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121話 植物の進化
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そう思っていた時、タウさんからまたしても『緊急』の招集がかかった。
「拠点で何かあったようだ。俺は戻るが、皆はこのまま進めていてくれ」
「いえ、私も戻ります」
「僕も戻る!」
「俺たちも戻るか。亮治さん、どうする? このまま続けてもらっていいけど」
「憲鷹、僕らも一旦洞窟に戻ろう」
「そうだな、何があったか気になってゲームに集中出来ない」
全員を連れて洞窟へ戻った。呼び出しがあったのは盟主だけなので、マルクとキヨカには部屋で待つように伝えたが、ふたりともついてきて廊下で待つと言った。
タウさんはふたりも部屋へ招き入れた。そこにはカンさん、ミレさん、アネさんが既に揃っていた。
「すみません、皆さんお忙しい所集まっていただきまして。この地域で脅威が発生いたしました」
「ボックリか? また松が出現して襲ってきたのか?」
「洞窟内に入りこんだのか?」
先に来ていたミレさんらもまだ話は聞いていないようだった。
「いえ、松ではありません。それと洞窟内は今のところ大丈夫です。この地域のだいぶ外側なんですが、自宅で生活をしていた方から洞窟内に避難していた方へ緊急の連絡が入りました」
「ここに避難しなかった家……」
「ええ、ほぼ隣町に近く、隣町は自宅待機の家が多いようです」
「……で? 何があったんだ?」
「家から出られないと連絡をもらい、私とカンさんで現場を確認に行きました」
「家から出られない? どういう事?」
気がつくと庭がジャングルのように緑が鬱蒼と生い茂り家が囲まれているという。窓も扉も開かない。
たまに庭の木を放置している家によく見る風景だな。窓や壁に蔦が這っている家だ。だが、それだけで家から出られないと騒ぐか?
念のため装備を身に纏い、現場へ行く事になった。タウさんとカンさんは装備を一時返却してもらったようだ。
ゲームのような格好をしたタウ、カン、ミレ、アネ、俺、マルク、キヨカの7人がとある家へ向かう。
気のせいか洞窟周りの緑がふえていないか?だが別に襲ってきたりはしない。
唐松もあった、松ぼっくりも成っていたが別に投げてこない。
唐松に対して俺のHKN魔法の『報連相』を使ってみたが、何も反応しなかったので、魔物化した唐松ではないようだ。
連絡があった隣町の方へと低い山道を進む。雨で流されたり固まった火山灰を押しやるように雑草がアスファルトに進出していた。
放っておくと雑草はこんなもの、なのだが、何かがいつもと違うとカンさんが言う。
到着するとそこには異様な風景が広がっていた。
敷地内から家をすっぽりと緑で覆い尽くされて、緑の小山が出来ていた。
塀を完全に囲っていた木の蔓をタウさんが剣でひと太刀斬りつけると、背後の林から松ぼっくりが飛んできた。
しかしカンさんのアーススキンで弾かれて、こちらは全くの無傷。
何度か蔓を斬り、塀も切り裂いてしまったが、敷地の中が見えるようになった。
確かに家は壁も屋根も窓も全てに緑の蔓が巻き付いている。
カンさんの案内で玄関へ。短剣で蔓と枝を切り払い何とか玄関を開けた。
家の中、柱や天井の梁など木の部分からは新しい目や葉が出てきていた。廊下も蔓が這っている。
「下浦さん!どこですか、返事をしてください、下浦さん!」
何度か呼びかけると奥から細い声がした。
声のした方へ向かい襖を開くと、家具に囲まれた狭い空間に老夫婦ふたりが震えながら抱き合っていた。
下浦さんは旦那さんの足が悪く普段からあまり人付き合いをしていなかったらしい。なので今回も洞窟への避難はキッパリ断り自宅で過ごしていた。孫一家も隣町に住んでいたし、通っていた病院も隣町だ。病院へは孫が車で送迎していたらしい。
