5 / 127
まさか、聞かれてたとは
しおりを挟む
マーク兄様が、
「順を追って話せ」
と、ルイス殿下をにらみつけている。
「ああ。まず、俺は王子を返上したいと、父である王に何度も言ったが、聞き入れられなかった」
「え? ルイス、王子をやめたかったのか?!」
と、マーク兄様が驚いた。
親友にも言ってなかったのね。そりゃ、びっくりよね。
王子をやめる王子って、この国では初めて聞くもの。
「…ああ」
「そんなに、王子でいるのが嫌で悩んでたなら、言ってくれればよかったのに。話、聞くことぐらいしかできないけどな」
と、マーク兄様。
「嫌でやめたかったのではない。まず、王子であることは、当たり前だったから、嫌だと思ったことはない」
「じゃあ、なんで、やめるんだよ?」
と、マーク兄様。そりゃ、そう聞きたくなるわよね。うん、うん。
「…アリスが」
え、私?!
いきなりでてきた自分の名前に、びっくりした。なぜ、ここで私が関係してくるの?
マーク兄様も同様らしく、目を見開いている。
二人で固唾をのんで、次の言葉を待った。
「アリスが、嫌だって言ったからだ」
ぽつりとルイス殿下が言った。
へ??? 全然、意味がわからないんだけど…。
そして、王子を返上するようなことに、私、かかわってるの?!
変なドキドキがとまらない…。
が、気になる。
「私が嫌って言ったって、何をですか? 私、ルイス殿下とほとんど話したことないですよね? そんな会話をした記憶がないんですが…」
私がそう言うと、ルイス殿下の瞳がゆれた。
無表情ながらも、気のせいか、何か哀愁を感じる…。
「直接話したわけではない。お茶会のはじまる前、先に来て待っていたアリスのひとりごとを、俺が勝手に聞いただけだ」
えっ! ひとりごと?! 私、なんて言ったのかしら?
どうしよう、嫌な予感しかないんだけど…
怖いけど、聞かないわけにはいかないわよね…?
と、迷っていたら、マーク兄様が先に聞いていた。
「アリスはなんて言ったんだ?」
「王子妃なんてなりたくない、と言っていた」
げっ! 聞かれてたとは!
そういえば、ルイス殿下の前以外では、毎日くらいつぶやいてたわね…。
そして、何度も耳にしているマーク兄様も、ああ、あれね、という感じでうなずいている。
仕方ない。偽らざる本心だもの! と、開きなおってみる。
「…あれ? でも、おかしくない? 私が嫌だと言ったとしても、なんで王子を返上するの?」
思わず、ルイス殿下に、砕けた口調で話しかけてしまった。
「あ、すみません。つい、普段の言い方になってしまって…」
と、あわてて謝る。失礼だものね。
すると、ルイス殿下は、
「いや、そのままでいい。というか、できたら、そんな感じで話してほしい」
え? 無理でしょ?! 今まで、ほとんど話したことないし、ルイス殿下だし…。
マーク兄様が、あきれた声で言った。
「あのな、ルイス。いきなり、それは無理だろ? 8年も婚約者だったのに、話もしてない関係だったんだから」
ルイス殿下が無表情のまま黙った。
「おい、そんなに落ち込むな」
え?! 無表情のままに見えるけど、落ち込んでるの?
マーク兄様、ほんと、見分けがすごいんだけど?!
思わず、私も変化を見つけようと、じっと顔を見てみた。
目があう。
すると、ルイス殿下の無表情はそのままで、耳がほのかに赤くなった!
え、おもしろい! 思わず、マーク兄様を見る。
「今は、照れてる」
と、通訳してくれた。
無表情なのに、変化があるなんて。ちょっと、おもしろいんだけど?!
「順を追って話せ」
と、ルイス殿下をにらみつけている。
「ああ。まず、俺は王子を返上したいと、父である王に何度も言ったが、聞き入れられなかった」
「え? ルイス、王子をやめたかったのか?!」
と、マーク兄様が驚いた。
親友にも言ってなかったのね。そりゃ、びっくりよね。
王子をやめる王子って、この国では初めて聞くもの。
「…ああ」
「そんなに、王子でいるのが嫌で悩んでたなら、言ってくれればよかったのに。話、聞くことぐらいしかできないけどな」
と、マーク兄様。
「嫌でやめたかったのではない。まず、王子であることは、当たり前だったから、嫌だと思ったことはない」
「じゃあ、なんで、やめるんだよ?」
と、マーク兄様。そりゃ、そう聞きたくなるわよね。うん、うん。
「…アリスが」
え、私?!
