俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

文字の大きさ
171 / 299

171話 親の事情②

しおりを挟む
 クマを連れて(マルクもついて来て)洞窟と病院へ飛び、タウさん、カンさん、翔太、ミレさん、クマ妻子を連れて戻った。
 タウさんらは初めての場所なのでブックマークをしていた。

 電力が不足しているので、灯りはキャンプファイアの火がメインだ。日が暮れて空の星が綺麗だ。精霊に火山灰は飛ばしてもらってある。

 こんな大災害の最中でも、食卓(バーベキュー)を囲むみんなの顔は明るい。

 不思議だ。
 大勢で居るのに、孤独を感じない。誰の会話に混ざるわけでもない、自分が話すわけでもないのに、何となく『この群れ』の一員でいられる。

 昔、異世界に行くより昔、日比谷で派遣として働いていた頃、同じフロアに百人の社員が居ても俺は『ひとり』だった。
 仕事も昼メシも残業も、『ひとり』だった。

 どうしても混ざる事が出来ない壁に押しやられていた。
 違うな、自分がそう感じてた、混ざれないと思って壁を作っていたのだろうと今ならわかる。
 まぁ、混ざりたくないヤツも大勢居たがな。


 庭のあちこちに椅子を出した。(アイテムボックスにあったやつだ)
 皆がそれぞれ好きな場所で、食べたり飲んだり話したりと楽しそうだ。

 俺の隣にはマルクが座っている。反対側の隣にはキヨカだ。椅子を持ったカンさんが肉が乗った皿を持った翔太とやってきた。


「カオるん、いつもご苦労様です」

「カンさんこそ、お疲れ様だ。まだまだ続くんだよな。本当にお疲れさま」

「いえいえ僕なんかは…。今はミレさんが大変そうです」


 ミレさんとタウさんもやってきた。


「よっす、カオるん。北海道のブクマ、お疲れさん」

「カオるん、北海道の主要ポイントと自衛隊の駐屯地のブックマークありがとうございます」

「いやいや、ミレさんとタウさんの方が大変そうだ。俺は運転してもらった車で移動してるだけだからな。申し訳ないな」

「奈良さん達にもご挨拶してきました。良い方が血盟に入られましたね」

「そうだな。長く居てくれるといいんだが。そう言えば聞こう聞こうと思って今になったんだが、みんなは血盟員を増やしてるのか?」

「リアルステータス確認の為の通り抜けとかでなく、ちゃんとした血盟員ですよね? 実は悩んでいます」

「そうなんだよなぁ。今はリアルステータス持ちを増やす為にツキサバを解体して全員が別血盟を立ち上げたけどさ、このままその血盟の人員を増やすべきか……」

「ですよねぇ。何となく、また、元の血盟に集まる時が来るんじゃないかって、そう思ってる自分が居るんです。だから今の血盟を真剣に増やしていいのか」

「それは私も悩みました。現在入ってる家族も、結局は一時的に入れているだけ、今後の活動を共にする血盟員を集めるべきか、ただ、まだ先の見えない今は身内を血盟に入れておきたい……」


 そうか。俺は何も考えずに、ただマルクもキヨカもずっと一緒に活動してくれると思ってた。しかし洞窟のクラブのように、本当はもっと別に入りたい血盟が出るのかもしれない。
 こんなおっさんが盟主の血盟でなく、マルクはもっと若い力で溢れている血盟、キヨカは美男美女の血盟……とか。


