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番外編
閑話 アリスノート 25
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正直、聞かなくていい話だった…。
どっと疲れを感じていると、兄上が煽るようにウルスに言った。
「感受性のないウルスのために、ぼくが、ルイスの言った言葉を、特別に解説してあげる」
いや、いらない…。しかも、言った本人でさえ忘れている言葉の何を解説するんだ?
ウルス、きっぱりと断ってやれ。
そう思った瞬間、何故か、ウルスが兄上に前のめりで俺の気持ちと正反対の言葉を口にした。
「そこまで言うなら、俺が納得のいく説明をしてみろ! フィリップ!」
確実に変なスイッチが入っているウルスが、戦いを挑むような目で兄上をにらんでいる。
やめておけ、ウルス…。
話を聞いても、絶対理解できないし、疲労が増すばかりだ。
止めようかと思ったが、すぐにあきらめた。
というのも、兄上も戦いを受け入れる変なスイッチが入ったみたいだから。
兄上は、やけに黒々とした、不敵な笑みをうかべている。
「ぼくが、どれだけやさしーく説明しても、そればっかりはね。ウルスがわかるかどうかは、ウルスの理解力の問題だし?」
と、ウルスを更に怒らせるように言う兄上。
案の定、すぐさま、ウルスからもわっと湯気がたった気がした。
2人のぎらぎらとした視線が交わる。
やっぱり、この二人、仲がいいよな?
けんかをしながら、遊んでるみたいなんだが…。
「記憶力の乏しいウルスのために復習すると、ぼくが、『ルイスみたいなブルーの瞳になりたかった』って言ったところからね。ルイスは、ぼくの瞳をじっと見ていた。それから『兄様の目、木の実みたい』って口にしました。さあ、ここ、ウルス、どういう意味だと思う?」
「…どういう意味も何も、言葉通りで、木の実に似てたんだろ?」
と、ウルス。
兄上は、首を横にふった。
「はあー、ウルス。それ、全然ダメ! ここのポイントは、言葉じゃなくて、ぼくの瞳をじっと見ていたというところだよ? この間に、ルイスの心情がつまってるの! ルイスの心の声を再現するから、ウルス、よーく聞いておくように」
は? 心の声を再現…? 嫌な予感しかない…。
「にいさま、だいじょうぶ? にいさま、かなしまないで。もちろん、ぼくもにいさまとおそろいの目の色がよかった。でも、にいさまの目はすてきだよ。だって、木の実みたいな色だもん」
と、兄上が裏声で言った。
一体、何を言っているんだ、兄上は…?
ウルスも不気味なものを見るような目で、兄上を凝視している。
兄上は地声に戻して、話し続ける。
「こんな愛があふれるメッセージが、ぼくの瞳をじっと見ていたルイスの瞳から、びしびしと伝わってきたんだ。ウルス、言葉を言葉のまま聞くんじゃなくて、ここを読み取らなきゃ。そして、ルイスがぼくの瞳をじっと見た後に口にした言葉、『兄様の目、木の実みたい』は、ぼくが、さっき説明したルイスの気持ちが凝縮された言葉なの」
全く意味がわからないんだが…?
