(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?

水無月あん

文字の大きさ
61 / 127
番外編

閑話 ウルスの休日 8

しおりを挟む
フィリップの話に茫然としているロクサーヌ嬢。

「あれー? どうしたの、ロクサーヌ嬢? 開かずの間は、気に入らなかった? 今の君にぴったりで、一番おすすめだったのに、残念! 
うーん、それじゃあ、次におすすめは、どこがいいかなあ…。あ、そうだ! 庭にある池も君にぴったりかもね。…フフフ」
と、鼻歌でも歌いだしそうなほど、楽しそうに話すフィリップ。

まるで、お気に入りスポットを紹介する勢いだが、紹介されるのは、また、さっきみたいな不気味な所なのか?!
良くない感じのドキドキがとまらない…。

そして、やっと普通の単語がでたからか、
「池、ですの?」
と、気を取り直した様子で、ロクサーヌ嬢が聞き返した。

どうやら、さっきの話を、いまだ自分のことと結びつけて考えられていないのか、まだ、フィリップを見る目は上目遣いで媚びている感じだ。

もう、悪い予感しかない…。

やたらと笑顔だが、今のフィリップの目は獲物を狙っている目だ。
こんな目になったフィリップは、もはや猛禽類。危険だ。

ロクサーヌ嬢、ロックオンされてるぞ。早く逃げたほうがいい…! 
が、手遅れか…。

フィリップは、獲物…いや、ロクサーヌ嬢から目をそらさず、嬉々として話し始めた。

「その池のほとりにね、小さな石碑があるんだ。12代前の王の側妃が刺されて死んだ場所なんだけどね。その石碑は、側妃のためのものじゃない。刺した人を弔うためにたてられたんだよ。なんでだと思う? その側妃はね、色仕掛けで王を篭絡して、王宮にはいったんだ。でも、そんな方法で王宮に入る奴なんて、ろくなもんじゃないでしょ? 贅沢三昧するし、使用人をひどい扱いするしで恨みをかってね。ある日、メイドに刺されたんだ。が、刺されながらも、しぶとくて、逆にメイドを池に突き落としてね。可哀そうに、メイドも死んでしまったんだ。それを弔う石碑なの。
ほんとに、王族も長く続いていると、こんな女にひっかかる馬鹿もいるんだよね。驚くでしょ?」
と、流れるように一気にしゃべってから、ロクサーヌ嬢に猛禽類の目で微笑みかけた。

…なにが、驚くでしょ、だ?! そんなことを言う、フィリップに驚くわ! 
そもそも、池のほとりに石碑なんてないだろうが?!

と、ここで、やっとひどいことを言われているのに気づいたのか、ロクサーヌ嬢が上目遣いをやめて口を開いた。
「…王太子殿下。さっきから、何が言いたいんですの?」

フィリップは、
「えー、そのまんまだけど? 説明しないとわからない? 権力のある男に媚びるだけの女が、王族に入った場合の末路かな? …まあ、ぼくもルイスも色仕掛けで転ぶ馬鹿じゃないから、君が王族になることは、あり得ないんだけどね。でも、ほら、ぼくって親切だから。君が、王族に入った先を想像できたら、無駄な望みをだかなくてすむかなあって思ったんだ」
そう言うと、黒すぎる笑顔を見せた。

やめろ…。ストレートすぎるだろ…。
ほら、腹黒に耐性のない、脳筋ローアンと純朴なマリー嬢が銅像のように凍りついてるじゃないか…。

ロクサーヌ嬢、ここまで言われたら怒るか?! 怒るよな?! 

と、思ったら、
「ひどいですわ、王太子殿下。 私、そんな女じゃありませんっ…。誤解ですわ!」
潤んだ瞳からぽろぽろと涙をこぼしはじめた。

いや、びっくりだ! 
ここまで見抜かれ、あからさまに言われたら、怒って帰るか、いたたまれなくて、逃げ帰るよな?

が、泣きながら反論するって…。まだ、食い下がるのか? 
しかも、猛禽類のような目をした、毒舌フィリップにだぞ。
怖いものしらずというか、図太すぎるというか…。
うん、すごいな…。

そこへ、
「兄上、食べ終わったから、俺、帰るけど?」
と、ひょっこりルイスが顔をだした。

涙を流していたロクサーヌ嬢が顔をあげ、ルイスを見た。

あ、まずい…。嫌な予感がする!









しおりを挟む
感想 251

あなたにおすすめの小説

私たちの離婚幸福論

桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。 しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。 彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。 信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。 だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。 それは救済か、あるいは—— 真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。

初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました

山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。 だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。 なろうにも投稿しています。

婚約者のいる運命の番はやめた方が良いですよね?!

水鈴みき(みすずみき)
恋愛
結婚に恋焦がれる凡庸な伯爵令嬢のメアリーは、古来より伝わる『運命の番』に出会ってしまった!けれど彼にはすでに婚約者がいて、メアリーとは到底釣り合わない高貴な身の上の人だった。『運命の番』なんてすでに御伽噺にしか存在しない世界線。抗えない魅力を感じつつも、すっぱりきっぱり諦めた方が良いですよね!? ※他サイトにも投稿しています※タグ追加あり

大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。

airria
恋愛
「私、アマンド様と愛し合っているの。レイリア、本当にごめんなさい。罪深いことだとわかってる。でも、レイリアは彼を愛していないでしょう?どうかお願い。婚約者の座を私に譲ってほしいの」 親友のメイベルから涙ながらにそう告げられて、私が一番最初に思ったのは、「ああ、やっぱり」。 婚約者のアマンド様とは、ここ1年ほど余所余所しい関係が続いていたから。 2人が想い合っているのなら、お邪魔虫になんてなりたくない。 心が別の人にあるのなら、結婚なんてしたくない。 そんなわけで、穏便に婚約解消してもらうために、我儘になってナチュラルに嫌われようと思います! でも本当は… これは、彼の仕事の邪魔にならないように、自分を抑えてきたヒロインが、我儘に振る舞ううちに溺愛されてしまう物語。

婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました

日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。 だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。 もしかして、婚約破棄⁉

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました

Blue
恋愛
 幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。

魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。

星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」 涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。 だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。 それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。 「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」 「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」 「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」 毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。 必死に耐え続けて、2年。 魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。 「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」 涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。

処理中です...