自立したい僕を社長が甘やかしてきます

春夏

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14.お土産の思い出

57.神戸に行こう

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珍しく神戸の母からの電話。
「智秋?いいお話があるんだけれど」
「縁談やったら要らんぞ」
「またそんなこと言って。あなたもう28なのよ?」
「もう、ちゃう。まだ、や。てか、恋人、いや番ができてん」
「…え?ウソでしょう?」
「嘘なわけないやろ」
「会わせなさい!早く!今すぐ!智秋がそんな相手を作るなんて信じられない。連れてきなさい」
「…反対せんのやったら連れてくわ」
「……もう番にしてしまったんでしょう?反対なんかしたら人殺しになっちゃうじゃないの。それとも…反対したなるような相手なんか?」
会社の広報として、対外的な話し方が身に染み付いている母ちゃんの口調が変わる。
「んなわけないやろ。そのうちな、そのうち」

葵の伯父さんには挨拶を済ませた。
番になってもうていたせいもあるやろけど、葵との仲を認めてもらえた。
あとは俺の親や。
実家の稼業は既にアニキが運営側に入っとる。
アニキの嫁さんは外国の名のあるブランドの縫製を任されるほどのメーカーの娘さんや。
俺には09があるし、俺の相手に奥山への貢献を求められることはないやろけど…。
頭ごなしに反対するような人達やないけど、なにしろ葵は若い、むしろ俺が怒られるんちゃうか。

「横山美化も年末年始は休みやろ?俺と神戸に行かんか」
「えっと…神戸?」
「せや。行ったことあるか?」
「ううん。関西の方は、中学の修学旅行で京都に行っただけ」
「そか。神戸にな、俺の実家があんねん。いろいろ案内したるから、一緒に行こ」
「智秋さんの実家…僕が行ってもいいのかな…」
「葵のこと、ちゃんと紹介したいんよ。ちょいとやかましいかもしれんけど、悪い人らやないねん」
「わかりま、えっと、うん、わかった。僕もちゃんとご挨拶したいから、連れていってください」

いまだに口調を崩しきれへん葵。
けどそれは習い性みたいなもんで、遠慮とは違うことが今の俺にはわかっとる。
智秋さん、と柔らかく微笑んで俺を呼ぶ葵も、チアキチアキと切羽詰まった喘ぎのあいだに俺を求める葵も、どっちの葵にもベタ惚れなんよ。

「よっしゃ、そうと決まれば買い物や。ちょっとエエ服買うたるよ。毎年な、ドレスコードのあるホテルのフレンチで食事することになっとんのよ」
「え!僕できないよ!」
「集まるのは家族だけや、失敗したってかまへん」
「そんなのダメです!僕を選んでくれた智秋さんが馬鹿にされちゃう」
「フハッ、まぁ俺は気にせんけど葵が気にするんやったら、ちょっと練習しよか。エエ服着て、フレンチデートや」

またお金使わせちゃうことになってる?とアタフタしとる葵に似合う色はなんやろ、と浮かれ気分で車のキーを手に取った。
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