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番外編
閑話 アリスノート 13
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話が脱線しすぎて、全く進まない!
殺伐とした空気感を漂わせている二人に割って入る。
「…とりあえず、服のことを聞かせてくれ」
すると、兄上が、俺を見て意味ありげに微笑んだ。
「フフ…。ルイスも気になるから待てないんだね?!」
いや、ちがう。アリスに引き継ぐなどと言いださなければ、聞きたくもない話だ。
「でも、ちょっと、待ってね。もうすぐ到着するから」
「は? 到着…? って、なんだ?」
「現物を持ってきてもらってるの。フフフ…」
え? 現物を? 見たくないな。そして、不吉な予感がする…。
にこにこしながら俺を見つめる兄上から目をそらし、ウルスを見ると、はちみつ漬けアップルパイと格闘している。
奇妙な静けさに耐えられず、紅茶を流し込む俺。
そうしていると、ノックの音が…。
「どうぞー!」
だれかも聞かずに、元気いっぱい答えたのは兄上。
おい、ここは、俺の部屋だ。
「お待たせいたしました」
と、言いながら入って来たのは、モーラだ。
「待ってたよー。ルイスが楽しみで待ちきれないんだって!」
そうは言ってない…。
しかし、モーラ。さっきまで、ここにいたよな? いつの間にいなくなってたんだ…?
そして、その後ろから、台車を押しながら若い男があとをついてきた。
くせ毛がふわふわと動く、赤い髪の毛。ああ、ルドか。
モーラの親戚で、文官として働いている。
小柄で童顔。少し垂れた大きな目で、少年というより、少女のようにも見える。
モーラから紹介された時は、てっきり、自分より年下かと思ったら、まさかの年上。兄上やウルスと同じ年だった。
ルドは台車をおくと、早口で言った。
「では、私はこれで失礼します…」
「あ、ちょっと、待って、ルド。せっかく、ぼくのお宝を持ってきてもらったんだから、ルドも見ていきなよ?」
兄上が、いい笑顔で言った。
「結構です…」
ルドが即答した。あ、大きな目が、すでにうるみ、兄上を怯えたように見ている。
普段、ルドは非常に大人しく、かよわい印象だが、仕事となると、まるで別人になる。頭脳明晰で、部下にてきぱきと指示を与えながら、事務仕事を驚くほどの速さで、さばいていく。
しかし、何故か、兄上を前にすると、異常なほど怯える。
今も、猛禽類を前にした、食べられる寸前の獲物みたいだ。
「ところで、ルドも、それが置いてあった部屋に入ったのか…?」
俺が聞くと、ルドは、あわてたように首を横にふった。
「いえ、ぼくは入っていません! 何も見ておりません! 何も知りません!」
食い気味で答えたルド。怯えながらも、きっぱりと口にした。
よほど、関わりたくないんだな…。
そこで、モーラが俺のほうに向かって言った。
「王太子様から頼まれた貴重なお宝は、私だけが部屋に入り、他の人たちの目に触れないよう布をかぶせて、台車にのせて、部屋の外へだし、廊下でルドに渡して持ってきてもらったんです。ルドは部屋の中には入っておりませんし、何があるのかも説明しておりません」
うーん、どうでもいいが、たかが服。その扱いは、どう考えても、おかしいだろ?
「ルドは信用できるから、ルドにもあの部屋のことを教えて、モーラと一緒に管理を手伝ってもらおうと思ってるのに、かたくなに断るんだよ? すごい名誉なことなのにね。ルド、遠慮しなくていいんだよ?」
兄上が小首をかしげる。
遠慮じゃなく、嫌なだけだろ…。
一層怯えた顔をして、ルドは、首を横にぶんぶんと振った。
にもかかわらず、兄上は更にルドを追い詰める。
「それに、ルドって本当に優秀で信頼できるから、ぼくの側近にしたいんだよね? それもずーっと断ってくるんだよ?」
「私は退職するまで、ずっと文官のままでいたいです!」
「えー?! ぼくの側近のほうが、お給料も高いし、快適な職場だよー。ねえ、ウルス」
兄上がウルスにふる。
「快適…? そんなわけないだろう! …だがまあ、苦労する分、給料は高いのは事実だ。だから、ルド。是非、俺と一緒に働こう! 王太子が信用できる人間は、そうはいないんだ! 優秀なルドが来てくれたら、どれだけ俺が助かるか…」
「うん、ルドが来てくれるなら、ウルスの上司でもいいよ?」
明るく提案する兄上。
はあ…? おい、それはウルスに失礼だろ。
「いや、それでもいい。ルドが来てくれるなら、俺が部下でもなんでもいい!」
と、ウルスが悲痛な声をあげた。
それでいいのか、ウルス…? どれだけ、せっぱつまってるんだ、ウルス…。
そして、ルド。目がうるうるしすぎだろ。泣くな、ルド!
