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精霊たち
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この微妙な空気の中、ユーリが、私に近づいて、
「精霊であろうが、なんであろうが、ぼくからアデルを引き離すものには容赦しないよ。覚えといて」
そう言って、うっとりするような美しい笑みを浮かべて、私の頬をさらりとなでた。
ぎゃあっ、やめて!
ちょっと、皆の前で、なんてことするの!
あー、また、顔が熱くなってきた! せっかくおさまってたのに…。
あわてて、熱くなった顔を手のひらであおぐ。
恥ずかしいと思いつつ、まわりを見てみると、ジリムさんは、興味を失ってるのか、全く関係ないところを見ているし、デュラン王子は、ユーリをにらんでる。そして、ランディ王子は、私をにらんでる…。
一層、混沌としてきたね…。
そんななか、イーリンさんが、
「あ、泉の精霊たちが、アデルちゃんを取り囲んで、ぐるぐるまわってる。すごく、喜んでるみたいだよ!
しかも、泉のほうにひっぱってるよ!」
と、興奮気味に言った。
「え、なんだろ?」
と、思ったら、自然と泉の方へ足が動いた。
泉をのぞきこむ。
イーリンさんが、精霊たちの状況を実況してくれる。
「みんなで、アデルちゃんの手をもって、泉にひっぱってる。…多分、水に手をつけて欲しいんじゃないかな?」
「えっと? 泉に手を入れていいの?」
と、思わず聞くと、
「大丈夫ですよ。一応、水は検査してますが、飲めるレベルの水質です。手を入れても、大丈夫ですよ」
と、ジリムさんが言った。
なら、やってみよう!
泉はぐるりと低い柵がされている。
柵ごしに、手をのばしてみる。背が低いから、うーん、ぎりぎり、届くかな?
すると、ふいっと体が持ち上がった。
えー?!
ウエストをおさえられて、子どものように持ち上げられている状態だ。
「ほら、これで届くでしょ? 落ちないでね」
と、ユーリの声。
恥ずかしくて、思わず手足を動かすと、
「動くと、がっしり、ぴったり、抱きしめるけど、それでもいい?!」
と、ユーリが言う。
いや、それは、やめて! …大人しくしてます。
が、ユーリって、細いのに鍛えてるから、力があるよね?
よく食べるので、背は低くても、しっかり身がつまっている私を軽々もちあげてるんですけど?
ということで、泉に手が届いた!
水の冷たさが、気持ちいい!
でも、…あれ?!
手のひらから、水がすーっと入っていくような感じ…。
なんだろう? この不思議な感覚…。
「あ、降ろしていいよ、ユーリ」
と、私が言うと、ゆっくりと、ユーリが地面に降ろしてくれた。
「ユーリ、ありがとう」
と、お礼を言うと、
「もっと、だっこしてたかったな」
と、色気あふれる笑みを浮かべた。
だっこ、って…。私はペットじゃありませんよ?!
イーリンさんが、待ちきれない様子で、私に聞いた。
「アデルちゃん、手を水につけてみて、どうだった?」
「うーん、なんか水が、どんどん、手から入ってくるような感じなんだよね。吸収していくというか…。ほら、見て。水がすいこまれるから、手がぬれてない。
一体、どういうことかしら? イーリンさん、精霊たち、なんか、伝えてきてる?」
と、今度は、私が、イーリンさんに聞いてみた。
イーリンさんは、
「アデルちゃんのまわりの精霊たちが、飛び跳ねたり、踊ったりして、すごく喜んでる感じに見える。
でも、なんで、泉に手をつけさせたのかは、わからないわね…」
と、私の手を見て、うーんとうなった。
「ちょっと、ぼくに見せて」
と、デュラン王子。
私はうなずき、水につけた私の手を、デュラン王子の方へのばした。
そのとたん、その手が、さっと、にぎられた。
え? あ、ユーリだ。
ユーリが、デュラン王子の方へのばした私の手を、がっしりとにぎり、自分の方へ持っていってる。
そして、私にむかって、
「ぼく、触らせないでって、言ったよね? また、消毒するよ?!」
と、美しい青い瞳でじっと私を見据えながら、手をぎゅーっとにぎりこまれた。
あ、しまった! 精霊のほうに気がいって、ユーリとの約束、すっかり忘れてたわ…。
デュラン王子が、
「どんだけ、余裕がないの? 独占欲が強すぎて、うとまれるよ?」
と、不満げにユーリに言う。
「独占欲があって、あたりまえだよね。婚約者なんだから。赤の他人は黙ってて」
と、冷たい視線をデュラン王子に投げかけるユーリ。
またもや、殺伐としてきたんだけど。
今日は楽しい観光ですよ! やめて!
と、そこで、
「あっ!」
と、大声をだしたのが、ランディ王子。
急にどうしたの?!
