国から?③

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 -------------(タウロ視点)-------------

 『やっぱ偉い奴だけシェルターに逃げ込んだのか!ズルい奴らだ』

 カオるんが念話でギャンギャンと吠えていた。気持ちはわかるが少し音量を落としてほしいものです。

 

「ところで今回の訪問はネットの通信を使わせて頂きたいのです。こちらの通信の環境はどうなんでしょう」


 俺がそう言うと自衛官の3人は顔を見合わせながら探るような目で見てきた。


「それは、ただネットをお使いになるだけ、と言う事でしょうか?それなら地上でもそれなりに繋がっているのでは」


 確かにそうだ。ネット見るだけなら問題ないくらいには繋がる。しかしゲームをやるとなるとその通信も、怪しい感じになる。しかも火山灰の影響なのか切れやすくなってきている。複数人が同時にゲームにインした時に切れる事象が頻繁に起こり始めている。


「もしかするとゲームに関係していますか?」

「実はステータスとゲームと言う書き込みがいくつか気になっておりました。良ければお話しを聞かせていただけますか?」


 どこまでこちらの情報を開示するべきか。正直に話して今後『異世界戻り』の仲間として協力してもらえるのか。
 それとも『国』に有用とされ使われるようになってしまうのか。


「その前にこちらからも質問があります。あなた方は異世界でステータスが使えたのですよね?」

「ええ。自分らは3人とも異世界へ転移した時にステータスは表示されました」

「自分です!自分が最初に発見しました!」

「そうだった。サンバが突然ステータスと叫んだ後、踊り出したんだ」

「……サンバだけに?」


ブッ

 ツッコんだのはミレさんだ。
 吹き出したのはフジと名乗った自衛官だった。サンバさんは赤くした顔を俯けた。


『しまった! 今カオるんが乗り憑ったぞ?』

『いや俺ミレさんに乗り憑ってないぞ?』


「失礼しました。ええとサンバさんが最初にステータスに気がついたと?」

「ゴホっ、はい。それで自分ら3人共にステータス画面を表示出来る事に気が付きました。そこに表示されていたのはゲームで使っていた名前でした」

「あと、職業欄もゲームのそれでしたよね? 士長とフジさんがナイトで自分は火エルフです」

「サンバ……スト。サンバさんはウィズではないのですか?」

「違います。いえ、あの最初はウィザードで作ったのですが弱くて使い物にならなくてエルフに作り替えました。ウィズは削除しました」


『ひ、酷っ。使い物にならない? 確かに弱いけどさぁ』


 念話でカオるんが泣き崩れた。ミレさん、律儀に念話でこっちの会話を流さないでください、と言いたいが、念話では言えず声にも出せない。


「サンバがウィズの時に、サンバサンバ煩かったからエルフに変える時に名前をサンバにしろと士長に言われたんだよな」

「まさか本当に付けるとはな」

「士長命令でありましたので! それにあの時、サンバーストの魔法がゲームで実装された時、ウィズは皆サンバ連発してましたよ、自分だけではありません!」

『あ……俺も、サンバ打ちまくった。サンバーストって派手だったんだよ、威力はともかく……』

『カオるん、そんな思い出深い魔法を忘れたのですか?』

『す、すみません。その後ブリザとかファイアストームとかもっと派手で楽しい魔法が出たから、サンバの事はすっかり……記憶の彼方に」



「すみません、脱線しました。ええ、それで異世界ではゲームのようなステータス画面がある事に気がつきました。とは言えゲームよりもずっとシンプルな画面でした。ですが、マップやアイテムボックスが使えたのは有り難かったです」


「お三人は一緒に転移されたのですか?職務中に?他の自衛隊員の方は?」

「自分ら3人のみです。あの日は非番でしたが外出の許可はおりずに、宿舎の周りを走り込んでおりました。突然気を失い気がついたら深い森に居ました。武器も水さえも持っていない状態で見知らぬ森です。ですがサンバのおかげでステータスに気がつき、アイテムボックスにはゲームのキャラが身につけていた武器、装備、ポーションが入っておりました」

「おふたりもご一緒に?」


 士長が俺とミレさんに手を向けた。俺たちも一緒に転移したと思っているのだろう。


「いえ、私達は別々でしたね。ですが、どちらもエルアルシア国の王都の近くの浅い森に転移していました。私がミレイユと会えたのは王都へ行ってからです」

「そうなんですか。それにしても転移先がエルアルシアとは羨ましいです。我々が落ちたのはシエルディバイタス帝国と言う国で、賎民差別の酷い国でした。貴族以外は奴隷、冒険者ギルドなどもない、娯楽で戦わせて殺すなど日常茶飯事でした。『チキュウジン』狩りも行われていました」

「地球人狩り?」

「ええ、彼らからしたら訳の分からない人間が多数、国内に現れた。しかも見た目が彼らとはだいぶ違った。彼らは白人、白髪でした。特に貴族が。それ以外の色有りは奴隷、賎民扱いでしたので、転移した日本人は皆賎民扱いですね」

「それは……酷い、ですね」

「けれどまぁ、ステータスに気がついた者は自分の武器装備で戦っていましたね。とは言え多勢に無勢、どんどんと刈られていきましたね。
それと生き延びるために同じ日本人同士でも、その、殺しあっていたり……。皆必死でしたね。自分らはもう逃げるの一手で。森に隠れ住んでいました」

「とんでもない世界に転移したなと。自分はライトノベルとかweb小説も読んでたんですが、それらに出てくる異世界転移の中でもかなりハードモードだと、悲しいというより怒りを覚えました。何でこんな世界にと」

「10年近く逃げ延びながら生き続けてこれたのはフジやサンバが居たからでしょうか」

「士長!俺もそうです!士長が居てくれたおかげです!フジさんが居てくれたから」


 3人が肩を掴んで、堪えられない涙を流していた。

 甘い……と言われるかもしれないが、彼らを信じたくなっている自分が居る。仲間を守る為には疑り深くなくてなならない。それはわかってる。

 わかってるんだが、あの10年は本当に辛かった、その気持ちがわかる。彼らに比べたら俺たちがいた国は天国のようだった、それでも辛い事厳しい事は多々あった。

 家族のために耐えた10年、彼らもきっと……。
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