(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?

水無月あん

文字の大きさ
47 / 127
番外編

挿話 王太子の受難 8

しおりを挟む
「そっかー。じゃあ、ボラージュ伯爵令嬢は、なーんにも知らなかったんだね? びっくり!
でも、今、ワインと一緒になにか売ってたなんて…って、言ったよね? 
ぼく、ワインをカモフラージュにしてとは言ったけど、一緒に何か売ってたなんて、君には言ってないよね?」  

女は、一瞬、びくっとしたが、
「ワインをカモフラージュにして、と、王太子様がおっしゃられたから、私がそのように想像しただけです」
と、言い返してきた。

「え、そうなの? すごいね! 的をえすぎてて、知ってるのかと思ったよ。
じゃあさ、そんな、想像力豊かなボラージュ伯爵令嬢に質問! 
君の父ボラージュ伯爵とブルーノ伯爵は、ワインと一緒に何を売ってたんだと思う?」

「そんなの知りません。私は、関わってませんから」

「じゃあ、質問を変えるね。うちの国の王妃のことは、知ってるよね。
だって、ブルーノ伯爵夫人に近づいたのって、王妃の親戚って聞いたからでしょ?」

ぼくの問いに、
「王妃様のご親戚と知り、信用したからですわ」
と、女が答えた。

「物は言いようだね? まあ、いいや。話をもとにもどすと、うちの国の王妃って変わってて、辺境伯も兼任してるって、知ってるでしょ?」

いきなり話がとんだからか、先が読めず、とまどった顔をする女。
ブルーノ伯爵夫妻は、これ以上自分たちが不利にならないようにと思ったのか、息をひそめて、話を聞いている。

まあ、静かでいいけど?
 
「その王妃がね、先日、すごーく久しぶりに、王宮へ来たんだ。あ、ぼくやルイスに会いにとかではないよ? 王妃というより、いまだ心は騎士だからね。
辺境伯の領地で、違法な薬物がでまわっているので、そのことについて調べにきてたんだ。国境の警備も厳しくしていると言ってた。その国境をへだてた向こうの国は、もちろん、君の住むロンダ国だよね。
ぼくね、最初は、君がルイスに近づいたことで、気になって調べてみたんだ。
すると、商才のまるでない、ブルーノ伯爵が、ロンダ国のボラージュ伯爵からのワインを売って、すごくもうけてるっていうじゃない。裏がありそうで、もう、疑問しかないよね?
そこで、王妃の話を思い出して、ピーンときたわけ。ぼくも、君に負けず劣らず、想像力が豊かでしょ?」
と、にっこり微笑みかける。

ここで、ブルーノ伯爵が、真っ赤になって、怒っていることに気づいた。
あ、商才がないってとこで、怒った? でも、事実だし、しょうがないよね。

ということで、気にせず、話を続ける。

「つまり、違法な薬物をワインと一緒に売ってたと思えば、あんなまずいワインを高値で買う人がいるのも腑に落ちるよね。でも、想像の域をでないから、証拠がないとね。
ということで、調べたら、簡単にでたよ。ワインの箱に、薬物をしのばせてるなんてね。箱だけとって、みんな、ワインのほうは、倉庫に放置してるんだもん。よほどまずいワインなんだね? 
あ、そうそう。今頃、ブルーノ伯爵から、薬物づきワインを買った人たちも捕まってるから、安心してね?」
と、ぼくが言った途端、ブルーノ伯爵が椅子から崩れ落ちた。

「まさか、そんな…。私は何も知らなかったから…」
と、驚いたような顔で女が言った。

はああ! ほんと、嘘ばかりつく女だな。

が、これで終わりじゃないんだよね! 
だって、ぼくのターゲットは、どちらかというとこっちだし。
邪な気持ちで、ルイスに声をかけた時点で、許せないもんね。

なので、しっかり、きっちり、つぶさせてもらいましょう。

「ボラージュ伯爵令嬢、ぼくの側近のウルス、目の下にクマができて、ひどい顔してるでしょ? なんでだと思う?
それは、君の国、ロンダ国に行ってもらってからだよ。もちろん、君を徹底的に調べるためにね。
そうそう、このウルス、こう見えて、すごい調査能力なんだよ。ね、ウルス」
と、ウルスのほうへ、笑いかける。

が、笑い返してくることもなく、疲れ果てた顔で、じとっと意味ありげに見返してきた。
せっかくほめたのに、ノリが悪いよ、ウルス! 





しおりを挟む
感想 251

あなたにおすすめの小説

私たちの離婚幸福論

桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。 しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。 彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。 信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。 だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。 それは救済か、あるいは—— 真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。

初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました

山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。 だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。 なろうにも投稿しています。

婚約者のいる運命の番はやめた方が良いですよね?!

水鈴みき(みすずみき)
恋愛
結婚に恋焦がれる凡庸な伯爵令嬢のメアリーは、古来より伝わる『運命の番』に出会ってしまった!けれど彼にはすでに婚約者がいて、メアリーとは到底釣り合わない高貴な身の上の人だった。『運命の番』なんてすでに御伽噺にしか存在しない世界線。抗えない魅力を感じつつも、すっぱりきっぱり諦めた方が良いですよね!? ※他サイトにも投稿しています※タグ追加あり

大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。

airria
恋愛
「私、アマンド様と愛し合っているの。レイリア、本当にごめんなさい。罪深いことだとわかってる。でも、レイリアは彼を愛していないでしょう?どうかお願い。婚約者の座を私に譲ってほしいの」 親友のメイベルから涙ながらにそう告げられて、私が一番最初に思ったのは、「ああ、やっぱり」。 婚約者のアマンド様とは、ここ1年ほど余所余所しい関係が続いていたから。 2人が想い合っているのなら、お邪魔虫になんてなりたくない。 心が別の人にあるのなら、結婚なんてしたくない。 そんなわけで、穏便に婚約解消してもらうために、我儘になってナチュラルに嫌われようと思います! でも本当は… これは、彼の仕事の邪魔にならないように、自分を抑えてきたヒロインが、我儘に振る舞ううちに溺愛されてしまう物語。

婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました

日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。 だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。 もしかして、婚約破棄⁉

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました

Blue
恋愛
 幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。

魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。

星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」 涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。 だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。 それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。 「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」 「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」 「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」 毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。 必死に耐え続けて、2年。 魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。 「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」 涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。

処理中です...