地震やら火山灰は問題なくやり過ごしていたが、ここ数日の緑の侵食が敷地内からとうとう家屋内にまできて、白旗をあげた。
「すまん、すまんがわしらも避難をさせてほしい」
お爺さんの方は足が悪くてもまだ多少の元気はあったが、お婆さんの方がかなり顔色が悪かった。
「診療所に連絡をいれますね」
「カオるんのエリアテレポート運びましょう」
手分けして荷物を皆が収納していた。
外に出て周りを見渡す。敷地にあった物置のような建物も完全に緑の蔓で囲まれている。
道の先、隣町へ向かう道路脇にも緑のドームが幾つか見えた。
ミレさんがちょっと見て来ると、そこへ走って行った。遠目で見ていると、ドームの前に着いたミレさんが、シュパシュパと多分剣を振り、緑のドームを斬り裂いていた。
「凄いなぁ。なんか村がファンタジーっぽくないか? この家もコロポックルとか居そうだな。てか、コロポックルってよく知らんが」
「そう言われると、ファンタジーゲームの序盤の村人の家、みたいな感じですね」
「そう、それ!」
戻ってきたミレさんから、あっちのドームは無人だったと言われた。
良かった。干からびた人間の遺体がある、とか言われたら、ファンタジーから一気に恐怖映画だ。
俺は下浦夫婦と皆を連れてエリアテレポートで洞窟へ飛んだ。
ふたりを診療所(洞窟内)に送った後、村内をを回る事になった。一応、村(合併前)の人たちは洞窟に避難済みだ。
合併後の微妙なラインに住んでいる人たちは、隣町の避難所を利用する者と自宅に残る者に分かれていたようだ。
さっきのメンバーで村内をざっと見て回った。
村の外側は、どこもグリーンナイズされていて、良く言うとオシャレだが、悪い言い方だと原始的な家なってしまっていた。
うーん、大昔の日本人ってこんな家に住んでいたのか?いや、違うか。竪穴式住居とか、既に家っぽかったよな?知らんけど。こんな可愛い緑のドームではないはずだ。
「しかし、今はまだ大丈夫ですが、もしかすると徐々に浸食されるかもしれませんね」
タウさんが不吉な予言を口にした。だがきっと皆心の中で思っていらだろう。
「拠点で何かあったようだ。俺は戻るが、皆はこのまま進めていてくれ」
「いえ、私も戻ります」
「僕も戻る!」
「俺たちも戻るか。亮治さん、どうする? このまま続けてもらっていいけど」
「憲鷹、僕らも一旦洞窟に戻ろう」
「そうだな、何があったか気になってゲームに集中出来ない」
全員を連れて洞窟へ戻った。呼び出しがあったのは盟主だけなので、マルクとキヨカには部屋で待つように伝えたが、ふたりともついてきて廊下で待つと言った。
タウさんはふたりも部屋へ招き入れた。そこにはカンさん、ミレさん、アネさんが既に揃っていた。
「すみません、皆さんお忙しい所集まっていただきまして。この地域で脅威が発生いたしました」
「ボックリか? また松が出現して襲ってきたのか?」
「洞窟内に入りこんだのか?」
先に来ていたミレさんらもまだ話は聞いていないようだった。
「いえ、松ではありません。それと洞窟内は今のところ大丈夫です。この地域のだいぶ外側なんですが、自宅で生活をしていた方から洞窟内に避難していた方へ緊急の連絡が入りました」
「ここに避難しなかった家……」
「ええ、ほぼ隣町に近く、隣町は自宅待機の家が多いようです」
「……で? 何があったんだ?」
「家から出られないと連絡をもらい、私とカンさんで現場を確認に行きました」
「家から出られない? どういう事?」
気がつくと庭がジャングルのように緑が鬱蒼と生い茂り家が囲まれているという。窓も扉も開かない。
たまに庭の木を放置している家によく見る風景だな。窓や壁に蔦が這っている家だ。だが、それだけで家から出られないと騒ぐか?
念のため装備を身に纏い、現場へ行く事になった。タウさんとカンさんは装備を一時返却してもらったようだ。
ゲームのような格好をしたタウ、カン、ミレ、アネ、俺、マルク、キヨカの7人がとある家へ向かう。
気のせいか洞窟周りの緑がふえていないか?だが別に襲ってきたりはしない。
唐松もあった、松ぼっくりも成っていたが別に投げてこない。
唐松に対して俺のHKN魔法の『報連相』を使ってみたが、何も反応しなかったので、魔物化した唐松ではないようだ。
連絡があった隣町の方へと低い山道を進む。雨で流されたり固まった火山灰を押しやるように雑草がアスファルトに進出していた。
放っておくと雑草はこんなもの、なのだが、何かがいつもと違うとカンさんが言う。
到着するとそこには異様な風景が広がっていた。
敷地内から家をすっぽりと緑で覆い尽くされて、緑の小山が出来ていた。
塀を完全に囲っていた木の蔓をタウさんが剣でひと太刀斬りつけると、背後の林から松ぼっくりが飛んできた。
しかしカンさんのアーススキンで弾かれて、こちらは全くの無傷。
何度か蔓を斬り、塀も切り裂いてしまったが、敷地の中が見えるようになった。
確かに家は壁も屋根も窓も全てに緑の蔓が巻き付いている。
カンさんの案内で玄関へ。短剣で蔓と枝を切り払い何とか玄関を開けた。
家の中、柱や天井の梁など木の部分からは新しい目や葉が出てきていた。廊下も蔓が這っている。
「下浦さん!どこですか、返事をしてください、下浦さん!」
何度か呼びかけると奥から細い声がした。
声のした方へ向かい襖を開くと、家具に囲まれた狭い空間に老夫婦ふたりが震えながら抱き合っていた。
下浦さんは旦那さんの足が悪く普段からあまり人付き合いをしていなかったらしい。なので今回も洞窟への避難はキッパリ断り自宅で過ごしていた。孫一家も隣町に住んでいたし、通っていた病院も隣町だ。病院へは孫が車で送迎していたらしい。
地震やら火山灰は問題なくやり過ごしていたが、ここ数日の緑の侵食が敷地内からとうとう家屋内にまできて、白旗をあげた。
「すまん、すまんがわしらも避難をさせてほしい」
お爺さんの方は足が悪くてもまだ多少の元気はあったが、お婆さんの方がかなり顔色が悪かった。
「診療所に連絡をいれますね」
「カオるんのエリアテレポート運びましょう」
手分けして荷物を皆が収納していた。
外に出て周りを見渡す。敷地にあった物置のような建物も完全に緑の蔓で囲まれている。
道の先、隣町へ向かう道路脇にも緑のドームが幾つか見えた。
ミレさんがちょっと見て来ると、そこへ走って行った。遠目で見ていると、ドームの前に着いたミレさんが、シュパシュパと多分剣を振り、緑のドームを斬り裂いていた。
「凄いなぁ。なんか村がファンタジーっぽくないか? この家もコロポックルとか居そうだな。てか、コロポックルってよく知らんが」
「そう言われると、ファンタジーゲームの序盤の村人の家、みたいな感じですね」
「そう、それ!」
戻ってきたミレさんから、あっちのドームは無人だったと言われた。
良かった。干からびた人間の遺体がある、とか言われたら、ファンタジーから一気に恐怖映画だ。
俺は下浦夫婦と皆を連れてエリアテレポートで洞窟へ飛んだ。
ふたりを診療所(洞窟内)に送った後、村内をを回る事になった。一応、村(合併前)の人たちは洞窟に避難済みだ。
合併後の微妙なラインに住んでいる人たちは、隣町の避難所を利用する者と自宅に残る者に分かれていたようだ。
さっきのメンバーで村内をざっと見て回った。
村の外側は、どこもグリーンナイズされていて、良く言うとオシャレだが、悪い言い方だと原始的な家なってしまっていた。
うーん、大昔の日本人ってこんな家に住んでいたのか?いや、違うか。竪穴式住居とか、既に家っぽかったよな?知らんけど。こんな可愛い緑のドームではないはずだ。
「しかし、今はまだ大丈夫ですが、もしかすると徐々に浸食されるかもしれませんね」
タウさんが不吉な予言を口にした。だがきっと皆心の中で思っていらだろう。
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