いきなりでてきた自分の名前に、びっくりした。なぜ、ここで私が関係してくるの?
マーク兄様も同様らしく、目を見開いている。
二人で固唾をのんで、次の言葉を待った。
「アリスが、嫌だって言ったからだ」
ぽつりとルイス殿下が言った。
へ??? 全然、意味がわからないんだけど…。
そして、王子を返上するようなことに、私、かかわってるの?!
変なドキドキがとまらない…。
が、気になる。
「私が嫌って言ったって、何をですか? 私、ルイス殿下とほとんど話したことないですよね? そんな会話をした記憶がないんですが…」
私がそう言うと、ルイス殿下の瞳がゆれた。
無表情ながらも、気のせいか、何か哀愁を感じる…。
「直接話したわけではない。お茶会のはじまる前、先に来て待っていたアリスのひとりごとを、俺が勝手に聞いただけだ」
えっ! ひとりごと?! 私、なんて言ったのかしら?
どうしよう、嫌な予感しかないんだけど…
怖いけど、聞かないわけにはいかないわよね…?
と、迷っていたら、マーク兄様が先に聞いていた。
「アリスはなんて言ったんだ?」
「王子妃なんてなりたくない、と言っていた」
げっ! 聞かれてたとは!
そういえば、ルイス殿下の前以外では、毎日くらいつぶやいてたわね…。
そして、何度も耳にしているマーク兄様も、ああ、あれね、という感じでうなずいている。
仕方ない。偽らざる本心だもの! と、開きなおってみる。
「…あれ? でも、おかしくない? 私が嫌だと言ったとしても、なんで王子を返上するの?」
思わず、ルイス殿下に、砕けた口調で話しかけてしまった。
「あ、すみません。つい、普段の言い方になってしまって…」
と、あわてて謝る。失礼だものね。
すると、ルイス殿下は、
「いや、そのままでいい。というか、できたら、そんな感じで話してほしい」
え? 無理でしょ?! 今まで、ほとんど話したことないし、ルイス殿下だし…。
マーク兄様が、あきれた声で言った。
「あのな、ルイス。いきなり、それは無理だろ? 8年も婚約者だったのに、話もしてない関係だったんだから」
ルイス殿下が無表情のまま黙った。
「おい、そんなに落ち込むな」
え?! 無表情のままに見えるけど、落ち込んでるの?
マーク兄様、ほんと、見分けがすごいんだけど?!
思わず、私も変化を見つけようと、じっと顔を見てみた。
目があう。
すると、ルイス殿下の無表情はそのままで、耳がほのかに赤くなった!
え、おもしろい! 思わず、マーク兄様を見る。
「今は、照れてる」
と、通訳してくれた。
無表情なのに、変化があるなんて。ちょっと、おもしろいんだけど?!
316
あなたにおすすめの小説
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
婚約者のいる運命の番はやめた方が良いですよね?!
水鈴みき(みすずみき)
恋愛
結婚に恋焦がれる凡庸な伯爵令嬢のメアリーは、古来より伝わる『運命の番』に出会ってしまった!けれど彼にはすでに婚約者がいて、メアリーとは到底釣り合わない高貴な身の上の人だった。『運命の番』なんてすでに御伽噺にしか存在しない世界線。抗えない魅力を感じつつも、すっぱりきっぱり諦めた方が良いですよね!?
※他サイトにも投稿しています※タグ追加あり
大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。
airria
恋愛
「私、アマンド様と愛し合っているの。レイリア、本当にごめんなさい。罪深いことだとわかってる。でも、レイリアは彼を愛していないでしょう?どうかお願い。婚約者の座を私に譲ってほしいの」
親友のメイベルから涙ながらにそう告げられて、私が一番最初に思ったのは、「ああ、やっぱり」。
婚約者のアマンド様とは、ここ1年ほど余所余所しい関係が続いていたから。
2人が想い合っているのなら、お邪魔虫になんてなりたくない。
心が別の人にあるのなら、結婚なんてしたくない。
そんなわけで、穏便に婚約解消してもらうために、我儘になってナチュラルに嫌われようと思います!
でも本当は…
これは、彼の仕事の邪魔にならないように、自分を抑えてきたヒロインが、我儘に振る舞ううちに溺愛されてしまう物語。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました
Blue
恋愛
幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。
魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。
星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」
涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。
だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。
それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。
「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」
「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」
「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」
毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。
必死に耐え続けて、2年。
魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。
「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」
涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる