21 / 127
番外編
ぼくが守る 3
しおりを挟む
※王太子視点、続きます。
報告書によると、ルイスは、人目につく学園でだけ、その女を連れているらしい。
ということで、お忍びで、ルイスの通う校舎にきた。まずは確認だ。
ウルスはあきれているが、目立たないよう、完璧な変装もしている。
なのに、
「恥ずかしすぎて、直視できない。離れてくれ」
などと、ウルスが言う。
「はあ? ダメに決まってるよ。ルイスにばれないように、カップル設定なんだから。ウルスがとなりにいないと」
と、当たり前のことを指摘した。
ウルスは、大きなため息をついて言った。
「仮にも王太子だぞ。なぜ、女装までするんだ?」
「ルイスを観察するのに、ルイスにばれたら意味がないからね。兄様大好きのルイスだし、生半可な変装では、すぐに見抜かれるに決まってる。だから、女子学生のふりをした。いいアイデアでしょ」
貴族令嬢の衣装を着て、長い巻き髪のウイッグをかぶり、メイドに入念にメイクをしてもらい、準備に3時間かかった。大柄な令嬢だが、これなら、ルイスにもわからないだろう。
そして、老け顔のウルスには、若く見える服を着せ、前髪をおろさせた。
「じゃあ、ウルス。ここから、腕を組むよ」
「げっ、やめろよ!」
と、ウルスが飛び逃げる。
「ルイスのためだから。我慢して」
そう言って、嫌がるウルスの腕をつかまえた。
「あっ、ルイスだ!」
すぐに、見慣れた姿が、目に飛びこんできた。
「どこだ? 見えないが」
と、ウルス。
あんなに輝いてるのに、見えないの?!
「今、校舎に入っていく。ほら、行くよ!」
「あんなに遠くて、なんで見えるんだ? あいかわらず、ルイスに関しては怖い奴だな…」
と、ウルスが身震いしている。
が、かまわず、ぼくはウルスの腕をつかみ、小走りでルイスの後を追う。
校舎に入ったルイスのそばに、ピンク色の髪の女がいた。
「あの女?」
「ああ」
ルイスは、女の方を見もしない。が、女は、横にぴったりと寄り添い、うるさく話しかけている。
まわりの学生たちは、二人を遠巻きに見ているようだ。
嫌がるウルスをひっぱって、近づいていく。
女の甲高い声が聞こえてきた。
「ルイス殿下~。私のこの新しい服、似合ってますかあ?」
「ルイス殿下~。今日こそ、一緒にランチを食べましょうよう」
「ルイス殿下~。今度、王宮へ遊びに行ってもいいですかあ?」
ぼくは、ウルスに確認した。
「なあ、ルイスには、あの女の存在が見えてないんじゃない?」
ウルスも戸惑ったように言った。
「確かに変だな。変な女を連れてると、噂になってるが、あれでは連れているというより、女が勝手にまとわりついてるだけだよな。でも、なぜ、追い払わないんだ? ルイスなら、あんなタイプの女が来たら、氷のような目でにらんで、すぐに追い払うだろ」
もしや、弱みでも握られてるのか、ルイス?!
思わず前のめりになった時、ルイスがこっちを向いた。目があった。
「うわあ、大きな女の人~」
女が言った。
「思ったまま口に出すとは、礼儀がなってない」
ウルスに小声で言うと、
「その恰好で、礼儀云々を言える立場にない」
すぐさま、言い返された。
ふん! あんな礼儀知らずの女がいいだなんて言ったら、全力で阻止だ!
あ、ルイスが目を見開いてる。
ばれたか。さすが、兄様大好きルイスだね。この完璧な変装でも見抜くとは!
愛の深さに感動していると、
「おい、逃げるぞ。あのルイスの顔は相当まずい。きれてるわ」
ウルスがそう言うと、今度は俺の腕をつかみ、ひっぱって帰ろうとした。
が、それより先に、ルイスがすごいスピードで寄ってきて、ぼくの腕をつかみ、外へと引っ張っていった。
「兄上、何してるんだ?」
「やっぱり、ばれてた? すごいね、ルイス。どんな格好をしてても、兄様のことがわかるんだね!」
ぼくがにこにこして言うと、ルイスは、眉間にしわをよせ、
「おい、ウルス! 説明しろ」
と、ウルスにむかって、冷たい声で言った。
「はいはい、すみませんね。俺もとめたんだよ? でも、聞かないから。自分で、ルイスが変な女を連れてるのを確認するんだって言ってね」
ルイスは、ぼくに向き直って、
「兄上は、この件に絶対にかかわるな」
と、強い口調で言った。
「そうはいかない。ルイス、困ってるんじゃない? もしや、あの女に弱みでもにぎられてるの? それか、騙されてるの? 兄様に言ってごらん」
「俺が騙されたり、弱みを握られたりするわけないだろ」
「じゃあ、アリス嬢が嫌になったとか?」
そう言った瞬間、そこらへん一帯が凍りついた。
底冷えするような声で、
「もう一度言ってみろ。その口、ぬいつけてやる。いいか、絶対アリスに近づくな」
そう言うと、すごい勢いで校舎の方へ戻っていった。
「ルイスは反抗期かな」
「そんなわけないだろ?! どう見ても、激怒してただけだ。まあ、無理もないよな。こんな兄だもんな…」
と言って、ウルスが、憐れんだ目でぼくを見た。
「まあ、ルイスがだまされてもなく、弱みをにぎられてないことが分かったので良かった。なにより、ルイスと久々に話せたし! 変装した甲斐があったよ」
ぼくがそう言うと、
「ほんと、ルイスに関しては、的外れなポジティブ思考だな?」
と、ウルスが大きなため息をついた。
とにかく、ルイスは何か思惑があって、動いてるということがわかった。
遠慮深いところがあるルイスだ。兄様に言いにくいのだろう。
理由を探って、ルイスの望みを叶える手助けをしよう!
兄様にまかせといて!
報告書によると、ルイスは、人目につく学園でだけ、その女を連れているらしい。
ということで、お忍びで、ルイスの通う校舎にきた。まずは確認だ。
ウルスはあきれているが、目立たないよう、完璧な変装もしている。
なのに、
「恥ずかしすぎて、直視できない。離れてくれ」
などと、ウルスが言う。
「はあ? ダメに決まってるよ。ルイスにばれないように、カップル設定なんだから。ウルスがとなりにいないと」
と、当たり前のことを指摘した。
ウルスは、大きなため息をついて言った。
「仮にも王太子だぞ。なぜ、女装までするんだ?」
「ルイスを観察するのに、ルイスにばれたら意味がないからね。兄様大好きのルイスだし、生半可な変装では、すぐに見抜かれるに決まってる。だから、女子学生のふりをした。いいアイデアでしょ」
貴族令嬢の衣装を着て、長い巻き髪のウイッグをかぶり、メイドに入念にメイクをしてもらい、準備に3時間かかった。大柄な令嬢だが、これなら、ルイスにもわからないだろう。
そして、老け顔のウルスには、若く見える服を着せ、前髪をおろさせた。
「じゃあ、ウルス。ここから、腕を組むよ」
「げっ、やめろよ!」
と、ウルスが飛び逃げる。
「ルイスのためだから。我慢して」
そう言って、嫌がるウルスの腕をつかまえた。
「あっ、ルイスだ!」
すぐに、見慣れた姿が、目に飛びこんできた。
「どこだ? 見えないが」
と、ウルス。
あんなに輝いてるのに、見えないの?!
「今、校舎に入っていく。ほら、行くよ!」
「あんなに遠くて、なんで見えるんだ? あいかわらず、ルイスに関しては怖い奴だな…」
と、ウルスが身震いしている。
が、かまわず、ぼくはウルスの腕をつかみ、小走りでルイスの後を追う。
校舎に入ったルイスのそばに、ピンク色の髪の女がいた。
「あの女?」
「ああ」
ルイスは、女の方を見もしない。が、女は、横にぴったりと寄り添い、うるさく話しかけている。
まわりの学生たちは、二人を遠巻きに見ているようだ。
嫌がるウルスをひっぱって、近づいていく。
女の甲高い声が聞こえてきた。
「ルイス殿下~。私のこの新しい服、似合ってますかあ?」
「ルイス殿下~。今日こそ、一緒にランチを食べましょうよう」
「ルイス殿下~。今度、王宮へ遊びに行ってもいいですかあ?」
ぼくは、ウルスに確認した。
「なあ、ルイスには、あの女の存在が見えてないんじゃない?」
ウルスも戸惑ったように言った。
「確かに変だな。変な女を連れてると、噂になってるが、あれでは連れているというより、女が勝手にまとわりついてるだけだよな。でも、なぜ、追い払わないんだ? ルイスなら、あんなタイプの女が来たら、氷のような目でにらんで、すぐに追い払うだろ」
もしや、弱みでも握られてるのか、ルイス?!