唖然とする俺とウルス。
が、兄上はそんな俺たちを気にすることもなく、意気揚々と説明を続けた。
「じゃあ、次。ルイスは、ぼくの瞳を見つめたまま、『木の実はね、栄養があるよ』って言ったところ。さあ、ウルス。ここは、どう思う?」
「…じゃあ、また、言葉じゃなく、『ぼくの瞳を見つめたまま』ってところが大事って言うのか…?」
「ブー、不正解! 今度は見つめていた、じゃなくて、見つめたまま、『木の実はね、栄養があるよ』と言ったわけ。つまり、さっきと違って間はない。だから、この言葉自体がポイントってこと。栄養があるということは、良い食べ物とルイスが認識しているってことでしょ。つまり、ここでの木の実はぼくの瞳と同義だから、ルイスにとって、ぼくの瞳は良いって言ってるのと同じ。つまり、ここでもぼくの瞳を褒めてくれてるの!」
「…はあ? ますます、意味がわからん」
眉間にしわを寄せるウルス。
ウルス、あきらめろ…。
俺は、もう意味を考えることをやめた…。
「でね、その後、ぼくが『ルイスは、木の実が好き?』って聞いたら、愛らしく、コクンとうなずいた。ここ、ダメ押し! ほら、こんな感じでうなずいたんだよ。見て見て!」
そう言って、兄上は、首をたてに一回ふった。
「ほら、このうなずき方、もう大好きって感じがもれだしてるでしょ?!」
いや、全く…。
ごく普通にうなずいただけに見えるぞ、兄上…。
意味がわからなさすぎて、若干恐怖を感じる俺。ウルスも同様なのか、ぶるっと震えた。
「つまり、ルイスは、ぼくの瞳を褒めてくれただけじゃなくて、大好きって言ってくれたってこと。わかった、ウルス?」
「…わかるわけないだろ、フィリップ。妄想が激しすぎて怖いな…」
と、なんとか声をしぼりだしたウルス。
すると、兄上は、あきれたような顔で、ウルスを見た。
「やっぱり、ウルスがルイスの繊細な心情を理解するのは無理だよねー」
またもや、2人がバチバチとにらみあう。
仲良くけんかしているところ悪いが、俺は疲れ果てた…。
色々とっとと終わらせて、アリスノートを読み直したい…。
ということで、二人のけんかをぶった切るように、俺は口を開いた。
「兄上、わかった」
「あ、さすが、ルイス! ぼくの言うことを理解してくれたんだね」
兄上の顔が、ぱあっと明るくなる。
「いや、全然違う。心底どうでもいい話だとういうことが、わかっただけだ。だから、この話は終わりだ。早く、魔石が一つになるところを見せてくれ。…というか、鍵があいたなら、服をだせばいいだけか…。なら、俺がやる」
俺はそう言うと、鍵のあいたガラスケースに手をかけた。
※ 更新が遅くなってすみません! 不定期更新のなか、読んでくださった方、本当にありがとうございます!
お気に入り登録、エールもありがとうございます!! 大変、励みになります。
どっと疲れを感じていると、兄上が煽るようにウルスに言った。
「感受性のないウルスのために、ぼくが、ルイスの言った言葉を、特別に解説してあげる」
いや、いらない…。しかも、言った本人でさえ忘れている言葉の何を解説するんだ?
ウルス、きっぱりと断ってやれ。
そう思った瞬間、何故か、ウルスが兄上に前のめりで俺の気持ちと正反対の言葉を口にした。
「そこまで言うなら、俺が納得のいく説明をしてみろ! フィリップ!」
確実に変なスイッチが入っているウルスが、戦いを挑むような目で兄上をにらんでいる。
やめておけ、ウルス…。
話を聞いても、絶対理解できないし、疲労が増すばかりだ。
止めようかと思ったが、すぐにあきらめた。
というのも、兄上も戦いを受け入れる変なスイッチが入ったみたいだから。
兄上は、やけに黒々とした、不敵な笑みをうかべている。
「ぼくが、どれだけやさしーく説明しても、そればっかりはね。ウルスがわかるかどうかは、ウルスの理解力の問題だし?」
と、ウルスを更に怒らせるように言う兄上。
案の定、すぐさま、ウルスからもわっと湯気がたった気がした。
2人のぎらぎらとした視線が交わる。
やっぱり、この二人、仲がいいよな?
けんかをしながら、遊んでるみたいなんだが…。
「記憶力の乏しいウルスのために復習すると、ぼくが、『ルイスみたいなブルーの瞳になりたかった』って言ったところからね。ルイスは、ぼくの瞳をじっと見ていた。それから『兄様の目、木の実みたい』って口にしました。さあ、ここ、ウルス、どういう意味だと思う?」
「…どういう意味も何も、言葉通りで、木の実に似てたんだろ?」
と、ウルス。
兄上は、首を横にふった。
「はあー、ウルス。それ、全然ダメ! ここのポイントは、言葉じゃなくて、ぼくの瞳をじっと見ていたというところだよ? この間に、ルイスの心情がつまってるの! ルイスの心の声を再現するから、ウルス、よーく聞いておくように」
は? 心の声を再現…? 嫌な予感しかない…。
「にいさま、だいじょうぶ? にいさま、かなしまないで。もちろん、ぼくもにいさまとおそろいの目の色がよかった。でも、にいさまの目はすてきだよ。だって、木の実みたいな色だもん」
と、兄上が裏声で言った。
一体、何を言っているんだ、兄上は…?
ウルスも不気味なものを見るような目で、兄上を凝視している。
兄上は地声に戻して、話し続ける。
「こんな愛があふれるメッセージが、ぼくの瞳をじっと見ていたルイスの瞳から、びしびしと伝わってきたんだ。ウルス、言葉を言葉のまま聞くんじゃなくて、ここを読み取らなきゃ。そして、ルイスがぼくの瞳をじっと見た後に口にした言葉、『兄様の目、木の実みたい』は、ぼくが、さっき説明したルイスの気持ちが凝縮された言葉なの」
全く意味がわからないんだが…?
唖然とする俺とウルス。
が、兄上はそんな俺たちを気にすることもなく、意気揚々と説明を続けた。
「じゃあ、次。ルイスは、ぼくの瞳を見つめたまま、『木の実はね、栄養があるよ』って言ったところ。さあ、ウルス。ここは、どう思う?」
「…じゃあ、また、言葉じゃなく、『ぼくの瞳を見つめたまま』ってところが大事って言うのか…?」
「ブー、不正解! 今度は見つめていた、じゃなくて、見つめたまま、『木の実はね、栄養があるよ』と言ったわけ。つまり、さっきと違って間はない。だから、この言葉自体がポイントってこと。栄養があるということは、良い食べ物とルイスが認識しているってことでしょ。つまり、ここでの木の実はぼくの瞳と同義だから、ルイスにとって、ぼくの瞳は良いって言ってるのと同じ。つまり、ここでもぼくの瞳を褒めてくれてるの!」
「…はあ? ますます、意味がわからん」
眉間にしわを寄せるウルス。
ウルス、あきらめろ…。
俺は、もう意味を考えることをやめた…。
「でね、その後、ぼくが『ルイスは、木の実が好き?』って聞いたら、愛らしく、コクンとうなずいた。ここ、ダメ押し! ほら、こんな感じでうなずいたんだよ。見て見て!」
そう言って、兄上は、首をたてに一回ふった。
「ほら、このうなずき方、もう大好きって感じがもれだしてるでしょ?!」
いや、全く…。
ごく普通にうなずいただけに見えるぞ、兄上…。
意味がわからなさすぎて、若干恐怖を感じる俺。ウルスも同様なのか、ぶるっと震えた。
「つまり、ルイスは、ぼくの瞳を褒めてくれただけじゃなくて、大好きって言ってくれたってこと。わかった、ウルス?」
「…わかるわけないだろ、フィリップ。妄想が激しすぎて怖いな…」
と、なんとか声をしぼりだしたウルス。
すると、兄上は、あきれたような顔で、ウルスを見た。
「やっぱり、ウルスがルイスの繊細な心情を理解するのは無理だよねー」
またもや、2人がバチバチとにらみあう。
仲良くけんかしているところ悪いが、俺は疲れ果てた…。
色々とっとと終わらせて、アリスノートを読み直したい…。
ということで、二人のけんかをぶった切るように、俺は口を開いた。
「兄上、わかった」
「あ、さすが、ルイス! ぼくの言うことを理解してくれたんだね」
兄上の顔が、ぱあっと明るくなる。
「いや、全然違う。心底どうでもいい話だとういうことが、わかっただけだ。だから、この話は終わりだ。早く、魔石が一つになるところを見せてくれ。…というか、鍵があいたなら、服をだせばいいだけか…。なら、俺がやる」
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