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side 亮太
「…すんません。ええ年して泣いたりしてみっともないわ」オヤジさんはそんな俺に深く頭を下げた。「幸久を頼みます。君しかいないんだ」オヤジさんの信頼に応えることがでけるんやろか…。
「そこ曲がったとこが教室です。顔洗ってから行きますんで」少し先のトイレで顔を洗って鏡の中の俺に言う。幸久、これからよろしくな。今の俺が言えるのはそれだけ。どんなに辛くても苦しくても、たったそれだけ。頬を叩いて教室へと足を向けた。
…ん?…まさか…!廊下に微かに漂う幸久の香り。あかん、今の幸久は、今の幸久のヒートはもしかしたら俺以外のアルファにも…あかん、目黒が居るはずや、あかん、あかんよ!教室が近づくにつれてどんどん強くなる香り。俺は乱暴に扉を開けた。
教室中が幸久の香りに満ちている。目黒は…居らん。ホッと息をついて、それどころやないわ、とオヤジさんを廊下に呼び寄せる。「そんなに急がなくてもよかったのに…」「ちゃうねん!ちゃうんよ、どないしよ、幸久が」「幸久が?」そこで俺はようやく気がついて声を落とした。「幸久のヒートが始まっとります。目黒は?あの子は気づかんかったんやろか?!」「…間違いないのか?目黒君は普通だった…君にしかわからないというのは本当だったのか…」「幸久のヒートは俺にしか効かんのです。俺のこと忘れてもうても、やっぱり他のヤツには効かんのや…。せやけど、今の俺にはヒートを鎮めてやることがでけへん!」「…さっきから幸久は怠そうで…まだ幸久は知らないんだ。自分がオメガになったことを忘れたままなんだぞ!」「どないしよ、とにかく家に帰らな。今日は電車ですやろ?送ります」「すまんが頼む」
ヒートの幸久の渇きを満たしてやることもでけへんなんて。これから毎月、幸久はどれだけ苦しい思いをせなならんの!…渇いた幸久の体がいつか誰にでも誘いをかけてまうようになったら…俺はどうすればええねん…。
「…すんません。ええ年して泣いたりしてみっともないわ」オヤジさんはそんな俺に深く頭を下げた。「幸久を頼みます。君しかいないんだ」オヤジさんの信頼に応えることがでけるんやろか…。
「そこ曲がったとこが教室です。顔洗ってから行きますんで」少し先のトイレで顔を洗って鏡の中の俺に言う。幸久、これからよろしくな。今の俺が言えるのはそれだけ。どんなに辛くても苦しくても、たったそれだけ。頬を叩いて教室へと足を向けた。
…ん?…まさか…!廊下に微かに漂う幸久の香り。あかん、今の幸久は、今の幸久のヒートはもしかしたら俺以外のアルファにも…あかん、目黒が居るはずや、あかん、あかんよ!教室が近づくにつれてどんどん強くなる香り。俺は乱暴に扉を開けた。
教室中が幸久の香りに満ちている。目黒は…居らん。ホッと息をついて、それどころやないわ、とオヤジさんを廊下に呼び寄せる。「そんなに急がなくてもよかったのに…」「ちゃうねん!ちゃうんよ、どないしよ、幸久が」「幸久が?」そこで俺はようやく気がついて声を落とした。「幸久のヒートが始まっとります。目黒は?あの子は気づかんかったんやろか?!」「…間違いないのか?目黒君は普通だった…君にしかわからないというのは本当だったのか…」「幸久のヒートは俺にしか効かんのです。俺のこと忘れてもうても、やっぱり他のヤツには効かんのや…。せやけど、今の俺にはヒートを鎮めてやることがでけへん!」「…さっきから幸久は怠そうで…まだ幸久は知らないんだ。自分がオメガになったことを忘れたままなんだぞ!」「どないしよ、とにかく家に帰らな。今日は電車ですやろ?送ります」「すまんが頼む」
ヒートの幸久の渇きを満たしてやることもでけへんなんて。これから毎月、幸久はどれだけ苦しい思いをせなならんの!…渇いた幸久の体がいつか誰にでも誘いをかけてまうようになったら…俺はどうすればええねん…。
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