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15.幽閉生活の終わり
①
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ベアトリス様の日記を読み終わった私は、ひとり憂鬱な気持ちでため息を吐いた。
「リュシアン様は大丈夫かしら……。まさか、ルナール公爵は陛下だけではなくリュシアン様に手を出す気はないわよね……?」
現在の継承権第一位は、国王陛下の息子であるリュシアン様。
ルナール公爵が王位を奪いたい、もしくはセルジュ様に王位を継承させたいと考えているならば、陛下のみならずリュシアン様も排除する必要がある。
「リュシアン様に何かあったらどうしよう……」
何度も毒を盛ったり、階段から突き落とそうとしたりした私だけれど、リュシアン様を殺したいなんて考えたことは一度もない。
死ぬことでずっと一緒に、なんて考えはまっぴらだ。
私はただ感情の暴走が止められなくて、リュシアン様が私だけのものになってくれたら……なんて願いを捨てきれずにいるだけなのだ。
考え事をしていると、あたりがふっと冷えて、ベアトリス様が姿を現した。ベアトリス様はまず日記を見て、私の顔を見る。
「ベアトリス様、日記読みました。ベアトリス様はルナール公爵の企みを知ってしまったから幽閉されたのですね……」
ベアトリス様はゆっくりとうなずいた。
できることなら、ベアトリス様の汚名を晴らしたい。だって彼女は国王暗殺を防ごうとしていたのに、魔女だなんて言われて恐れられているのは悲しすぎる。
現在陛下が生きているのだって、ルナール公爵の計画をベアトリス様が知ったからである可能性が高いのだ。私は悔しくなって唇を噛む。
一刻も早く屋敷を出て、王都に戻りたい。
リュシアン様に危険が及ばないようにお守りしたい。ベアトリス様に関する誤解を解いて回りたい。
屋敷から出ることができない現状がもどかしかった。
何とか出る方法はないのか、フェリシアンさんに相談してみようかと玄関横のプレートまで向かうと、ドアをどんどん叩く音がした。
「だ、誰でしょう……? フェリシアンさん……?」
そばにいたベアトリス様に尋ねると、彼女も首を傾げている。その間もドアは壊れそうなほど何度も叩かれていた。私は思わず後退りする。
「ジスレーヌ!! 俺だ!!」
突然聞こえてきた声に、強張っていた体がたちまち緩むのがわかった。私は急いで駆け寄り、扉を開ける。
「リュシアン様っ」
「ジスレーヌ、大丈夫か!? こんなところに閉じ込めたりして悪かった……!!」
私の顔を見た途端、リュシアン様は泣き出しそうな顔をして強く私を抱きしめた。びっくりして腕の中で固まってしまう。
「あ、あの、リュシアン様……?」
「あの日お茶会に参加した令嬢たちから改めて話を聞いて、お前がカップに毒を入れたのは嘘だったとわかったんだ。嘘の証言を鵜呑みにしてこんな屋敷に閉じ込めて本当に悪かった」
「いえ、いいんです……! わかってもらえてよかったです!」
私は嬉しくなって満面の笑みで言った。リュシアン様がわかってくれて、迎えに来てくれた。なんて幸せなのだろう。
「本当にごめんな。大変だっただろう。事務所に行って責任者から屋敷の鍵を少々強引に預かって来たから、すぐに出られるぞ。一緒に王都に戻ろう」
「はい。ありがとうございます、リュシアン様……!」
嬉しくなって抱き着きかえしたら、リュシアン様が頭を撫でてくれた。
ちらりと横目で見ると、ベアトリス様は無表情で、でもどこか優しげな色をにじませた表情でこちらを見ていた。なんだか気恥ずかしくなってしまう。
「リュシアン様は大丈夫かしら……。まさか、ルナール公爵は陛下だけではなくリュシアン様に手を出す気はないわよね……?」
現在の継承権第一位は、国王陛下の息子であるリュシアン様。
ルナール公爵が王位を奪いたい、もしくはセルジュ様に王位を継承させたいと考えているならば、陛下のみならずリュシアン様も排除する必要がある。
「リュシアン様に何かあったらどうしよう……」
何度も毒を盛ったり、階段から突き落とそうとしたりした私だけれど、リュシアン様を殺したいなんて考えたことは一度もない。
死ぬことでずっと一緒に、なんて考えはまっぴらだ。
私はただ感情の暴走が止められなくて、リュシアン様が私だけのものになってくれたら……なんて願いを捨てきれずにいるだけなのだ。
考え事をしていると、あたりがふっと冷えて、ベアトリス様が姿を現した。ベアトリス様はまず日記を見て、私の顔を見る。
「ベアトリス様、日記読みました。ベアトリス様はルナール公爵の企みを知ってしまったから幽閉されたのですね……」
ベアトリス様はゆっくりとうなずいた。
できることなら、ベアトリス様の汚名を晴らしたい。だって彼女は国王暗殺を防ごうとしていたのに、魔女だなんて言われて恐れられているのは悲しすぎる。
現在陛下が生きているのだって、ルナール公爵の計画をベアトリス様が知ったからである可能性が高いのだ。私は悔しくなって唇を噛む。
一刻も早く屋敷を出て、王都に戻りたい。
リュシアン様に危険が及ばないようにお守りしたい。ベアトリス様に関する誤解を解いて回りたい。
屋敷から出ることができない現状がもどかしかった。
何とか出る方法はないのか、フェリシアンさんに相談してみようかと玄関横のプレートまで向かうと、ドアをどんどん叩く音がした。
「だ、誰でしょう……? フェリシアンさん……?」
そばにいたベアトリス様に尋ねると、彼女も首を傾げている。その間もドアは壊れそうなほど何度も叩かれていた。私は思わず後退りする。
「ジスレーヌ!! 俺だ!!」
突然聞こえてきた声に、強張っていた体がたちまち緩むのがわかった。私は急いで駆け寄り、扉を開ける。
「リュシアン様っ」
「ジスレーヌ、大丈夫か!? こんなところに閉じ込めたりして悪かった……!!」
私の顔を見た途端、リュシアン様は泣き出しそうな顔をして強く私を抱きしめた。びっくりして腕の中で固まってしまう。
「あ、あの、リュシアン様……?」
「あの日お茶会に参加した令嬢たちから改めて話を聞いて、お前がカップに毒を入れたのは嘘だったとわかったんだ。嘘の証言を鵜呑みにしてこんな屋敷に閉じ込めて本当に悪かった」
「いえ、いいんです……! わかってもらえてよかったです!」
私は嬉しくなって満面の笑みで言った。リュシアン様がわかってくれて、迎えに来てくれた。なんて幸せなのだろう。
「本当にごめんな。大変だっただろう。事務所に行って責任者から屋敷の鍵を少々強引に預かって来たから、すぐに出られるぞ。一緒に王都に戻ろう」
「はい。ありがとうございます、リュシアン様……!」
嬉しくなって抱き着きかえしたら、リュシアン様が頭を撫でてくれた。
ちらりと横目で見ると、ベアトリス様は無表情で、でもどこか優しげな色をにじませた表情でこちらを見ていた。なんだか気恥ずかしくなってしまう。
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