殺伐とした空気感を漂わせている二人に割って入る。
「…とりあえず、服のことを聞かせてくれ」
すると、兄上が、俺を見て意味ありげに微笑んだ。
「フフ…。ルイスも気になるから待てないんだね?!」
いや、ちがう。アリスに引き継ぐなどと言いださなければ、聞きたくもない話だ。
「でも、ちょっと、待ってね。もうすぐ到着するから」
「は? 到着…? って、なんだ?」
「現物を持ってきてもらってるの。フフフ…」
え? 現物を? 見たくないな。そして、不吉な予感がする…。
にこにこしながら俺を見つめる兄上から目をそらし、ウルスを見ると、はちみつ漬けアップルパイと格闘している。
奇妙な静けさに耐えられず、紅茶を流し込む俺。
そうしていると、ノックの音が…。
「どうぞー!」
だれかも聞かずに、元気いっぱい答えたのは兄上。
おい、ここは、俺の部屋だ。
「お待たせいたしました」
と、言いながら入って来たのは、モーラだ。
「待ってたよー。ルイスが楽しみで待ちきれないんだって!」
そうは言ってない…。
しかし、モーラ。さっきまで、ここにいたよな? いつの間にいなくなってたんだ…?
そして、その後ろから、台車を押しながら若い男があとをついてきた。
くせ毛がふわふわと動く、赤い髪の毛。ああ、ルドか。
モーラの親戚で、文官として働いている。
小柄で童顔。少し垂れた大きな目で、少年というより、少女のようにも見える。
モーラから紹介された時は、てっきり、自分より年下かと思ったら、まさかの年上。兄上やウルスと同じ年だった。
ルドは台車をおくと、早口で言った。
「では、私はこれで失礼します…」
「あ、ちょっと、待って、ルド。せっかく、ぼくのお宝を持ってきてもらったんだから、ルドも見ていきなよ?」
兄上が、いい笑顔で言った。
「結構です…」
ルドが即答した。あ、大きな目が、すでにうるみ、兄上を怯えたように見ている。
普段、ルドは非常に大人しく、かよわい印象だが、仕事となると、まるで別人になる。頭脳明晰で、部下にてきぱきと指示を与えながら、事務仕事を驚くほどの速さで、さばいていく。
しかし、何故か、兄上を前にすると、異常なほど怯える。
今も、猛禽類を前にした、食べられる寸前の獲物みたいだ。
「ところで、ルドも、それが置いてあった部屋に入ったのか…?」
俺が聞くと、ルドは、あわてたように首を横にふった。
「いえ、ぼくは入っていません! 何も見ておりません! 何も知りません!」
食い気味で答えたルド。怯えながらも、きっぱりと口にした。
よほど、関わりたくないんだな…。
そこで、モーラが俺のほうに向かって言った。
「王太子様から頼まれた貴重なお宝は、私だけが部屋に入り、他の人たちの目に触れないよう布をかぶせて、台車にのせて、部屋の外へだし、廊下でルドに渡して持ってきてもらったんです。ルドは部屋の中には入っておりませんし、何があるのかも説明しておりません」
うーん、どうでもいいが、たかが服。その扱いは、どう考えても、おかしいだろ?
「ルドは信用できるから、ルドにもあの部屋のことを教えて、モーラと一緒に管理を手伝ってもらおうと思ってるのに、かたくなに断るんだよ? すごい名誉なことなのにね。ルド、遠慮しなくていいんだよ?」
兄上が小首をかしげる。
遠慮じゃなく、嫌なだけだろ…。
一層怯えた顔をして、ルドは、首を横にぶんぶんと振った。
にもかかわらず、兄上は更にルドを追い詰める。
「それに、ルドって本当に優秀で信頼できるから、ぼくの側近にしたいんだよね? それもずーっと断ってくるんだよ?」
「私は退職するまで、ずっと文官のままでいたいです!」
「えー?! ぼくの側近のほうが、お給料も高いし、快適な職場だよー。ねえ、ウルス」
兄上がウルスにふる。
「快適…? そんなわけないだろう! …だがまあ、苦労する分、給料は高いのは事実だ。だから、ルド。是非、俺と一緒に働こう! 王太子が信用できる人間は、そうはいないんだ! 優秀なルドが来てくれたら、どれだけ俺が助かるか…」
「うん、ルドが来てくれるなら、ウルスの上司でもいいよ?」
明るく提案する兄上。
はあ…? おい、それはウルスに失礼だろ。
「いや、それでもいい。ルドが来てくれるなら、俺が部下でもなんでもいい!」
と、ウルスが悲痛な声をあげた。
それでいいのか、ウルス…? どれだけ、せっぱつまってるんだ、ウルス…。
そして、ルド。目がうるうるしすぎだろ。泣くな、ルド!
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