「僕はずっと父さんの血盟だからね!」

「私もずっとカオさんの血盟ですよ!」

「だって僕は父さんのようなウィズになりたいんだ。ハケンの砂漠は大魔法使いの血盟なの!」

「そして私はその血盟で唯一のナイト!魔法使い達の盾として守るのです!」

「でもカオさんって最近、バナナ商人で有名だよね? バナナを集めてるって……」


 マルクとキヨカのセリフにジーンとしていた所に翔太がジョボっと水をさした。


「父さんはバナナの買い占めなんてしてないよ、バナナが自然に父さんに集まるんだ。もしもハケンの砂漠がバナナ商人の砂漠になったら、僕はバナナを求めて冒険をする!」

「それなら私はバナナ商人の砂漠で会計をやります! 手に入れた高価なバナナを貴族や王族に売りつけます! 営業も出来ますから!」

「じゃあもしカオさんが、バナナ商人じゃなくてお笑い芸人になったら?」

「僕も芸人になる!」

「じゃあマルクはツッコミだな。カオるんがボケだからな。キヨカさんは敏腕マネージャーってとこか」


 ミレさんや、俺がボケとはどゆことだ?


「いいですね。今はテレビはどこも映らないので、お笑い巡業は良いかもしれません。災害で沈んでいる地に笑顔を! これイケると思います」

「じゃあ通信が戻ったらyoooTubeもいいじゃない?」

「yoooTubeって僕、やり方わからない……翔ちゃん、教えてくれる?」

「おう、任せておけ! 憲ちゃんにも声かける。動画撮る人とか編集する人がいるみたいだぜ」

「へぇ」


 あの、俺、お笑い芸人にならないぞ?話を進めるのやめて?


「血盟の名前がハケンですから、どんな仕事でも大丈夫ですね。カオるん、まさかそこまで考えて血盟の名前を?」


 そんなわけあるかい!タウさんまで揶揄わないでくれ。


「でも、そうですね。今は先まで考えずに血盟員を増やしても良いのかもしれませんね。この先どんな世界になるのか、なった時に変えていけばいい。ゲームでも血盟員なんてどんどん入れ替わりますし、盟主も同様です。自分が抜ける事もある。そんな先を考えずに増やす事にします」

「そうだな。ただもうリアルステータスのための血盟出入りはうちの血盟はストップする。今後は一緒に活動する事が大前提だな」

「そうですね。うちの筑波の砂漠は、整備工や修理関係の人間を募集したいです」

「うーん、うちはやっぱりシステム系の職人が欲しいな。年齢的にこの村だと厳しいんだなぁ」

「地球の砂漠は建築関係のスキルが生えそうな人材が欲しいですね」


 凄いな、皆色々と考えているんだな。俺はつい、来る者拒まずになってしまう。
 が、まぁ、カセ、ナラ、クマは拾い物だったよな。


「父さん、うちはハケンの人を入れるの?」

「いや、別にハケンであろうとなかろうと関係ないぞ?」

「そっか。良かった。僕、まず派遣にならなくちゃって思っちゃった。でも派遣があまり良くわからなくて……」

「大丈夫だ。別にマルクが何であってもうちの血盟員だからな。派遣以前に家族だしな。うちは家族は大優遇だ。何しろホワイト企業だからな」

「やったぁ! 僕もキヨカお姉さんも家族だね。洸太君も?加瀬さんも奈良さんも球磨さんも?」

「ああ、みんな家族だな」

「兄さん!」


 近くで話を聞いていたナラがふざけて抱きついてきた。ナラの邪魔をしながらマルクが叫ぶ。


「む、息子と弟は、息子の方が父さんは好きなんだから!」


 謎理論……、きっと本人も分からず言ってるのだろう。


「そう言えば、カオさんのご実家は何処なんですか?キヨカさんは確か神奈川…で、マルク君の出身地は外国ですよね?」

「あぁ、俺の実家は……、実家と言っていいのか分からんが、生まれたのは和歌山県だ」
しおりを挟む
感想 212

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。 日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。 アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。 「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。 貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。 集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。 そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。 これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。 今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう? ※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは 似て非なる物として見て下さい

ガチャから始まる錬金ライフ

あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。 手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。 他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。 どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。 自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル 14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり 奥さんも少女もいなくなっていた 若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました いや~自炊をしていてよかったです

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

処理中です...