君といるのは疲れると言われたので、婚約者を追いかけるのはやめてみました

水谷繭

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4.レナード様と見知らぬご令嬢

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 紙の蝶にはどの魔法がいいだろう。

 あちこちに飛んでいる蝶に炎魔法を使うのは火事になりそうで危ないし、小さい上に数が多いで水の玉に閉じ込めるのも難しそうだ。風のナイフを使うのがいいかしら。

 そんなことを考えていると、ひらひら飛んでいた蝶が突然ぴたりと動きを止めた。

 不思議に思う間もなく、蝶は一斉にこちらへ向かって飛んでくる。

(え……!? 向こうからも攻撃してくる仕様なの!?)

 蝶は私を囲むように襲いかかってきた。その羽が、まるで刃物のように鋭く光っているのが見えてぞっとする。

 私は慌てて杖を振り上げた。

「来ないでくださいっ」

 風魔法を使うつもりが、焦って炎魔法を使ってしまった。目の前炎の壁が出来上がる。紙の蝶はあっという間に燃えて消し炭になった。

 驚いて必要以上に強い魔法を使ってしまったみたい。

 幸いにして、芝生に燃え移ったりはしていないようだ。一応消し炭になった蝶に、水魔法をかけて鎮火しておく。

 全ての蝶が燃え尽きているのを確認すると、ようやくほっと息を吐いた。

 私はカレン様のほうを振り返る。

「カレン様! この蝶、結構危険な蝶だったみたいです! お一人では使わないほうがいいですよ!」

 私は数メートル後ろでこちらを見ていたカレン様に呼びかける。

 カレン様はまたもや呆然とした表情をしていた。彼女はふらふらになってこちらへ歩いてくる。

「メイベル様、何ともないのですか……?」

「はい。蝶が襲ってくる寸前で燃やすことができたので大丈夫です! それにしても危険な蝶ですね。魔道具店の方は、カレン様が初心者だと知っていてこれを販売したんですか?」

 私はちょっと呆れながら言う。

 刃物のように尖った羽を持ってこちらを攻撃してくる蝶なんて、とてもじゃないけれど初心者の魔法練習用に使えるものではない。魔道具店の方も、もっと安全なものを用意してくれればいいのに。

「……使用人に買いに行かせたので、行き違いがあったのかもしれませんわ……。メイベル様、また危険な目に遭わせてしまってごめんなさい。今度こそ大丈夫ですから、別の魔道具も試してみていただけませんか?」

「同じ魔道具店で買った道具ですか? それならやめておいたほうがいいですよ」

「ええと……、いえ、次の魔道具は別のお店で購入したものです。ですから安全だと思いますわ」

 カレン様はそう言いながら、トランクケースから魔道具を取り出す。

 ちょっと心配だったものの、別の魔道具店で買ったものならと試してみることにした。
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