思わず前のめりになった時、ルイスがこっちを向いた。目があった。
「うわあ、大きな女の人~」
女が言った。
「思ったまま口に出すとは、礼儀がなってない」
ウルスに小声で言うと、
「その恰好で、礼儀云々を言える立場にない」
すぐさま、言い返された。
ふん! あんな礼儀知らずの女がいいだなんて言ったら、全力で阻止だ!
あ、ルイスが目を見開いてる。
ばれたか。さすが、兄様大好きルイスだね。この完璧な変装でも見抜くとは!
愛の深さに感動していると、
「おい、逃げるぞ。あのルイスの顔は相当まずい。きれてるわ」
ウルスがそう言うと、今度は俺の腕をつかみ、ひっぱって帰ろうとした。
が、それより先に、ルイスがすごいスピードで寄ってきて、ぼくの腕をつかみ、外へと引っ張っていった。
「兄上、何してるんだ?」
「やっぱり、ばれてた? すごいね、ルイス。どんな格好をしてても、兄様のことがわかるんだね!」
ぼくがにこにこして言うと、ルイスは、眉間にしわをよせ、
「おい、ウルス! 説明しろ」
と、ウルスにむかって、冷たい声で言った。
「はいはい、すみませんね。俺もとめたんだよ? でも、聞かないから。自分で、ルイスが変な女を連れてるのを確認するんだって言ってね」
ルイスは、ぼくに向き直って、
「兄上は、この件に絶対にかかわるな」
と、強い口調で言った。
「そうはいかない。ルイス、困ってるんじゃない? もしや、あの女に弱みでもにぎられてるの? それか、騙されてるの? 兄様に言ってごらん」
「俺が騙されたり、弱みを握られたりするわけないだろ」
「じゃあ、アリス嬢が嫌になったとか?」
そう言った瞬間、そこらへん一帯が凍りついた。
底冷えするような声で、
「もう一度言ってみろ。その口、ぬいつけてやる。いいか、絶対アリスに近づくな」
そう言うと、すごい勢いで校舎の方へ戻っていった。
「ルイスは反抗期かな」
「そんなわけないだろ?! どう見ても、激怒してただけだ。まあ、無理もないよな。こんな兄だもんな…」
と言って、ウルスが、憐れんだ目でぼくを見た。
「まあ、ルイスがだまされてもなく、弱みをにぎられてないことが分かったので良かった。なにより、ルイスと久々に話せたし! 変装した甲斐があったよ」
ぼくがそう言うと、
「ほんと、ルイスに関しては、的外れなポジティブ思考だな?」
と、ウルスが大きなため息をついた。
とにかく、ルイスは何か思惑があって、動いてるということがわかった。
遠慮深いところがあるルイスだ。兄様に言いにくいのだろう。
理由を探って、ルイスの望みを叶える手助けをしよう!
兄様にまかせといて!
134
あなたにおすすめの小説
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
婚約者のいる運命の番はやめた方が良いですよね?!
水鈴みき(みすずみき)
恋愛
結婚に恋焦がれる凡庸な伯爵令嬢のメアリーは、古来より伝わる『運命の番』に出会ってしまった!けれど彼にはすでに婚約者がいて、メアリーとは到底釣り合わない高貴な身の上の人だった。『運命の番』なんてすでに御伽噺にしか存在しない世界線。抗えない魅力を感じつつも、すっぱりきっぱり諦めた方が良いですよね!?
※他サイトにも投稿しています※タグ追加あり
大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。
airria
恋愛
「私、アマンド様と愛し合っているの。レイリア、本当にごめんなさい。罪深いことだとわかってる。でも、レイリアは彼を愛していないでしょう?どうかお願い。婚約者の座を私に譲ってほしいの」
親友のメイベルから涙ながらにそう告げられて、私が一番最初に思ったのは、「ああ、やっぱり」。
婚約者のアマンド様とは、ここ1年ほど余所余所しい関係が続いていたから。
2人が想い合っているのなら、お邪魔虫になんてなりたくない。
心が別の人にあるのなら、結婚なんてしたくない。
そんなわけで、穏便に婚約解消してもらうために、我儘になってナチュラルに嫌われようと思います!
でも本当は…
これは、彼の仕事の邪魔にならないように、自分を抑えてきたヒロインが、我儘に振る舞ううちに溺愛されてしまう物語。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました
Blue
恋愛
幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。
魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。
星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」
涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。
だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。
それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。
「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」
「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」
「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」
毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。
必死に耐え続けて、2年。
魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。
「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」
涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる