俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

文字の大きさ
121 / 299

121話 植物の進化

しおりを挟む
 そう思っていた時、タウさんからまたしても『緊急』の招集がかかった。


「拠点で何かあったようだ。俺は戻るが、皆はこのまま進めていてくれ」

「いえ、私も戻ります」

「僕も戻る!」

「俺たちも戻るか。亮治さん、どうする? このまま続けてもらっていいけど」

「憲鷹、僕らも一旦洞窟に戻ろう」

「そうだな、何があったか気になってゲームに集中出来ない」



 全員を連れて洞窟へ戻った。呼び出しがあったのは盟主だけなので、マルクとキヨカには部屋で待つように伝えたが、ふたりともついてきて廊下で待つと言った。

 タウさんはふたりも部屋へ招き入れた。そこにはカンさん、ミレさん、アネさんが既に揃っていた。


「すみません、皆さんお忙しい所集まっていただきまして。この地域で脅威が発生いたしました」

「ボックリか? また松が出現して襲ってきたのか?」

「洞窟内に入りこんだのか?」


 先に来ていたミレさんらもまだ話は聞いていないようだった。


「いえ、松ではありません。それと洞窟内は今のところ大丈夫です。この地域のだいぶ外側なんですが、自宅で生活をしていた方から洞窟内に避難していた方へ緊急の連絡が入りました」

「ここに避難しなかった家……」

「ええ、ほぼ隣町に近く、隣町は自宅待機の家が多いようです」

「……で? 何があったんだ?」


「家から出られないと連絡をもらい、私とカンさんで現場を確認に行きました」

「家から出られない? どういう事?」


 気がつくと庭がジャングルのように緑が鬱蒼と生い茂り家が囲まれているという。窓も扉も開かない。
 たまに庭の木を放置している家によく見る風景だな。窓や壁に蔦が這っている家だ。だが、それだけで家から出られないと騒ぐか?


 念のため装備を身に纏い、現場へ行く事になった。タウさんとカンさんは装備を一時返却してもらったようだ。
 ゲームのような格好をしたタウ、カン、ミレ、アネ、俺、マルク、キヨカの7人がとある家へ向かう。

 気のせいか洞窟周りの緑がふえていないか?だが別に襲ってきたりはしない。
 唐松もあった、松ぼっくりも成っていたが別に投げてこない。

 唐松に対して俺のHKN魔法の『報連相』を使ってみたが、何も反応しなかったので、魔物化した唐松ではないようだ。


 連絡があった隣町の方へと低い山道を進む。雨で流されたり固まった火山灰を押しやるように雑草がアスファルトに進出していた。
 放っておくと雑草はこんなもの、なのだが、何かがいつもと違うとカンさんが言う。


 到着するとそこには異様な風景が広がっていた。
 敷地内から家をすっぽりと緑で覆い尽くされて、緑の小山が出来ていた。

 塀を完全に囲っていた木の蔓をタウさんが剣でひと太刀斬りつけると、背後の林から松ぼっくりが飛んできた。
 しかしカンさんのアーススキンで弾かれて、こちらは全くの無傷。
 何度か蔓を斬り、塀も切り裂いてしまったが、敷地の中が見えるようになった。

 確かに家は壁も屋根も窓も全てに緑の蔓が巻き付いている。


 カンさんの案内で玄関へ。短剣で蔓と枝を切り払い何とか玄関を開けた。

 家の中、柱や天井の梁など木の部分からは新しい目や葉が出てきていた。廊下も蔓が這っている。


「下浦さん!どこですか、返事をしてください、下浦さん!」


 何度か呼びかけると奥から細い声がした。
 声のした方へ向かい襖を開くと、家具に囲まれた狭い空間に老夫婦ふたりが震えながら抱き合っていた。


 下浦さんは旦那さんの足が悪く普段からあまり人付き合いをしていなかったらしい。なので今回も洞窟への避難はキッパリ断り自宅で過ごしていた。孫一家も隣町に住んでいたし、通っていた病院も隣町だ。病院へは孫が車で送迎していたらしい。

 地震やら火山灰は問題なくやり過ごしていたが、ここ数日の緑の侵食が敷地内からとうとう家屋内にまできて、白旗をあげた。


「すまん、すまんがわしらも避難をさせてほしい」


 お爺さんの方は足が悪くてもまだ多少の元気はあったが、お婆さんの方がかなり顔色が悪かった。


「診療所に連絡をいれますね」

「カオるんのエリアテレポート運びましょう」


 手分けして荷物を皆が収納していた。

 外に出て周りを見渡す。敷地にあった物置のような建物も完全に緑の蔓で囲まれている。
 道の先、隣町へ向かう道路脇にも緑のドームが幾つか見えた。

 ミレさんがちょっと見て来ると、そこへ走って行った。遠目で見ていると、ドームの前に着いたミレさんが、シュパシュパと多分剣を振り、緑のドームを斬り裂いていた。


「凄いなぁ。なんか村がファンタジーっぽくないか? この家もコロポックルとか居そうだな。てか、コロポックルってよく知らんが」

「そう言われると、ファンタジーゲームの序盤の村人の家、みたいな感じですね」

「そう、それ!」


 戻ってきたミレさんから、あっちのドームは無人だったと言われた。
 良かった。干からびた人間の遺体がある、とか言われたら、ファンタジーから一気に恐怖映画だ。


 俺は下浦夫婦と皆を連れてエリアテレポートで洞窟へ飛んだ。

 ふたりを診療所(洞窟内)に送った後、村内をを回る事になった。一応、村(合併前)の人たちは洞窟に避難済みだ。
 合併後の微妙なラインに住んでいる人たちは、隣町の避難所を利用する者と自宅に残る者に分かれていたようだ。


 さっきのメンバーで村内をざっと見て回った。

 村の外側は、どこもグリーンナイズされていて、良く言うとオシャレだが、悪い言い方だと原始的な家なってしまっていた。

 うーん、大昔の日本人ってこんな家に住んでいたのか?いや、違うか。竪穴式住居とか、既に家っぽかったよな?知らんけど。こんな可愛い緑のドームではないはずだ。


「しかし、今はまだ大丈夫ですが、もしかすると徐々に浸食されるかもしれませんね」


 タウさんが不吉な予言を口にした。だがきっと皆心の中で思っていらだろう。
しおりを挟む
感想 212

あなたにおすすめの小説

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

ガチャから始まる錬金ライフ

盾乃あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。 手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。 他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。 どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。 自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。

処理中です...