と、思ったら、
「げげげ、なんか、見える! アデルから、なんか、見えるっ!」
と、私を指さして、わめきだした。
「精霊であろうが、なんであろうが、ぼくからアデルを引き離すものには容赦しないよ。覚えといて」
そう言って、うっとりするような美しい笑みを浮かべて、私の頬をさらりとなでた。
ぎゃあっ、やめて!
ちょっと、皆の前で、なんてことするの!
あー、また、顔が熱くなってきた! せっかくおさまってたのに…。
あわてて、熱くなった顔を手のひらであおぐ。
恥ずかしいと思いつつ、まわりを見てみると、ジリムさんは、興味を失ってるのか、全く関係ないところを見ているし、デュラン王子は、ユーリをにらんでる。そして、ランディ王子は、私をにらんでる…。
一層、混沌としてきたね…。
そんななか、イーリンさんが、
「あ、泉の精霊たちが、アデルちゃんを取り囲んで、ぐるぐるまわってる。すごく、喜んでるみたいだよ!
しかも、泉のほうにひっぱってるよ!」
と、興奮気味に言った。
「え、なんだろ?」
と、思ったら、自然と泉の方へ足が動いた。
泉をのぞきこむ。
イーリンさんが、精霊たちの状況を実況してくれる。
「みんなで、アデルちゃんの手をもって、泉にひっぱってる。…多分、水に手をつけて欲しいんじゃないかな?」
「えっと? 泉に手を入れていいの?」
と、思わず聞くと、
「大丈夫ですよ。一応、水は検査してますが、飲めるレベルの水質です。手を入れても、大丈夫ですよ」
と、ジリムさんが言った。
なら、やってみよう!
泉はぐるりと低い柵がされている。
柵ごしに、手をのばしてみる。背が低いから、うーん、ぎりぎり、届くかな?
すると、ふいっと体が持ち上がった。
えー?!
ウエストをおさえられて、子どものように持ち上げられている状態だ。
「ほら、これで届くでしょ? 落ちないでね」
と、ユーリの声。
恥ずかしくて、思わず手足を動かすと、
「動くと、がっしり、ぴったり、抱きしめるけど、それでもいい?!」
と、ユーリが言う。
いや、それは、やめて! …大人しくしてます。
が、ユーリって、細いのに鍛えてるから、力があるよね?
よく食べるので、背は低くても、しっかり身がつまっている私を軽々もちあげてるんですけど?
ということで、泉に手が届いた!
水の冷たさが、気持ちいい!
でも、…あれ?!
手のひらから、水がすーっと入っていくような感じ…。
なんだろう? この不思議な感覚…。
「あ、降ろしていいよ、ユーリ」
と、私が言うと、ゆっくりと、ユーリが地面に降ろしてくれた。
「ユーリ、ありがとう」
と、お礼を言うと、
「もっと、だっこしてたかったな」
と、色気あふれる笑みを浮かべた。
だっこ、って…。私はペットじゃありませんよ?!
イーリンさんが、待ちきれない様子で、私に聞いた。
「アデルちゃん、手を水につけてみて、どうだった?」
「うーん、なんか水が、どんどん、手から入ってくるような感じなんだよね。吸収していくというか…。ほら、見て。水がすいこまれるから、手がぬれてない。
一体、どういうことかしら? イーリンさん、精霊たち、なんか、伝えてきてる?」
と、今度は、私が、イーリンさんに聞いてみた。
イーリンさんは、
「アデルちゃんのまわりの精霊たちが、飛び跳ねたり、踊ったりして、すごく喜んでる感じに見える。
でも、なんで、泉に手をつけさせたのかは、わからないわね…」
と、私の手を見て、うーんとうなった。
「ちょっと、ぼくに見せて」
と、デュラン王子。
私はうなずき、水につけた私の手を、デュラン王子の方へのばした。
そのとたん、その手が、さっと、にぎられた。
え? あ、ユーリだ。
ユーリが、デュラン王子の方へのばした私の手を、がっしりとにぎり、自分の方へ持っていってる。
そして、私にむかって、
「ぼく、触らせないでって、言ったよね? また、消毒するよ?!」
と、美しい青い瞳でじっと私を見据えながら、手をぎゅーっとにぎりこまれた。
あ、しまった! 精霊のほうに気がいって、ユーリとの約束、すっかり忘れてたわ…。
デュラン王子が、
「どんだけ、余裕がないの? 独占欲が強すぎて、うとまれるよ?」
と、不満げにユーリに言う。
「独占欲があって、あたりまえだよね。婚約者なんだから。赤の他人は黙ってて」
と、冷たい視線をデュラン王子に投げかけるユーリ。
またもや、殺伐としてきたんだけど。
今日は楽しい観光ですよ! やめて!
と、そこで、
「あっ!」
と、大声をだしたのが、ランディ王子。
急にどうしたの?!
と、思ったら、
「げげげ、なんか、見える! アデルから、なんか、見えるっ!」
と、私を指さして、わめきだした。
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